中島義道のレビュー一覧

  • ひとを〈嫌う〉ということ

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    ネタバレ

    昔は人を嫌うことも嫌われることもほとんどなかったのに、最近、どうも人を嫌い、人から嫌われることが多くなった。
    人間的に成長しているはずなのに、これはどういうことなのだろうと思っていたところ、この本に出会った。

    以下、勝手な解釈。
    人を嫌うことは、人を好きになるように自然な感情。
    人を嫌うことを避ける気持ちは、自己愛から来る自己防衛。
    もっと素直に人を嫌い、人から嫌われればいいではないか。

    もっと自然にありのままの自分でいようと思える本。

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    2015年01月23日
  • 反〈絆〉論

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    人間を美談という一つの物語に安易に閉じ込めるべきではない。ひとはそうするとき、自らの快さにプライオリティを置くあまり他人の何かを犠牲にしているのだと著者は説く。

    さらにこの無反省な善意の受け手は、弱者としての処世術として偽善を判別する嗅覚を身に着けているのだから、なおのこと問題になる。

    この伝でいくと、最近よく聞かれる「どうせ同じ偽善ならやらないよりやった方が人の為だ」という一見真っ当で格好の良い言い様も、独り善がりの欺瞞でしかないということになる。偽善であり誠実さを欠く以上、やはりそれはすべきではない。むしろ無自覚な「絶対的美/善」の押し付けが、共同体に思考停止をもたらすことの害悪を認識

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    2015年02月10日
  • 悪について

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    タイトルの「悪について」の悪は悪一般についてを語ったものではない。カントの言説を通して中島先生の考える根源悪について語ったものである。こういう原罪に近いような悪って、きっと現代倫理学で扱うような対象ではないんだろうなと思った。
    道徳的な生き方とは何かと考えるとき、それは行為そのものではないことに気付く。では行為を漂白したときに何が残るかといえば行為と関係した意志である。たぶん今時の倫理学ではその意思が自己愛と深い絆で結ばれていることを前提として様々話が組み立てられていくのだろうけど、カントや中島先生はそれを許さない。厳格主義というだけのことはある。カントは適法的行為とは何かを主題に挙げなかった

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    2016年07月02日
  • 私の嫌いな10の人びと

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    私は物事の判断をするとき、理論的に考えていると思い込んでいるようで、自分の経験から作られた勝手な常識という、ある種の宗教に囚われて物事についての善悪を決めていたと思う。この本から、自分の持つ常識を疑ってかかることを考えさせられた。

    今、一番ヒトに進めたい本だ。他人から押し付けられたものは、拒否したくなるし、この本について自分のように面白いと感じる人もいれば、時間を返せコノヤロー!と思う人もいるかもしれないので、他人に勧める(押し付ける)ことはやめておこうかな

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    2014年11月25日
  • 非社交的社交性 大人になるということ

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    同じ著者が書いた本の中では、最も明るい展開であった(過去を清算し、割り切った感じがする)。「あとがきに代えて」だけでも読む価値があり、思い当たる人に勧めたくなった。

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    2014年07月16日
  • 哲学の教科書

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    この人の本、もう読まないでおこう、哲学なんかもうやめようと思うのですが、ついつい引き摺り込まれて読んでしまう。
    悟りや救いや信仰を持ち出せば一瞬で済んでしまうところを、したら負け、という緻密な問いかけ。
    早く、哲学書は捨てよう、と言い聞かせるのですが、重力のような麻薬のような。

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    2014年06月05日
  • <対話>のない社会 思いやりと優しさが圧殺するもの

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    地位や年齢や知識を脱ぎ捨て、自分固有の実感に基づいて言葉を発すること。これが就職した会社でいかに排除されているかを、今一度かみ締めた。<対話>から目を背けて人並みの生活を手に入れたとしても、そこで「生きる実感」は薄いという確信がある。自分は「純粋に」どう感じるのかを、生涯大切に自覚し、機会を作って発信していきたい。

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    2013年12月15日
  • ひとを〈嫌う〉ということ

