小路幸也のレビュー一覧
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本作は「夏」に始まり「春」までの4編となっている。
中で「冬 線が一本あったとさ」では愛する祖母のために亡き祖父が死の直前に東京バンドワゴンに売った本を買い戻して祖母を力付けたいと思う女子中学生のお話しなのだが、涙が出てきた。
自分が年老いてきたから涙もろくなってきたのは間違いないのだが、私も孫を愛する気持ちがいつも頭に一杯な反面、当の孫は果たして私の事をどう思っているのだろうと考えてしまうのは俗人だから仕方がないと思う。
そんな時にこの中学生の祖母に対する優しい気遣いは羨ましくもあり、この少女が自分の孫のように愛おしい。
補)年老いて「老後」が見えてきてはいるけれどまだ切羽詰まらない今 -
Posted by ブクログ
真っ白いアーチの入口、中庭があるフランス風の素敵な「マンションフォンティーヌ」。ここのオーナー、管理人、住人たちが織り成す物語。
読み始めた時は、集合住宅が舞台ってわりとありがちな設定かな?と思っていたのですが、これが期待以上に良くて…!
マンションフォンティーヌが本当に素敵な場所です。それぞれの事情がある人々が緩やかにつながって、とても温かい。ひとりひとりの短編と思いきや、物語が動いて、みんなで力を合わせて問題が解決したり、意外なつながりがわかりその奇跡に胸が熱くなったり。
登場人物たちが素敵です。すべてを温かく包み込んでくれるオーナーのリアーヌさん、ちょっと強面だけど誠実な管理人の嶌谷さん -
Posted by ブクログ
ネタバレやっぱり思う、偉大なるマンネリ文学!堀田勘一を中心に東京下町を舞台にしたハートフルな物語。次から次へと問題が起き、勘一の喜怒哀楽と共に家族一同ですべて受容する。その訳は過去の堀田家の苦難や人間関係のゴタゴタがあったがために、その反省やコーピングを家族のモットーとしてきた伝統なのだろう。登場人物もすべてがピースとして重要で、誰1人として欠けてならない。何故なら、全員が全員と絡み、その関係性が物語として築き上げられているからだ。そんな中の勘一の唯一の妹の淑子の死はあったが、堀田家の大団円がそれを受容した。⑤
「朝起きて、ご飯を食べて、ちゃんと働いて、ゆっくり休む。」ただそれだけの一家の物語のはず