山本文緒のレビュー一覧

  • プラナリア
    初めて読んだ山本文緒さんの作品。
    どの主人公もひねくれ、弱い部分があり、あまりにもリアルな心の澱をさらけだしている。
    特に表題作である『プラナリア』のルンちゃんは、病気である自分にアイデンティティを感じてしまうほどのこじらせっぷりが印象的だった。

    家族に乳がん患者がいるため、手術して治療が終わりで...続きを読む
  • パイナップルの彼方
     1992年作。
     もと少女小説を書いていた山本文緒さんが一般向けに路線変更した、最初の1冊。
     今年何冊か親しんできた山本文緒さんの小説、これもやはり同様のニュアンスを持っており、平凡な若い女性の、それでも細やかな生活上の波乱を丁寧に描き、ある種の日常性を浮き彫りにしている。愛すべき凡庸さのような...続きを読む
  • 眠れるラプンツェル
    28歳専業主婦の汐美と、13歳年下の隣の家の中1ルフィオと、ルフィオの義父の43歳ダニー。

    寂しい思いに気づかないふりをしてきた汐美の心が動きはじめると、少しずつ少しずつ人との関わり方が変わってくる。
    恋に年齢は関係ないって言うけど、たしかに本人たちには関係ない。でも世間がそれを許さないのも現実で...続きを読む
  • ばにらさま
    山本文緒さんの本が読みたくて。

    ツイッターやブログといった
    現代的なSNSが組み合わされていることによって
    よりリアルな日常を味わえた。

    子どもおばさんが最後で良かった。
    どんな日常も悪くないと思えた。
  • プラナリア
    自転しながら公転する がよかったので、山本さんいろいろ読んでみようと思い、まずは直木賞のこちらから。
    女たちのやさぐれっぷりが気持ちいい。小説だからと言って、うまくいきました、と終わらない、終わり方も好きだ。振れ幅が少ない心情だけど、ジワーッと沁み入ってなんか泣けてくる。
    レビューは、共感する、しな...続きを読む
  • 恋愛中毒
    水無月、グチグチ言ってんじゃないよ!って全く共感せず読み進めているのにギクッとするところを刺されるセリフ、心情がたくさん書かれている。

    本当に恋愛の綺麗じゃない部分を書くのが上手い。

    でも、結局水無月は創路と元旦那、どちらを忘れられないの?と思ってしまった自分は恋愛に深くハマったことない浅いので...続きを読む
  • パイナップルの彼方
    プライドを傷つけられた人間の恐ろしさが垣間見える作品でした。

    ★印象に残ったフレーズ
    「私は全ての義務から解放され、代償として全ての権利を放棄した。」
  • プラナリア
    山本さんの作品を読みたくて購入。
    今回は各話の主人公にあまり共感はできなかったけど、いろいろな人生があるんだな、人間模様があるんだなと思いながら読んだ。

    最後マジオさんがなんで言葉が出なかったかわからなかった、、知りたい
  • シュガーレス・ラヴ
    ストレスを抱え、体調を崩す女性たちの10作の短編集。
    1話1話は短いけれど、どれも話がうまい、、、
    私自身、人を性別で判断するのは好きではない。女として生きてきて、男だったら良かったと思うことも何度もあった。それでも、「男女平等」が大切だと言われても、やっぱり男女は身体の作りが違う。
    男に生理痛はな...続きを読む
  • きっと君は泣く
    ドロドロしたお話で楽しめた。ドラマだったら毎回展開が楽しみになるような。最後の方いろいろ起こってどうやって終わるんだろうと思ったら、まあ納得の終わり方でホッとした。人間って捨てたもんじゃない。
  • 恋愛中毒
    これも恋愛の形なのか。そう思うと、愛することではなくて、自己承認を求めて恋愛するのだとも思える。
    例えて言うのなら、ホストから一番に愛されたいとシャンパンを入れまくるホス狂いのような。
  • ブルーもしくはブルー
    「もしあの人と結婚していれば」の人生を選んだ方の自分とばったりあった主人公。
    相手の人生が羨ましくて入れ替わってみるが…って話。
    結局はメビウスの輪みたいにどっちの蒼子さんも本物でどっちもドッペルゲンガーで、なんか不思議な感じだった。
    たられば、もし県内で就職してたらとか考えたことあるけど、たぶん結...続きを読む
  • プラナリア
    新幹線でちょっと時間つぶしのつもりがそれぞれ短編が面白くてわざと時間かけて読みました。だらしなくダメな女にいらいらしながらいつのまにか共感してしまう。わたしもこっち側のタイプだな。どの話も最後は明るく前を向いていく。無理に変わろうとしなくていいんだって思えます。
  • プラナリア
    おすすめされた作者様。
    初めまして。よろしくお願いします。

    前回に続き、これまた短編集。
    長編読んでみたかったが、これも何かの縁。

    女性じゃないと読みにくいかも…と聞いていたので、ちょっと構えてたが、全くそんなことはなくサクサク読めた。

    あっさりとした内容で進みつつも、要所要所で濃い味が潜んで...続きを読む
  • 絶対泣かない
    様々な職業に就く女性達の短編集。
    看護師、体育教師、エステシャン、銀行員、専業主婦、、、
    皆んなそれぞれ、嫌な事も嬉しい事も心に秘めて、時には吐き出して、頑張ってる。

    1998年の本なので、時々価値観や感じ方にあれ?と思う事はあったけど、そんな事は気にならないくらい彼女達の働くという事に対する気持...続きを読む
  • チェリーブラッサム
    感想
    始まりの予感。4/7の朝に似たその感覚。大人になって見ないようにしてきた。だけど季節は巡ってきている。今年もこりずに春は来てくれる。
  • 群青の夜の羽毛布
    不気味な感じがする女所帯の秘密が暴かれていきます。
    読み終えて多少はスッキリしたけれども、今後この家族はどうしていくのかなと。
    母親だけは救いがないような。
    ただ人は誰しも登場人物のどの人にもなりえるような気もして。
    多分皆幸せになろうとしたのにその方法がわからなくて、増悪がうずめいてしまう。

    ...続きを読む
  • 結婚願望
    今の自分を「みじめだな」と心のどこかで思っていることが問題だったのか。と納得した。

    少数派として生きるのは難しい。
    ある年齢になると大多数は結婚して、子供を産んで、家を建てて…そんな生活が想定されている。
    そこから逸脱すること(少数派でいること)は、すごく難しいのだ。

    私は結婚しているけど子供が...続きを読む
  • 再婚生活 私のうつ闘病日記
    文庫だと「私のうつ闘病日記」とサブタイトル?がついている。単行本を出したときには、まだ「鬱」という病気に対して吹っ切れていない部分があったそう。まだ距離を取りきれない、引き戻されてしまう怖れを感じていた、ということかもしれない。

    ややもすれば深刻になりそうなところを、読み手への気遣いなのか、作家と...続きを読む
  • 残されたつぶやき
    五感で捉えることはできない存在になっても、こうやって生き続けていく。教授の本を読んだり、音楽を聴いたりしても、同じことを思う。鴎外を読んでも、バッハを聴いても、本当は同じことを思っていいはずだけど、同時代の存在ではないから、なにか違う。未来のひとは、今の時代の物語をどう読むのかな。

    日常を、言葉に...続きを読む