山本文緒のレビュー一覧

  • 日々是作文(ひびこれさくぶん)

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    文緒さんも葛藤しながら、悩みながら、もがきながら生きてるんだなぁと思った。
    こうした想いがあるからこそ、心に響く数々の作品を生み出すことができたんだろうな。
    厳しいながらもどこか愛情を感じる文章で「今の生き方でいい、自分で選択した道を信じて進めばいい」と希望と自信を持たせてくれる人間くさい山本文緒さんの作品がわたしは大好きだ。

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    2023年03月25日
  • アカペラ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    今の状況から脱出したい気持ちが心の奥にあるけれど、どうにもうまくいかない……。
    そんな人たちが登場する中編が3作収録されている。

    『アカペラ』
    衝撃的な作品だった。
    両親と上手くいっていない十五歳のたまこは、祖父と仲が良く、友人からも「まる子と友蔵みたい」と言われている。
    たまこは祖父が大好きだから、携帯に涙声でいきなり電話がかかってきても気にしていない。
    祖父は自分でできることも多いが、認知症なのかな?と思う場面も多々あり、両親が家にいないたまこはヤングケアラーであるように思った。

    「十六になったらすぐ、結婚するってじっちゃんと約束したの」
    老人ホームに入れられそうになった祖父と駆け落ち

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    2023年02月25日
  • 紙婚式

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    大恋愛の末結婚したわけでもなく、激しく憎しみあって別れたわけでもない。そんな夫婦像がリアルに感じる。
    ただ結婚したら専業主婦になって家を守るという概念が今や古く感じる。

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    2023年02月13日
  • 残されたつぶやき

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    山本文緒が好きだ。
    だから彼女の没後この本が出た時、読みたいような、読みたくないような複雑な気分になった。

    読んでよかった。

    Twitterやnoteを追ってこなかったから、エッセイにもなっていないこういう普通の文章を読むのは新鮮だった。
    大げさだけど、山本文緒に支えられた時期があった、と確かに思う。

    もういないんだな、と再確認した本だった。

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    2023年02月05日
  • ファースト・プライオリティー

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    久しぶりに再読。どの作品も新鮮で、食べたかった美味しい料理をいただいたような満足感。
    通り過ぎず、一時心に留まってくれる作品ばかりです。
    もっともっと新しい作品を読みたかった。

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    2023年01月29日
  • みんないってしまう

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    12話の短編それぞれのストーリーの面白さにとどまらず、読み終えてその続きはどうなるか考えてしまうというか、後をひくというか、山本文緒さんてすごいなあと思います。亡くなられたのが残念でなりません。

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    2023年01月21日
  • 再婚生活 私のうつ闘病日記

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    「そしてわたしは一人になった」の続編。
    「再婚生活」という主題だけれど、実際は副題の「うつ闘病日記」の内容が濃いエッセイだった。
    かなり赤裸々に描かれているので、冒頭に筆者が書いている通り、精神状態がよくない人は要注意。引っ張られてしまうかも。

    わたし自身も7年ほど前にうつで退職した上、仕事でカウンセリングにも関わっているので身近な話題。

    よく言われることだけど、うつになりやすい人の特徴として、真面目に考えすぎる、人に頼るのが苦手というものがある。
    エッセイを読むと筆者の真面目さ、思慮深さや観察力が鋭いからこそ傷ついてしまう苦しみを感じる。
    また完璧主義で成果が出ない時間を待つことができな

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    2023年01月09日
  • 自転しながら公転する(新潮文庫)

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     プロローグには騙されました! エピローグまで読み終えてから、あらためて読み返すと、「あー,たしかに」とわかります。
     おしゃれで、だけど仕事・家庭や将来に悩みを抱える女性の日常を描いた作品ではあるけど、誰が読んでも何かしら教えられる普遍的な小説。
     なお、作中のサラリーマンのバカ話ですが、明日死ぬなら高くておいしいものをたらふく食べたいけど、長生きするならお金も健康も大事にしなければならない、「その矛盾を受け入れてこその大人だ」というセリフが、作者の遺作だということも含めて、少し刺さった。

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    2025年12月07日
  • 群青の夜の羽毛布

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    BOOK・OFFでタイトルに惹かれて購入。あっさりとした文体で描写のイメージがしやすく、また物語も面白かったので一晩で一気読みしてしまいました。最後のシーンではあと数ページしかないと物語が終わってしまうのを惜しむほど毬谷家と鉄男からなる物語にどはまりしてしまいました。また読みたい小説です。

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    2022年12月20日
  • アカペラ(新潮文庫)

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    様々な家族の物語。三編とも物語を通じてそれまで家族が日常を過ごしてきた前提が変わり、その後家族がこれからどう生きるかというところで終わっている。

    読後の爽快感は得られないが、物語の家族を自分の家族に置き換えて考えたとき、自分はどの物語の登場人物のように振る舞えるか。そう言う観点で物語を読んだ。

    三編ともに素晴らしいが、個人的には「ネロリ」が、伏線の回収の仕方、未来への希望を抱かせてくれる点で1番私好みだった。

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    2022年12月18日
  • 残されたつぶやき

