山本文緒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読んでいる途中も、読み終わった後も、タイトルの意味を考えていた。
地球が自転しているということは、多くの人が小さい時に学校で教わることかもしれない。1日の中で昼と夜があることも自転の影響だ。昼夜のように比較的長い時間のスパンであれば何となく自転していることにも納得がいくが、短いスパン(1秒など)では、地球が自転していることに気づきにくい。
公転だってそう。季節の移り変わりで何となく認識する程度であり、「今この瞬間も地球は太陽の周りを回っている」という実感はなかなか湧いてこない。
本書を読んで、私たちの日々の営みも全く同じだと感じた。仕事をしていればあっという間に1日が終わる。気がつけば金曜日。1週間が終わる。そうして1ヶ月、半年と経ち、1年が終わる。でも本当は一瞬一瞬、大小を問わず、何かに直面したり選択をしており、自分という天体は止まることなく自転をしているのだ。そしてまた、他人という天体の周りを公転してもいる(しかも公転の対象は1つではない)
昼夜や季節が地球の自転と公転によって変わるように、私たちもまた日々の中で多様に変化する。各天体にもそれぞれ特徴があったり固有の事情を抱えていたりする。だから天体同士が関わる以上、自分の思い通りにはいかないことの方が多いのかもしれない。
しかしそれは逆も然りだ。巡り合わせ、タイミングといった表現に頼ってしまうけれど、そういったものは必ずあると信じている。
これからも人生という宇宙の中で、堂々と揺蕩いながら、自転も公転もしていきたいと思う。 -
Posted by ブクログ
短編集。山本文緒さんの最後の作品。
揺れ動く人の心理描写が非常にうまい。何気ない日常ではあるが、つい作品に引き込まれてしまう。
ばにらさま、白い恋人をもつ丸の内の冶金研究機関に勤めている少し太めのサラリーマンの竹内くんの心情と、彼女のばにらさまの心情については彼女の記すブログで明らかになる。そこが面白い。現代の若い女の子の心情がある意味ホラーのように見える面白さがある。
子供おばさん、しばらく会っていない友人の葬式にでた47歳のもう若くない独身女性が主人公。彼女は友人から遺言で犬を託される。これも生きづらさを感じてる女性をよく表現している。 -
Posted by ブクログ
山本文緒さんの作品が好きで小説は今まで何冊か読んだが、エッセイは初めて読んだ。
10年間のエッセイということでとてもボリュームがあり、読むのには時間がかかったが、お気に入りの章は何度か読み返したくなる。
このエッセイを読んでいると、他の小説の設定や内容にも、著者の経験や思考が色濃く反映されているのだなと、関連性が見えて面白かった。
何気ない日常や恋愛についてなど、大事件が起こるわけではないのだが、山本文緒さんの独特な視点での分析や考えが淡々と語られていて、思わず共感してしまうような喩えや表現がたくさんあった。
(著者は)人の心の動きが好きだ というような記載があった。まさにそういった人の心の動きを、小説等を通して描かれてきたのだと思ったし、この点を心に留めて、小説を再読するのも面白そうだと思った。
「愛しているとは、憎んでもいるともいうことだ。」
「憎んでいるということは、愛してもいるということだ。」
このような表現を、このエッセイでも小説でも目にした。
いずれも大きく心が動く行為である一方、対極の意味であるとしか今までは考えたこともなかったが、すごく山本文緒さん節であると思うし、物事や人の感情は多面的で、単純に切り分けることはできないこともたくさんあるのだと感じた。
相反する気持ちを同時に持ったり、人間は矛盾したまま存在しているということが印象に残った。
また、 「向上心を持たないといけないと誰が決めたのか」のように、一般的に良いと信じられている点についても、本当にそれだけが正しいのか?自分にとっての幸せは何か?を考えさせてくれるとともに、例えば気持ちが弱っている時には、そこに寄り添ってくれる著者の優しい言葉がたくさんあった。
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Posted by ブクログ
吉川英治新人文学賞受賞作品。
お弁当屋さんでバイトをしている水無月は、有名でない甘ったるい恋愛小説の翻訳をしているが、まだ翻訳だけでは食べていくことはできない。
大学時代からの付き合いから結婚はしたが、夫の浮気で離婚したが、その苦しさから、もう他人を愛しすぎないて誓っていた。
水無月は、お弁当屋さんのお客さんで来ていた有名なタレントで、エッセイなど数多くの著作のある創路が彼女の人生に大きく踏み込んでくる。水無月は、どんどんと惹かれていき、だんだんと中毒のように、恋愛というものに囚われていく。
女性の心理描写が巧みで、一気に読み込んでしまいました。名作ですね。