山本文緒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
離婚を機に人生初の一人暮らしを始めた32歳の著者、等身大の日記エッセイ。
ほんとに、等身大!気取らず、カッコつけず、強がらず、楽しければ笑い、つらければ泣く。悲しいときは一人で悲しみが去っていくのを待ったり、友達に電話してクドクドと話を聞いてもらったり、ひたすらお酒を飲んだり。どこにでも転がっていそうな日常の細々した出来事の記録なのに、山本文緒さんならではの軽快でさっぱりした文体ゆえに唯一無二のものになっているような。当時の山本さんと今のわたしは年齢が近いからか、わかるぅ、わかるぅ、と、読めば読むほど共感の嵐だった。つらいのも悲しいのも自分だけじゃない、わかってたけどやっぱりみんな頑張って -
Posted by ブクログ
ネタバレ山本さんの、本にはなっていなかったSNSの文章をあつめた一冊。
最初から中盤までは、ふふふと笑いながら、ああ、これはあれを書かれて頃か、とかにやにやしながら読んでいたけれど、後半、ああ、ここからはもう山本さんは、、、と思うと書いていることはそんなことないのに、涙が出そうになった。
ああ、よぼよぼのおばあちゃんになった先生にいてほしかった。
あたらしい小説楽しみだった。
これからもずっと読み続けていきたかった。
また先生のエッセイも読み返したい。
きっと、うわー!!ってなってるのだろうな、と想像しながら。
そういえば、一度だけ先生がTwitterで呟いた言葉にコメントを書いたことがありまして、そ -
Posted by ブクログ
ふと出来心でしてしまった、人には言えない自分の小さな罪(大罪ではない)。正直読むのが恐かったです。
過去にした些細なそれら、年月が経っても、その時の心情は甦り、胸が痛むと思ったから。
地道な日常に潜むささやかな罪を引っ張り出し、心の闇に入り込む10話の短編。頭ではやってはいけないと認識していても、少しくらいならとか、誰も見ていないからとか。歯車が狂って意図的にしてしまうものまで。きっかけがあり、一歩間違えば、大罪になりかねない危うさを含んでいる。「はずみ」ってのは恐い。
例えば自分が理不尽な(辛いことが)目にあったりすると、あの時のあれが返ってきたのか…なんて後悔に苛まれることがあるから、やは -
Posted by ブクログ
良い作品だった。
人は誰でも、どんな立場でも、それぞれ何かしら悩み、何かと闘い、その度自分を奮い立たせて乗り越えて、なんでもない日常を送っているものだと思わせる。
田舎を出て夫と久里浜でふたり暮らしの冬乃。
芸人を諦め、サラリーマンをしている川崎。
派手さもなく、一見ただの一般人と思われる2人に焦点をあてつつも、全てではなくても彼らと共通する人生の瞬間を読者は感じると思う。
そういうことあったあった、と。
主人公も不器用ながらも思い悩み、時には人に頼りつつも、なんとか乗り切る。
淡々と、だけどとても緻密に、引き込まれるように人の心理を描けるのは作者ならではだと思う。
ハッピーエンドというわけで -
Posted by ブクログ
良い作品でした。
派手さはなく、明るさもないのですが、馴れ合いとも違う感じで、ダメなりに勇気付けてくれます。
不器用で、悪循環にはまり、ずるずると抜け出せずにいる。抜け出す為の、努力がぬるい。
そんな登場人物が少しずつ少しずつ己から目を逸らす事を止め、問題と向き合い、しっかりとした一歩を踏み出していく。
こう書くと、キラキラしたハッピーエンドが待ってるように見えますが、踏み出した一歩は、至極普通なこと。
けれど、「普通」なんて人それぞれで向き合う問題の大きさも人それぞれ。
ただ、向き合ってる時、向き合うまでの気持ちは、似たり寄ったりなのかもしれません。
だから、次が気になって一気