山本文緒のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「私は何が悪かったんだろう」 「何がいけなかったんだろう」 「どうしたらよかったんだろう」と、ずっと考えてしまう水無月。
この「考えている時間」が本当に苦しいんだよな、、と読みながら私も苦しかったです。 そしてどうしたらいいのかを水無月と一緒に考えていました。
執着や未練ってどうやったら変わっていくんだろう。
簡単に「違うことに打ち込めばいい。仕事でも他の男をつくるとかでも。」って言うことはできるけど、そんなのは本人も分かっているけど、執着や未練に飲み込まれてしまっている時は難しいですね、、
しんどくて何回か手が止まり、ずっと水無月大丈夫かな、、大丈夫じゃないよな、、って考えて、早く読まないと私もしんどい、、と思って最後まで読みました。
32歳で先生と出会って関係が始まり、ラストは40代になっている。 色んなことがあって長い時間が流れて、ラストは先生とたまに会う関係になっていて、激しい執着が完全になくなったように見えるけど、分厚い蓋をされてるように感じました。 この先大丈夫かな?ってちょっと心配だけど、、
完全に気持ちをなくさなくても、その気持ちが自分の人生を全部占領しなくなることができたように感じて良かったです。
「もしも、、」は私も考えてもしょうがないことは分かっているのに考えてしまっているところがすごく共感できました。
10年以上ぶりの再読で、めっちゃすごかった!としか覚えてなかったので初読の感じで読めました。 やっぱり良かったです。
水無月の心の動きや葛藤が苦しいくらい細かく描かれていて、満たされない感じがずーっとあって。 自分に何回も誓いを立ててるのに、分かっているのに、それができなくてまた同じことをしてしまうのが人間臭くてやっぱり好きです。
幸せな時も不安やどこか信用できない感じがあったり、親との距離感や、親友も友達もいなくて、荻原だけが唯一の友達で、荻原がいて良かった。
山本文緒さんの作品はこの本でハマって何冊か昔読んでどれも良かった記憶があるのでまた再読していきたいと思いました。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ貫一がだいすき!!!
プロローグから始まり、ああ貫一とは結ばれないんだ、、、、ああやっぱり別れちゃった、、、じゃあプロローグ通りだとニャン君と結婚するのか?、、、え?ニャン君にもフラれた?!わあ貫一と結ばれてよかったーーー!!あれ、じゃあプロローグの視点は誰、、?となってエピローグでうおおお!そういう?!
と、忙しく一気読み。最後にもう一度プロローグを読んだ。
都のリアルな弱さ、リアルな周囲の環境の変化とそれに伴う心境、
わたし自身も今33歳で、とっても良いタイミングで出会ったとっても良い本だった。
やっぱり貫一がだいすき!!
-
Posted by ブクログ
置かれた場所で咲きなさい…と…、そうね それが 人生を生き抜くためのいちばん手堅い思想だと頭では分かっていても 僕にはどうしても できない。だから この5編の小説に出てくる「置かれた場所で咲くことがどうしてもできない女性たち」に ある種の親近感を抱きながら また一方で 僕自身の 弱さ あるいは僕自身の社会的不適応の様相を 鏡に映して見せられているような 一抹の不快感も感じつつ読み進める。
僕ら (=すなわち 一読者としての僕 および、僕と同じように『置かれた場所で咲けない人たち』)は 単に 甘えている? 甲斐性がない?未熟な人間?
僕にしてみれば 5編のいずれにおいても 誰ひとり 僕を置いてけぼりにして その場で咲いたりせず 最後まで悶々と 咲けないままでいてくれたことに救われた。我ながら 変な感想だなあ。 -
Posted by ブクログ
p199
自分にはこうやって好意を寄せてくれる友人がいて両親も一人娘の自分を可愛がって育ててくれたしやさしい恋人だっている。
決して虐げられていい人間なんかではないと自分に言い聞かせた。深呼吸をしてゆっくりとメッセージを打ち返す。
p256
どちらかというとガサツな印象の人なのに哀愁を帯びた顔が美しかった。風が彼女の髪を揺らし、横顔を半分隠した。青白い頬にちらりと光るものが見えた。
離れているのに色を失った唇が震えているのがわかった。この人は苦しいんだ。この人に感情をぶつけてもダメだ。都はそう思った。
p269
たくさん仕事してやりたい勉強もして旅行したり興味のあることに打ち込んだりそうゆう人生にするってもう腹を決めるしかないです。
p318
何かに拘れば拘るほど人は心が狭くなっていく。幸せに拘れば拘るほど、人は寛容さを失くしていく。
p402
両親は生存戦略を練り直したんだな、長く一緒にいれば行き詰まることもある。でも変化していけばなんとか突破口は見つかるものなのかもしれない。
p477
「ママはパパと結婚して幸せだった?」
私の問いには答えずこんなことを言った。
別にそんなに幸せになろうとしなくていいのよ。幸せにならなきゃって思いつめるとちょっとの不幸が許せなくなる。少しくらい不幸でいい。思い通りにはならないものよ。 -
Posted by ブクログ
まるで自分への戒めのような、踏み絵のような、そんな小説だった。
更年期障害を患った母の看病のため実家に戻ってきた32歳の都。
アウトレットモールのアパレルで契約社員として働きながら
寿司職人の貫一と付き合い始めるが、彼との結婚は見えない。
職場は頼りない店長、上司のセクハラと問題だらけ。
母の具合は一進一退。正社員になるべき?運命の人は他にいる?
ぐるぐると思い悩む都がたどり着いた答えは。
プロローグとエピローグの扱い方が秀逸だった。
途中でその仕掛けには気づいてしまったが、
まさに現実に引き戻す作用たっぷりで、
ラストの余韻に浸っていたところ、頭を殴られた様な感覚に陥った。
でもその内容がまたリアルだなぁとやけに納得してしまう。
都という女性に対して、読んでいてとてもイライラさせられる。
だが、それは己を見ているからだということに気付きゾッとした。
圧倒的な浅はかさと劣等感。それは焦りとなり、自身を傷つける刃となる。
都の思考や言動、抱える苦悩に共感できないのではなく、
共感どころかその通りだと思っていることを認めたくない。
そんな風に感情を激しく揺さぶられながら読み進めていた。
あぁ、客観的に見たら自分ってこんなクソみたいな人間なんだと凹む。
この辺は男女間の違いはあれど、近しいものは絶対にある。
正直、貫一ってそんなに悪い男か?と読んでいて疑問を抱く。
そんな疑問と都に対してのヘイトが高まってきたところで
都の友人そよかがピシャリと都に対して正論をかます。
もう、そよかちゃんいてくれなかったら最後まで読めなかったっす。
そんなお礼を言いたくなるお見通しキャラだった。
決して読んでいて清々しく気持ち良い内容の作品ではない。
良い意味でも悪い意味でも、自分の立ち位置を確かめられる。
個人的にはもう一度読み返す勇気はないだろうと思う。
それぐらい自分の心に戸惑いを与えてくれた作品。
読む際は十分ご注意を。