諸田玲子のレビュー一覧
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将軍家の「お鳥見役」矢島久之助の女房珠世を主人公にした「お鳥見女房」シリーズの2作目。1作目の話を大方忘れてしまっているので、少し多い登場人物の関係が頭に入るのに一寸時間がかかったけれど、あとは問題なし。8章からなる一話完結の「小さな物語」とお役目のため沼津に行ったまま消息を絶った夫久之助を巡る「大きな物語」それに主人公珠世の娘の恋という「中くらいの物語」がバランスよく構成された連作短編集。「小さな物語」たる江戸、お鳥見役組屋敷周辺の物語は「武家」ながらも市井物と呼んでもいいような日常の人情と機微の物語。8章を貫く「大きな物語」は「お鳥見役」に隠されたもう一つのお役目にまつわる話で物語が進むに
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ネタバレ秋田蘭画と佐竹騒動の後始末を巡る歴史ミステリー。
小田野直武と秋田蘭画はなんとなく知っていましたが、本作の三人の主人公たちの画に対する真摯な向き合い方が清々しい。
美術歴史小説としても、お家騒動時代小説としても面白く作れそうな素材を源内の死や直武の死をミステリー仕立てにしているところが面白いです。
ちょうど同じ時代の大河ドラマを見ているのですが、源内、田沼以外で共通登場人物は平沢常富で、尾美さんのイメージで読んでしまいました。
大河ドラマと違ってこの小説の田沼は怖いですが、それ以上にお家大事の主人公たちの前の代の老臣たちはもっと怖いです。
後味の悪いエンディングですが、各話のタイトルとなって