山本文緒のレビュー一覧

  • ばにらさま

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    山本文緒さんの最後の作品集。

    「ばにらさま」白くて手が冷たい初めての恋人は、誰もが読めるインターネット上に心のつぶやきを綴っていた。
    その内容がなんだか怖い。
    人の心の光と闇。
    今、ネット上のつぶやきは、良い意味でも悪い意味でも色々な影響を与えているような気がする。

    「子供おばさん」は、なんだか身近に感じられた。
    同じ年齢の女性でも、生き方は様々、生活の様相も異なる。

    何もかも中途半端なまま大人になりきれず送り続ける日常。

    それでもいいんだと、思えた作品でした。

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    2024年09月12日
  • シュガーレス・ラヴ

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    山本文緒さんは、「生きていくことの鈍痛を描きたい」作家らしい。解説でそう書いてあって響いた。

    派手さがなくて斜に構えた展開の作品が多くてそこが好きだと思ってたけど、鈍痛って言葉はすごくピンとくる。

    この作品もその鈍痛を体現した短編集だと思った。

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    2024年09月05日
  • プラナリア

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    ネタバレ

    親子だとしても赤の他人だということ
    赤の他人だとしても親子だということ

    自分に重ねてしまう話が多かった

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    2024年07月29日
  • あなたには帰る家がある

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    佐藤家と茄子田家のふた家族が恋愛や仕事で翻弄される物語。
    色々な人物の目線で書かれているのが面白い。
    側から見れば普通の家庭でも色々な問題を抱えている。

    佐藤真弓はちょっと面倒な部分はあるが、専業主婦ではなく働きに出たいという気持ちはすごく共感できた。
    夫の秀明は特に自分の意思を強く主張せずに流されるように生きているにも関わらず、一丁前に周囲に不満を抱えて生活している。
    圧倒的に夫婦での話し合いが足りないように感じた。
    夫婦がお互い歩み寄れるように、意見をぶつけるのではなく話し合いが必要。

    今の社会よっぽどお金に余裕がない限り、専業主婦になる必要はないんじゃないかと思う。
    お互いが稼いで

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    2024年07月08日
  • パイナップルの彼方

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    主人公の深文は結婚願望なし。信用金庫で働く。
    ストーリーは日常生活かと思いながら読み始め、だんだん登場人物が個性が面白くなった。
    今と昔を比べながら読んだ。
    違いは?やっぱり連絡の取り方。今は、すぐ連絡とれるのが当たり前になってる。
    中場から、さゆりさんのまさかの展開に最後、どうなるのか早く読みたかった。最後は、ハッピーエンド⁈いい感じに終わってたから良かった。
    山本文緒さんの本を他にも読んでみたい。
    あとがきに、毎日の暮らしからにげたいと思うことはありませんか?とある。
    たまにはあるよね、退屈や満たされてないとき、
    けど、やっぱり今がいいと思うから、気分転換しながらこれからも大切に過ごして行

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    2024年07月03日
  • シュガーレス・ラヴ

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    よかった。短編集で読みやすい。
    考えさせられる。少しもやっとする話もあるけど、スカッと終わる話もあって、泣いたり笑ったり悔しく思ったりと感情が忙しい。
    この方のお話をもっと読みたかったなぁ。残念。

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    2024年06月29日
  • なぎさ

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    姉妹ではじめた海街のカフェ、
    芸人を夢見たけど、家庭をもつためにブラック企業で勤める若者、
    一見、夢見がちな人たちの地に足ついてない話のようにみえる。
    けれど、逃げられなかった現実の重さや
    人生自体を誰かに相乗りして自分を保とうとした弱さをしっかり見つめている。
    一見にていない冬乃と川崎は、どこか似ている。

    背負った生来の重さに向き合ったとき、ようやく自分の人生が動き出す。
    人は凹み、傷付き、けれど少しずつ再生する。

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    2024年06月08日
  • なぎさ

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    頭が良いことと良い人であることは別でありましろ相反する、登場人物を全員ならべるとまさにそのことがグラデーションとなってかんじられる、そんな一冊。

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    2024年06月05日
  • ファースト・プライオリティー

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    【ファーストプライオリティー】
    …… 複数の中で最も優先すべきこと。


    本書は、自分が大切にしている価値観を人生の
    「最優先事項」にかかげ、真っ当している人の
    人生が31編、描かれています。


    言い換えると、振り切った人生を送っている31人の
    ジェットコースターみたいな人生を追体験できる
    ということ。面白くないわけがない。


    人の感情の機微に気づいてしまう人には、特に
    おすすめできる本で、読む度に「あいたたた

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    2024年05月26日
  • 紙婚式

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     この短編集のテーマは夫婦。『貞淑』と『ますお』に衝撃を受け、『土下座』に心を乱される。相変わらず著者らしい作品ばかり。心臓に爪を立てられるような感覚が病みつきになる。まったく身近にいなさそうな夫婦関係が多いのに、不思議とリアリティを感じる。『子宝』は共感はしないが、何となく鈴子の気持ちが理解できる。気を遣いすぎても、遣わなさすぎてもダメ。夫婦の距離感は夫婦の数だけあり、自分たちの正解を死ぬまでに見つけていくのが連れ添うということなのかしら。

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    2024年05月22日
  • 落花流水

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    多分3回目

    子供の頃と、20代と、30代の今読んで、読む度に違う感想になる。
    誰にも、どの章にも感情移入はできなくて、読書でしか味わえない経験。

    昔読んだときはマーティルがすごくかっこよく見えてたけど、今読んだら全然そんなことなかったし、
    律子はあまりにも強いし、
    本能的な行動力の手毬はなんだか可哀想。

