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あなたに嫌いな人がいて、またあなたを嫌っている人がいることは自然なこと。こういう夥しい「嫌い」を受け止めさらに味付けとして、豊かな人生を送るための処方を明らかにした画期的な一冊。
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Posted by ブクログ
若い時は相手の嫌なところも「嫌い」と言い合いながらも一緒にいることができた気がする。そして、振り返ってみれば、そういう人とは長い付き合いになっているのも事実。 大人になってからの関係はなかなかそうはいかない。 上手に嫌い合いながら、嫌いと言うこと(特に言われること)に過敏になりすぎずに生きましょう、...続きを読むと言うようなことが書かれている。 確かに今の時代、ちょっとしたことですぐに傷つく人が増え、「被害者のふりをした加害者」が大手を振るって跋扈する世の中になっている感も否めない。それはまるで「私にあなたを嫌いにならせないでくれ!」と叫んでいるかのようにも見える。 著者はそちら側の、むしろ「自らに嫌いを禁じている人間」にこそ読んでほしいと言っていたが、相手の気に触ることは何も言わないように、気を遣って生きることが疲れた人にもおすすめできるのではないかと思う。 嫌いなら離れる、別れる、関わらない、のではなく、「そういうところ嫌だわ」と言い合いながらやっていくことが理想的なのだろう。 嫌う(というよりムカつく)ことも人生における刺激であり、若さを保つ秘訣にもなっているのだと著者は言う。 傷つけることを恐れず、言いたいことはちゃんと伝えて、嫌われたらそれでいい。「あら、それくらいのことで。小さい人ね。」でよいのかもしれない。 今や親が子どもに嫌われないように気を使うというよく分からない時代。嫌なことを言われ慣れていない子どもが大人になっていくのだから、世の中はさらに息苦しくなることも危惧される。 過剰な気遣いを要求され、当たり前だったことができなくなっている世の中になっていることに気付かされた時、「お互い様」の精神でもっと肩の力を抜いて生きていける世の中にしていくことの方が大切なのではないかと思った。
今の私にぴったりな本だったので、著者の言う「1割」の人間だったということなのでしょう。 まず全く説教臭くないところが良い。こうした方がいいああした方がいいというようなことは全く言わない。似たようなことを言っている本は他にもあるような気がしますが、この語り口であるから入ってくる、という感じがしました。...続きを読む 人を嫌うということについてじっくり考えさせられる本。そして嫌うことや嫌われることに対する無意識の忌避感を疑わせてくれる良本。 感じたくないだけで、既にそこにある嫌悪感をどう捉えるか。 次の日からの世界を少し味わい深くさせてくれる1冊だと感じました。
この書物を読んで。 脳内揺さぶられましたが、究極のエゴイストには、私はなれないかな。 ただ、興味深すぎる内容
ちょっとした嫌いの理由が言語化できていると思う。具体的だけど、読んで嫌になることもなく、アンガーマネジメントに役立つと思われる。
今年のベスト。 薄い文庫本にもかかわらず、「嫌われれる勇気」よりこちらの方が確信に迫っていて、良い。 筆者はかなり極端な意見を持っているので、全て同意できるわけではないが、これを読んで救われた気持ちになった。 自分の負の部分と向き合う勇気、そしてそれは負ではないということ。それも含めて愛すべき自分...続きを読むなのだということ。
「誰からも好かれる人だ」、と皆に言われる一方で、自分から好きだと思える人はかなり少ない。こんな非対称な好意が成り立つはずがなく、何処かで「本当は嫌われてるんじゃないか?」と思っていたりもする。それで良い。その気持ちを受け入れて生きれば良い。なるほど、そうやってさらっと、人を嫌う気持ちに蓋をせずに生き...続きを読むた方が良いのかもしれないな。
理不尽な理由で他人を嫌う、あるいは他人から理不尽な理由で嫌われるということそのものを、自分自身の在り方の現れとして肯定している。
自身の体験をまじえながら「ひとを嫌う・ひとに嫌われる」ということを考え抜いた本。文庫本だしそれほど厚みもないのでさらっと読めるかな?と思ったら想像以上に濃い内容に驚いた。 本書の内容には深入りしない。 ただ、著者のいうように、「嫌い」に代表されるいわゆる「ネガティブ感情」に対する社会的な抑圧は非常...続きを読むに厳しい。 明るいこと、ポジティブであること、前向き・積極的であること たしかにこれらは社会生活を営む上で好ましい要素である。しかし、これらを奨励しすぎるあまりにその逆であるネガティブなものを社会的に必死で抑圧しようとする。その反動だろうか、本書のようなものが登場する始末。 しかし一方で、そうした好ましい要素をもつ人の方が、社会的には有利に過ごせる、という事実がある。だからこそ、好ましい要素が奨励され、本来は自然であるはずのネガティブな感情から目を背けてしまう。 著者が語るように、そうしたネガティブな感情とうまくつきあう術をすでにもっている人には価値のない本だろう。一方、そうした感情とうまく折り合いの付けてこられなかった人には、一読をおすすめする。
