山本文緒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2年前に大好きな叔母が膵臓がんで亡くなった。
たまたまこの本の紹介を見て、すぐに購入。
だが、買ったものの、なかなか手に取れず、やっと開いてみる。
数ページ読み涙する。
これはやばい、読み進められるのか。
少しほどをおいて、続きを読む。
少し冷静になって読んでいく。
叔母は見つかってちょうど3ヶ月でこの世を去った。
最期までどうしたらいいのか、どうしてあげたらよかったのか、わからないまま毎日が過ぎた。
文緒さんは余命宣告4ヶ月。
よくぞこんなにも毎日を記されたものだ。
こちらに苦しい負担を与えず、死に向かっていくというより、生きていくと感じさせる。
こんな大変なことが起こっても大丈夫だよ、私こうやって生きてきたよ。って伝えてくれているようで。
最後まで一気に読んだ。
泣き言一つ言わずに去って行った叔母。
会いたい。とても。
読み終えてまた涙が出る。
でも、前の涙とは少し違う、前向きな涙の気がする。
こんなにたくさんの生きるを記してくれて、
こちらこそありがとう文緒さん。 -
Posted by ブクログ
『自転しながら公転する』というタイトルが、読み終えてとても腑に落ちた。
目の前の悩みや、目まぐるしく変わる環境に右往左往していると、自分の人生が何も好転していないように感じる。でも、引いた目で見れば、私たちは少しずつ違う場所へ進んでいる。同じような毎日を繰り返しているようで、全く同じ場所には一度たりとも戻ってこない。そんなことが、この物語の根底にあるように感じた。
都、貫一、母、父。それぞれに事情があり、それぞれの考え方がある。みんなが別々の惑星のように自転しながら、互いの周りを公転している。近づいたり離れたり、ときには今まで見えなかった相手の側面が見えたりする。人と生きていくというのは、そういうことなのかもしれない。
人生が永遠に好転し続けることはない。でも、悪いことばかりが永遠に続くわけでもない。同じ場所には戻らず、必ず少しずつ変化していく。そこにこの物語の救いがあるように思った。
そして、お宮と貫一を思わせる名前からは『金色夜叉』も連想する。お金はこの物語でも、人と人との距離を近づけたり遠ざけたりする強い力として存在している。
ぐるぐる回っているだけに見える人生も、遠くから見ればちゃんとどこかへ進んでいる。タイトルそのものが、読み終えたあとに少し希望のある言葉に感じられた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『自転しながら公転する』を面白いと思ったのは、恋愛や結婚、自立、家族など、「幸せって何なんだろう」と考えさせられるからだと思う。
主人公の都にすごく共感したけれど、最初はなぜこんなに共感するのか、うまく言葉にできなかった。たぶん、自分の人生をちゃんと生きたいと思いながらも、家族や恋愛、周りの人との関係を簡単には切り離せず、迷いながら生きているところが、自分の中にもあるからだと思う。自立したいけれど、誰かに頼りたい気持ちもある。自分で決めたいけれど、周りの期待や「普通はこう」という価値観にも揺れる。
誰にも頼らず生きることだけが自立ではなくて、誰かと支え合いながら、それでも自分の人生を自分で選んでいくことも自立なのかもしれない。都の迷いや矛盾した気持ちがすごくリアルで、まるで自分の中にあるけれど、まだうまく言葉にできていない部分を見ているようだった。だから、都に強く共感したんだと思う。
「こう生きれば幸せ」という答えを出すのではなく、登場人物たちの迷いや葛藤を通して、自分自身の幸せや生き方まで考えさせてくれる。そこが、この作品の面白さだと思った。 -
Posted by ブクログ
私たちは常に色んな悩みをもって生きています。
家族のこと、仕事のこと、恋愛のこと。
それらのことを考えながら日々模索して生きています。
そんな生き方をこのように表してます
「自転しながら公転する」
特に大人になると私たちの日々の生き方がある種定型化してきて、人生という軌道を同じ周期で回っているように感じます。その中で色んな悩みがぐるぐると回って、それでも日々の生活を過ごそうとする様をまさしく表している表現だなと感じました。
家族、恋愛、友達、仕事。
