なぎさ

なぎさ

小説・文芸
748円 (税込)

3pt

故郷を飛び出し、静かに暮らす同窓生夫婦。夫は毎日妻の弁当を食べ、出社せず釣り三昧。行動を共にする後輩は、勤め先がブラック企業だと気づいていた。家事だけが取り柄の妻は、妹に誘われカフェを始めるが。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    KADOKAWA
  • 掲載誌・レーベル
    :
    角川文庫
  • タイトル
    :
    なぎさ(角川文庫)
  • タイトルID
    :
    382056
  • 電子版発売日
    :
    2016年06月18日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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なぎさ のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    山本文緒が2013年に発表した『なぎさ』は、物語を総括するのが難しい。

    〈カフェもの〉かといえば、そんな浮ついたものでもないし、ましてや〈恋愛もの〉なわけない。そういう要素もあるんだけど、それは添え物に過ぎず、じゃあメインディッシュは何なの?と読み終わったあとにしばらく考え込んでしまった。

    視点人物は2人いて、横須賀市の久里浜を舞台に「私」と「おれ」が交互に語り手となる。

    「私」=冬乃は、長野の須坂市から久里浜に移り住んだ垢抜けない中年女性。
    「おれ」=川崎君は、しがない営業職のサラリーマン生活に澱を溜まらせる若者。

    この2人を中心に、その周辺の人々を巻き込んだ、いくつかの些細な出来事が描かれる。
    もし、物語の舞台が横浜や鎌倉だったら〈オサレカフェもの〉まちがいないのに、久里浜だもん!しかしそこに山本文緒の狙いがある。

    山本が描いたのは、2010年代の日本に蔓延していた社会の閉塞感だ。久里浜という凡庸な町で生きる人々が、何かから搾取される物語だ。

    奪う主体は、いけすかない社長や会社、得体の知れない友人、希望を語って近づく企業、生活保護の毒親、あるいは自分がこじらせた夢、あるいは家族。

    ブラック企業にしがみつく人や、家族の絆に縛られる人の不幸は、いったい誰のせいなのだろう?
    そんなことを考えさせる物語だ。

    もちろん閉塞感の中にも救いがあって、飄々と生きる「所さん」や、あっさり飛び立つ「菫」や「百花」、社会に適応できない「紅シャケ君」の存在するこの世界って、捨てたもんじゃないのだ。

    ある意味では、世界を肯定する閉じ方で、やっぱり山本文緒が紡ぐ物語はすごい!と思った。

    0
    2026年03月03日

    Posted by ブクログ

    冬乃とそのダンナ、佐々井、川崎とその恋人、百花。この2組のカップルや、その他の人物のつながりが分かりはじめたとき、「あ、これはおもしろい!」と思いました。冬乃と川崎、2人の語りで進行していきます。

    冬乃と川崎の心が、丁寧に描かれており、とちゅう目頭が熱くなるところが何ヶ所かありました。思うようにならない2人のもどかしさが、よく伝わってきます。

    冬乃の心の支えとなっていた、年配のおじさまの言葉

    「生きていくということはやり過ごすことだよ」

    この言葉、刺さりました。私も袋小路に入ったようになっていたとき、似たような言葉を職場の先輩にかけられたことがあったからです。それは、「流れにまかせて」でした。これまでの人生、人に、言葉に助けられていました。

    川崎の言葉の中にも、刺さるものがありました。それは、

    「巻き込んだり巻き込まれたり、みんなそうやって生きているのだろうか」

    はて、私はどっちの方が多かったのだろう。身近な人に迷惑をかけたこと、多かったなあ。反省しきりです。

    川崎くん、25才。こんな弟いたら、正直ちょっと大変!(笑)ですが、でも「ガンバ」って言ってあげたいです。

    山本文緒さんの作品、好きです。それは本当のことが書いてあるから。受け取り方によっては、キツく感じてしまうかもしれないけれど。でも、突き離されたという感じで終わるのでなく、優しさを感じるのです。

    山本文緒さんが他界される(2021年)の少し前、TVで拝見し、気さくな方で「親戚のお姉さんでいてほしい」と思い、いきなりファンになり、さっそく作品を読み始め、ほどなくしての訃報。ショックでした。

    これまで5冊ほど読んでいます。その他の作品もゆっくり読んでいきたいです。

    0
    2025年09月20日

    Posted by ブクログ

    久しぶりにジーンときて、人生頑張ろうと思えました。働きすぎで自分が何やってるかわからなくなって似たような状況が小説ほどではない忙しさだったけどやっぱりやばい状況だったんだなって客観視できました。この物語から何もうまく行ってることはないけどそれでも人を大切に自分の意志をもって生きていきたいと思えました。菫ちゃんのことももっと知りたかったな(^^)

    0
    2025年09月16日

    Posted by ブクログ

    姉妹と夫婦と他人と、血の繋がりがなくてもあたたかい関係性を築く様子が描かれている物語。山本さんの小説は話の展開が読者を惹きつけるなぁと思いました。「プラナリア」「恋愛中毒」に引き続き、人間の持つ嫌な面を描写するのが非常に上手だと感じました。

