山本文緒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
はぁーおもしろかった。
面白すぎて一気読みしました。
山本文緒先生の作品は最近結構読んでいたけどなんだか新しい。30年以上も前に出版されているとは思えないほど今でも違和感なく楽しめる作品である。
自分のドッペルゲンガーに出会い、ちょっとした好奇心から自分の分身と入れ替わる計画を立て、いざ実行してみた時に二人がみたものは…⁈隣の芝生は青い?それとも?
パラレルワールドのようなファンタジー要素もあり、序盤はワクワクして、いつもなら非現実的なお話が始まると興醒めしてしまうはずなのにグイグイ引き込まれる。
そして柚木麻子さんのあとがきもとっても良い❣️
小説家の方の読解力や視点のつけどころに圧巻してしまう。この作品もとってもおもしろかったけれど今後は好きな小説家さんの書評等も読んでいきたいと思った。 -
Posted by ブクログ
25年前に出版された作品。
その頃に読んでいたかったなー。
今時の若い世代の結婚観の見当がつかないけど、今でも全然通用するであろう山本先生の結婚観、と私は思う。この作品には結婚観を通して見える人生観も綴られている、というかそっちの方がメインなのかも?
私自身も『世界中のほとんどの人が結婚している』と言う理由で結婚せねばと焦っていた20代を思い出す。でも30歳を超えたら結婚というより私は結婚式がしたかったんだってことに気づいてそこから本気でどうでもよくなった。現在は結婚しているけれど、それもビザの関係で結婚という形をとったまでで、相手も結婚なんて絶対しないと思ってた、なんていう人なので、あの機会がなかったら多分未だに独身だっただろうと思う。旦那さんにも不満はないし、仲良くしてはいるけど、時々歳下の独身の友達や離婚した友人が一人でのびのびしているのを見るとうらやましいなぁーと思うし、なんだか気が抜けたのか、今は一人じゃないから自分の好きなことばかりやってちゃダメだと変な責任感も芽生えて気が抜けた、というか勢いがなくなってしまった気がする。そう思うと、なんか張り合いのない人生になっちゃったなと寂しくなるし、それが山本先生の言う『苦笑いしながらなんとかやってく』なのかもな。
結婚してみて何が良いのか教えてくださいと言われたら、特にコレと言える物がないんだけれど(とは言え旦那さんには大変感謝していますよ)この作品では結婚はしてもしなくてもいいよ、そこは君次第。を前提に結婚がなぜ良いのか?なぜみんなが使命感の様にしなくちゃいけないと思うのか?またなぜ人は(特に親)結婚しなさい、と勧めるのかについて教えてくれていて、結婚している人もそうでない人も楽しめる作品 -
Posted by ブクログ
ネタバレ何度も読んでいる作品。でも楽しめる。
二組の夫婦の片方ずつが不倫。地方都市にありがちな同じ企業グループに属する人ばかりなので、どこかで繋がってくる。
みんな勝手なことばかり
茄子田は一家の大黒柱であることが幸せ。茄子田綾子は夢見るような純愛を貫きたい。佐藤真弓は仕事のできる自立した女になり家事育児に協力的な夫が欲しい。佐藤秀明は考えないで夫に寄生して生きられる専業主夫になりたい。
既婚者なら多少は誰のエピソードにもわかるところがありそう。結末が綾子と秀明が不倫から結婚して4人の子持ちバージョンも読みたいと思った。もう叶わないけど… -
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稼ぎのある旦那さんの元で働かずに過ごすことが楽でいいよ、お金のある人と結婚しなさい、と人生で1度は言われたことがあるだろう。しかし、汐美のように暇とお金を持て余した人間が感じるのは埋められない孤独感。タビを飼い始めた頃は少し孤独が無くなったが、次第に埋められない孤独感に押しつぶされそうになる。不妊治療に協力してくれない夫、面倒くさいアパートの住人との関係。孤独すぎて辛いのに、アパートの人と関わるのが面倒くさくてつい避けてしまう気持ち、わかる気がする。自分と同じ孤独の匂いがするルフィオに恋心を抱くのは自分と同じ世界に生きる人間だからだと思ったからだと思う。しかし、いい歳をした大人が中学生と身体の関係を持ってしまうのは少し気持ち悪い。高校生ならまだ許せた…??かな、、
夫に環境に縛られ、抜け出せないと思っていたのに、抜け出そうとしなかったのは自分の方だった。汐美はこれから広い世界に出て、波に揉まれながら生きていくのだろう。タビと生まれ育った環境で第2の人生を始めた時、彼女は大きな幸福と挫折を味わうのではないだろうか。ルフィオは成長するにつれて、汐美を忘れていくが、初めての恋愛体験は脳裏にいつまでも焼き付いているものだと思う。2人が再会できませんように。知らないところでお互い幸せになる方がハッピーエンドな気がした。 -
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山本さんが自分を見つめ直し、人生観や恋愛観を描く文章が面白く、ユーモアたっぷり。「悪霊ケッコンガンボー」で、結婚したくてたまらない山本さんの結婚観が描かれていた。恋愛とお酒と仕事。曖昧にするのが嫌で、小説のためにエイズの検査をしに行ったり、高校生時代、一人で街をぶらぶらしたり。自分という芯を持っており、自分のために行動しているところがかっこいい。「作家」という職業で食べていくことの大変さ、人に紹介するときに胸を張って言えない自分への焦り。働いても、何者にもなりきれていなくてもがいている。働くと自分のあり方や、何者であるか見えてくるかと思ったけれど、大人も何者かになりたくて一生懸命もがいているのかもしれない。専業主婦でいることを恥じないで誇って良いのだ、と女性目線で生きていくことの大変さを章ごとで語ってくれており、恋の味方、仕事の味方を優しくして寄り添ってくれるような作品。
