山本文緒のレビュー一覧

  • みんないってしまう

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    最近、いつか来る別れを考えて夜な夜な涙することが増えてしまった。
    両親、夫、友人、推し。
    今は進んでいるようで、進むということは終わりに向かっていく。

    みんな、いってしまう。

    本作のタイトルは、なぜ平仮名の「いってしまう」なのだろうか。解説を読んで、その対象が「人」だけではないと気付かされた。
    行く、往く、逝く。
    失われた感情や、かつての生活。物語には、物悲しさと懐かしさ、そして孤独が静かに漂っている。

    たった1話20ページにも満たない短編集なのに
    そこに映し出された心情には、
    人が簡単には言語化できない絡まった心情を、一本ずつ解いて丁寧に解いて整理されている。

    こんなに丁寧に、人間の心を文字に表す山本文緒先生は、逝ってしまった。

    「去ってしまう今」を嘆く私に、この本は優しく、そっと寄り添ってくれた。

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    2026年04月15日
  • プラナリア

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    第124回直木賞受賞作

    何かしらの理由や事情で働けない、
    働きたくない/自立できない人達の5つの短編集

    齢を重ねると内面的な基盤も固まる
    そしてそれは様々な理由から崩れ、
    容易に修復出来るものでもない

    欠けたものを直そう、埋めようと足掻き、
    それを他者にぶつけてしまう
    世の生きづらさと
    著者特有のリアルな描写が相重なり
    深く考えさせられた

    【プラナリア】
    表題作。20代で乳癌になり、切除した女性の話
    その若さで女性のシンボルとも言える
    胸を失う事は計り知れない
    自暴自棄にもなる
    誰も悪くない

    【ネイキッド】
    2番目に好きかな、ほんとドラマを見てるようだった

    【どこかではないここ】
    この2年で読んだ本の母親像で
    一番強さを感じた
    しかし、弱さと妙な冷静さも合わせ持つ
    山本文緒さんの書く女性ってほんと凄い

    【囚われ人のジレンマ】
    この話単体だと、
    単に腹が立つ女の話なのだけど、
    一つのテーマを扱った短編集としてみると、
    深いなと思う
    要するに社会人として働いてるが、
    心はまだ子どものままで、
    自立したくないというね
    他の4篇とは
    違ったアプローチをしてるように思えた

    【あいあるあした】
    珍しく男性が主人公
    これも良かった、1番好きかな
    この話を最後に持ってきたのは
    大正解だと思う 良い余韻で終れた

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    2026年04月13日
  • 絶対泣かない

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    幼い頃、バカにしていた相手が上司に。自分を羨んでいたことを告白されるが、実は自分も同じ思いを持っていた。登場人物達はしんどい中でもほんの少し前を向く。等身大のエピソードが多く、誰もが自分の気持ちが映し出されたストーリーに出会えそう。

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    2026年04月06日
  • 再婚生活 私のうつ闘病日記

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    人生の憂鬱期に読む鬱小説より面白いエンターテインメントは無い。
    一人ではなく、仲間になった気分になった。
    ありがとう、山本先生

    また、山本先生の本に編み物をする女性がたまに出てくる理由も知った。やってたのね。

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    2026年04月04日
  • 群青の夜の羽毛布

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    毒親小説なんでしょうけど、1996年当時はおそらく「毒親」という言葉はまだ出てないはずなので、その先駆け的1冊では。実際そうらしい。

    書体が2パターンあって、片方は誰かがカウンセリングを受けている時の独白。もう片方が本文です。この告白は誰によるものなのかなぁと考えながら読み進める形なので、ミステリー要素もありました。私は全然気づかなかった。

    ちなみに、主人公の名は「さとる」。妹が「みつる」。さとるはみつるの姉。姉妹です。さとるの恋人は鉄夫。

    性への偏見から来る叙述ミステリーかと思い読み始めた自分は大間違いで、その性と名前のポイントは話の本筋には関係がないしネタバレでもないので、すんなり読み進めて問題ないでしょう。

    あらすじを読むと話を通して「さとるがおかしくなる」ように取れますが、サスペンスではなかったです。サイコホラーではないけど…母と娘の確執ホラーかも。なんだろうな…分類不能。

    母親に抑圧されてきた経験があるとか、そういえばそういう気がするとか、思い当たる節のある人は読んでいてトラウマが蘇るのでおすすめできない。さとるに共感できるか、真正面からそれは違うと否定できるかで作品に対する満足度とのめり込み感が大きく異なると思います。読む人を選ぶけど山本文緒さんの強烈な筆致力で読ませられてしまうのも仕方ない…。

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    2026年03月23日
  • プラナリア

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    ネタバレ

    目次
    ・プラナリア
    ・ネイキッド
    ・どこかではないここ
    ・囚われ人のジレンマ
    ・あいあるあした

    世の中にはこんなにイタイ人があふれているのか、と思ってしまうほど、どこにでもいそうなありふれたイタイ人の話。
    自分しか見えない、自分をも見えない。
    行きどまりではないはずなのに、どこへもいけない。