    とにかく奔放に生きる女たちがたくさん出てくる。

    忘れることの方が幸せかもしれない

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    2024年05月17日
  • 紙婚式

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    結婚にまつわる短編集。
    なんだか読んだ後じんわり切なくなるような話が多くて、さすが山本文緒さんといった感じ。
    「紙婚式」が1番好きかな。
    結婚には色々な形があって、同じ価値観を持った同士でないとだめな部分があるけど、どこまでお互い譲歩できるかが大事なんだな…と思った。

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    2024年05月15日
  • ブルーもしくはブルー

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     佐々木を選んだ蒼子と河見を選んだ蒼子が出逢い、互いの生活を入れ替えるストーリー。2人の蒼子と河見、佐々木の嫌な部分が強烈に描かれており、特にDV夫・河見のクズぶりが酷い。ドッペルゲンガーという題材が懐かしく、終わり方も希望がほの見えて好き。巻末の柚木麻子さんの解説もまた良い。本書とドラマ版のラストの違いに対して感じられた違和感の正体。女性の不平等を礼賛するドラマ版は観ないでおこう。

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    2024年05月11日
  • ブラック・ティー

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     軽犯罪縛りの短編集らしい。短編集は苦手な方だが、山本文緒さんの短編集はテーマがあるので読みやすい。冒頭3作がクスリと笑える部分もありお気に入り。『少女趣味』や『誘拐犯』、『ニワトリ』は少し背筋が寒くなるような、頬がひきつる短編。寂しさを紛らわせるためだったり無自覚だったり、ほんの些細なきっかけで一線を越えてしまう人たち。決して褒められた行為ではないのは重々承知の上、彼らの生きづらさもわかってしまう。刊行当時よりさらに不寛容で息苦しい社会になっているような気がする。今読んでもまったく古さを感じない。

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    2024年04月28日
  • 眠れるラプンツェル

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    平成や令和の女性は昭和の女性より、圧倒的に結婚しても働きたがるし、外に出たがる。経済的に安定していたとしてもだ。私もその一人だが、社会から離れたお姫様になると、心が不健康になりやすく、いずれあっという間にお姫様ではなくなることを知っているからだろう。知恵をつけた現代の女性は強い。今の時代の夫婦も、昔の時代の夫婦も、それぞれにメリットデメリットがありますね。


    「部屋の中で育った猫はね、外に出なくても平気なんだって。家の中でご飯も愛情も全部足りるから、外に行く必要がないんだって。不妊手術をしちゃえば、発情期もなくなるから、もう本当に一生家の中にいて、それで幸せなんだって」タビをどこからか貰って

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    2024年04月22日
  • シュガーレス・ラヴ

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     じわじわハマり出している山本文緒作品。今作は様々な病気に悩む女性を描いた短編集。アトピー性皮膚炎は自分も悩まされているので共感ポイントも多いが、生理痛や睡眠障害、肥満など相変わらず心がザラつき印象に残る作品がたくさん。ここまでのイライラには悩まされないが、生理痛(PMS)での破壊衝動に駆られる気持ちは理解できる。自律神経失調症では、主人公が彼女にちゃんと向き合おうとしたラストが良かった。健康こそすべて。何らかの病気を抱えてしまったこと自体は悪いことではないが、人生を楽しもうと思うと土台がしっかりしていないといけないと改めて思い知らされる。

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    2024年04月22日
  • みんないってしまう

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    #山本文緒
    #みんないってしまう

    短編集なのに
    どれも読み終わったあと
    心に少し重みが残った

    自分ならどうする?と考えたり
    ため息をついてしまったり

    タイトルに思いを馳せてしまうね。

    でも、文中の2枚目の言葉が
    とても印象に残ってる。

    タイトルに抗うような、むしろ寄り添うような。

    なんて言うんだろ、全部含めてそうだよなあって
    思う感じだった(抽象的にしか言えない)

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    2024年04月19日
  • パイナップルの彼方

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    山本文緒さんは自転しながら公転するを読んだ後の2冊目です。
    この本を書かれたのは1992年、一昔前のOLの話だけど、現代の同世代が読んでも共感出来る内容。やっぱり山本文緒さんは裏切らない。読んでて苦しくなるくらいリアルに嫌なことが起こるが、現実的で好きかもしれない。
    話も短く2.3時間で読めるため、仕事でちょっと嫌なことがあった人におすすめ。

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    2024年04月15日
  • ファースト・プライオリティー

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    30歳になった時は、20代を終えて30歳からまあ新たなスタートだと思った。31歳になったら結局変わらない毎日を送っていた。仕事もプライベートも目新しいことの無くなった31歳で改めて気づく、自分のファーストプライオリティ。いろんな人のそれを覗くと、恋でも仕事でもない自分の大事にしているものに気づけるかもしれない。そんな物語たちでした。

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    2024年04月05日
  • カウントダウン

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    あなたは、友だちに『俺もお笑いやりたいんだ。な、漫才のコンビ組まないか?』と誘われたらどうするでしょうか?

    1980年代にこの国を席巻したという空前の漫才ブーム。そんな時代から40年もの年月が経過した現代社会。ブームというものは過ぎ去ると見向きもされなくなるものですが、この国には今も漫才をはじめとする『お笑い』は当たり前に存在しています。テレビのバラエティ番組には、必ずと言って良いほどに『お笑い』芸人の皆さんが出演されてもいます。

    一方でそんな芸人の皆さんもそれぞれの人生のどこかの段階で『お笑い』の道に生きると決められたのだと思います。”人を笑わせる仕事”というものを大切に思い、一生を捧げ

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    2024年03月13日