諸田玲子のレビュー一覧
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中川家には家紋があり、一つは抱柏である。もう一つの家紋は中川クルスと呼ばれている。イエズス会の紋章はアルファベットのIHSであり、中川クルスにはこのIHSが巧妙に隠されているのではないかと言われている。九州は島原の乱にもある通り、キリシタンが多く、そのため弾圧の史実も多い。苛烈な取り締まりを行った当主が、なぜイエズス会の紋章を含んだような、怪しい家紋を採用するのか。
久清は時は四代将軍・家綱の世。天下をゆるがした島原の乱の余燼がくすぶり、幕藩体制が盤石ではなかった時代。公儀の執拗な締め付けに苦しむ豊後・岡藩の第三代藩主となった中川久清が、山中で不思議な娘と出逢う。行方をくらませた娘を探し求め -
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豊後国岡藩の第3代藩主中川久清は、日本人離れした容貌と言われている。なぜそういわれるかというと、かなり目鼻立ちがくっきりした肖像画が残されているからだ。キリシタン摘発を目指しての絵踏みを行なった。久住連山の一つ大船山を愛し、「人馬鞍」と呼ばれる鞍を屈強の男性に担がせて何度も登山した。墓所は、自身が愛した大船山中腹1,300メートルを超える台地上に作られ、入山公墓と呼ばれる。岡藩中興の英主・天下の七賢将と称えられ、プライベートも充実していた、幸せな人生を送った大名のように見える。
ところが、諸田氏が描き出した久清は、これらの事実を全て裏返して作られた人物だ。彼の系図が冒頭に紹介されているが -
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「六郷宿は、雪の訪れこそまだないものの、吐く息が白くなるくらいには冷え込んでいたはずだ。」「道端の小暗い木陰には霜が降りていたかもしれない。」という描写が冒頭にあり、「おや」と首を傾げた。この小説はどういう視点で書かれているのだろう。想像や予測、そんな視点は作者自身の視点でしょうか。少なくとも、この2文、語り手は現場にいないのだね、と思いながら読み進めたが、これ以降はすべて、語り手は現場に寄り添っていた。ここだけなのですね。
ストーリーは面白かったのですが、もう一点、読み進めるのに抵抗を感じたのは、途中に出てきた「怒り心頭」という表現。歴史小説・時代小説をその当時の言葉だけで書けなどという、そ -
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惹き込まれるように読んだ。読んでる間、江戸の町が確かにあった。
北斎を題材にした作品の「さらやしき」
笑いと明るい気分が味わえる「梅川忠兵衛」。「しのぶ恋」は心情を鮮やかに描く。
人生のロマンは誰にでもある。日々生きている日常の中に。
自由とは選択の自由だと思う。どんな気持ちを選ぶのか。
その気持の選択に誇りと自信を持てた時に人は自由を手にするのだろう。
辛い気持を振り切った時に嫉妬にあえぐ心をなだめすかすのではなく、その嫉妬には訣別した時に誰が認めなくても自分を認められるのではないだろうか。
「深く忍恋」のおりきは1本、筋が通っているように思う。 -
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お鳥見女房の第2弾。第1弾は作品や登場人物の紹介的な短編集だったが、第2弾からいよいよ主題に入ってきた。前回少しばかり顔を出してきた水野忠邦も存在感を増してきた。(あまり良い印象ではないが…鷹のように例えられている)
鳥見役というのは隠密の任もあるようで、珠代の夫は隠密仕事で1年近く音信不通になっている。そこへ家族やら居候やらが赴任先へ様子を見に行くのだが…
何しろ登場人物が多いが、2作目になるとそろそろ誰が誰だか分かってきた。
話として好きなのは、まあどれも良い話だったが、「緑の白菊」かな。君江(次女)の気持ちが可愛らしく、その成長が楽しい。
また、もう恋する気持ちを失っている私には、珠代が