諸田玲子のレビュー一覧

  • 登山大名 上

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    主人公の墓は、大船山登山道の結構高い場所であった。石垣が築いてあり、立派な墓であった。ここまで石を運ぶ手間は大変であったろう。また、自分の足で登らず、担いで貰ったようだ。城からは、随分離れた場所。ここに墓を作りたかったとは、よほどの山好き。登った日の大船山山頂からは、遠く大分市に停泊の船、阿蘇の山々迄見えた。おそらく領地の殆どが見えたのではないか。この物語を知らなかったら、墓所に何の感慨も持たなかったであろう。

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    2025年11月09日
  • 織部の妻

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    ネタバレ

    知ってるようで忘れている歴史のおさらいができて得した気分。物語の初めからおしまいまでが墓前の語りだったなんてやられたー だから織部パートはカッコ書きか、

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    2025年10月01日
  • 岩に牡丹

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    「六郷宿は、雪の訪れこそまだないものの、吐く息が白くなるくらいには冷え込んでいたはずだ。」「道端の小暗い木陰には霜が降りていたかもしれない。」という描写が冒頭にあり、「おや」と首を傾げた。この小説はどういう視点で書かれているのだろう。想像や予測、そんな視点は作者自身の視点でしょうか。少なくとも、この2文、語り手は現場にいないのだね、と思いながら読み進めたが、これ以降はすべて、語り手は現場に寄り添っていた。ここだけなのですね。
    ストーリーは面白かったのですが、もう一点、読み進めるのに抵抗を感じたのは、途中に出てきた「怒り心頭」という表現。歴史小説・時代小説をその当時の言葉だけで書けなどという、そ

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    2025年09月03日
  • 織部の妻

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    信長に仕え、千利休に師事し、茶の湯の大成者として、朝廷や大名、商人など、多方面に繋がりを持ち「織部流」を大成させた、古田織部。

    その彼を支えた、たったひとりの女性。
    戦国武将・中川清秀の妹、仙。

    政略結婚を通じて、二人は信長、秀吉、家康と、目まぐるしく変遷する戦国の世を駆け抜ける。

    織部は、江戸幕府に仇をなす者と見咎められ、家康から切腹を命じられるが、織部と仙が、命に変えても、守り抜きたいものがあった。

    諸田玲子さんの作品は、とても読みやすい。

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    2025年06月24日
  • 奸婦にあらず

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    いやはや←いやはや、ってなんで出てきたあたし?
    かなーりみっちりした時代小説でした。

    井伊直弼って、安政の大獄であまり良いイメージがなかったのだけど、彼の若き日に出会った忍びの女性の視点からかかれた本作はそのイメージを変えるには十分な作品でした。

    イメージが良くなった、とは言わない。
    ただ、歴史の側面をきちんと見れた、と思わせてくれる作品です。

    結構長いので、なかなかスルスルとはいかないけど中弛みもなく出来事と感情がいい塩梅に混ぜられた作品だなぁ。

    2025.6.9
    123

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    2025年06月09日
  • 恋ほおずき 完全版

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    ビターエンド 主人公は女医者である。中条流は今の婦人科にあたり、堕胎が専門。本作で初めて知ったが、江戸時代には堕胎が規制されていたらしい。
    身分違いの恋をして悲恋に終わった主人公は、また身分違いの恋をする(しかも不倫)。江戸時代は不義密通の取り締まりが厳しいイメージがあったし、子供もいる相手と恋してるの個人的には微妙。
    感想はともかく、文体はとても読みやすく、情景がするする浮かんでキャラクターも魅力的。他の作品も読んでみたい。

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    2025年12月10日
  • 奸婦にあらず

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    幕末を生きた村山たかの人生を描いた作品、井伊直弼との絆、幕末と言う時代の中で安政の大獄や維新の中で活躍した人達の壮絶な生き方を想像しながら読むと今の時代がどれだけ幸せなのかを改めて感じた。

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    2025年03月27日
  • 岩に牡丹

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    ネタバレ

    良い。
    品のある作品。
    江戸時代、戦は無かったが、武士の時代で血なまぐさい組織を守る水面下の戦いはあった。なんか、組織のために個人が犠牲になる構図は今も変わらない。

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    2025年01月25日
  • 岩に牡丹

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    平賀源内が武助に託した密書。其処には一体何が書かれていたのだろうか…己の保身に権力を行使し、描画を嗜む彼らを無き者にする田沼意次に憤慨。田沼の底知れぬ欲深さは噂通りであり、また源内の最期は想定外だった。

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    2024年11月14日
  • 其の一日

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    タイトル通り、それぞれの「ある1日」を描いた短編集。
    時代小説を読むのは初めてだったのですが、とても読みやすく、知らない人物や事件などを学ぶことができました。
    もちろんフィクションも織り交ぜているとは思いますが、今と変わらない部分や異なる部分、繋がる部分などを考えながら読むのは楽しいですね!

