山本文緒のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
日常の中の ふとその気になってやってしまった
ちょっとした罪の短編集
第一話 ブラックティーから
第十話 水商売 全10話
少し重い罪から 無自覚な罪まで 様々な思い
「ブラックティー」は 薔薇の名前
山手線で置き引きで生計を立てる女性が
手をつけた大きな薔薇の花束
その花束の送り主との遭遇
彼女の罪の意識が張り裂ける
好きな作品は、第8話「ニワトリ」
横を向くだけでいろいろ忘れてしまうニワトリの
脳ぐらいの女性
過去の様々な事を忘れて周囲に迷惑をかけてきた
それを自分で確認して後悔する
だけど それを気づかせた妹も振った彼氏も
彼女のそんなゆるさが好きだったのだ
あとがきで 山本さん -
Posted by ブクログ
なかなかな狂った設定(精神的に不健康というか)のお話でわたしには受け入れ難いストーリーでしたが、読みやすい文章でついついページをめくってしまいあっという間に読まされてしまった。山本文緒先生マジック…!!好感を持てる登場人物は少ないけど、どの人もどこか惹かれるところがある。そして、女性の微妙な心情を描くのが本当に上手い!!タイトルもうむむ…と唸りたくなるセンス。
わたしも働く理由の一つとして、精神衛生を保つためっていうのもある。社会と関わるって面倒だけど、重要。ストレスって嫌だけど、ある程度のストレスはないと生きていけない。人って本当厄介だよね。
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレハードカバーの第1版は2003年だけあり、2024年の現在は、当時よりもおひとり様が増え、都会は女性ひとりでももう少し生きやすくなったと思います。
とはいえ、地方在住の女性へのプレッシャーは重く、また女性はまだまだ非正規雇用も多く、けっしてのほほんとおひとり様ライフを満喫している方々ばかりではない。
今の私自身は既婚者子持ちのいわゆるオバサンになりましたが、ものすごく結婚願望に囚われました。
いまなお囚われてもいるので、子どもに結婚を押し付けて、プレッシャーにならないようにしたいです。
何人かお付き合いしたうちの一人とゴールイン!と10代に思い描く理想とは程遠い。
20代後半から30代前半 -
Posted by ブクログ
帰る家が帰りたい家とは限らない
帰りたい家としていくのが家族
商社OLだった真弓
妊娠、結婚、退職と希望した専業主婦の道
子育てと苦手な家事に鬱屈としはじめパート勤め
年下の夫は、家事を押し付け合う生活に辟易し始める
他の男の子を妊娠している事を知っても子供ごと引き受けて結婚した男、茄子田 中学教師
横柄なこの男の妻は清楚で家庭的
この二組の夫婦が、仕事を通じて近づいていく
日常に近い設定の中でぎりぎりの異質さが
上手いなあと思う
二組の全く交差しそうもない関係が、あれあれという感じで絡まっていく
大人の社会的関係性の描写に絡めて
那須田家の子供が 傲慢でありながら善良な事業家の息子 -
Posted by ブクログ
1993年の作品
自分の美貌だけが強みの女子、23歳、名前は椿
自分によく似た祖母が名付けてくれた
美しい方が強い
単純明快な椿は、その生き方を貫いていた
彼女の憧れは祖母だ
その美貌で愛人として生き抜いてきた、と椿は信じていた
父親は経営者でお小遣いにも困らない
このまま、順風な人生を満喫するはずが
祖母の骨折からの認知症
父親の倒産からの寝たきり介助
大好きな祖母の家と自宅の売却
これまで女友達さえ作らず傲慢な生活をしてきた椿は、一挙に生活全てに困窮する
加えて祖母と父親の人生の真実
肉体関係のある男友達の病気
それまでの罪と罰が押し寄せる
でもね、椿は自分で立ち上がるんだろうねえ
呆れ -
Posted by ブクログ
「君の顔では泣けない」
の瀧井朝世さんの解説に
君嶋さんが小説を書き始めるきっかけの本と紹介されていた
先日、ひまわり師匠が読書していると時折思ってみない繋がりがあるとかなんとかそんな事を書いていたと思うけど
ほんとそういう偶然だか必然って時々ありますよね
私もつい最近「ブルーもしくはブルー」を読んでいたんです♪解説読んでて ほおってなりました
1992年出版で30年前の作品
読み始めて山本文緒さんとしては思い切った設定に驚き
タイムトラベルでなく 並行世界でもなく 自分が決めた結婚相手が違った場合の ドッペルゲンガー的if
自分の今に満足するかは、自分次第ということか
相手の男性達に当然否 -
Posted by ブクログ
美しい祖母と、それほどでもない母のもと、美しく生まれた椿は、幼少の頃からその美貌を武器に生きてきた。イベントなどのコンパニオンを行いながら、美しさを武器に男に貢がせて、悪くない生活を送っていたが、ある日、一番の理解者であった祖母が怪我で入院し、それをきっかけにすべてが崩壊を始める。
気性の激しい、友人の少ない主人公が美しさを武器にバッサバッサと周りを切っていく冒頭部分に、作者の視点はそのへんに置かれているのかという、よくある価値観の基準に迷うタイプの小説である。
展開を書くとネタバレとされると、何を描いてもネタバレになるわけだが、祖母が怪我をきっかけに認知症になり、父が破産、仕事を失い…と