山本文緒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
良い作品だった。
人は誰でも、どんな立場でも、それぞれ何かしら悩み、何かと闘い、その度自分を奮い立たせて乗り越えて、なんでもない日常を送っているものだと思わせる。
田舎を出て夫と久里浜でふたり暮らしの冬乃。
芸人を諦め、サラリーマンをしている川崎。
派手さもなく、一見ただの一般人と思われる2人に焦点をあてつつも、全てではなくても彼らと共通する人生の瞬間を読者は感じると思う。
そういうことあったあった、と。
主人公も不器用ながらも思い悩み、時には人に頼りつつも、なんとか乗り切る。
淡々と、だけどとても緻密に、引き込まれるように人の心理を描けるのは作者ならではだと思う。
ハッピーエンドというわけで -
Posted by ブクログ
良い作品でした。
派手さはなく、明るさもないのですが、馴れ合いとも違う感じで、ダメなりに勇気付けてくれます。
不器用で、悪循環にはまり、ずるずると抜け出せずにいる。抜け出す為の、努力がぬるい。
そんな登場人物が少しずつ少しずつ己から目を逸らす事を止め、問題と向き合い、しっかりとした一歩を踏み出していく。
こう書くと、キラキラしたハッピーエンドが待ってるように見えますが、踏み出した一歩は、至極普通なこと。
けれど、「普通」なんて人それぞれで向き合う問題の大きさも人それぞれ。
ただ、向き合ってる時、向き合うまでの気持ちは、似たり寄ったりなのかもしれません。
だから、次が気になって一気 -
Posted by ブクログ
のっけから、爽やかでライトな表紙からは想像できないような、どこにも逃げ出せない日々の描写が細かいディテールで続き、息が詰まる(リアルという点ではいい意味で)。
結構随所にきついセリフがあり、よくある優しい小説とは一線を画す。
妹にカフェをやりたいと持ちかけられた姉が、「なに浮ついたこと言ってんの」「働きたいのならコンビニのアルバイトでも新聞配達でも、体使って真面目にやれば?」と返答するのとか、しんどい!
3歩進んで2歩さがるペースで、ゆっくりと登場人物たちが殻を破り、能動的に人生に立ち向かえるようになるまでを、のめり込んで読んだ。
冬乃の「何にもできない、働く自信がないってただ嘆いて、できな -
Posted by ブクログ
「自分らしく生きるとは」ということについて、たまに考える。とくに今の自分の状況が、先が定まっていない、ある意味でとても自由な状態だから。
自分らしく生きたいけれど、それは言葉で言うほど簡単ではないことを、既に分かってしまっている。
もしかしたらそれはものすごく簡単なことなのかもしれないけれど、そこに踏み出す勇気を持つのが若い頃のようにはいかなくなっているという意味で、簡単ではないと感じてしまっているのかもしれない。
…などとぶつくさ考えながらのレビュースタートなのだけど、山本文緒さんの小説やっぱり好きだなとシンプルに思った。
先日亡くなられてしまったので未読のものを読んでいこうと思っているの -
Posted by ブクログ
紙婚式 山本文緒 著
山本さんの購読は初めまして。
寄贈してくださった方の本の一冊です。
描かれているのは、複数組の夫婦の姿です。
いずれも、決して良好な関係ではなく、すれ違いの姿です。
初版は1989年。
そう、バブルが終わる時期です。
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さて、厚生労働者の人口動態統計/平成27年の離婚率は、
1975年 12.7%
1990年 21.8%
2015年 35.6%
です。
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2015年の方が、小説執筆時期よりも、遙かに高い割合です。
紙婚式の小説で描かれている夫婦像は、現代の令和の時代にこそ共通事項が多いのかも、、、と考える機会