山本文緒のレビュー一覧

  • 無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記―
    2022年になくなった作家山本文緒さんの余命告知されてからの日記でした。
    あと4ヶ月と言われ、それでも何か書きたいと思うのはやはり作家なんですね。
    穏やかな文章ですがとてもリアルで、切なくなりました。
    先日、「自転しながら公転する」を読んだばかりで、とても良かったから他の作品も読もうと思っていて、見...続きを読む
  • 自転しながら公転する(新潮文庫)
    「自転しながら公転する」
    タイトルが良すぎる!!

    決して大きなできことは起きない。
    この作品で起きる様な出来事のことの方が
    よっぽど、ひと1人に与える影響は大きい。
    そんなことを感じました。

    私は都と同い年の男なので『共感』というよりも
    ハッとさせられることが多かった。

    都は本当に人に恵まれて...続きを読む
  • 無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記―
    癌が発覚してから亡くなるまでの日記。
    ふっと、命の火が消える。
    そしてそのタイミングは選べない。

    亡くなるまでにお別れの仕方、方針、会いたいと思う人とのコンタクト、色々なことを事前準備できる分、幸せなのか?死ぬまで考えてしまうのか?

    私もいずれ死ぬけれど、どんなかたちであれ山本さんのようなお別れ...続きを読む
  • 恋愛中毒
    想像していたいわゆる"恋愛小説"と違って狂気で面白かった。
    面白くて400ページ超えなのに二日で一気に読んだ。
    構成の工夫も面白い。これは作家さんの腕だと思う。
    以下、印象に残った一文。(かなり序盤で出てくるもの)

    どうか、神様。
    いや、神様なんかにお願いするのはやめよう。
    どうか、どうか、私。
    ...続きを読む
  • プラナリア
    自分の中にある醜い気持ちを
    さらけだされたみたいで
    なんとも言えない気持ちになった。

    そんな気持ちを抱えても
    日々生きていかなきゃなんだと
    すごくリアルな話だった。
  • 無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記―
    なんというか、闘病のリアリティはありつつも、語彙力が崇高で美しくもある、だからこそ適度な距離感で最後まで読めた、さすがプロの表現者

    最後まで作家であることを貫いてるのもすごい

    40過ぎてようやく私にもこういうことが起きるのかも、とはじめてリアルに思えた
  • ファースト・プライオリティー
    30歳になった時は、20代を終えて30歳からまあ新たなスタートだと思った。31歳になったら結局変わらない毎日を送っていた。仕事もプライベートも目新しいことの無くなった31歳で改めて気づく、自分のファーストプライオリティ。いろんな人のそれを覗くと、恋でも仕事でもない自分の大事にしているものに気づけるか...続きを読む
  • 無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記―
    山本文緒さんの余命宣告を受けてからの日記。私も人生の後半戦を迎え、少しずつ死を現実的に考えるようになった。こんなことを言うと必ず諸先輩方にまだ若いのにと叱られるが、人生の終わりはいつ来てもおかしくない。自分だったら、山本さんのように冷静に、時には嘆いたり、ジタバタしたり、という状況を文章にできるかな...続きを読む
  • 恋愛中毒
    恋愛小説と推理小説のいいとこ取りをした1冊(紛れもない恋愛小説なのだけど、物語の展開や本心の散りばめ方に推理小説を想起…!)。
    恋愛なんて、どのエンタメでもこねくり返されているテーマなのに、新しさを感じさせてもらった。

    ・無理やりガムテープのようなものを引き剥がされたような激しい痛みが走った。
  • 無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記―
    死へと向かう心情が切々と綴られていて、胸が苦しくなりました。ただ、パートナーや友人の有難さはヒシヒシと感じることができました。私は、常々いつ死ぬか分からないから、時間を大切にしようと心がけていますが、実際に余命宣告を受けたら、すんなり受け入れることができるのか…。病と闘うことも素晴らしいですが、山本...続きを読む
  • 無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記―
    きっともっと大変なことは沢山あったはずだし心の動きはめまぐるしかったと思うけど、これは「読者」に向けて書かれた日記だから、その当たりはあまり書かれていない。
    それでも死を意識しながら生きるというのはどういうことなんだろう…と考えさせられました。とてもこわいけど、大切な人を大切にして生きようとする文緒...続きを読む
  • ばにらさま
    昔の作品(単行本に入れなかった作品)を集めて遺作というのはずるいのではないかと思いつつ…でもいい売り方ですよね。そして名作に限らずたくさん作品を持っている版元は強いですよね。。
  • カウントダウン
    あなたは、友だちに『俺もお笑いやりたいんだ。な、漫才のコンビ組まないか?』と誘われたらどうするでしょうか?

    1980年代にこの国を席巻したという空前の漫才ブーム。そんな時代から40年もの年月が経過した現代社会。ブームというものは過ぎ去ると見向きもされなくなるものですが、この国には今も漫才をはじめと...続きを読む
  • シュガーレス・ラヴ
    あなたは『病気』を患っているでしょうか?

    この世には数百種類にもおよぶ『病気』があると言われています。例えばこの一年を思い返しても、あなたも私も何かしらの『病気』に罹ったのではないでしょうか?もちろんそれは、必ずしも病院で治療をしてというものではないかもしれません。しかし、風邪や頭痛、そして花粉症...続きを読む
  • アカペラ(新潮文庫)
    おじいちゃんの、たまちゃんの名前の呼び方の変化、そういうことか、、、中3ながら精神的に成熟した彼女の一途な一面を知っても、不思議とそんなにぞっとしない、特徴のある性格だなと思った。
  • 恋愛中毒
    あなたは、『中毒』でしょうか?

    いやいやいや。いきなり『「中毒」でしょうか?』と訊かれて、はい、そうです!と答える人はいませんよね。そもそも『中毒』とはこんな風に定義されてもいる言葉です。

     “毒性を持つ物質が許容量を超えて体内に取り込まれることにより、生体の正常な機能が阻害されること”
    
    ...続きを読む
  • ブラック・ティー
    2024.03.09
    「間違わない人間なんていないよ」この言葉が自分を救うため、あるいは自分を慰めるためなのか、それとも、相手のことを真に思いやっていっているのか、その解釈はあなたにお任せします。と山本先生は言っているようにわたしは受け止めている。
    軽く読める一冊だが噛み締めるべきフレーズも多い。こ...続きを読む
  • ブルーもしくはブルー
    主人公、自分勝手過ぎる。実父とかありえない…!DVは許せない。DVを諦めているのももどかしい!好きになれる登場人物が見事に一人もいない!!
    だけど、ミステリーやサスペンスのようなドキドキ、ハラハラがありストーリーは面白くて引き込まれた。最後の終わり方は主人公にもやっとしたけど、そこも妙に現実的で良か...続きを読む
  • ばにらさま
    短編集。
    よくありそうな若い女性の話しや不倫の末に結婚したけれど…という女性の話し。感情の起伏が激しい娘に振り回される女性。ポーランド人と知り合い結婚して幸せになったのに3月11日の大震災で日本に恐れをなした夫は家を出てバイオリンを残して祖国に帰ってしまう。その話しを死の間際で語る女性。 
    小説を書...続きを読む
  • 眠れるラプンツェル
     なぜか癖になる山本文緒作品。人とあまり関わらず、社会とつながっていないとおかしくなってくる感覚はわかる。独占欲を感じるほど誰かを好きになったことがないので、やはり主人公に感情移入はできない。28歳でそこそこ綺麗な専業主婦、清楚ファッションなど文章から人物像が浮かび上がりそうなのに今ひとつ上手く想像...続きを読む