    乳がんの手術後仕事を辞め、何をする気も起きずに日を送る25歳の春香が主人公の『プラナリア』。
    焦燥感と自己憐憫に囚われ、何をする気も起きない春香。
    気持ちはわからないでもないけれど。
    乳がんだけではなく、病気って予後も大切なのだ。

    病気は異常事態、手術も体を切り刻むのだからもちろん異常事態。
    それを徐々に、体に負担をかけないようゆっくりと、もとの状態に近いところに戻していくわけだから、手術したからOK、退院したから健康というものではないのだ。
    それをわかってもらえないもどかしさは、どれだけうんざりしても、自分で説明して、理解してもらうしかないのだ。
    面倒くさがって、自分を憐れんで、八つ当たりをして…助けてくれるはずの手を自分で振り払っているに過ぎないということを、25歳なら気づきなさいよ、と思う。

    『どこかではないここ』は、共感する人多いんだろうなあ。
    夫がリストラされて生活が苦しくなり、パートで働いている主人公。
    大学生の息子も高校生の娘も家にあまり寄り付かず(しかしお金はかかる)、認知症で入院している夫の父親に5日に1回面会に行き、父を亡くして一人暮らししている実母のところには週に何回か弁当を作って持っていく。
    お母さんってそういうもの?

    私は、誰か一人にすべておっかぶせておいて、何事もなく平穏な家庭の顔をするのは違うと思っているので、「なんで言いたいこと言わずに呑み込んでるのよ!」といらいらしながら読んでいたので、最後は少し溜飲が下がった。
    息子がどこまで母の気持ちをわかったかは疑問だけど、娘はきっと「おかあさん、やるじゃん」っていつか思ってくれると思う。

    『囚われ人のジレンマ』は、情報不足で、浅丘君の背景がよくわからないけれど、なぜ高校に行かなかったのか、就職せず大学の博士課程まで進んで何をしたいのか、母親がこっそり援助してくれているのはなぜか、恋人の美都にも何も言わないままプロポーズっていうのは、誠意がないかもなあ。
    私だったら、「長いことおつきあいをしてきたので情はありますが、愛はなくなってしまったので、結婚はできません」と言いそう。
    ただ、浅丘君のセリフ「損の種をまいているのは、往々にして自分なんじゃないかな」は、覚えておきたい。

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    2026年03月15日
  • 絶対泣かない

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    仕事で辛いことがあると、「自分だけが辛くて周りの人はみんな幸せに生活している」、そんなふうに思ってしまうことがある。どんな経験をしても、やっぱり自分のことばかり考えてしまうのだけれど、この小説を読んで数パーセント、ほんの僅かでも気持ちが異なる方向に向かって進み出した気がする。

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    2026年03月14日
  • ばにらさま

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    初読みの作家さん
    小説としては遺作となる6つの短編集

    どの話ももの凄いリアリティを感じた
    三宅香帆さんの解説を読んで、成程〜と納得
    あと、凄く文学的だとも感じた

    【菓子苑】
    いや〜、巧いなぁと感嘆した

    【バリヨン心中】
    3.11の話があり、偶然にも
    読み始めたのが同じ日
    数ある積読からそれを選んで読んだのに
    なにか運命めいたものを感じた

    【子供おばさん】
    病気が発覚する前に執筆されたもの
    だとおもうけど、こうして読むと
    感じるものがあるなぁ…

    他の作品も読みたくなった!

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    2026年03月12日
  • プラナリア

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    プラナリアとネイキッドが特に印象的だった。

    「プラナリア」
    手術が終わって、転移の可能性も低い、もう終わったことだと他人に言われても、病気で失ったものや受けた傷は今も続いていてまだ終わっていないんだっていう感覚が、今の自分にもあてはまるものですごく共感できた。病気は治っても失ったものの重みは背負い続けないといけない。それが辛い。

    「ネイキッド」
    一生懸命真面目に生きてきたのに、無職になって自分が急に惨めになったような感覚、これまで積み上げてきたものは何だったんだという感覚が痛いほどわかる。
    「傷が治ったら立ち上がらなくてはならないのが人間だ。それが嫌だった。」ってフレーズには、暇だけど波風立たない今の状況から変わる恐怖と、「さもしい」と元夫に言われた自分に戻る恐怖が込められている気がした。

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    2026年03月09日
  • 日々是作文(ひびこれさくぶん)

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    10年間の山本文緒さんのエッセイ集。
    10年間とあるように、とても長かった。でもたくさん書き留めたい文章があって、読んで良かったなと思いました。
    自分と違うタイプだと思っていたけど、色んな過去を経てこの考えになっているのか、とか、あ、私もそれ一緒!とか。たくさん山本文緒さんのことが知れてよかったです。

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    2026年03月07日
  • 絶対泣かない

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    本編は正直そこまで(不倫とかの描写がちょっと不快…)だったんだけど、仕事に不満ばっかり言ってる私はあとがきで号泣した

