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Posted by ブクログ
「みんないってしまう」というタイトルに惹かれて読んだ。好きなアイドルが活動休止した、憧れの先生が退職した、大好きな彼氏に振られた、応援しているバンドのギターが脱退した。みんな、いってしまうのだな、と思う場面が最近多くて、その大きな喪失感とか、悲しさとか、どうしてという疑問で心がいっぱいになりつつも、社会は止まりはしないので、無理矢理に心身を働かせて生きていく毎日を過ごしている。失ったあとには何かが得られる、などもう聞き飽きた私にとって、置いていかれた側の主人公たちは仲間であり、友人であり、恋人だった。今読んで良かった。山本文緒が好きだ。
Posted by ブクログ
山本文緒さんによる、「喪失」をテーマにした短編集。
私はもともと短編集は読むのが苦手な人間で、その作品の雰囲気や前提となる背景、登場人物などが毎回入れ替わるのが苦痛に感じてしまう方なのですが、この作品はするすると世界に入り込めて、切り替わる人物などに不思議とストレスを感じませんでした。
「いってしまう」という標題にあるとおり、登場人物たちは何らかのものを「失う」のですが、それが単に人だけではなくて、財布やプライド、はては人間関係やぎりぎりのところで保っている気持ちだったりして、有形無形さまざまに混ぜこぜなところが面白いです。
一話ごとにメモしたくなるような「はっとさせられる」台詞や独白が登場して、ドキリとさせられます。甲乙つけがたい作品の中から、私が好きだなと思ったのは「ドーナッツ・リング」「まくらともだち」でした。どちらも心情的に重い話なのですが、そのグラデーションが美しくて好きです。
どこかで聞いたような事ですが、人間は沢山のものを次々に抱えて、それを落とさないように生きていくということはできません。だとしたら、失うことは得ることと一体。日常の一部であり、時には感謝することなのかもしれませんね。
Posted by ブクログ
最近、いつか来る別れを考えて夜な夜な涙することが増えてしまった。
両親、夫、友人、推し。
今は進んでいるようで、進むということは終わりに向かっていく。
みんな、いってしまう。
本作のタイトルは、なぜ平仮名の「いってしまう」なのだろうか。解説を読んで、その対象が「人」だけではないと気付かされた。
行く、往く、逝く。
失われた感情や、かつての生活。物語には、物悲しさと懐かしさ、そして孤独が静かに漂っている。
たった1話20ページにも満たない短編集なのに
そこに映し出された心情には、
人が簡単には言語化できない絡まった心情を、一本ずつ解いて丁寧に解いて整理されている。
こんなに丁寧に、人間の心を文字に表す山本文緒先生は、逝ってしまった。
「去ってしまう今」を嘆く私に、この本は優しく、そっと寄り添ってくれた。
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