諸田玲子のレビュー一覧
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主人公原菜蘋=みちは、秋月黒田藩の儒学者原古処を父に持つ実在の人物で、父亡き後、江戸へ出て勉学に励んだ女流漢詩人だとか。
彼女の詳細に綴られた日記に何故か空白部分があることから、著者は作家の想像力と創造力を駆使し、藩のお家騒動を絡ませた歴史ミステリーに仕上げた。
黒田藩の継嗣問題で父と兄から密命を帯びたみちは、男装して江戸へ向かう。
途上、頼もしい味方や反対派の追っ手、さらには敵か味方かわからない同行者もあり、危難の連続にRPGのようなロードノベルの面白さ(著者には、同じくロードノベルともいえる時代小説『闇の峠』が合ったことを思い出す)。
江戸の着いてからも、幕府老中たちの権力争いに翻弄され、 -
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代々お鳥見役を務める矢島家は現当主の妻、しっかり者の珠世が中心となって回っている。
「千客万来」
仇と狙われている源太夫は5人の子供を引き連れて、昔ほんの少々の縁があった矢島久右衛門を頼ってやってきてしばらく逗留することになる。男を仇と狙う沢井多津もひょんなことから同じ久右衛門の家に宿を借りることになる。すぐにお互い仇と狙い狙われるものだと察するが。なんとも不思議な縁と言える。
「柘榴の絵馬」
子供を失った母親の悲しみ行くばかりか。
5人の子を持つ源太夫を多津が撃てばその子らは父親を失った多津と同じ悲しみを背負うはず。
仇討ちなどおやめなされ。
「恋猫奔る」
人が恋する季節はいつなのか。 -
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ネタバレ2003年の同名の単行本、2006年の文庫の4章に、書き下ろしの1章を加えたもの。
現代でも重い妊娠中絶を正面から扱った時代小説で、あさのあつこの”闇医者おゑん”シリーズと同じ葛藤が描かれる。
元藩医で町医者の六左衛門の娘である江与は裏口に「中條流」ののれんを掛けて、中絶が必要な女たちを助けていた。
時は天保の改革の風紀引き締めで、岡場所の廃止、女髪結や三味線の師匠などの禁止に続き、女医者(婦人科)の禁止が検討されていた。
事件はたくさん起きる。禁止されている奉公人同士の恋愛で妊娠した女中が相談に来たが、首をつってしまう。役者に熱を上げた奥女中が相談に来て、江与はもてあそんだ役者を懲らしめ -
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「諸田玲子」の連作時代小説『あくじゃれ 瓢六捕物帖』を読みました。
ここのところ、時代小説が続いています。
-----story-------------
牢屋敷に捕らわれの身の「世之介」ばりの色男「瓢六」と、無骨な同心「篠崎弥左衛門」との凸凹コンビが、難事件を次々に解決する痛快譚
絶世の色男、粋で頭も切れる目利きの「瓢六」が、つまらぬことで小伝馬町の牢屋敷に放り込まれた。
ところが丁度同じ頃起きた難事件解決に「瓢六」の知恵を借りるため、与力「菅野一之助」は日限を切っての解き放ちを決める。
不承不承お目付役を務める堅物の定廻り同心「篠崎弥左衛門」との二人組による痛快捕物帖。
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「諸田玲子」の連作時代小説『あくじゃれ 瓢六捕物帖』を読みました。
ここのところ、時代小説が続いています。
-----story-------------
牢屋敷に捕らわれの身の「世之介」ばりの色男「瓢六」と、無骨な同心「篠崎弥左衛門」との凸凹コンビが、難事件を次々に解決する痛快譚
絶世の色男、粋で頭も切れる目利きの「瓢六」が、つまらぬことで小伝馬町の牢屋敷に放り込まれた。
ところが丁度同じ頃起きた難事件解決に「瓢六」の知恵を借りるため、与力「菅野一之助」は日限を切っての解き放ちを決める。
不承不承お目付役を務める堅物の定廻り同心「篠崎弥左衛門」との二人組による痛快捕物帖。
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赤穂浪士討ち入りの義士の中に、浅野家家臣としては新参者といえる3人がいた。
いずれも大名家津山森家の家臣。
神崎与五郎、茅野和助、横川勘平。
彼らはなぜ義士に名を連ね命をかけたのか。
松の廊下刃傷沙汰に対する不公平な沙汰への浅野家家臣としての憤りだけではなかったのではないか。
森家当主となった長直の、3人に対する思いやりが作品に流れている。
作品の中「与五郎の妻」では
神崎与五郎の前妻ゆいの再婚相手、江見甚右衛門の優しさに涙する。
浅野家討ち入りの翌日、ゆいに対して前夫与五郎の2人の子と共に並び出て吉良邸から高輪泉岳寺に向かう義士の中にいる与五郎を見送ってやれと言ってやる。
それが与五郎に -
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馴染みのない名前が、数多出てくるので、何度も、頁を戻したり、巻頭にある宮中人物関係図を、参照したりで、なかなか、進まず。
それもそのはず、重要人物は、全て、作者のフィクションであるとの事。
物語の、要になる、歌は後撰和歌集の中の「詠人知らず」の歌を用いる所等、流石、諸田玲子さん。
類稀な美貌で、歌の才に秀で、宮中の公達と、次々と浮名を流したが、やがて、帝の寵を得、御子を孕ったところが、 火事に見舞われ、焼死したと言う、母親の、死の真相を調べる弥生。
父親が、無実の罪を着せられ、公卿の子息から一転して、流浪の民となり、殿上人に恨みを抱いている、音羽丸。
故事、慣例に通じて、「陶化坊の白 -
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いわゆる信長婦人である濃姫を書いた小説は珍しいと思い、読み始めたが最初はちょっと違うなあ、と感じていた。
やはり、女性ならではの視点ということで、妻として、母として、またひとりの女性として濃姫が描かれているからであると思われる。
まあ、そう思って読み慣れてくると、そんなに違和感もなくなってくる。
が、本能寺の変はまだしも、桶狭間とか姉川の戦いなど歴史的な戦をあまりにもスルーしすぎでは。
そういうことがあった程度の触れ方には、ちょっと違和感。
まあ、仕方がないかもしれないが、上下巻になってもいいので、もうちょっと膨らませてくれればもっと読み応えがあった感じがした。