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冬乃とそのダンナ、佐々井、川崎とその恋人、百花。この2組のカップルや、その他の人物のつながりが分かりはじめたとき、「あ、これはおもしろい!」と思いました。冬乃と川崎、2人の語りで進行していきます。
冬乃と川崎の心が、丁寧に描かれており、とちゅう目頭が熱くなるところが何ヶ所かありました。思うようにならない2人のもどかしさが、よく伝わってきます。
冬乃の心の支えとなっていた、年配のおじさまの言葉
「生きていくということはやり過ごすことだよ」
この言葉、刺さりました。私も袋小路に入ったようになっていたとき、似たような言葉を職場の先輩にかけられたことがあったからです。それは、「流れにまかせて」でした。これまでの人生、人に、言葉に助けられていました。
川崎の言葉の中にも、刺さるものがありました。それは、
「巻き込んだり巻き込まれたり、みんなそうやって生きているのだろうか」
はて、私はどっちの方が多かったのだろう。身近な人に迷惑をかけたこと、多かったなあ。反省しきりです。
川崎くん、25才。こんな弟いたら、正直ちょっと大変!(笑)ですが、でも「ガンバ」って言ってあげたいです。
山本文緒さんの作品、好きです。それは本当のことが書いてあるから。受け取り方によっては、キツく感じてしまうかもしれないけれど。でも、突き離されたという感じで終わるのでなく、優しさを感じるのです。
山本文緒さんが他界される(2021年)の少し前、TVで拝見し、気さくな方で「親戚のお姉さんでいてほしい」と思い、いきなりファンになり、さっそく作品を読み始め、ほどなくしての訃報。ショックでした。
これまで5冊ほど読んでいます。その他の作品もゆっくり読んでいきたいです。 -
購入済み
小さな高級チョコの詰め合わせ
一話ごとの完成度が高く引き込まれ気づけば一冊読み終えていました。似たような内容の話がないので全く疲れず飽きません。暫くぶりの読書でしたが、あらためて読書の楽しさを感じました。
山本文緒さんの小説をもっともっと読みたかったです。 -
Posted by ブクログ
山本文緒さんの魅力が詰まった6編の物語だ。
そこにあるのは冒険や成功や心揺さぶられるような恋愛物語ではなく、とても日常的な心模様。
幾つかの短編に登場人物の日記が記されているが、それがとても印象にのこります。
「毎日つまんないことで忙しくていやんなる」
この台詞が山本さんの本書に込めた気持ちを代表して、それを物語にするセンスが個人的には大好きだ。
「この人達はこの後どうなるんだろう?」と読書に余韻と想像力を与えてくれる。
そう、それは登場人物にも「この後の人生」があるから、、
この物語が主人公にとって「人生のほんの一部」だから、、
次に良い出会いがあるかもしれない、後悔しているかもしれない、忘れてしまうかもしれない、、
その余韻をもって物語を締めるのは山本文緒さんの最大の醍醐味だと思う。
表題作の「ばにらさま」の瑞希は決して悪気はない、一緒賢明に毎日を生きているだけの女性だ。
毎日つまんないことで悩み、選択をしようとしている女性だ。
「えっ、それでいいの? この後どうなるの?」と余韻を残して物語は終わる。
だからこそ「ばにらさま」は心に刺ささる物語へ読者の中で昇華していくと思う。
最高にお勧めの一冊。
何度読み返しても味わいが出てくると思います。 -
Posted by ブクログ
面白かった。すぐ読めちゃう。
残業なし事務仕事▶︎結婚▶︎寿退社▶︎子供産む が女性としての喜びだとされてる時代で、そのパッケージに対して疑問を持つ主人公の日常が描かれてるんだけど、1995年に世に出た本だとは思えないほど主人公の価値観が令和の今と重なってるのが山本文緒さん…凄い…と思った。
ただ、主人公の事はあまり好きじゃない。
プライドが高くうっすらと周りの人を馬鹿にする感じ、自分も浮気するくせに恋人への浮気は許せず被害者ぶる感じ、サバサバしてると見せかけて実は中身がめちゃめちゃドロドロしてる感じ、、気持ちよくない!嫌だ!
と思うけど、自分に当てはまらない所がまったくないわけでもなく、も、もうやめて〜!になった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ山本文緒の文体が好き、自分に合うな〜と思っていたのは、山本文緒の飾らない性格や、素直に感じていることに共感できる自分があるからなのだとわかった。別な小説たちもたくさん読みたい。
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二十代の頃は、花の咲く野原で遊んでいられた。野原のまわりにはいくつも美しい山がそびえたっている。いつか山に登ってみたいという願望はあったけれど、どの山に登っていいか決められなかったし、蜜蜂と遊んでいる方が楽で楽しかった。そうしているうちに、決断の早い人はもう山を選んで五合目あたりまで登っている。そろそろ山に登りはじめないと、頂上まで行きつく体力がなくなってしまう。それでもぐずぐず選択に迷っていたり、山に登って広い世界を眺めてみたいと思いながらも、坂道の苦しさを考えてうんざりしているうちに、野原の花が枯れはじめる。吹く風はいつの間にか冷たく、たくさん飛んでいた蜜蜂ももういない。私が三十代の頭に見た風景はそういうものだった。