山本文緒のレビュー一覧
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こういう日記、今ではブログでのつぶやきでしょうか。
人の生活を覗き見しても、とくに笑えるわけでも、泣けるわけでもなく、共感するというほどのことでもなく
そうなんですね、でした。
246ページからの
「そして私は飲まなくなった」
ここからだ。
2007年晩秋として、書かれいていたこと。
胆嚢の摘出手術、お酒が飲めなくなったこと(体が受け付けなくなった)、これが、亡くなる原因の始まりでもあったのでしょうか。
ここからのことが、むしろ読みたい。
自分も体のことは家族に迷惑をかけない程度にケアしないとなと思いました。
次は 無人島のふたり を予約 -
Posted by ブクログ
ネタバレ20代前半の悩めるどこにでもいそうな女子たちの、浮き沈みの激しい心と生活が丁寧に描かれた作品。
ちょっと昔に書かれた話だから、いまの時代とは違うところが多いけど、それがまたいい味を出してるのよ。
なかなか電話が繋がらなくてもどかしいとか、ワープロ使ってるとか、四大卒女子がちょっと珍しい感じとか。
23~4歳の深文は、自分のキャラを理解してて、彼氏にどう甘えていいかわからない。かわいい発言はキャラじゃないけど、泣きたいときだってある。でも、そういう時に限って頼ろうとする相手はみんなトラブルを抱えてる。
深文の先輩サユリさんと、後輩日比野とのやりとりが好き。どっちもいそうなんだよぁ。一見大人しくて淡々としてるサユリさんみたいな人が地雷系なのは、いつの時代も変わらないかもしれない。傍から見てる分にはおもしろい。深文の気持ちがわかるけど、痛い目見ることになるとは誰も思わなんだ、、、笑
最後に深文がハワイに行って終わるのはなんか嫌だなぁと思ってたら、まさかの展開で、これもまた好き。 -
Posted by ブクログ
最近パートナーとズレ・摩擦が生じてしまって、
なんで結婚したんだっけ沼から脱出したいなーと思い、手にとりました。
本書は”寂しいけど、結婚したいけど、保証はないからひとりで生きる覚悟を決めるために理詰めで頭を整理した本”という感じ。
私は結婚しているからか、なぜ人が結婚するかにフォーカスされた1-3章より、その先にある人生を語った4章以降がぐさぐさ刺さった。
「人の心というのは柔らかいだけに、どんなふうにでも形を変え、時には凶器にもなりうる。— 自分の心に殺されたのだと思う。」
「— 心の筋肉は、他人と関わることでしか鍛えられないような気がするのだ。」
ん〜刺さる、、、まさに自分の心に殺されかけている。何度も殺されかけた経験から、心を守りたくて鎖国し、そして免疫のない心を作り上げている、、、。ぐさ。
1人じゃ生きられないのはわかってた、でも他人が怖くて、深く理解してくれるパートナーが嬉しくて、彼がいれば大丈夫、と寄りかかりすぎてた。
すごい重圧だっだろうな。
自分を救えるのは、自分だけ。
鎖国しすぎてたなあ。
心を守るため、と思ったけど、結果的に心を弱くしてたかな。
その点本は、傷つくことなくたくさんの別世界に連れてってくれるから好きなのかも。
まあなんか色々考えてしまった。
結婚に係るもやもやが頭をよぎる方には、自分の閉鎖的な思考に一石投じてくれる本。
おすすめ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ可愛らしい表紙からは想像できないホラー。
毒親の話だと読み始めたが、途中何日か休み休み読んだ。
2人姉妹、姉のさとる、妹のみつる。姉妹の母がかなりの毒親で教師。さとると付き合っている鉄男。大嫌いな母から逃れられない。
最初から挟まれる誰かとカウンセラーとの話。誰と誰の話か後半わかるが、他にもとんでもない事実がたくさん。
母の自白により、さとるは自宅に灯油をまき火を付けようとする。その時のある人の言動から気がふれていた訳ではないのかも、演技かも、と感じた。演技でここまでするのはかなりの精神力が必要。
さとるの彼氏の鉄男、フラフラしてしっかりしてほしい。
でも鉄男の家族にも問題があったからか。
妹みつるが、鉄男に
「どこまでやったら親孝行で、何をしなかったら親不孝なんだろう」「もうお父さんもお母さんもお姉ちゃんのことも、可哀想だなんて思わない」