その全てに向き合って葛藤する主人公の様子はとても他人事ではないように感じました。
またもう一つ印象に残っている表現があります。
「甘えていいと言われるのは、甘えるなと言われるよりきつかった。」
両親はきっとどんなに辛くても私たちに手を差し伸べてくれると思います。しかしそれは両親に迷惑をかけないよう必死に自立を目指した自分からしたら、それを否定されてるように感じるのだと思います。その複雑な気持ちを表している表現だと思います。
今生きてる中で悩みを持つ人はぜひ読んでみてください。きっと好きな場面や表現を見つけられると思います。
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Posted by ブクログ
山本文緒さんの「なぎさ」と似たものを感じた。
物事に抗うこともできず、流されるままに恋愛をして、流されるままに生きていく。もうこうなることが決まってたかのようにさえ見える。なぎさと違うのは、最後まで悲しく、救いがない。
冬乃が佐々井くんと希望を見つけたように、誰かが手毬を助けてくれるかもしれないと思ったけど、好きになるのはどうしようもない男だけだった。
この流れを作り出した律子がいつまでも元気で自分勝手で楽しそうなのも、救いがない。小説あるあるならば認知症になるのは律子で、手毬が葛藤しながらも介護して、許せなくとも最後には愛情を感じられるとかじゃないのか。律子と同じく女を武器にして生きている姫乃が、この連鎖から抜け出せることを願いたい。グミも。
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Posted by ブクログ
若さと美しさを武器に生きる23歳コンパニオンの椿。美しくてかっこいい祖母、野暮ったくて気が合わない母、中学からの腐れ縁グンゼ、派遣先で仲良くなった雛子ちゃん、祖母の入院先で出会った魚住。
なかなか個性強めの登場人物たち。
傷付きやすくてトゲトゲしてハリネズミみたいな椿。容姿を褒められる事はあっても、自分自身を愛された経験がないから満たされない。
途中からサスペンスかってくらいドキドキして朝4時まで一気読み。
グンゼがおばあちゃんの病院に来たのは、先生を見るためなんだろうな、雛子ちゃんも気味が悪かった。
出会った順番が違っただけなのかもしれないけど、祖父の選択のせいで本妻、本妻の娘、愛人、愛人の娘、孫娘と5人の女の人が不幸になってる。魚住も巻き込まれてるし。グンゼも先生も巻き込まれたような感じだしな。
面白かった。 -
Posted by ブクログ
舐めてました。まさにホラーそのもの。
怖い。怖すぎるよ、水無月さん……。読み終え、思わずそう呟いてしまう。
どうか、どうか、私。これから先の人生、他人を愛しすぎないように。
他人を愛するぐらいなら、自分自身を愛せるように。
水無月の堅く閉ざされた心に、強引に踏み込んできた小説家の創路。
調子がよくて甘ったれ、依存たっぷりの創路を前に、
水無月の内側からある感情が湧き上がってくる。
世界の一部に過ぎないはずの恋が、私の全てを縛りつけるのはどうして。
あらすじ+冒頭の一文『恋は人を壊す』から、
恋愛依存症の女性のあれやこれやかと思って読み進めてみたが、
とんでもない。予想の斜め上を行き過ぎていた。
そんな生半可な中毒ではない。
水無月さんを見ていると、麻薬中毒者と同じなのである。
それぐらいガン決まりな水無月さんの思考と行動。
ドギツイぐらいの彼女の痛みと苦しみが描かれていた。
約四半世紀前の作品なので、
それから25年近く経つ令和の今ではアウト過ぎる創路の倫理観。
羊ちゃんと称され囲われている女性たち。
その中の一人として新たに輪に加わる水無月さん。
そんな水無月さんには離婚経験があるのだが、
その離婚の経緯がまたぶっ飛んでいた。
物語の後半で突如として明かされる水無月さんと夫であった藤谷との過去。
それがあまりに強烈で、だがそれと同時に色々と腑に落ちた。
彼女のこれまでの行動や思考そのものが。
彼女は常に願っている。もう他人を愛しすぎないように。
他人ではなく、自分自身を愛せるようにと。
でも、人間ってそんな簡単には変われない。
結局、彼女は繰り返す。
もっと人間が簡単な生き物だったらな。そんなやるせなさが胸に残った。