山本文緒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・プラナリア
・ネイキッド
・どこかではないここ
・囚われ人のジレンマ
・あいあるあした
世の中にはこんなにイタイ人があふれているのか、と思ってしまうほど、どこにでもいそうなありふれたイタイ人の話。
自分しか見えない、自分をも見えない。
行きどまりではないはずなのに、どこへもいけない。
乳がんの手術後仕事を辞め、何をする気も起きずに日を送る25歳の春香が主人公の『プラナリア』。
焦燥感と自己憐憫に囚われ、何をする気も起きない春香。
気持ちはわからないでもないけれど。
乳がんだけではなく、病気って予後も大切なのだ。
病気は異常事態、手術も体を切り刻むのだからもちろん異常事態。
それを -
Posted by ブクログ
プラナリアとネイキッドが特に印象的だった。
「プラナリア」
手術が終わって、転移の可能性も低い、もう終わったことだと他人に言われても、病気で失ったものや受けた傷は今も続いていてまだ終わっていないんだっていう感覚が、今の自分にもあてはまるものですごく共感できた。病気は治っても失ったものの重みは背負い続けないといけない。それが辛い。
「ネイキッド」
一生懸命真面目に生きてきたのに、無職になって自分が急に惨めになったような感覚、これまで積み上げてきたものは何だったんだという感覚が痛いほどわかる。
「傷が治ったら立ち上がらなくてはならないのが人間だ。それが嫌だった。」ってフレーズには、暇だけど波風 -
Posted by ブクログ
著者が最期に遺した闘病記。
穏やかに暮らしていた日常の先に膵臓癌が発覚した時点でステージ4b。余命を告げられてからの数ヶ月が、淡々とした日記の形で綴られます。
日付が進むごとに、病の重さと時間の切実さが静かに迫ってくる。
巻末の解説にもある通り、通常、闘病記というものは読み手が書き手に対して「頑張れ」「負けるな」とエールを送りながら読むものだと思っていました。
しかし、この作品は全く逆でした。書き手である山本文緒さんが常に読み手を気遣い、不快な思いをさせないよう細心の配慮を尽くしている。
そこには、私たち読み手に対する「生きてほしい」という強い願いがまざまざと溢れており、その慈しみ深さに言葉 -
Posted by ブクログ
良かった。山本文緒さんの作品にはやっぱり共感する部分が多い。それも主人公にだけではなく、全ての登場人物に。
最後は離婚したらスッキリすると思ったけど、そうではないところも現実的。
仕事をすることと家庭を守ること。どちらに行ってもやっぱり不満は出るよね。ぴったりハマって納得することは無いんだろうね。
出産育児を理由に仕事を辞めたい気持ちもわかるし、それはそれで自分の能力が無駄になってる気がする焦りもあるだろうし、主婦の人付き合いも仕事のうちだけど面倒だし、何も考えずに責任を取らずに従いたい気持ちも、家族を守りたい気持ちもそれに対する重圧感も…