山本文緒のレビュー一覧

  • プラナリア

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    主人公自身または家族や恋人が無職である短編集。
    あんなに引き込まれたのに、読んだ後内容を覚えてないのがすごく不思議…
    多分、心理とか情景が身近、というか日常的で自然すぎて
    自分の中に溶けてしまったからだと思う。

    気軽におやつとか、軽食とかスナックを
    何かしながら食べているような
    そんな感覚の本。

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    2024年10月19日
  • シュガーレス・ラヴ

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    山本文緒さんのご命日なので、もう一冊
    1997年の作品

    現代社会の中で 働く女性達は
    かなりのストレスを抱えて生きている
    そして乱れた生活習慣と相まって
    彼女達は様々な病気を抱えている
    10人10種の病気を抱えた10編の短編集

    骨粗鬆症にアトピー性皮膚炎等々
    とても身近な症状から
    それぞれ回復するきっかけが面白く
    ぎゅっと上手くまとまっている

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    2024年10月13日
  • ばにらさま

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    そうくるか!ってなる結末が多い短編集。
    他人が本当に思っていることなんてわからないから考えても仕方ないね。

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    2024年10月07日
  • ブラック・ティー

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    日常の中の ふとその気になってやってしまった
    ちょっとした罪の短編集

    第一話 ブラックティーから
    第十話 水商売 全10話
    少し重い罪から 無自覚な罪まで 様々な思い

    「ブラックティー」は 薔薇の名前
    山手線で置き引きで生計を立てる女性が
    手をつけた大きな薔薇の花束
    その花束の送り主との遭遇
    彼女の罪の意識が張り裂ける

    好きな作品は、第8話「ニワトリ」
    横を向くだけでいろいろ忘れてしまうニワトリの
    脳ぐらいの女性
    過去の様々な事を忘れて周囲に迷惑をかけてきた
    それを自分で確認して後悔する
    だけど それを気づかせた妹も振った彼氏も
    彼女のそんなゆるさが好きだったのだ

    あとがきで 山本さん

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    2024年09月13日
  • 眠れるラプンツェル

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    なかなかな狂った設定(精神的に不健康というか)のお話でわたしには受け入れ難いストーリーでしたが、読みやすい文章でついついページをめくってしまいあっという間に読まされてしまった。山本文緒先生マジック…!!好感を持てる登場人物は少ないけど、どの人もどこか惹かれるところがある。そして、女性の微妙な心情を描くのが本当に上手い!!タイトルもうむむ…と唸りたくなるセンス。

    わたしも働く理由の一つとして、精神衛生を保つためっていうのもある。社会と関わるって面倒だけど、重要。ストレスって嫌だけど、ある程度のストレスはないと生きていけない。人って本当厄介だよね。

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    2024年09月08日
  • ブルーもしくはブルー

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    自分と姿形が同じドッペルゲンガーと出会ったら‥
    から始まる物語。

    自身にベクトルを向けて生きる。
    与えて欲しかったら、先に与えよ。
    がメッセージかな?

    隣の芝は青く見える(ブルー)
    とはこのことか。

    個人的に印象に残っているのは
    蒼子が自身の「殺意」に気づく場面。
    人生の中で初めて誰かを殺したいと感じるまでの数行がリアル。
    ここで理性が勝てなければ人を殺すという行動になるんだと感じた。

    もう少し年齢を重ねてから読むとまた印象は変わりそう。

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    2024年09月03日
  • 結婚願望

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    ネタバレ

    ハードカバーの第1版は2003年だけあり、2024年の現在は、当時よりもおひとり様が増え、都会は女性ひとりでももう少し生きやすくなったと思います。 
    とはいえ、地方在住の女性へのプレッシャーは重く、また女性はまだまだ非正規雇用も多く、けっしてのほほんとおひとり様ライフを満喫している方々ばかりではない。
    今の私自身は既婚者子持ちのいわゆるオバサンになりましたが、ものすごく結婚願望に囚われました。
    いまなお囚われてもいるので、子どもに結婚を押し付けて、プレッシャーにならないようにしたいです。

    何人かお付き合いしたうちの一人とゴールイン!と10代に思い描く理想とは程遠い。
    20代後半から30代前半

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    2024年09月02日
  • あなたには帰る家がある

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    帰る家が帰りたい家とは限らない
    帰りたい家としていくのが家族

    商社OLだった真弓
    妊娠、結婚、退職と希望した専業主婦の道
    子育てと苦手な家事に鬱屈としはじめパート勤め
    年下の夫は、家事を押し付け合う生活に辟易し始める

    他の男の子を妊娠している事を知っても子供ごと引き受けて結婚した男、茄子田 中学教師
    横柄なこの男の妻は清楚で家庭的

    この二組の夫婦が、仕事を通じて近づいていく
    日常に近い設定の中でぎりぎりの異質さが
    上手いなあと思う

    二組の全く交差しそうもない関係が、あれあれという感じで絡まっていく

    大人の社会的関係性の描写に絡めて
    那須田家の子供が 傲慢でありながら善良な事業家の息子

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    2024年08月25日
  • ファースト・プライオリティー

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    自分の「ファースト、フリオリティ」って何だろうか?読み終えると、ふと考えてしまう。
    31歳の女性の31通りのファースト、プリオリティを題材にした掌編小説。
    とっても短い作品が31あるので、隙間時間にちょっと読めて、おもしろい。
    とっても短い作品だけれども、読み始めると、1つ1つの世界に引きづり込まれて、読み終える頃にはその先が知りたくなる。でも、また次の作品へ…
    よくできてる。