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    自身の体験をまじえながら「ひとを嫌う・ひとに嫌われる」ということを考え抜いた本。文庫本だしそれほど厚みもないのでさらっと読めるかな?と思ったら想像以上に濃い内容に驚いた。

    本書の内容には深入りしない。
    ただ、著者のいうように、「嫌い」に代表されるいわゆる「ネガティブ感情」に対する社会的な抑圧は非常に厳しい。

    明るいこと、ポジティブであること、前向き・積極的であること

    たしかにこれらは社会生活を営む上で好ましい要素である。しかし、これらを奨励しすぎるあまりにその逆であるネガティブなものを社会的に必死で抑圧しようとする。その反動だろうか、本書のようなものが登場する始末。
    しかし一方で、そうし

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    2013年09月16日
  • 私の嫌いな10の人びと

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    中島義道の本で初めて手に取ったのがこちら。
    とにかく目次で爆笑してしまった。

    1.笑顔の絶えない人
    2.常に感謝の気持ちを忘れない人
    3.みんなの喜ぶ顔が見たい人
    4.いつも前向きに生きている人
    5.自分の仕事に「誇り」をもっている人
    6.「けじめ」を大切にする人
    7.喧嘩が起こるとすぐ止めようとする人
    8.物事をはっきり言わない人
    9.「おれ、バカだから」と言う人
    10.「わが人生に悔いはない」と思ってる人

    ここに書かれている10の人は、一般的に「良し」とされてる人だと思います。なのでこの価値観はわりと多くの人に植え付けられている。
    にも関わらず、私はこんな人を嫌いなんて!とは思わずに爆

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    2013年08月27日
  • 「哲学実技」のすすめ そして誰もいなくなった・・・・・・。

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    本には二種類ある。ひとつが、知識となり、教養となり、自分の血肉となるもの。もう一方が、自分の目の前にその知識の前提をひっくり返すような「問い」と突き付けて、自ら考えなくてはならないようなもの。
    本書は後者にあたり、対話編を、読みながら、「ああでもない」「こうでもない」と、本当にしっくりくる「真理」を探究していく「対話編」とも言えよう。

    ただ、なぜ、この人の本は、こう、どこかシニカルで「そういうオチか」っていう自嘲的な面白さがあるのだろう。
    章を追うごとに、初めは、社会や世間の欺瞞を哲学によって暴くことに目を輝かせていた人たちが、どんどん、「幸福を求めない」という「哲学すること」に疲れ、

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    2013年08月05日
  • ひとを愛することができない マイナスのナルシスの告白

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    途中、読みながら森岡正博のことを思い出していて、そしたら解説が森岡正博で凄くビビったし適任だと思った。

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    2013年08月05日
  • ぐれる!

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    「みなさん。もうじき死んでしまうのだし、人生何をしてもおもしろくないんですから、ぐれて生きましょう。徹底的にぐれることこそ、『正しい』生き方なのです。」

    「ぐれ」について、様々な内容でぐれを推奨しております。
    ぐれはなにも若者に限ったことではない。

    ただ、後半になるとぶっとびすぎです。
    老人に対して「なぜ自爆テロに挑まないのか」とか(笑)

    ぐれるにもなかなか難しい技術がいるようですね。

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    2013年07月25日
  • 人生に生きる価値はない

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    鬱病チェックにかならず入っている項目が、「人生に生きる価値はないと思える」であり、それにマルをつけると、すぐに「精神科受診」となるのですが、私としては「そう考えるのは異常なことなのだろうか?」と。
    中島義道氏は、自分という存在(錯覚)も含めて、世界のすべてがいずれ確実に消滅してしまう中で、世の中の「意味はある」というゲームに没頭して、「意味はあるかもしれない」と自己欺瞞を続ける人々に対して真っ向から批判を突き付ける。
    とにかく、中島氏の文章はニヒリズムのようでありながら、病気のように見えながら、その「諦念」とも言えるべきものは、むしろどこか極めて健康的で、人生にとって潔い態度でもあり、スッキリ

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    2013年06月12日
  • カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ―

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    親や世間の常識に従って「いい子」として生きることしかできなかったK君に著者が
    「親を棄てろ、精神的に殺せ」と力強く言う。
    「常識などマジョリティのエゴにしかすぎない」と。