と伝えたところは、私も思う所あり。
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夫婦、という関係性はとても難しい、と常々感じる。
人のこころはとても移ろいやすく、共に生活する中で見せたくない部分もさらけ出しながら、良好な関係を築くのは相当努力が必要だと思う。
この本の二人は8つの話すべてに子供がいないことが共通項。子供という強烈な嵐はものすごく覚悟が必要だけど、家族になるための重要なトリガーになりうるのかもな、と思ってしまった。
子供がいると人間が苦手な”停滞”の状況は良くも悪くも無くなってしまうから。
そんな風に親に依存されるのは実体験からものすごーーーーく嫌だけど。
命ほど重いものを抱えないと、他人と交わり、尊重し、手を取り続けるなんてできないのかも。
紙婚式の「夫は既に私の一部である。ー 淋しさを紛らわしてくれるのは 他人 であることを私は知った」がすごく印象に残った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今の状況から脱出したい気持ちが心の奥にあるけれど、どうにもうまくいかない……。
そんな人たちが登場する中編が3作収録されている。
『アカペラ』
衝撃的な作品だった。
両親と上手くいっていない十五歳のたまこは、祖父と仲が良く、友人からも「まる子と友蔵みたい」と言われている。
たまこは祖父が大好きだから、携帯に涙声でいきなり電話がかかってきても気にしていない。
祖父は自分でできることも多いが、認知症なのかな?と思う場面も多々あり、両親が家にいないたまこはヤングケアラーであるように思った。
「十六になったらすぐ、結婚するってじっちゃんと約束したの」
老人ホームに入れられそうになった祖父と駆け落ちし、体の関係を持ったたまこは、担任の先生にそう言った。
そんなたまこは、祖父が入院後目を覚ましたとき、涙を流しながら「悲しい」と思う。
祖父のことを慕っていたたまこが、このとき「悲しい」と思ったのは、祖父がたまこをいつものように「まあこ」と呼ばなかったからだろう。
幼少期に家族が使っていた「タマや」という呼び方をした祖父は、「十六になったら結婚しよう」と言ってくれた祖父ではなくなった。
「まあこ」とは、祖父の最初の奥さんの名前だ。
たまこを「まあこ」と呼ばなくなった祖父は、もしかしたら結婚の約束も、体の関係を持ったことも忘れてしまったのかもしれない。
「結婚したら堂々と母親を追い出せる」という希望が、たまこから抜け落ちてしまったのだと思う。
『ソリチュード』
今の状況も自分もなんとかしたい、ここから逃げ出したいと思っている主人公・春一。
高校生のときに家を出て、流れに身を任せて三十半ばまで生きてきたが、自分がどうしたいのかも分からないでいた。
そんな中、いとこの美緒や彼女の娘である一花、昔の友人の武藤と関わりながら、自分の置かれている立場を少しずつ理解していく。
父親の怒り、母親の気持ち、美緒の両親の気持ち……。
かつて自分に向けられていた大人たちの気持ちに、春一はようやく「そうだったのか」と感じられるようになった。
自分の気持ちが掴めずいつも宙ぶらりんで、どうしたらいいのか分からない。
面倒なことは保留ボタンを押して先送りにしてしまう。
そんな春一が少しずつ他人の気持ちを思い、自分の気持ちにも向き合っていくような話だった。
『ネロリ』
もうすぐ五十歳になる姉・志保子と、体が弱く一度も働いたことがない三十九歳の弟・日出男。
二人暮らしをしているこの姉弟は、二人だけの幸せのために、未来に期待せず、ただ毎日を小さく生きている。
そういう感じがした。
志保子が須賀から結婚を迫られたとき、彼女は掴みかけた未来を、自ら諦めたように見えた。
亡くなった母親の看病を日出男に押しつけてしまった、それがきっかけで日出男の体調が悪化してしまったという後ろめたさ。
それを手放して結婚できない志保子は、その罪悪感にしがみついているようにも思えた。
日出男と付き合っている心温(ここあ)が、唯一の救いだと思った。
未来に薄暗い靄がかかっている姉弟にとって、彼女がひとつの光になるような気がしている。
これからを感じられるラストが良かった。 -
Posted by ブクログ