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    2024年10月14日
  • 決戦!忠臣蔵

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    お気に入りの「決戦」シリーズだ。
    奇しくも続けて忠臣蔵関連の作品を読んだ。

    忠臣蔵はどちらかと言うとこのシリーズの中では、題材が限られている部類かと思った。でも一連の短編を読み終えると
    味わい深く切り口の多様さを感じた。
    どの書き手も思わず唸ってしまう味わいである。

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    2024年10月12日
  • しのぶ恋 浮世七景

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     惹き込まれるように読んだ。読んでる間、江戸の町が確かにあった。
     北斎を題材にした作品の「さらやしき」
    笑いと明るい気分が味わえる「梅川忠兵衛」。「しのぶ恋」は心情を鮮やかに描く。
     人生のロマンは誰にでもある。日々生きている日常の中に。
     
     自由とは選択の自由だと思う。どんな気持ちを選ぶのか。
     その気持の選択に誇りと自信を持てた時に人は自由を手にするのだろう。
     辛い気持を振り切った時に嫉妬にあえぐ心をなだめすかすのではなく、その嫉妬には訣別した時に誰が認めなくても自分を認められるのではないだろうか。
     「深く忍恋」のおりきは1本、筋が通っているように思う。

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    2024年09月13日
  • 蛍の行方―お鳥見女房―(新潮文庫)

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    お鳥見女房の第2弾。第1弾は作品や登場人物の紹介的な短編集だったが、第2弾からいよいよ主題に入ってきた。前回少しばかり顔を出してきた水野忠邦も存在感を増してきた。(あまり良い印象ではないが…鷹のように例えられている)
    鳥見役というのは隠密の任もあるようで、珠代の夫は隠密仕事で1年近く音信不通になっている。そこへ家族やら居候やらが赴任先へ様子を見に行くのだが…
    何しろ登場人物が多いが、2作目になるとそろそろ誰が誰だか分かってきた。
    話として好きなのは、まあどれも良い話だったが、「緑の白菊」かな。君江(次女)の気持ちが可愛らしく、その成長が楽しい。
    また、もう恋する気持ちを失っている私には、珠代が

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    2024年08月31日
  • 梅もどき

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    私の中には、天下をとった徳川家と、その敵となった豊臣家の血が流れている

    関ヶ原の戦いで徳川勢力に敗北した父を持ち、のちに家康の側室となり、寵臣に下賜されたお梅の方。数奇な運命に翻弄されながらも、戦国時代をしなやかに生きぬいた実在の女性の知られざる人生を描く感動作。

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    2024年06月02日
  • 江戸に花咲く 時代小説アンソロジー

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    同じ祭りをテーマにしたアンソロジー。
    同じ天下祭の説明の部分を比較しても面白いです。
    もしかしたら一つの祭りに色々なエピソードが組み込まれていたのではと想像しても楽しめます。

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    2024年03月13日
  • 四十八人目の忠臣

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    題材は忠臣蔵。主人公のきよは、のちの月光院。
    月光院が赤穂浅野家と関係あるかは、史実としては、はっきりとしていないようではあるが、多少関係ある事は、事実として残っているようである。
    歴史の影に隠れてしまっている事を推察し、こんな素晴らしい小説に仕立て上げるとは。
    実際に、僕たちのしりようのないドラマが、そこには、あったのだろう。

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    2023年12月29日
  • 麻阿と豪

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    前田利家の娘、麻阿と豪。
    姉妹ながら離れて育った二人が、お互いを助け思いやり、激動の時代を生き抜いていった。フィクションの部分も多い(心情など記録も無いし)けれど、良い小説だったと思う。何より、読んでよかったなと読後に思えるお話でした。

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    2023年10月19日
  • お順 下

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    ある意味、男運の悪いお順。
    三人目の男が史実なのかフィクションなのかはわからないが、そういうこともあったかもと思わせる。

    勝海舟は歴史のお勉強の中でしか知らなかった人だが、こうして家族の話などを読むと、生きていた人なのだなと思う。

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    2023年10月01日
  • お順 上

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    ネタバレ

    『小吉の女房』は勝海舟の母親が主役でしたが、こちらは妹が主役。
    勝海舟は知っていてもその家族となると全然知らなかった。

    彼女の初恋(フィクション?)が実りそうで、でも叶わず。その後の結婚話(こちらは史実)が、より人間味あふれる展開になりました。

    良くも悪くも江戸の終わりから明治の初めは、人も社会も動乱期なので、自分の信じていたことが実は曖昧な物だったと思い知らされる、そんな日々だったのだろうなと。そんな時代を生きた彼女が、現代にも重なる気がします。

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    2023年10月01日
  • 楠の実が熟すまで

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    禁裏での出費増大疑惑を探索するため、女隠密が下級公家の家に嫁として潜り込むなんて、アニメや映画ドラマの世界の話かと思っていたが、史実としてあったそうだ。
    著者はその史実に基づき、作家の創造力を駆使し、時代ミステリーに仕上げた。
    その探索も、楠の実が熟すまでと期限が設定され、タイムリミットサスペンスともいえるし、公家の家に幽閉されている主の弟とは何者なのかとの謎もある。
    何にも増して、ヒロイン利津が、嫁いだ公家の康昆に次第に心を寄せることになり、隠密仕事との狭間で苦悩する様に恋愛小説の面もあり、見事なエンターテイメントになっている。
    映画化やドラマ化すれば、きっとヒットするのではないか。その場合

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    2023年07月20日