妻子にひどく嫌われてしまった経験があり、その状況がずっと続いている哲学者の著者。生い立ちもかなり大変だったよう。そういった経験をした著者だからこそ書けたのだろうと納得の一冊だった。どこかで聞いたことのある話、ではなく、著者の考えた完全オリジナルの話、と感じた。〔人を好きになる事と同様、人を嫌いにな...続きを読むることの自然性にしっかり目を向けよう〕と呼びかけ、〈嫌い〉の段階や原因を考察している。 部分的に抜き出すと、とても誤解を受けやすい内容だと思うので、安易に紹介するのは怖い一冊だ。なので、気になったり引っかかったりした方は是非通読してみて欲しい。私も途中まで、人を嫌うことをこんなに肯定してどうするんだ?嫌いにまみれたら辛いではないか、と居心地が悪くなり、自分の中にある〈嫌い〉の感情を余計に情けなく思ったりしたが、終盤になると靄が晴れた。 〈嫌い〉の原因について八つ書かれている中で、(一)相手が自分の期待に応えてくれないこと(四)相手に対する軽蔑 が特に興味深かった。 (一)のカテゴリーより ○善人とは(他人と感情を共有したい人)のことです。(略)しかし、ここにとどまりません。彼ら(近い他人)も同じように自分を気にかけてもらいたい。期待してもらいたい。(略)ですから善人とは嫌いに向き合わない人といえます。 この人種には大きく二通りある。一つは自分はいつも善意の被害者であり、相手がいつも加害者であるという人。自分の加害性に全く盲目なのです。こういう善人は常に愚痴ばっかり言っている。(略) もう一つのタイプは、全て他人は善人だとみなす人。すべての人を好きになるべきだと考えている人。(略) 両者とも、自分と相手との対立を正確に測定しない。 こうした善人たちは、この国では猛威を振っていて、それに抵抗する事はまずできない。(略) 私があえて本書で試みているのは、こうした日本人の体内に染み込んだ幻想をわずかでも打ち砕こうというささやかな抵抗です。79 そして、終わりに近づくと、著者が、自分が経験したように〈嫌い〉にがんじがらめになっている人を心から助けたい、自分が楽になった方法を教えてあげたいと思っていることが伝わってきます。ここがとても私にとって助けになりました。 ○自分を含めて人間一般が嫌いというタイプが、難攻不落の城のように堅固な構造している。ここで嫌いの発展段階は行き止まりであって、死ぬまでこの城の中で暮らすほかはない。「それでいい」と言う人に何も言う事はありませんが、老婆心ながら付言しますと、こうした城の中に住んでおりますと、本人でも気づかないうちに、肉体的にも精神的にもやせ細ってきて、抵抗力がなくなり、干からびてくる。そのまま仙人のように死ねば良いのですが、どうも凡人にとっては少し無理があり、あまりお勧めできません。私は、こうした城を築いた人に、あえてもう一度娑婆に、、ただし「半分だけ」引き戻してはどうかと提案したい。こうした城を改築して、適当に敵がなだれ込み、戦闘状態を繰り返すような安手の城に生きる方が、凡人にとってはハリのある豊かな人生だと思うのです。177 ○リルケは人生を(重く取る)ことを提唱しています。重く取るというのは、真の重さに従って受け取ること以外に他意はありません。物事を疑いや運や、偶然で測るのではなく、心の重量で測ろうとする試みです。この世に存在することに対するどんなに無限の同意であり、賛同であることでしょう。 196 この方の考え方、よくよく読むと結構好きでした。「嘘がない」ということが、私のような人間嫌いな人が、人に対しても自分に対しても欲している特に重要なことで、著者の言い分も、勧めていることも、嘘がないからだと思う。
ひとを嫌う理由は 嫉妬、軽蔑、期待したことに応えてもらえなかったときなど ひとを好きになるのと同様に ひとを嫌うことも自然なことなのだから それを受け入れる方が、 嫌いを排除しようとする人生より豊かになるということ。
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ひとを〈嫌う〉ということ
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中島義道
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