山本文緒のレビュー一覧

  • 紙婚式
    結婚、同棲をするカップルたちの短編集。最後は、自分も主人公目線で途方に暮れる…と言うような終わり方が多かった。

    一番衝撃だったのは、ニコニコしながらスープの中にゴキブリを入れて夫への怒りを表す妻。他にも完璧な結婚生活なはずなのになぜか違和感を感じる、本音を言えない関係、、、

    どれも長い結婚生活の...続きを読む
  • そして私は一人になった
     離婚を機に人生初の一人暮らしを始めた32歳の著者、等身大の日記エッセイ。
     ほんとに、等身大!気取らず、カッコつけず、強がらず、楽しければ笑い、つらければ泣く。悲しいときは一人で悲しみが去っていくのを待ったり、友達に電話してクドクドと話を聞いてもらったり、ひたすらお酒を飲んだり。どこにでも転がって...続きを読む
  • みんないってしまう
    山本文緒さんの作品を古い順から再読しています。もう新しい作品を読めないのが残念で悲しい…
    山本さんもいってしまったなんて。
  • きっと君は泣く
    久々に山本文緒さんの本を読んだ。
    潔いくらい感じが悪く、でもすごい美しい椿。
    大好きな祖母がボケてきて、それでも周りを見下してきた椿だけど、終盤で過去のことも次々明らかになっていくなかで、椿の素直さがすごく見えてきて憎めない存在になっていった。
  • あなたには帰る家がある
    面白くて凄い勢いで読み切ってしまった。

    本当に主な登場人物の心情が痛いほどわかる。
    とくに真弓と佐藤にめちゃくちゃ感情移入してしまった。両者どちらも言ってることがわかるし片方だけ読むと相手が悪いとしか思えないところがすごいと思った。

    後半狂っていくのが徐々にではなくて一気にきたのがすごく怖くてリ...続きを読む
  • ブルーもしくはブルー
    この人といたらどんな人生になるのかな、あの人といたらどんな人生になっただろうか、と一度は考えたことがあるけどいざ手の前にその、選択しなかった自分がいたらどんなに怖いだろうなって思いました。
    いいところだけを見てしまうからきっと羨ましくなったり、失敗したなって思ったりもするんだろうなぁ。
  • なぎさ
    冬乃と川崎が主人公として交互に心情が語られる。
    人生の緩やかな流れに乗って少しずつ強さを発揮していく冬乃は素敵なのかもしれない。しかし、私はプライドが高くてどこか他人を見下して駄目なまま、底から這い上がろうとして這い上がりきれない川崎に共感する。私にも同じ部分があるからだ。最後、川崎にも前に進めるき...続きを読む
  • ブルーもしくはブルー
    この小説の舞台って
    少し前の時代の日本の話なんだけど
    女性の生き方って、この20年くらいで
    自由になったよね…
    出産育児介護で振り回されることはあっても
    やり方をまだ「選べる」時代になった。
    男性優位で振り回されても我慢するしかない
    そんな時代が確かにあったんだな。。
    解説にそんなこと書かれてて
    ...続きを読む
  • 残されたつぶやき
    山本さんの、本にはなっていなかったSNSの文章をあつめた一冊。
    最初から中盤までは、ふふふと笑いながら、ああ、これはあれを書かれて頃か、とかにやにやしながら読んでいたけれど、後半、ああ、ここからはもう山本さんは、、、と思うと書いていることはそんなことないのに、涙が出そうになった。
    ああ、よぼよぼのお...続きを読む
  • そして私は一人になった
    あーこのころまだネットなかったんやな。
    21p
    OLの頃に、異常とも言えるほど新しい洋服が次々と欲しかったのは、きっと自分が嫌いだったからなのだ。
    そして、最後にクミコ!
  • ブラック・ティー
    ふと出来心でしてしまった、人には言えない自分の小さな罪(大罪ではない)。正直読むのが恐かったです。
    過去にした些細なそれら、年月が経っても、その時の心情は甦り、胸が痛むと思ったから。
    地道な日常に潜むささやかな罪を引っ張り出し、心の闇に入り込む10話の短編。頭ではやってはいけないと認識していても、少...続きを読む
  • 再婚生活 私のうつ闘病日記
    無人島のふたりを読む前に再読。想いあって助けて貰えることのありがたさを感じられたけど、鬱の描写が辛い。弱ってる時に読んだら引き摺られそう
  • 眠れるラプンツェル
    主人公の女性に共感出来てと思ったけれども結末にそうきたかと。
    子供達が凶暴すぎてちょっと怖かった。
    感想を書くのがちょっと難しいです。

    作者の方自身が闘病されていた事も初めて知りました。
    人の感情のものすごく深いところまでも書かれていて読んでいるととても引き寄せられます。

    本だけではなく作者さん...続きを読む
  • みんないってしまう
    短い中で、人の汚いところが描かれ、人の無情さが描かれている、いってしまう者と残されるもののコントラストに惹きつけられる短編集。
  • きっと君は泣く
    初めて読む作者。
    題名と本の表紙の絵からほのぼのとした素敵なお話なのかと思ったら、とても生々しい話でした。
    そしてとても面白かった。
    個性的な登場人物ばかりで皆それぞれの個性が際立っている。
    アクが強いはずの人達が多いのにどの人物も私は好きになった。
    なんだかぶつかってばかりの主人公だけれども、彼女...続きを読む
  • なぎさ
    良い作品だった。
    人は誰でも、どんな立場でも、それぞれ何かしら悩み、何かと闘い、その度自分を奮い立たせて乗り越えて、なんでもない日常を送っているものだと思わせる。
    田舎を出て夫と久里浜でふたり暮らしの冬乃。
    芸人を諦め、サラリーマンをしている川崎。
    派手さもなく、一見ただの一般人と思われる2人に焦点...続きを読む
  • なぎさ
    良い作品でした。

    派手さはなく、明るさもないのですが、馴れ合いとも違う感じで、ダメなりに勇気付けてくれます。

    不器用で、悪循環にはまり、ずるずると抜け出せずにいる。抜け出す為の、努力がぬるい。

    そんな登場人物が少しずつ少しずつ己から目を逸らす事を止め、問題と向き合い、しっかりとした一歩を踏み出...続きを読む
  • 眠れるラプンツェル
    約27年前の作品だけど、全然時代を感じさせない、むしろ、現代にありがちな物語だと思った。
    主人公の汐美の閉ざされた世界。
    そこに現れた15歳も年下の中学生ルフィオ。
    ルフィオに恋愛感情を持ち始めてしまった汐美には、共感部分はない、孤独な世界を自ら選んでいるように思う。
    でも、本当は誰かを求めていたの...続きを読む
  • あなたには帰る家がある
    誰かが幸せになるためには誰かが不幸にならなければいけないの、つらいなぁと
    理想通りの結婚生活を送るのなんて、むずかしいよね
  • なぎさ
    のっけから、爽やかでライトな表紙からは想像できないような、どこにも逃げ出せない日々の描写が細かいディテールで続き、息が詰まる(リアルという点ではいい意味で)。
    結構随所にきついセリフがあり、よくある優しい小説とは一線を画す。
    妹にカフェをやりたいと持ちかけられた姉が、「なに浮ついたこと言ってんの」「...続きを読む