諸田玲子のレビュー一覧
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ミス・マープルのオマージュでもある連作時代ミステリ。高い洞察力を持つおまあは、身近で起こった、あるいは依頼された事件を鮮やかに解き明かしていく。穏やかな隠居生活を送る彼女には、しかし意外な過去があった。
ミス・マープルのオマージュということで、おまあのキャラクターが本当にミス・マープルを彷彿とさせます。そして各話のタイトルにもにやりとさせられます。「銅鏡はくもって」なんて、まんまクリスティのあの作品……もちろんそれ以上のひねりもきちんと加えられていて、原典を知っていても読みごたえは充分です。
おまあを取り巻く他のキャラクターもよいなあ。昔取った杵柄で活躍する「老士組」楽しすぎますって。事件その -
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恥ずかしながら豪は知ってるけれど真麻は初耳でした。戦国武将ものを読んでいるとその家族、特に妻はよく出てくるので特に茶々なんかは個性的でまた秘めた謎が多くあったのでいろいろな書物でも登場していたが、真麻は本書では要であるにもかかわらず縁の下の力持ちな存在でよくぞ主人公として書いてくれたと感謝したい。
武将の活躍の裏には必ずそれを支える裏方がおり、妻の役目は重い。また当時の武将家の女子の扱いが完全にモノ扱いで本書でも少し書かれた秀次の妻なんかは嫁ぐとともに処刑されるとか意味わからないし...
織田信長から豊臣秀吉、そして徳川家康へと時代が変わっている動乱を生きた二人の姫の対照的な生涯物語の描写が見 -
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中川家には家紋があり、一つは抱柏である。もう一つの家紋は中川クルスと呼ばれている。イエズス会の紋章はアルファベットのIHSであり、中川クルスにはこのIHSが巧妙に隠されているのではないかと言われている。九州は島原の乱にもある通り、キリシタンが多く、そのため弾圧の史実も多い。苛烈な取り締まりを行った当主が、なぜイエズス会の紋章を含んだような、怪しい家紋を採用するのか。
久清は時は四代将軍・家綱の世。天下をゆるがした島原の乱の余燼がくすぶり、幕藩体制が盤石ではなかった時代。公儀の執拗な締め付けに苦しむ豊後・岡藩の第三代藩主となった中川久清が、山中で不思議な娘と出逢う。行方をくらませた娘を探し求め -
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豊後国岡藩の第3代藩主中川久清は、日本人離れした容貌と言われている。なぜそういわれるかというと、かなり目鼻立ちがくっきりした肖像画が残されているからだ。キリシタン摘発を目指しての絵踏みを行なった。久住連山の一つ大船山を愛し、「人馬鞍」と呼ばれる鞍を屈強の男性に担がせて何度も登山した。墓所は、自身が愛した大船山中腹1,300メートルを超える台地上に作られ、入山公墓と呼ばれる。岡藩中興の英主・天下の七賢将と称えられ、プライベートも充実していた、幸せな人生を送った大名のように見える。
ところが、諸田氏が描き出した久清は、これらの事実を全て裏返して作られた人物だ。彼の系図が冒頭に紹介されているが -
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「六郷宿は、雪の訪れこそまだないものの、吐く息が白くなるくらいには冷え込んでいたはずだ。」「道端の小暗い木陰には霜が降りていたかもしれない。」という描写が冒頭にあり、「おや」と首を傾げた。この小説はどういう視点で書かれているのだろう。想像や予測、そんな視点は作者自身の視点でしょうか。少なくとも、この2文、語り手は現場にいないのだね、と思いながら読み進めたが、これ以降はすべて、語り手は現場に寄り添っていた。ここだけなのですね。
ストーリーは面白かったのですが、もう一点、読み進めるのに抵抗を感じたのは、途中に出てきた「怒り心頭」という表現。歴史小説・時代小説をその当時の言葉だけで書けなどという、そ