諸田玲子のレビュー一覧
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御鳥見役とは、将軍の鷹狩りの下準備をするお役目。
じつは、幕府の密偵のような仕事も担っていた。
江戸郊外に暮らす矢島家。
お鳥見の妻・珠世は、23をかしらに4人の子持ち。旗本に嫁いだ長女・幸江には5歳の孫までいる。
小柄で丸みのある外見、いかにも優しそうでいて、しっかり者とは、理想の女性?
広くはない家に、居候が転がり込んでくる。
父と一度会っただけの浪人・源太夫が仇に追われ、小さい子供らと共に。子供の人数にさすがの珠世もびっくりだが、飢えた子供を放っては置けない。
窮状を見かねて食べ物を届けてくれる親戚もいるありがたさ。
珠世の次男の久之助は、道場で若い娘・多津に試合を挑まれる。
行く先がないと聞いて家に連れてくるが、何とこれが源太夫を仇と狙っていたのだった。
すぐに果たし合いになりそうな所を珠世が身を挺して留める。案じつつも、そのうちに多津の心が変わるようになろうかと思う。
無邪気に懐く子供らと遊ぶうちに1年もたち、多津の心も揺れ動くのだが。
隠居している父・久右衛門が以前に危険な仕事に関わったことも知っている珠世。
実直な婿の夫・伴之助はそういう仕事はしていなそうだったが、ある日ついに任じられる日が来る。
そして、消息を絶ってしまうのだ。
嫡男の久太郎も見習い役として出仕しているが…
源太夫には士官の話が持ち込まれるが?
平成13年の作品。シリーズ1作目。
作者は1954年静岡生まれ。上智大卒、外資系会社勤務ののち、96年デビュー。著書多数。 -
Posted by ブクログ
将軍家の「お鳥見役」矢島久之助の女房珠世を主人公にした「お鳥見女房」シリーズの2作目。1作目の話を大方忘れてしまっているので、少し多い登場人物の関係が頭に入るのに一寸時間がかかったけれど、あとは問題なし。8章からなる一話完結の「小さな物語」とお役目のため沼津に行ったまま消息を絶った夫久之助を巡る「大きな物語」それに主人公珠世の娘の恋という「中くらいの物語」がバランスよく構成された連作短編集。「小さな物語」たる江戸、お鳥見役組屋敷周辺の物語は「武家」ながらも市井物と呼んでもいいような日常の人情と機微の物語。8章を貫く「大きな物語」は「お鳥見役」に隠されたもう一つのお役目にまつわる話で物語が進むに従って緊迫感が増し、8章は手に汗握ろうかという展開。続刊は5巻まで出ているんだけれど、文庫を待つか、買ってしまうか・・・