    僕は、「そうだそうだ」と頷き、「あぁ、なんて力強く言いたいことを堂々と語っている本なのだろうか」と感動さえ覚えた。


    そこまではよかったのだが、
    後半はひたすらマジョリティに対する皮肉と戦いに終わり、僕の方向と決別した。
    僕は新しい何かを作りだそうとした。つまり「哲学のようで哲学でない何か」なんだろう。
    そしてそれでいい。何が悪い。

    中島義道氏の本のおすすめの読み方は彼の文章と「戦う」ことだろう。それもただ一人で。単な

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    2013年04月28日
  • <対話>のない社会 思いやりと優しさが圧殺するもの

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    「空気」に従わないこと、自己主張をするということの大切さです。

    私語が続くと、教室を出ていく中島先生。
    しゃべらない学生に対して「いいかげん黙るのはやめなさい!」という中島先生。
    カンニングをした学生と徹底的に対話をした話にはうるりときた。
    意味のないきれい事の標語に対して怒りを覚え、
    放置自転車に神経質なまでにキレて警官とまでやりあう中島先生
    という、前半の話は笑いが止まらなかったが、
    「思いやりの暴力」や「空気」に逆らうこと、そして対話とはどういうことかを叩きつけられたような気分である。
    ディスカッションや討論とは違い、自分を背負って真理に開かれることが「対話」とも言える。そして、空気を

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    2013年03月07日
  • 私の嫌いな10の言葉

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    当たり前に言われている言葉を痛烈に批判する。天邪鬼と思ってしまう部分にもなるほどと思い、とても面白かった。自分の常識のおしつけが、嫌いな言葉につながってるんだと思った。
    バッサリ多数派をきっているのが爽快だ。
    かなりのクレーマーであるだろう

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    2012年09月30日
  • どうせ死んでしまうのに、なぜいま死んではいけないのか?

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    死を深く考えることが、今を生きるにつながると思います。こういう本を手にし、死について自問し、そして他の誰かと意見を交わすことが大事だと思う。ついつい、タイトルに惹かれて手にしてしまいました。

    現時点での僕の死への解
    「いつ生まれてくるかを、自分で選択できないように
    いつ死ぬかも、自分では選択できないもの。」

    延命治療はどうなのか?という議論に発展しそうなのですが、
    なかなか言葉化すると誤解を招きかねないので、
    こういう話は、冒頭でも述べたように
    直接会って意見を酌み交わすことが大事だと思います。

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    2012年08月26日
  • 女の好きな10の言葉

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    「私に何でも言って」「私に心配かけないで」この相矛盾する言葉は男が女を純粋真摯に愛することよって止揚する。ゆえにそれはいつまでも矛盾である。だがこの矛盾を受容できる体質を持つことが女性の強みであり、男より長生きできる秘訣なのだと思う。

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    2012年04月29日
  • 哲学の教科書

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    タイトルのまんま、『哲学』とは?と云う問いから、あらゆる『哲学的』な事柄が書かれている作品。
    筆者の中島義道氏は、かなり虚無的なタイプの人間だと随所に感じられる。
    個人的に、大好きな作品。
    哲学が哲学たらしめるひとつのコタエを示してると思います。

    また、読み返す時が来そう。

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    2012年03月21日
  • 人生に生きる価値はない

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    とある本のコラムを読み、著者に惹かれ本書を購入したのだがますます彼の魅力にハマった。彼の「自分勝手」な生き方は本当にカッコいいと思う。

    本書は「五目ご飯」のような様々なテーマを混ぜ合わせた日記のまとめみたいなものだが、その中でも哲学の専門的な話も日常のいらっとした話も含め中島節が見えてきて面白い。

    確かに人生には生きる価値も意味も目的も無いと思うし、みんな薄々気づいているが深く考えていないように思う。それか無理矢理意味を見いだしているように思える。

    だが、巻末の野矢さんの解説も非常に的確なツッコミをしており、このツッコミに対する回答はまだ私の中ではまとまっていない。

    私も著者のような魅

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    2012年02月13日