    内省しながら読むのが好きでした(^^)

    0
    2022年01月13日

    Posted by ブクログ

    ☆4.5!
    山本さんの作品は短編から長編まで結構読んでるけど、やっぱり長編のほうが好きだなぁ。
    ☆5って言いたいけど、全体的に曇りがかっている雰囲気があるから、気分の落ちている人には無条件に薦められない。最終的には明るめな終わり方だけど、長いからね。

    妹の菫とカフェをやることになった冬乃。冬乃の夫の佐々井くんと、その会社の後輩川崎。菫にカフェ話を持ちかける謎の男モリと、川崎の彼女の百花。そして近所のおじさん所さん。
    主にこの面々が織り成す、家族、愛、生死、、、そういったことが描かれる作品。
    山本さんの作品は恋愛のイメージが強いけど、この作品は恋愛色は薄い。家族愛がテーマかな。

    わたしも姉妹だから、冬乃と菫の関係性は共感できるものがあった。似てるけど似てない。クラスにいたら同じグループってタイプではないけど、気が合わない訳ではなくて、お互いに信頼してる。それでも家族だから頼れる部分と、言いたくないことがあって。何があっても自分たちが姉妹であることからは逃れられないけど、いつでも安心できる居場所になれる。そんな存在。

    どうか冬乃と佐々井くんが明るい未来に向けて、ふたりで手を取りあって歩んでいけますように。

    0
    2026年06月22日

    Posted by ブクログ

    冬乃のうじうじしている部分にイラつくし、川崎くんのしょうもなさにはびっくりする。百花はなぜ川崎くんと付き合ったのだろうか。好きになれる登場人物はいなかったけど(所さんは良かったが)、どのキャラにも自分にある部分があり(自分自身もしょうもないし、ウジウジしてるところはある)憎めない。良くも悪くも家族の繋がりを感じる物語だった。冬乃にとって菫は自慢の妹で、良いお姉ちゃんだなぁと少し羨ましく思った。私も妹がいるけれど、悲しいかな、全然好きにはなれないので。
    ストーリー展開が秀逸でさすが山本文緒さん!と唸る。

    0
    2026年06月12日

    Posted by ブクログ

    生きていくとはやりすごすということ。

    生きるというのは複雑で、自分の望むようにはいかないものだ。
    自分が一生懸命頑張ったつもりでも、あっけなく終わりが来てしまって無力感を感じたり、誰かに必要とされるがまま生きてきたら食い物にされることだってある。

    そんな生きる難しさの中で、誰かに頼りたくなったり、それがいつの間にかそのうち自分と他人の境界線を超えてしまって人を苦しめてしまったり。
    そんな関係性が怖くなり、もう手を伸ばすこと自体をなんとなくやり過ごしてしまったり。
    とはいえ、生きるを諦めることも、成層圏から人を見下して楽しむことも愚か。
    きっと自分が羨ましいと感じる人にも、自分が想像し得ない苦しみがあり、しがらみがある。
    みんな失敗しながらも、未熟ながらも、日々生きる中で重ねる小さな成功体験を希望に生きていくしかない

    そんな解釈をした。
    私も仕事をしていて、他に自分に合う環境がどこかにあるのではと探してしまうこともある。
    ただそんな環境はどこにもなくって、やっぱり自分で諦めずに、時々やりすごしながら、誰かに適度に頼りながら
    やりすごしていくしかないんだな、と思えた

    0
    2025年07月19日

    Posted by ブクログ

    姉妹ではじめた海街のカフェ、
    芸人を夢見たけど、家庭をもつためにブラック企業で勤める若者、
    一見、夢見がちな人たちの地に足ついてない話のようにみえる。
    けれど、逃げられなかった現実の重さや
    人生自体を誰かに相乗りして自分を保とうとした弱さをしっかり見つめている。
    一見にていない冬乃と川崎は、どこか似ている。

    背負った生来の重さに向き合ったとき、ようやく自分の人生が動き出す。
    人は凹み、傷付き、けれど少しずつ再生する。

    0
    2024年06月08日

    Posted by ブクログ

    頭が良いことと良い人であることは別でありましろ相反する、登場人物を全員ならべるとまさにそのことがグラデーションとなってかんじられる、そんな一冊。

    0
    2024年06月05日

    Posted by ブクログ

    大好きな作者、山本文緒さんの作品に読む前からワクワクしました。
    家族の中でおこる一つ一つの出来事に、時には思いやる気持ち、憎む気持ち、支配しようとする気持ち、余裕のなさから相手に切り込んでしまう言葉の数々に作者さんらしい作品だなと。
    家族以外の登場人物もどう説明して良いのか、本人にも何故そうしてまうのか分からない所に人ってそうだよねと思ってみたり。
    結局最後には相手を思う気持ちがあればそれが正解になるのかな。

    0
    2024年01月14日

なぎさ の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    KADOKAWA
  • 掲載誌・レーベル
    :
    角川文庫
  • タイトル
    :
    なぎさ(角川文庫)
  • タイトルID
    :
    382056
  • 電子版発売日
    :
    2016年06月18日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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