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    2026年03月07日
  • プラナリア

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    事情があって無職の女性達を描く短編集。
    直木賞受賞作。

    プラナリア
    ネイキッド
    どこかではないここ
    囚われ人のジレンマ
    あいあるあした

    読書家のお友達のおすすめで読んでみました。とっても面白かった。『ネイキッド』と『どこかではないここ』がお気に入り。

    また時間をおいて読んでみよう。
    その時々で響く箇所も違うだろうし、理解も深まりそう。

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    2026年03月07日
  • きっと君は泣く

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    キレイともて囃されてきた椿。祖母の過去から
    自身の穿った気持ちへ更にグンゼとの関係。
    なんで自暴自棄?みんな幸せになろうよ!
    切な過ぎる。最後まで願わくば、みんな幸せになってほしい!そして真実は?

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    2026年03月06日
  • 無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記―(新潮文庫)

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    著者が最期に遺した闘病記。
    穏やかに暮らしていた日常の先に膵臓癌が発覚した時点でステージ4b。余命を告げられてからの数ヶ月が、淡々とした日記の形で綴られます。
    日付が進むごとに、病の重さと時間の切実さが静かに迫ってくる。

    巻末の解説にもある通り、通常、闘病記というものは読み手が書き手に対して「頑張れ」「負けるな」とエールを送りながら読むものだと思っていました。
    しかし、この作品は全く逆でした。書き手である山本文緒さんが常に読み手を気遣い、不快な思いをさせないよう細心の配慮を尽くしている。
    そこには、私たち読み手に対する「生きてほしい」という強い願いがまざまざと溢れており、その慈しみ深さに言葉を失います。

    ​最期の瞬間まで、山本文緒さんは何よりも気高い「作家」であり続けたのだと感じました。

    ​作中にある「うまく死ねますように」という言葉。もし自分が同じ状況に直面したとき、これほどまでに澄んだ心でそう願うことができるだろうか……。死を見つめることは、生をどう全うするかを問われることなのだと教えられた気がします。
    ​心からの敬意を込めて、追悼の意を表します。

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    2026年03月02日
  • 絶対泣かない

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    Podcast「真夜中の読書会」で紹介されていたのをきっかけに手に取った短編小説集。
    1話がすごく短いからスキマ時間にサクサクと読み進められるのに、心に刺さる言葉や考え方がたくさん詰まっていた!仕事や人間関係に悩んだら、付箋を貼った名言たちを読み返そう。

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    2026年02月26日
  • あなたには帰る家がある

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    良かった。山本文緒さんの作品にはやっぱり共感する部分が多い。それも主人公にだけではなく、全ての登場人物に。

    最後は離婚したらスッキリすると思ったけど、そうではないところも現実的。

    仕事をすることと家庭を守ること。どちらに行ってもやっぱり不満は出るよね。ぴったりハマって納得することは無いんだろうね。

    出産育児を理由に仕事を辞めたい気持ちもわかるし、それはそれで自分の能力が無駄になってる気がする焦りもあるだろうし、主婦の人付き合いも仕事のうちだけど面倒だし、何も考えずに責任を取らずに従いたい気持ちも、家族を守りたい気持ちもそれに対する重圧感も…

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    2026年02月23日
  • 絶対泣かない

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    大人になるということは
    泣きたいときに号泣する
    怒りたいときに激怒する
    大笑いしたいときに爆笑する
    その権利を失うことかもしれない
    経験が自由を奪う
     
    作者は本音を描くのが上手いと思う

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    2026年02月18日
  • ばにらさま

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    ネタバレ

    山本文緒最後の作品集、刊行は最後で長編「自転しながら公転する」より発表は前の作品ばかりを収録しているとのこと。

    どの作品も、今っぽい人間関係の屈折を抱えた主人公の日常を描き、読み進めていくうちに感じた違和感が実は…みたいな仕掛け(ミステリーと言うほど明確ではないにせよ)が、キモ面白い。

    表題作のばにらさま、女性に限らずちょっとヒエラルキー高めのモテ人なら、滑り止め抑えてもっとエエ相手を探すなんてのは、今時普通なんだろうな。

    筆の冴えは完璧、まさに全盛期の勢いを感じるのに、あまりにも早いご逝去が、残念でならない。まだまだ面白い小説が書けただろうになぁ…改めてお悔やみ申し上げます。

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    2026年02月14日
  • プラナリア

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    囚われ人のジレンマのケーキ等分に例えた締めくくりとあいあるあしたの娘の髪の毛を切るシーンが個人的にすごく好き。

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    2026年02月13日
  • そして私は一人になった

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    2026.1
    "耐えられないのは、一人になりたい時に一人になれないことだ"

    とてもわかる。
    ずっと一人も不安で寂しく思う時もあるけど、誰かがずっといたり、大勢でいるのはやっぱりちょっと疲れてしまう。
    人が嫌いなわけではないけど、好きでもないんだなー。

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    2026年02月11日