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    2024年08月19日
  • 群青の夜の羽毛布

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    何だか優しい気持ちになる。思春期の青さと新鮮さ、傷つきやすさや脆さと隠している部分。
    その頃に包んでくれる存在は、文字通り羽毛布団の様だ。それを表現しているからこそ、こんなに優しさが残るんだろう。

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    2024年08月14日
  • 落花流水

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     山本文緒作品なので一筋縄ではいかないだろうなと思いながら読み進めると案の定。幸せな家庭を手に入れたはずの手毬は、嫌悪する母親と同じ運命を辿ってしまっている自分をどう感じていたのだろうか。幼少期のマーティルはヒーローのようでとてもカッコ良かったのに、大人になった彼とのギャップが妙にリアル過ぎてそら恐ろしかった。平凡だが安定した生活に満足できず自ら投げ出してしまうという呪われた血筋。晴れやかで清々しく終わらない所が正に山本文緒ワールドな作品だった。

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    2024年08月13日
  • ココナッツ

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    ネタバレ

    可愛い話だった。中学生なのにお坊さんに恋するとはなかなか目が高いなと思った。
    そこまでシリアスでもなく、ミステリーでもない日常要素が強かったからスラスラ読めた!最後の方は実乃と永春に焦点を当てて書かれていたがハズムが不憫だなと感じた。実乃はハズムとの方がお似合いな気がする。

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    2024年08月11日
  • きっと君は泣く

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    1993年の作品

    自分の美貌だけが強みの女子、23歳、名前は椿
    自分によく似た祖母が名付けてくれた
    美しい方が強い
    単純明快な椿は、その生き方を貫いていた
    彼女の憧れは祖母だ
    その美貌で愛人として生き抜いてきた、と椿は信じていた
    父親は経営者でお小遣いにも困らない
    このまま、順風な人生を満喫するはずが
    祖母の骨折からの認知症
    父親の倒産からの寝たきり介助
    大好きな祖母の家と自宅の売却
    これまで女友達さえ作らず傲慢な生活をしてきた椿は、一挙に生活全てに困窮する
    加えて祖母と父親の人生の真実
    肉体関係のある男友達の病気
    それまでの罪と罰が押し寄せる
    でもね、椿は自分で立ち上がるんだろうねえ
    呆れ

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    2024年07月15日
  • 結婚願望

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    あっという間に読めた。共感できるけど、やっぱりさすが人生経験を積んだ人の貫禄も感じる。思い切りがいい。

    “仕方ないと、私も苦く笑うことにする。”
    短い文章に力があって、心にすとんと落ちる。

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    2024年06月27日
  • ブルーもしくはブルー

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    「君の顔では泣けない」
    の瀧井朝世さんの解説に
    君嶋さんが小説を書き始めるきっかけの本と紹介されていた
    先日、ひまわり師匠が読書していると時折思ってみない繋がりがあるとかなんとかそんな事を書いていたと思うけど
    ほんとそういう偶然だか必然って時々ありますよね
    私もつい最近「ブルーもしくはブルー」を読んでいたんです♪解説読んでて ほおってなりました

    1992年出版で30年前の作品
    読み始めて山本文緒さんとしては思い切った設定に驚き
    タイムトラベルでなく 並行世界でもなく 自分が決めた結婚相手が違った場合の ドッペルゲンガー的if
    自分の今に満足するかは、自分次第ということか
    相手の男性達に当然否

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    2024年06月17日
  • きっと君は泣く

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    美しい祖母と、それほどでもない母のもと、美しく生まれた椿は、幼少の頃からその美貌を武器に生きてきた。イベントなどのコンパニオンを行いながら、美しさを武器に男に貢がせて、悪くない生活を送っていたが、ある日、一番の理解者であった祖母が怪我で入院し、それをきっかけにすべてが崩壊を始める。

    気性の激しい、友人の少ない主人公が美しさを武器にバッサバッサと周りを切っていく冒頭部分に、作者の視点はそのへんに置かれているのかという、よくある価値観の基準に迷うタイプの小説である。

    展開を書くとネタバレとされると、何を描いてもネタバレになるわけだが、祖母が怪我をきっかけに認知症になり、父が破産、仕事を失い…と

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    2024年06月05日
  • パイナップルの彼方

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    すごく悪い人じゃないけど、なんというか、ちょっとイライラっとする人が複数出てくる笑
    地味にリアルな感じが山本文緒さんらしい。

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    2024年05月27日
  • シュガーレス・ラヴ

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    別の小説の巻末の広告欄から探して手に取った。

    病気に悩む女性をテーマにした短編集。各話の最後は、少し向きが変わりそうなところで終わるのだけれども、自分が交わったことのないタイプの人たちもいて引き込まれながら一気によんだ。

    短編なのもあって、思い悩む場面は短くさくさく軽く読める。

    この手の話、アルコール依存症は苦手。

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    2024年05月23日
  • 紙婚式

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    結婚に関する短編集。家族という枠組みの中で唯一血の繋がらない夫婦だからこその気持ちのすれ違いだったり、不思議な関係性を繊細に描いてて上手いなと思った。ゾワっとするような話もあったが、妻か夫どちらかの目線でしか描かれていないので、違う目線から見ればまた違った解釈が出来そうで面白い。

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    2024年05月21日
  • 日々是作文(ひびこれさくぶん)

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    いろんな媒体に掲載されたエッセイ集なので
    対象媒体によって文体の温度感が違う。

    なのでアップダウンは激しめ。

    人の葛藤を知る由がないので
    赤裸々な本書は興味深い。

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    2024年05月20日