山本文緒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私たちは常に色んな悩みをもって生きています。
家族のこと、仕事のこと、恋愛のこと。
それらのことを考えながら日々模索して生きています。
そんな生き方をこのように表してます
「自転しながら公転する」
特に大人になると私たちの日々の生き方がある種定型化してきて、人生という軌道を同じ周期で回っているように感じます。その中で色んな悩みがぐるぐると回って、それでも日々の生活を過ごそうとする様をまさしく表している表現だなと感じました。
家族、恋愛、友達、仕事。
その全てに向き合って葛藤する主人公の様子はとても他人事ではないように感じました。
またもう一つ印象に残っている表現があります。
「甘えていいと言われるのは、甘えるなと言われるよりきつかった。」
両親はきっとどんなに辛くても私たちに手を差し伸べてくれると思います。しかしそれは両親に迷惑をかけないよう必死に自立を目指した自分からしたら、それを否定されてるように感じるのだと思います。その複雑な気持ちを表している表現だと思います。
今生きてる中で悩みを持つ人はぜひ読んでみてください。きっと好きな場面や表現を見つけられると思います。
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Posted by ブクログ
山本文緒さんの「なぎさ」と似たものを感じた。
物事に抗うこともできず、流されるままに恋愛をして、流されるままに生きていく。もうこうなることが決まってたかのようにさえ見える。なぎさと違うのは、最後まで悲しく、救いがない。
冬乃が佐々井くんと希望を見つけたように、誰かが手毬を助けてくれるかもしれないと思ったけど、好きになるのはどうしようもない男だけだった。
この流れを作り出した律子がいつまでも元気で自分勝手で楽しそうなのも、救いがない。小説あるあるならば認知症になるのは律子で、手毬が葛藤しながらも介護して、許せなくとも最後には愛情を感じられるとかじゃないのか。律子と同じく女を武器にして生きている姫乃が、この連鎖から抜け出せることを願いたい。グミも。
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Posted by ブクログ
若さと美しさを武器に生きる23歳コンパニオンの椿。美しくてかっこいい祖母、野暮ったくて気が合わない母、中学からの腐れ縁グンゼ、派遣先で仲良くなった雛子ちゃん、祖母の入院先で出会った魚住。
なかなか個性強めの登場人物たち。
傷付きやすくてトゲトゲしてハリネズミみたいな椿。容姿を褒められる事はあっても、自分自身を愛された経験がないから満たされない。
途中からサスペンスかってくらいドキドキして朝4時まで一気読み。
グンゼがおばあちゃんの病院に来たのは、先生を見るためなんだろうな、雛子ちゃんも気味が悪かった。
出会った順番が違っただけなのかもしれないけど、祖父の選択のせいで本妻、本妻の娘、愛人、愛人の娘、孫娘と5人の女の人が不幸になってる。魚住も巻き込まれてるし。グンゼも先生も巻き込まれたような感じだしな。
面白かった。 -
Posted by ブクログ
舐めてました。まさにホラーそのもの。
怖い。怖すぎるよ、水無月さん……。読み終え、思わずそう呟いてしまう。
どうか、どうか、私。これから先の人生、他人を愛しすぎないように。
他人を愛するぐらいなら、自分自身を愛せるように。
水無月の堅く閉ざされた心に、強引に踏み込んできた小説家の創路。
調子がよくて甘ったれ、依存たっぷりの創路を前に、
水無月の内側からある感情が湧き上がってくる。
世界の一部に過ぎないはずの恋が、私の全てを縛りつけるのはどうして。
あらすじ+冒頭の一文『恋は人を壊す』から、
恋愛依存症の女性のあれやこれやかと思って読み進めてみたが、
とんでもない。予想の斜め上を行き過ぎていた。
