山本文緒のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ彼女がどうして私に愛犬を託すことにしたのか、その理由はやはりわからない。わからないまま私は暮らしてゆく。
何も成し遂げた実感のないまま、何もかも中途半端のまま、大人になりきれず、幼稚さと身勝手さが抜けることのないまま。確実に死ぬまで。
プラナリアぶりの山本文緒作品
短編集だけどどれも好きな作品だった
派手な展開や変わった設定があるわけでもなく、「
生活」がベースのものだったけど、どの作品のキャラクターも地味に癖があり、実際の世界にいそうで、かつ立体感があるので見応えがあった。
いつくかのものにはちょっとした仕掛けもあり見事に引っかかったので面白く読めた。
個人的には最後の主人公が自分 -
Posted by ブクログ
同い年の主人公・都の悩みや揺れに、自分のことのように共感しながら読んだ。
家族のこと、仕事のこと、恋愛や結婚への不安。どれも簡単に答えが出るものではなく、ぐるぐると考え続ける姿がとてもリアルで印象に残った。
特に、貫一との関係の中で見える価値観の違いやすれ違いが苦しくもあり、どちらの気持ちにも共感できるからこそ、より深く考えさせられた。
「不安は相手ではなく自分への不安なのではないか」という言葉や、「幸せに拘るほど寛容さを失っていく」という考え方も心に残っている。
周りと同じであることに安心を求めてしまうけれど、それが必ずしも自分の幸せにつながるわけではないと感じた。自分の人生だからこ -
Posted by ブクログ
「自転しながら公転する」が年頃の女性の等身大の悩みを描いていて好きな作品だったので作者さんが亡くなっていると知り迷わず手に取った。こちらの作品もありのままの病気との付き合いが描かれていて、冗談混じりの文章だけれども日に日に弱っていく様子を追体験するようで辛かった。
読んでいて、癌と言っても毎日ぐったりしているわけではないことを知った。自分は癌なの?となるほど元気な日もあれば、朝起きた時からぐったりしている日もある。そうやって波があるからその落差に気持ちが沈んでしまいそうだと思った。それでも最後の最後まで仕事に向き合って、辛い苦しいだけじゃないありのままの日記を遺した山本さんはすごい。
-
Posted by ブクログ
2021年に読んでいて、再読。
内容はすっかり忘れてしまっていたのに、
「すごく好きな本」という感覚だけは覚えていた。
約500ページとボリュームはあるけれど、面白くて、電車を待つホームでも続きを読みたくなってしまうくらいで、あっという間に読み終えた。
主人公・都と同年代の今、読み返すと共感しかなかった。
親の病気、恋人との関係、仕事への迷い。どれも他人事じゃなくて、じわじわと自分の中に入り込んでくる感じ。
特に印象に残ったのは、そよかの言葉。
「都さんの迷いの根本は、
自活できる経済力がないことなんじゃないですか。
(略)人にはいろんな事情や背景があって、たとえば家族の介護をしてたり -
Posted by ブクログ
2021年4月、体調不良から病院に行ったところ膵臓がんのステージ4と診断された著者が5月から10月まで、亡くなる9日前までつけていた日記。はじめ抗がん剤治療を行なったが、あまりに副作用がつらいため断念し、緩和ケアに切り替えた。部外者が言うことではないがQOLの観点から見て英断だったと思う。
突然の宣告による驚きから死の覚悟に至る心理が書かれている。闘病期間がコロナ禍と重なり人と会うのが難しい時期だったのはタイミングが悪かった。
死の覚悟といっても診断からわずか半年間の短さ、50代という若さもあり、諦念に近かったように見受けられる。生きようとしている人を突然襲う病いは残酷だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ椿のように強気な女は嫌いじゃない。むしろ自由に好きなものだけを好きと言えるタイプな女で羨ましいと思った。そんな性格+美人だからこそ敵が多い。面と向かって、"美人だけれど魅力がない"と伝えてくれるおばあちゃんとグンゼは椿のことが本当に好きなんだろなーと読みながら思った。魚住みたいな知り合いが居たらクソみたいに自分も腹立つと思うけれど、看護師さんとしてみると完璧?なのかな?とも思った。面白くてスイスイ読めた。そして題名の意味について考えてみた。"きっと君は泣く"この君とは誰のことを指しているのだろう、、。読みながら考えていたのだが、とある記事で、主人公が泣き
-
Posted by ブクログ
山本文緒が2013年に発表した『なぎさ』は、物語を総括するのが難しい。
〈カフェもの〉かといえば、そんな浮ついたものでもないし、ましてや〈恋愛もの〉なわけない。そういう要素もあるんだけど、それは添え物に過ぎず、じゃあメインディッシュは何なの?と読み終わったあとにしばらく考え込んでしまった。
視点人物は2人いて、横須賀市の久里浜を舞台に「私」と「おれ」が交互に語り手となる。
「私」=冬乃は、長野の須坂市から久里浜に移り住んだ垢抜けない中年女性。
「おれ」=川崎君は、しがない営業職のサラリーマン生活に澱を溜まらせる若者。
この2人を中心に、その周辺の人々を巻き込んだ、いくつかの些細な出来事 -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編集のため通勤時間にサクッと読めた。それぞれのストーリーを一冊の本として読みたいと思った。ハッピーエンドで終わりがちなこの世の物語とは違い、このひとたちは無事なのか、と主人公たちの続きが気になって気になって仕方がない。なぜ題名が『ブラック・ティー』なのか。山本文緒さんの本を何冊か読んだが、題名がお洒落で、でもちゃんとストーリーに合っている感じがして良い。わたしが個人的にすごい刺さったのは「ニワトリ」の妹が姉に言ったセリフ、"脳みそがさ、ほんのちょっとしか入ってないんじゃないの。で、トサカふった途端に、何もかも忘れちゃうのよ、きっと"からの彼氏に愚痴り別れるまでの流れ。
-
Posted by ブクログ
初めて山本文緒さんを読んでみた。女性ならではの痛いところもあるが面白くて、好きになった。
初めて読む作家なので、まずは受賞作が無難だろう。280頁も頃合だし。題名もなんだか面白そうだ。
肩の凝りがほぐれるかも。
プラナリア、目も手足もないこういう形の生物は苦手だが、それじゃあ目があるからといってナメクジやでんでんむしやひるやだにやもちろんヘビトンボなどというものは気持ち悪いなと思いながら、身体分裂再生機能をもつプラナリア、どういった内容なのか興味津々で読んでみた。
プラナリア
乳がんになってまだホルモン治療を受けている。結構辛い。飲み会などで受け狙いに病気の話をすると、彼氏が悪趣味だと嫌がる