【感想・ネタバレ】女だてらのレビュー

あらすじ

文政11年、漢詩人・原古処の娘であるみちは、若侍に姿を変えた。昨年、秋月黒田家の嫡子が急死し、福岡の黒田本家の専横に対抗できる人物を立てるべく、京、そして江戸へと向かう密命をおびたためだ。女であることをひた隠しにしながら任務に邁進するみちに、兄の友人・石上玖左衛門という心強い旅の道連れができる。だが酒を酌みかわし、心を通わせていく一方で、みちは、彼にも秘密があるのではないかと疑心暗鬼に囚われる。不気味な追っ手の影、錯綜する思惑、巨大な陰謀―聡明なみちは得意の変装術と機転で、危機を切り抜けていくが…。実在した漢詩人・原采蘋の数奇な半生と、秋月黒田家お家騒動の驚きの内幕をスリリングに描いた、圧巻の歴史ミステリー。

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Posted by ブクログ

主人公原菜蘋=みちは、秋月黒田藩の儒学者原古処を父に持つ実在の人物で、父亡き後、江戸へ出て勉学に励んだ女流漢詩人だとか。
彼女の詳細に綴られた日記に何故か空白部分があることから、著者は作家の想像力と創造力を駆使し、藩のお家騒動を絡ませた歴史ミステリーに仕上げた。
黒田藩の継嗣問題で父と兄から密命を帯びたみちは、男装して江戸へ向かう。
途上、頼もしい味方や反対派の追っ手、さらには敵か味方かわからない同行者もあり、危難の連続にRPGのようなロードノベルの面白さ(著者には、同じくロードノベルともいえる時代小説『闇の峠』が合ったことを思い出す)。
江戸の着いてからも、幕府老中たちの権力争いに翻弄され、果たしてみちは本懐が遂げられるのか、わくわくドキドキの連続。サスペンス満開で、エンタメの醍醐味が満喫される。
史実にフィクションを織り交ぜ、大胆なエンタメ作品に仕立てた著者の手腕に賛歌。
秋月藩の名に記憶があったと思っていたら、葉室麟氏の『秋月記』があった。猷tという名で記されている漢詩人が菜蘋=みちだろう。

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2023年06月09日

Posted by ブクログ

朝日新聞の書評で紹介されていたので、読んでみました。
秋月の漢詩人 原故処の娘みちは、密命を帯びて、若侍に姿を変え、京から江戸へ。
実在した漢詩人・原采蘋(みち)を案内役に、秋月黒田家お家騒動を描く。
名君と言われる八代藩主長舒は、学問を奨励したり、有能な人材を召し抱えたり、新しい産業を保護したりと進歩的な政治を推し進めたが、藩の財政負担が大きく、亡くなった後の騒動に繋がった。
名君と言われても、いつでも陰陽両面がある。

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2023年05月28日

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