「そしてわたしは一人になった」の続編。
「再婚生活」という主題だけれど、実際は副題の「うつ闘病日記」の内容が濃いエッセイだった。
かなり赤裸々に描かれているので、冒頭に筆者が書いている通り、精神状態がよくない人は要注意。引っ張られてしまうかも。
わたし自身も7年ほど前にうつで退職した上、仕事でカウンセリングにも関わっているので身近な話題。
よく言われることだけど、うつになりやすい人の特徴として、真面目に考えすぎる、人に頼るのが苦手というものがある。
エッセイを読むと筆者の真面目さ、思慮深さや観察力が鋭いからこそ傷ついてしまう苦しみを感じる。
また完璧主義で成果が出ない時間を待つことができない性質も、うつになりやすい人の特徴なのかもしれない。これも筆者に共感した。
メンタルヘルスケアは世間的に身近になってきてるし、個人的にはもっと身近に気軽になって欲しいと思うけれど、目に見えないし必要な人こそまだハードルが高い行動だと思う。
身近な人に頼る練習や、作中の最後にも出てくるように、日記を書いて客観視する、悪いことだけを考えない、というのはぜひ実践したい。
また自分の身近な愛する人の心の健康にも目を向けたいし、必要な時に手を差し伸べて助けたいと思った。
それが自立というものだ。たしかに。
■引用
「手に入っているものが多ければ多いほど、人の気持ちは安定するのだと、私も昔思っていた。だからこそ、前の離婚直後、通帳の残高が赤字だったところから始めて約九年、誰かに何かを 貰うんじゃなくて、努力をして、私が私にコツコツと恵んできたのだ」
「反感を買うかもしれないが、恵まれているんじゃなくて、私が私に多くのものを恵んできたのだ」
「ほんとは自分の生活が王子に浸食されている部分があって、そのことに怒っていることを私は認めたくなかった。王子はいつだって優しい夫なので。でも、認めて、解決しなくては、体も治らないのかもしれない」
「年齢的にも(四十代になった)環境的にも(中堅作家になった・再婚した)大きな変化があったので、それに伴って考え方も物事のやり方も、今まで通りでは通用しなくなっていて、新しいベクトルの方向を模索しないとならないという自覚がある」
「私は時間において、王子を疑りはじめているんだと自覚。これからの長いはずの結婚生活、それを 諦めてゆくんだな、そして自衛してゆくんだなと思った。振り回されないように。気持ちを乱されないように」
「ずっと私はうつになった原因は、なにか心因性のものだと思っていた。仕事上のいろいろなストレスや引っ越しや再婚で、感情のバランスが狂ったのだと思っていたけれど、そうじゃなかったと最近しみじみ思う。だいたいその「外から攻撃された」という被害者意識がまずいけなかった。 私の場合、悪い体が黒い心を生んだのだ」
「人にショックや怒りや不愉快な感情を起こさせて物事を考えさせるという手段は有効なのかもしれない。けれど私はしたくない」
「世の中に向かって表現をできる技術を持っている人間は恵まれている。だからこそ自重も含め慎重にならなければいけない気がする。偽悪的になったり、それを感情任せで論破したり、したり顔で分析したりすることは、ネットの2ちゃんねるで行われていることと大して変わらない気がする」
「リンダの 旦那 さんはそっけないらしく、彼女が用事で外出から戻っても「どうだった?」とまったく聞かないそうだ。ああ、それってまさに私の前の夫もそうだったなと思う。昔、私は前夫に「なんでなんにも聞かないの?」と尋ねて「興味のないことを延々と聞かされたくないから」と答えられたことがある。きっと私の話がくどかったのだろう。でもヒドイ。王子はそんなことは言わない。それとも言う日がくるのだろうか」
「調子の悪いときは誰でも多かれ少なかれ視野が狭くなってしまいますが、この頃の私は悪い材料ばかりに目がいっていたので、日記メモを残しておけば、夫が私に「ほら、具合のいい日もあるんだから大丈夫。ずっと悪い日が続いているわけじゃないんだよ」と説得できると考えたそう」
「身近な人が、それまで貫いてきたであろう意志がぐらついてきているのに気がついたら、気をつけてあげて下さい。単に怠けているだけだと決めつけないで」
「つまり自立とは、自分さえ良ければいいというわけでなく、弱った人を助けることができることだと知ったから」