山本文緒のレビュー一覧

  • そして私は一人になった
    「無人島のふたり」を読んでからの本書。30代前半の著者の離婚後の日記。ワープロで執筆し、FAXで原稿を送り、友達とはLINEじゃなくて電話で話す時代。日記、エッセイものは作家の素の顔が見えてしまってほとんど読まないが、山本文緒の日記は赤裸々で面白い。次は「再婚生活」を読まねば
  • プラナリア
    プラナリア
    美しい響きのするタイトルだと思った。
    山本文緒が亡くなったことを、この本の帯で知った。直木賞も受賞している作品であることも初めて知った。

    実際読んでみると、プラナリアは美しいものではないことがすぐにわかった。山本文緒らしい、人間の内面が、どろどろと描かれている小説。潜在的に思っていても...続きを読む
  • 日々是作文(ひびこれさくぶん)
    31才から41才になるまでの10年間のエッセイ。離婚したばかりで仕事もお金もほとんどなかった頃から再婚、直木賞受賞まで。丁度「恋愛中毒」「プラナリア」を執筆した時期でもある。

    前半は30代独身女性向け雑誌Domaniのエッセイが中心。
    後半は、色々な媒体で綴られた日常の一コマ、20代の私、日々思う...続きを読む
  • プラナリア
    無職をめぐる短編5編。ふっつりと張り詰めた糸が切れて人生の途上で彷徨いつつ、幸福とも不幸とも呼べないモラトリアムな時間。
  • ブルーもしくはブルー
    2人の生活を入れ替えるワクワクする話かと思いきや、もっと妬みや憎しみなど重苦しい感情が表現されていた。2人の蒼子に共通していたのは、人生に対する主体性が無く、うまくいかない原因を自分でなく相手に作っていたことだと思う。ただそのことに気づいてすらいないことが怖い。蒼子Bは自分の人生を生きることに踏み出...続きを読む
  • プラナリア
    目標を持って、一生懸命働いて、誠実に真っ当に生きるというのが美徳とされている世の中。そんな生き方から少し外れた女性たちが主人公の短編集。

    感情移入する場面も多かったし、それぞれの理想とそれに相反する感情がリアルでひねくれていてよかった。
    少しの言葉で傷ついて傷つけられて色々なことが思い通りにいかな...続きを読む
  • 群青の夜の羽毛布

    メランコリックな感情に浸っている時に出会った本です。
    私は鉄男と同じ大学生で、恋愛のこと、性のこと、家族との関係などに悩んでいました。
    描かれている感情が生々しくて、リアルで、普段見ないようにしている自分の醜いところに少し向き合えた気がします。
    心の成長が追いつかないほど、体ばかり大人の女性になっ...続きを読む
  • 再婚生活 私のうつ闘病日記
    丁寧な文章でやんわりとした言葉で書いてる日記だけど、グッと心を入れて読むと深く刺さる言葉ばかり

    再婚生活だけど鬱病のエッセイ
  • ブルーもしくはブルー
    ドッペルゲンガーと生活を入れかえる!?なんだそれって思いながら読みすすめ...というか止まらなかった。気になりすぎてずっと読んでた。まぁドッペルゲンガーじゃなくても人間って隣の芝生は青いとかないものねだりだったりするから、そういうことを表しているのかな?
    それにしても最後怖かった。
  • ひとり上手な結婚
    人気恋愛小説家である山本さんと、漫画家である伊藤さん (ちなみに吉田戦車さんの奥様です)が、コミックを交えながら結婚のツボについて語ります。

    これが中々ユーモアを交えてはいるものの確信に触れた内容で、読者の質問に対して鋭い的確なアンサーになっています。

    けらえいこさんとのゲストトークも収録し...続きを読む
  • 紙婚式
    夫婦にまつわる8作の短編集
    外から見たら表面上は円満な夫婦でも、闇の部分が隠れているという物語が多め

    15年くらい前に読んだのを再読
    当時とは私の状況が一周して大きく変わったわけで、物語の理解度や解像度が高まっていた


    ・土下座
    結婚してから夜の生活を断るようになってきた妻
    それに対して自分も求...続きを読む
  • あなたには帰る家がある
     数年前のドラマも観ていたが、内容はかなり違っていた。ドラマではもっと秀明は頼りないけど憎めない感じで、茄子田夫妻は本当にハマり役だった。
     好きなのに相手を思いやれず些細なことでイライラしてしまうのは、ほとんどの夫婦に共通の悩みなのだろうか。茄子田家の気味悪さはぶっ飛んでいるが、1番一途にパートナ...続きを読む
  • 恋愛中毒
    恋愛小説を比較して色々な恋の形を知れればと思い、恋愛小説をまとめて読もうと思ってまず初めに手に取って読んだのがこの「恋愛中毒」。裏表紙には恋愛小説の最高傑作と書いてある。山本文緒氏はこの作品で第20回吉川英治文学新人賞受賞の後、「プラナリア」で直木賞受賞するも2021年に死去。
    芸能活動もする作家の...続きを読む
  • パイナップルの彼方
    どの登場人物もすごーく好きにはなれないが、それぞれに共感する部分があり、こういう人いるいる!と思った。
    逃げ出したいけど、逃げ出せない…時代こそ少し違えどリアリティが凄いと感じた。
  • アカペラ(新潮文庫)
    「アカペラ」文庫版の初版が2011年8月で、
    私の購入した本は、5刷で2020年9月。
    初版は分からないが、5刷には解説は無く、
    作者の「文庫版あとがき」があった。
    そこに収録されている3編の中編のうち、1編目の「アカペラ」を書いた後、病気のため約6年小説を書く仕事を休んだ、とある。
    「アカペラ」は...続きを読む
  • シュガーレス・ラヴ
    疾患を抱える人や、その周りの人の描写が恐ろしいほどリアル。

    どの話も、人物像がよくわかる。
    特に秀逸だとおもったのが「ねむらぬテレフォン」

    誰も悪くない。
    自分の周りはみんな優しい。
    でも、彼からの電話を待ってしまう自分が苦しくて睡眠障害になってしまう。

    無駄に周りは自分のことを想っていること...続きを読む
  • ブラック・ティー
    4.2

    たまに無性に読みたくなる山本文緒さん作品。
    軽犯罪がテーマの短編集。

    出てくる行動はびっくりするものもあるけど、
    そこに至る過程や、人物の心情は、
    いかにもありそうなものばかりで身近に感じる。

    なんなら私が行ってしまったこともある。
    忘れてたような小さな出来事も思い出されるんだけど、や...続きを読む
  • ブラック・ティー
    軽犯罪短編集。サクッと読める短さで良かった。
    法を犯したって捕まらなければ、見つからなければ前科はつかないし世の中にはいっぱいいる。
    あっという間に読めて楽しかった。短いからかどれもさっぱり淡々としている。
    運悪く罪が重くなることもあるし話によっては主人公がすごく可哀想に思った。

    特に誘拐の話は辛...続きを読む
  • 群青の夜の羽毛布
    不思議な魅力を持つ女性・さとると付き合い出した鉄男。
    あまりにも厳格な母親、奔放な妹、母親の顔色を伺いながら暮らすさとる。彼女の家庭環境のいびつさは、次第に鉄男の知るところになる。
    皆イヤなやつで読後感がめちゃくちゃに悪い…なのに読めちゃう…
  • アカペラ(新潮文庫)
    作者の今まで読んだ作品とは違いほのぼのしています。実際に起きている事は大変なのですが。
    それを重たく描かれていないからなのか、楽しく読み終えました。
    何がどこが良かったのか表せないのに面白かった!と言える小説です。読めて良かった。