山本文緒のレビュー一覧
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31才から41才になるまでの10年間のエッセイ。離婚したばかりで仕事もお金もほとんどなかった頃から再婚、直木賞受賞まで。丁度「恋愛中毒」「プラナリア」を執筆した時期でもある。
前半は30代独身女性向け雑誌Domaniのエッセイが中心。
後半は、色々な媒体で綴られた日常の一コマ、20代の私、日々思うことがまとめられている。
彼女の作品を貪り読んでいた20代後半の私。田舎から関東の大学に出て、紆余曲折あって東京に戻り一人暮らししていた頃。
朝起きて仕事に行き、小さなアパートに疲れ果ててもどる。そんな生活の中で、彼女の小説は、抱えていた苦しさを代弁してくれる理解者で、目に映るごく普通の風景や日 -
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ネタバレ
メランコリックな感情に浸っている時に出会った本です。
私は鉄男と同じ大学生で、恋愛のこと、性のこと、家族との関係などに悩んでいました。
描かれている感情が生々しくて、リアルで、普段見ないようにしている自分の醜いところに少し向き合えた気がします。
心の成長が追いつかないほど、体ばかり大人の女性になっていく焦りから、自暴自棄になってしまうこともあったのですが、さとると一緒になって感じられた気がします。
心が少し救われました。
読書の経験が浅いこともあり、結末がよくわかりませんでした。
ハッピーエンドなのか、バッドエンドなのかもよくわかりません。
たまに出てくるカウンセラーと話したという人は、さ -
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夫婦にまつわる8作の短編集
外から見たら表面上は円満な夫婦でも、闇の部分が隠れているという物語が多め
15年くらい前に読んだのを再読
当時とは私の状況が一周して大きく変わったわけで、物語の理解度や解像度が高まっていた
・土下座
結婚してから夜の生活を断るようになってきた妻
それに対して自分も求めなくなった夫
そんな夫に、妻は自分から誘うような素振りを見せてくる
普段はニコニコとしているように見えて、実は料理はとんでもないものを出してくる
成人式のときに居酒屋で振り袖にキムチを落としてしまったときでも怒らなかった妻
その時にしたのが土下座の一回目
二回目はプロポーズのとき
そして、三回目 -
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「アカペラ」文庫版の初版が2011年8月で、
私の購入した本は、5刷で2020年9月。
初版は分からないが、5刷には解説は無く、
作者の「文庫版あとがき」があった。
そこに収録されている3編の中編のうち、1編目の「アカペラ」を書いた後、病気のため約6年小説を書く仕事を休んだ、とある。
「アカペラ」は2001年直木賞受賞後の第一作、
二作目「ソリュード」は2007年復帰作、
三作目「ネロリ」は2008年作、
このあとがきは、2011年夏、とある。
辻村深月さんの「傲慢と善良」文庫版の解説が
朝井リョウさんで、そこには、小説の執筆者が誰に解説を頼むのか、著者本人が決めるのだそうで、その
顛末が、 -
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4.2
たまに無性に読みたくなる山本文緒さん作品。
軽犯罪がテーマの短編集。
出てくる行動はびっくりするものもあるけど、
そこに至る過程や、人物の心情は、
いかにもありそうなものばかりで身近に感じる。
なんなら私が行ってしまったこともある。
忘れてたような小さな出来事も思い出されるんだけど、やっぱり消せないんだなと在ることを実感した。
無くなることはない。
でも、生きてる。
生きてる限りは日常は続く。
心の奥に眠らせて見ないようにしてもいいけど
思い出させられた時はあまりに辛い
向き合うことができない気がする
あぁ、在るな。って思いながら生きるのも良いのかも。