山本文緒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
意外と批判的な感想が多くて、共感してしまった私は蒼子に似ているのかもしれない。
人生に選択肢が多いほど「あの時違う道を選んでいれば」と思ってしまうのはよくある話で、それが結婚相手ともなるとどうしても隣の芝は青く見えるもの。
実際私自身、完璧なものなど存在せず、みんな足りないものに折り合いをつけて生きているんだと気づいたのはごく最近だった。
普段佐々木蒼子側の立場になりがちな私には、河見蒼子の到底勝てそうにないしたたかさに、「あぁこういうあざとい女の子いるよね」という敗北感と、突き刺さる数多の反省点。やっぱり素直な女の子がかわいいよね、わかる。結局何もかも手に入れるのはそういう子なんだよね。とはいえ自分を殺してまでそうはなりたくない自己中さ、相談できる友人の少なさとか、誰のことも愛しきれていない幼なさ、今更変わることはできないので受け入れて生きていくしかない。
この話ではそれぞれが不器用ながら誰かを愛していて(DVは到底許せるものではないけれど)、「完璧に他者を愛せる人など存在しない」中で、それでも自分の選んだ相手には誠実でいたいと思った。
ラストシーンは、いっそ2人の蒼子で手を取り合って逃げ出して楽しく暮らせば良いじゃんなんて思ったりもしたけれど、そうもいかない現実の中でそれぞれが折り合いをつけて生きていくというのがとても山本文緒さんらしいと思う。
たくさん辛かったあの時の自分へ。きっとあちらの道も同じくらい不幸だったよ、という安堵とともに、今の道を選んだ自分も、あの時違う道を選んだ世界の自分も、どちらの未来も幸せであってほしいと願っている。 -
Posted by ブクログ
尊敬する山本文緒さんのオリジナルエッセイ
感じたのは小説家(ひいては芸術家)として周囲から、そして自分自身で認めるのはとても難しい、、ということ。
「私、小説家やっています」 確かに自分からこう名乗るのは勇気がいる。
職業としてやっていくことは、世間から評価されたり、批判を受けたり、そして次に期待をされていくということ。
決してマイペースで「ぼちぼち適当にやっています」とはいかない。
そんな中、山本先生がいかに悩み、将来を見通せない自分に不安を持ち、試行錯誤を繰り返していたのか? そしてそれを言葉にして書き綴る自分自身への分析力がどれだけ要ったか? が伺える。
きっと同じような想いをして、毎日向き合っている人が多いことだろう。
好きでやっている事を職業にする事への意識の持ち方が変わってくる。
今は亡き、山本先生の貴重な言葉が綴られた大切な一冊だと感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレホラーって、別に心霊現象とかスプラッター映画だけでは無いよな、と思う。
今生きている現実を生き抜くことの方が、先が見えない不安のほうが、よほど恐怖に感じる事もあるだろうし。。
自分が二人いて、残りの一人に嫌なことをやらせようとしてもやりたがらずに喧嘩になる、という少年漫画もあるけれど、本作でも、個々の人間として生きればそうだよなぁ。
。と
(藤崎竜氏の短編で影が入れ替わる読み切り作品はむしろ異彩を放っているというか。。)
読み始めた最初はないものねだりというか、隣の芝生は青く見える、そういった結末になるかと思ったが
そんな簡単な話では無かった。。
解説柚木麻子氏の文章が興味深い。
一見わかりやすいようにドラマ化して結末を変えられるの、そういえば当時はよくあった。。(最近はSNSで個人の声が大きくなり炎上するようになったけれど)
『ミステリというなかれ』でも男性社会の同調圧力に女性がいることの意義を伝えるシーンがあったけれど
女性の敵は女性、というがわざと結託させないように構造化されているという見解。
『最初は…可愛いなどと思っていた。ところが今では、それが一番癇に障る。恋の終わりとはそういうものだ…』
優しい→束縛が強い、よく話を聞いてくれる→何も話さずつまらない、という別れ方をする人がいたなぁ。。
『恋は旅に似ている。非日常の楽しい毎日。けれど、それはいつか必ず終わる。そしてまた日常が始まるのだ。退屈な日常があるからこそ、刺激的は非日常がある。』
『努力して愛する、それは演技ではないか。うまい演技をすれば、素晴らしい人生の舞台が出来上がるとでもいうのだろうか。』
主人公に同性の友人がいないのがこの一文に表れている気がする。円滑に、波風立てないように、女性同士のコミュニケーションというのは 下手するとわざとらしいくらいでちょうどよい時もある。。 -
Posted by ブクログ
テーマは崩れた家族
母親と娘の確執
1995年の作品なのでこの類の小説としては
早い作品なのではと思う
母親の支配は厳しく 娘の精神は脆い
時折 回想する告解が入り
山本さんの作品としては珍しいのでは
ミステリアスなストーリー展開
2002年映画化
大学生の健全そうな男子は バイト先のスーパーの客である美しい女性に恋をする
彼女は心身共に繊細
大学を中退し節約して家事をこなす彼女は
母親と妹と坂の上の戸建てに住む
教師である厳格な母親
奔放な妹
三人の関係を読むほど 家庭の異常さをみる
支配する母親も従属する娘も気持ち悪いのに
この家庭やこの男子にもっと秘密があるようで
最後まで見届けてしまった