あらすじ
吉川英治文学新人賞に輝いた傑作短編集。安政7年3月3日、井伊家の密偵・可寿江(かずえ)は水戸浪士の不穏な動きを察知し、主君でかつて恋人でもあった直弼に通報しようとするが。「桜田門外の変」「箕輪心中」などの事件を題材に、江戸市中で懸命に生きる人々の、運命を変えた1日を描いた時代小説短編集。全4編を収録。<第24回吉川英治文学新人賞受賞作>
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題名の通りただ一日の出来事
題名の通りただ一日の出来事を連作短編集の形で描き切っている。非常に巧みで劇的なストーリー構成。
第一話 経済史の観点から見ると荻原重秀のやった経済改革通貨改革は、現在は当たり前になっている通貨管理制度の嚆矢ともいうべきもの。いざという時の妻の力を再認識。
第二話 第一話以上に話の展開が劇的。まさか という感じ。
第三話以降もいくらか謎解き要素を加えながら鮮やかに描き出されてゆく。
最終話だけが力は入っているが一日の出来事にしなかったためかやや冗長に思える。
Posted by ブクログ
昨年の大河ドラマ「篤姫」を見て
自分の中で幕末ブームが続いていて。
大老「井伊直弼」の愛妾だった女性の話が
読めるというので手にとってみたのが、読むきっかけ。
「桜田門外の変」以外にも
歴史的な1日を様々な角度から
切り取って描かれた短編集。
うまいです。
構成とか視点とか。
時代物がニガテな方にもオススメできます。
江戸時代に想いを馳せました。
Posted by ブクログ
タイトル通り、それぞれの「ある1日」を描いた短編集。
時代小説を読むのは初めてだったのですが、とても読みやすく、知らない人物や事件などを学ぶことができました。
もちろんフィクションも織り交ぜているとは思いますが、今と変わらない部分や異なる部分、繋がる部分などを考えながら読むのは楽しいですね!
Posted by ブクログ
井伊直弼の暗殺を防ぐために奔走する女の、暗殺当日の朝までの一日など、主人公の人生を変える一日を切り取って描いた短編集。
夫と妻、親と子、男と女、すれ違う人々の結末は色々だが、江戸の昔の人々も、現代と同じように生きていたんだと感じさせてくれる。
短編なので、時代小説初心者でもいける作品。女性らしい視点も新鮮です。