そんな生半可な中毒ではない。
水無月さんを見ていると、麻薬中毒者と同じなのである。
それぐらいガン決まりな水無月さんの思考と行動。
ドギツイぐらいの彼女の痛みと苦しみが描かれていた。
約四半世紀前の作品なので、
それから25年近く経つ令和の今ではアウト過ぎる創路の倫理観。
羊ちゃんと称され囲われている女性たち。
その中の一人として新たに輪に加わる水無月さん。
そんな水無月さんには離婚経験があるのだが、
その離婚の経緯がまたぶっ飛んでいた。
物語の後半で突如として明かされる水無月さんと夫であった藤谷との過去。
それがあまりに強烈で、だがそれと同時に色々と腑に落ちた。
彼女のこれまでの行動や思考そのものが。
彼女は常に願っている。もう他人を愛しすぎないように。
他人ではなく、自分自身を愛せるようにと。
でも、人間ってそんな簡単には変われない。
結局、彼女は繰り返す。
もっと人間が簡単な生き物だったらな。そんなやるせなさが胸に残った。 -
Posted by ブクログ
一見すると「日常の文句や愚痴、冴えない人間関係」を描いた物語のように読ませておいて、ラストで前提そのものをガラリとひっくり返してくる構成が見事。まるで質の良い心理ミステリーを読んでいるかのような感覚に陥ります。
「ばにらさま」
お互いに致命的に噛み合っていない男と女のぬかるみ。決定的な衝突もしないまま不発のジャブを打ち合い、ぬるっと関係が擦り切れていくリアルさが秀逸。
「わたしは大丈夫」
「何が大丈夫なんだよ!」とツッコミを入れたくなる主人公の惨めな自己暗示と異常な金銭への執着。
ラストでタイトルの本当の意味が明かされた時のゾワッとする引っくり返しが見事です。
「菓子苑」
舞子と胡桃。舞ちゃんと呼ばれる主人公の「主体性のなさ」に最初はイライラさせられますが、最後に明かされるふたりの「本当の関係性」にまんまと騙されました。断ち切れない濃密な繋がりの正体が分かった瞬間の…。
「子供おばさん」
友人のお葬式や「もしわたしが死んだら」という言葉。58歳で亡くなられた山本文緒さんが、ご自身の行く末や死という現実を冷徹かつ静かに見つめていたのではないかと思わせる、切なくも深い余韻が残ります。
胃もたれするほどの生々しい毒気と「まんまと作家の手の上で転がされる快感」を存分に味わえる作品でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ愛するってなんだろう、恋愛ってなんだろう、と改めて考えさせられる作品だった。
結局、水無月は親との関係や離婚の経験から、相手に嫌われないこと=自分の価値であると思っていて、その自分の価値を損ねないために、相手に尽くしているように感じた。
愛は見返りなく与えるということにスポットが当たりがちで、もちろんそれも間違いではないと思うけれど、相手の善意や好意をそのまま受け取ることもまた愛だと思う。(ここは最近自分がバウンダリーの勉強をしている中で感じていること)
水無月は、嫌われないために献身的に相手に尽くすことこそが愛だと思っていて「受け取ることも愛」という視点が抜けていると思う。(創路からの「1年仕事を休んでいる間も給料を出すから翻訳の勉強をしろ」という申し出も、創路の善意であるとは受け取らずに跳ね除けていた)
相手への善意は得てして自分が嫌われないためのエゴになってしまうこともあり、無償の愛を他人に与えるのは難しい。(私も嫌われるのが怖くて勝手に相手のためと自分で言い訳をして尽くしてしまった経験が多くある)だからこそ、受け取ることも愛だということを忘れずにいたい。水無月のように、自分が嫌われないための行動を相手のためにしているものと脳内変換したり、与えればいつか相手も自分を愛してくれる、と信じて周りが見えなくなることが、まさに恋愛中毒を指しているのではないだろうか。
と言いつつ、自分も恋愛の渦中にいるときにはその中毒症状に気づけないのだけれど……苦笑