上橋菜穂子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
風呂に行くのも、飯を食うのも忘れて、ただただ読み耽った。あまりにも壮大で、あまりにも深淵を手繰るような、恐ろしいほどに素晴らしい作品。ちょっとまだ言葉がまとまらないけど……原作の素晴らしさは語るまでもないだろうが、本当に絵の、表情の、線の、淡い色のひとつひとつに魂が命が神様が宿っているような漫画だ。やわらかさ、厳しさを携えるその様は、万物に流れる命の姿そのものの化身なのだろう。読み終えて、惘然として、涙が枯れてきたころに、深い深いあたたかさが心に宿り戻ってきた。別々の呼吸を、読み合いながら、わたしたちは混ざり合ってゆく。/作画担当さん、ちょっとこのコミカライズが歴史的成功し過ぎていて今後何をや
-
購入済み
エリンの強さに惹かれますねぇ。
初めて呼んだ上橋先生の小説です。是非もう一度読みたくて、電子書籍という形態を選びました。
合本という形も、大変にありがたいです。 -
Posted by ブクログ
隣のアボリジニ 上橋菜穂子 筑摩書房
小説家で有名な文化人類学者によるフィールドワークのお話
先住民は遠くに在りて思うもの
という意味から上橋さんは学者の調査研究としてではなく
海外派遣の教師という立場でオーストラリアに潜入して
アボリジニの生徒がいる小学校を選びました
日々の暮らしの中でできるだけ対等な関係のお付き合いから
彼らの伝統文化と現状の中での生き方を吸収しようと考えたようです
この本の全体を通して
客観性を保ちながらも心の機微に注目している様子がうかがえます
歴史を戻す訳にはいきませんし現状を受け入れた上で
過去も精算しつつ今から迎える未来を個人の単位でいかに棲み分けて -
Posted by ブクログ
古代文化においてこの極東にある島国に
大陸から多くの帰化人が押し寄せ
彼らが持ち込んだ全体観を見失う物質至上主義の台頭に翻弄され
大自然との絆でつながる長い縄文人の自律文化に
依存という武力を背景とする搾取と支配の天皇制による政治がはびこり
利己的部分観にとらわれていく新たな不安と恐怖
その過渡期の変動に巻き込まれてあえぐ人々をモティーフにした物語
文化人類学者として沖縄からアボリジニへと関わり
その後創作活動へと進展した上橋さんの二作目です
お互いの個を尊重することでつながる
対等観による信頼関係の現場を踏まえた
中身の濃い意識と心を今に伝えてくれる客観性の中に
主観的な思いを織り込んだ壮大 -
Posted by ブクログ
小学生の時に読んで以来の再読。
舞台は古代日本……多分平安? で、隼人のある村を舞台にしたファンタジー。
あとがきによると、この物語は中学生でもわかるように意識して書かれているらしい。漢字にはいちいちふりがなが振ってあるし、そんなに長い小説でもない。だからといって大人が楽しめない児童書というわけではない。
実際、初めて読んだ時と今回読み直した時の感想はけっこう違っているけれど、今は今で歴史や宗教、文化の予備知識がついたおかげで新しい観点から楽しめた。当時の私はキシメとタヤタ、ナガタチの恋愛物語にばかり気をとられてどきどきしていた。今も勿論その辺りの話は大好きだが、古代の人とカミの在り方と変容 -
購入済み
さすが名手!
元々原作が好きで、コミックスも良いかな?と購入してみたが、
原作の幻想的な部分を余すところなく表現した上、微妙に違う説話を折り込みながら違和感を感じさせないところ、藤原カムイ氏、さすが名手!と言う他ない。
素晴らしかった。
-
Posted by ブクログ
”精霊の守り人”を中心に、作中に出て来る飲食の対象物を実体化させ、レシピと作成手順を概説したもの。
作中の料理名も材料名も架空だが、元のイメージは主にアジア系の食材・料理であることが分かる。
著作を読んだときに、「やけに食事のシーンが細かく描かれているなあ?」と感じた(仮想の言葉なので、人物名と料理名・食材名が頭の中でゴッチャになる...)。
これは、原作者の原体験である”書籍の中での食事シーンへの憧憬”が元になっていたんだなあと納得。
出来上がった料理だけでなく、器や什器、テーブルなども良く選ばれており、原作のイメージにマッチしている。 -
Posted by ブクログ
作家・上橋菜穂子の作家になるまでの生い立ちや、作品創作についてのインタビューをまとめた本。なぜ本人によるエッセイという形でなく他人の手を介する形にするのだろうという疑問がありましたが、あとがきに相当する部分を読むと、インタビューという形で他人が介することで引き出されるものもあり、自分のことを自分で語る以上のものが出てくるのだということがわかり、なるほどと目から鱗の落ちる思いでした。
上橋菜穂子の作品には「こちら側」と「あちら側」の境界線が舞台となることが多く、またその両方を行き来する人が出てくることも多いです。それが魅力となっているのですが、これを読むとなるほどここからあの物語たちが生まれてく