中島義道のレビュー一覧

  • うるさい日本の私
    著者の中島義道はドイツ哲学を専門とする哲学者で、本書にも出てくる通り、「戦う哲学者」との異名を持つ。
    本書は、「音漬け社会・日本(=うるさい日本)」に対して、著者が様々なところに寄せた告発文を素材にまとめたもので、1996年に発刊され、その後いくつかの出版社で文庫化されている。単行本出版時の反響は大...続きを読む
  • 不幸論(PHP文庫)
    読んでいるうちに、気持ちが楽になった気がした。
    共感する部分も多く、確かにそうだと気づかされることもあった。

    『死を忘れるな』私の好きな言葉です。
  • 哲学塾の風景 哲学書を読み解く
    理工系にとっては、こういうふうに相手の知性にヤスリを掛けて鍛えるようなゼミのやり方は違和感がある。ロジックがおかしいとかデータが不備だとかいう指導はあっても、物の考え方について「それは違う」とか「何言ってるんだ」というニュアンスのソクラテス・メソッドは使わない。
    人文系の学者は、「お前の理解のやり方...続きを読む
  • 〈ふつう〉から遠くはなれて ――「生きにくさ」に悩むすべての人へ 中島義道語録
    語録と知らずに購入。
    カインという本を読もうかしらと思った。

    この人の本は人間をこじれさせる可能性が多分にあるので距離を置いて読むのが良い。
  • 「人間嫌い」のルール
    途中にやたら知識をひけらかす感じの酒場で管巻いてるオッサン臭がするが、全体的に同類として強く共感した。
    共感ゲームの中で生き抜くには、それなりのノウハウが必要という話。
    「組織の中で人間嫌いが(比較的)許されるのは、次の場合である。(1)仕事ができること。(2)勤勉であること。(3)誠実であること。...続きを読む
  • <対話>のない社会 思いやりと優しさが圧殺するもの
    賛否分かれるかもしれませんね。
    うちは賛成です。
    悪いことを悪いといけないのは
    おかしいことだと思うんですよね。

    他人をしかられることを嫌と思っているのは
    はっきりいって自己保身なんですよね。
    しかられなければ何がいけないことも
    わからない。

    だから本当にしかってくれる人
    目を向ける「おせっかい...続きを読む
  • 差別感情の哲学
    誠実でありながら、他人が幸福であるように行動するという主張で締められる。要は、差別に関しては怠惰に考えることをやめてはダメで、差別に敏感であり続ける必要がある。
  • 「時間」を哲学する 過去はどこへ行ったのか
    過去というものは、あっという間に過ぎ去ってしまう。客観的時間と実感には大きな隔たりがあり、その点を理解することが時間に対する了解の第一歩ともいえる。
    過去における実感を未来に投影した場合、人生とははかないものであるという悲観的な、人生の短さに対する嘆きが生まれてくる。
    客観的時間とは、認識によって生...続きを読む
  • ひとを〈嫌う〉ということ
    日常的にふりかかる『嫌い』もしくは『嫌う』に罪悪感を感じたり、存在価値がないように感じたりせずに、ただ自分の感情を受け止めるだけでいい。むしろ『嫌』は人生を豊かに味わい深いものにしてくれる、という新しい発見があった本。もう一度読み直したい。
  • 非社交的社交性 大人になるということ
    P80 自由意志
    「現実には、ただそのつどさまざまな行為Hが生じているだけである。だた、Hが災いだとみなされる瞬間、ここに報復の図式が被せられ、Hを引き起こした者はHを思い留まることもできたはずだという図式が描かれる。自由意志とは、人間の強迫観念から生まれた壮大なフィクションなのである。
  • 人生に生きる価値はない
    びっくりするタイトルだが、読んだら生きる希望がなくなるというわけではない。
    むしろ生きる意味がないからこそ、小さなことにクヨクヨせず楽しんで生きようと言っているように思えた。
  • カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ―
    初中島作品。
    簡単に人物を批評すれば、この上ない比類ない皮肉屋であり、環境がそうさせた典型例だとも感じた。
    心理学的用語でいえば、離人症、ACである。


    苦しみ続けることによって変化する。自殺してしまったらその苦しみさえ無に帰してしまう。

    106⇒人類には粗野な人種と繊細な人種がいる。全く別に人...続きを読む
  • ひとを〈嫌う〉ということ
    「嫌い」と言う感情には罪悪感が付き物。だから誰かを嫌いになった時、それを自分に誤魔化そうとして、そんなこと無い事の証明を一生懸命しようとして、無理して誰かと付き合おうとしたり、行きたくもない飲み会やら食事会に行ったりして、時間をすり減らし、自分の時間さえもすり減らし、そのことにより自分がストレスでい...続きを読む
  • カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ―
    読後感はあまり良くない。考えさせられる一作。現代社会で暴力的なまでに拡大し、自らの力を及ぼし続けるマジョリティである善良な市民。彼らに対抗するカインと呼ばれるマイノリティー。ニヒリズムの観点から明確な理論で善良な市民を批判しており、現代社会で無条件に善行を崇拝し、他者に強要する善良な市民に読む価値が...続きを読む
  • 怒る技術
    怒りは自然な感情である。怒れない人は気付かないうちに他人を怒らせているかもしれない。そんな怒れない人のために。
  • 不幸論
    幸福アピールする人や幸福ばっかり考える人は、実は幸福の中にいるのではなく、不幸や不安から逃げ出そうとしているだけ。かといって、不幸と向き合ってしまって解決策があるか、逃れられるかといえば、そうでもない。
    やはり幸福というのは求めるものでもない。
    本当は、幸福も不幸も相対的な感覚で実体はないのかも。
    ...続きを読む
  • 不幸論(PHP文庫)
    脅しや絶望じゃなく、幸福なんてどこにも無いよという本。だって地球上の全存在が幸福じゃない限り、個人の感じる幸福はただのまやかしだから。何かを必死に見ないふりしてないと守れない砂上の楼閣、それが幸福。幸福なんてどこにも無いから、必然的にあなたも私も全員不幸。と、いうことをぐちぐち言っている面白い本です...続きを読む
  • 不幸論
    相変わらずひとつのテーゼに持論、偏見、数々の(かなりこじつけや雑な扱いもあるのだが)引用をくっつけて、こねて、ちぎって見せるけど、最初の一ページ、いや目次に記してあるたった一行からいささかも変化はない。今回は「どうしたって不幸なんだからわかって生きてそして(以降は通底しているな)やっぱり人は必ず死ぬ...続きを読む
  • 私の嫌いな10の言葉
    中島は「笑い」(P110-115)と「無礼講タイプの会話空間」(P215-217)について、個人の発する言葉をなぎ倒すものだと指摘しているがこれに強く共感した。
    言葉による訴えに取り合わず、笑って取り繕う。過ぎ去るのを待つべき嵐としてしかそこにある言葉を扱わない。笑みで躱す。たしかに、笑みは意思伝達...続きを読む
  • 非社交的社交性 大人になるということ
    「確かに人を傷つけることは悪である。だがわれわれは、残念なことに、いかなる場合も誰一人として傷つけずに生きることはできないのだ。とすれば、「心の弱い人」はいかに人から傷つけられても、それを跳ね返して生けていけるだけの「強さ」を身につけるように自己鍛練すべきであろう。」

    「「善意だらけ」の状態を演技...続きを読む