諸田玲子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
昨年6月から1年間、毎日新聞夕刊に連載されたものの単行本化。
江戸時代の男社会をひたむくに生き抜く女性を描く作者が忠臣蔵を書くと、なるほどここうなるのか、という作品。
赤穂浅野家に奧女中奉公した美貌の「きよ」と、内匠頭(たくみのかみ)長矩の寵童から近習に取り立てられていた美青年磯貝十郎左衛門は、かつての幼馴染だったことに気づき恋に落ちるが、ごくたまに人目を忍んで会うことしかできない。
そこに起きたのが松の廊下の刃傷事件で、内匠頭は即日切腹、浅野家5万石は取り潰し。
仇討ちを心に秘めて十郎左衛門は酒屋に身をやつし、きよは一緒に住んで束の間の新婚生活を味わうが、十郎左衛門の母に忠義の心を -
Posted by ブクログ
柳沢吉保(保明)の側室・飯塚染子が徳川綱吉の愛妾であったという俗説を元にした小説。
零落した公家の姫で京の文化や教養を愛した染子は、朝廷の権威を取り戻そうとする公家達の意向を受けて江戸に下る。母代わりとも言える常磐井(右衛門佐)の要請で大奥へ上がると、将軍綱吉の寵を受け懐妊。綱吉の母・桂昌院の一派から危害を加えられることを避けるため、大奥を去ることとなる。
綱吉の忠臣・柳沢保明の屋敷へ身を寄せた染子はやがて保明への激しい想いを胸に秘めるが、身体は綱吉に愛され将軍の胤を懐妊し続ける。将軍家との断ち切れない絆に苦しみもがく染子が、恋の焔から自由になるために選んだ道とは。 -
Posted by ブクログ
御鳥見役とは、将軍の鷹狩りの下準備をするお役目。
じつは、幕府の密偵のような仕事も担っていた。
江戸郊外に暮らす矢島家。
お鳥見の妻・珠世は、23をかしらに4人の子持ち。旗本に嫁いだ長女・幸江には5歳の孫までいる。
小柄で丸みのある外見、いかにも優しそうでいて、しっかり者とは、理想の女性?
広くはない家に、居候が転がり込んでくる。
父と一度会っただけの浪人・源太夫が仇に追われ、小さい子供らと共に。子供の人数にさすがの珠世もびっくりだが、飢えた子供を放っては置けない。
窮状を見かねて食べ物を届けてくれる親戚もいるありがたさ。
珠世の次男の久之助は、道場で若い娘・多津に試合を挑まれる。
行く先がな