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    山本文緒さん独特の表現や言葉が沢山詰まっていた。たわいない日常を飾らず、傍で語ってくれているような温かみを感じた。文緒さんの作品には必ず哀しみのエッセンスがある。ずっと愛読者だ。

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    2022年12月03日
  • ブラック・ティー

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    本当に良かった。すごい好きなテーマでした。罪と共に生活する人たちの姿が胸にグッと来た。でも「少女趣味」は夜中読んでちょっとぞっとした。淡々と描いてくれるので、各話がすっきりと読めて、なのに余韻が残る素晴らしい作品。

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    2022年11月20日
  • 残されたつぶやき

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    山本文緒さんの書く物語が大好きでした。辛いことを乗り越えられてからのこれから、だったのに残念でなりません…

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    2022年11月17日
  • ファースト・プライオリティー

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    おもしろかった!みんないろんな事情を抱えて生きてるんだなぁ。

    それでも笑顔で何事もないかのように毎日ニコニコ楽しそうに生きていけることが自分の人生を良くしていける最短ルートなのかもなと思う。。

    「ゲーム」
    簡単に掌握できる恋愛ゲームは難易度ゼロだけど、人間関係だから最終的には嫌な結果しか残らない。
    ていうかそもそも最初から最後まで何も楽しくない。

    こちらは大して何も考えず通常運転なのに相手に勝手に好都合に拡大解釈されたことを、
    「公平性の問題、ルールを無視して素人を本気で殴ったから」という表現がそういう事象にピッタリすぎて感心した。今後この言い回し使いたい。。

    良くも悪くも自分と同じよ

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    2022年11月04日
  • シュガーレス・ラヴ

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    骨粗鬆症、アトピー性皮膚炎、便秘、生理痛、、どれも病気ではないけど、コンプレックスを抱えながら生きてる彼女たち。

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    2022年10月21日
  • 残されたつぶやき

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    よかったですとても。わたしはたぶん著者と気質が似ているので。既読の作品も再読したくなった。


    "体の具合がどこも悪くなくて、親しい人もみんなとりあえず健康で、さしせまった悩みもない。
    空は青くて、日が暮れたら眠くなってきて、今日も本が読めずに終わりそう。
    つらかった日のことはあれこれよく覚えているのに、こんなうつくしい一日のことはきっと簡単に忘れちゃうんだと思うから書いておく。"(p.107)


    "二度とうつっぽくなりたくない、そのためなら何でもする、くらいの気持ちです。
    だって、うつ、つまんないから!
    本当につまんないよ、うつ! 来る日も来る日も憂鬱なんだ

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    2025年05月01日
  • みんないってしまう

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    「みんないってしまう」というタイトルに惹かれて読んだ。好きなアイドルが活動休止した、憧れの先生が退職した、大好きな彼氏に振られた、応援しているバンドのギターが脱退した。みんな、いってしまうのだな、と思う場面が最近多くて、その大きな喪失感とか、悲しさとか、どうしてという疑問で心がいっぱいになりつつも、社会は止まりはしないので、無理矢理に心身を働かせて生きていく毎日を過ごしている。失ったあとには何かが得られる、などもう聞き飽きた私にとって、置いていかれた側の主人公たちは仲間であり、友人であり、恋人だった。今読んで良かった。山本文緒が好きだ。

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    2022年09月23日
  • 群青の夜の羽毛布

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    母と娘2人の闇を抱える家族の謎を、長女の彼氏と同じ視点でどんどん明らかになる。
    情と憎しみが入り混じっている異常な家族関係。展開が読めず、続きが気になり一気に読んでしまった。
    山本文緒さんの小説は本当に面白い!

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    2022年07月22日
  • 結婚願望

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    友人にずっと勧められていた本をついに読破。私自身に結婚願望がないことから、友人は私に勧めてくれたらしい。

    そして気がついた、私、結婚願望が全くない人間ではないと!山本史緒先生が作中で「手相占いで52歳で結婚できるかもと聞いて、不覚にも喜んでしまった」とあるが、私も結婚できるかもと言われたら喜んでしまう、、、独身を貫くという固い意志で結婚願望がないわけでなかったらしい、、

    作中では、史緒先生の結婚に対する考え方や独身として生きる心構えを話している。少し古い考え方もあるが(ほとんどの人が結婚してるとか)、読みやすく、色々な人に読んでもらいたい本だと思った。そして、出来るのならば、感想を聞かせ欲

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    2022年07月10日
  • なぎさ

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    ネタバレ

    人は悪くないが、それぞれに弱さを抱えている二人の主人公、著者は読者に彼らへの共感が生まれそうになると絶妙に回避してくる。温かくはないが冷たくもないまなざしで彼らの行動や心情をとことん丁寧に書き続ける。周囲の登場人物も含め、こんな、と言ってはなんだが特段の魅力のない人々を淡々と描写できるのはすごい。早逝が惜しい。

    著者が唯一明確に悪しざまに描いているのは”モリ”だけだった。ややメタな存在として登場する老人”所さん”を通じてはっきりと断罪し、ラストにも主人公と対峙させている。どんなダメな他者にでも愛情あるまなざしをかける著者なのに、よほどそういう人が嫌なんだなと、もしかしたら深く傷つけられた経験

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    2022年06月18日