山本文緒のレビュー一覧
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「自転しながら公転する」が年頃の女性の等身大の悩みを描いていて好きな作品だったので作者さんが亡くなっていると知り迷わず手に取った。こちらの作品もありのままの病気との付き合いが描かれていて、冗談混じりの文章だけれども日に日に弱っていく様子を追体験するようで辛かった。
読んでいて、癌と言っても毎日ぐったりしているわけではないことを知った。自分は癌なの?となるほど元気な日もあれば、朝起きた時からぐったりしている日もある。そうやって波があるからその落差に気持ちが沈んでしまいそうだと思った。それでも最後の最後まで仕事に向き合って、辛い苦しいだけじゃないありのままの日記を遺した山本さんはすごい。
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2021年4月、体調不良から病院に行ったところ膵臓がんのステージ4と診断された著者が5月から10月まで、亡くなる9日前までつけていた日記。はじめ抗がん剤治療を行なったが、あまりに副作用がつらいため断念し、緩和ケアに切り替えた。部外者が言うことではないがQOLの観点から見て英断だったと思う。
突然の宣告による驚きから死の覚悟に至る心理が書かれている。闘病期間がコロナ禍と重なり人と会うのが難しい時期だったのはタイミングが悪かった。
死の覚悟といっても診断からわずか半年間の短さ、50代という若さもあり、諦念に近かったように見受けられる。生きようとしている人を突然襲う病いは残酷だ。 -
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ネタバレ椿のように強気な女は嫌いじゃない。むしろ自由に好きなものだけを好きと言えるタイプな女で羨ましいと思った。そんな性格+美人だからこそ敵が多い。面と向かって、"美人だけれど魅力がない"と伝えてくれるおばあちゃんとグンゼは椿のことが本当に好きなんだろなーと読みながら思った。魚住みたいな知り合いが居たらクソみたいに自分も腹立つと思うけれど、看護師さんとしてみると完璧?なのかな?とも思った。面白くてスイスイ読めた。そして題名の意味について考えてみた。"きっと君は泣く"この君とは誰のことを指しているのだろう、、。読みながら考えていたのだが、とある記事で、主人公が泣きを見るストーリーと記されているのに、なるほど、、となった。
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山本文緒が2013年に発表した『なぎさ』は、物語を総括するのが難しい。
〈カフェもの〉かといえば、そんな浮ついたものでもないし、ましてや〈恋愛もの〉なわけない。そういう要素もあるんだけど、それは添え物に過ぎず、じゃあメインディッシュは何なの?と読み終わったあとにしばらく考え込んでしまった。
視点人物は2人いて、横須賀市の久里浜を舞台に「私」と「おれ」が交互に語り手となる。
「私」=冬乃は、長野の須坂市から久里浜に移り住んだ垢抜けない中年女性。
「おれ」=川崎君は、しがない営業職のサラリーマン生活に澱を溜まらせる若者。
この2人を中心に、その周辺の人々を巻き込んだ、いくつかの些細な出来事が描かれる。
もし、物語の舞台が横浜や鎌倉だったら〈オサレカフェもの〉まちがいないのに、久里浜だもん!しかしそこに山本文緒の狙いがある。
山本が描いたのは、2010年代の日本に蔓延していた社会の閉塞感だ。久里浜という凡庸な町で生きる人々が、何かから搾取される物語だ。
奪う主体は、いけすかない社長や会社、得体の知れない友人、希望を語って近づく企業、生活保護の毒親、あるいは自分がこじらせた夢、あるいは家族。
ブラック企業にしがみつく人や、家族の絆に縛られる人の不幸は、いったい誰のせいなのだろう?
そんなことを考えさせる物語だ。
もちろん閉塞感の中にも救いがあって、飄々と生きる「所さん」や、あっさり飛び立つ「菫」や「百花」、社会に適応できない「紅シャケ君」の存在するこの世界って、捨てたもんじゃないのだ。
ある意味では、世界を肯定する閉じ方で、やっぱり山本文緒が紡ぐ物語はすごい!と思った。 -
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ネタバレ短編集のため通勤時間にサクッと読めた。それぞれのストーリーを一冊の本として読みたいと思った。ハッピーエンドで終わりがちなこの世の物語とは違い、このひとたちは無事なのか、と主人公たちの続きが気になって気になって仕方がない。なぜ題名が『ブラック・ティー』なのか。山本文緒さんの本を何冊か読んだが、題名がお洒落で、でもちゃんとストーリーに合っている感じがして良い。わたしが個人的にすごい刺さったのは「ニワトリ」の妹が姉に言ったセリフ、"脳みそがさ、ほんのちょっとしか入ってないんじゃないの。で、トサカふった途端に、何もかも忘れちゃうのよ、きっと"からの彼氏に愚痴り別れるまでの流れ。
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初めて山本文緒さんを読んでみた。女性ならではの痛いところもあるが面白くて、好きになった。
初めて読む作家なので、まずは受賞作が無難だろう。280頁も頃合だし。題名もなんだか面白そうだ。
肩の凝りがほぐれるかも。
プラナリア、目も手足もないこういう形の生物は苦手だが、それじゃあ目があるからといってナメクジやでんでんむしやひるやだにやもちろんヘビトンボなどというものは気持ち悪いなと思いながら、身体分裂再生機能をもつプラナリア、どういった内容なのか興味津々で読んでみた。
プラナリア
乳がんになってまだホルモン治療を受けている。結構辛い。飲み会などで受け狙いに病気の話をすると、彼氏が悪趣味だと嫌がる。
病院で知り合った人に出会って、仕事を手伝うことになったが。”絶対自分好き”と言う女だった。
ネイキッド
店を手伝っていたが、夫よりやりすぎて離婚された。
暇、と言うものがどういう状態で、どんな感じがするものかをわたしはこの歳になって生まれてはじめて知ったように思う。退屈とはちょっと違う。退屈だったらいくらでも経験してきた
だらだらと暮らしていて、昔の部下に出会って付き合ってみた、ところが一言多くて嫌われたようだ、暇つぶしにも飽きた。
でも、来るかな電話しようかな、微妙に揺れる気持。
どこかではないここ
リストラに会った夫は再就職したが、収入が減ったので夕方からレジのパートに出ることにした。子供たちも大きくなったけれど何かと気にかかる。
義父は入院。母は一人暮らしで用もないのに電話が来る。
ああ、やりきれない環境だ、バイト仲間に誘われたホテル行きを撃退してみたりしながらも、お母さんの痛々しくも逞しく頑張る姿が少し明るい。
囚われ人のジレンマ
両者が相手の戦略を懸命に予想した結果、両者ともに損をしてしまうケースを「囚人のジレンマ」と呼ぶのだそうだ
その研究をしている大学時代の彼と結婚するつもりで付き合っていたが、彼の訳ありに気がついた。まだ決心がつかないでいると、彼のアパートに不意に母親がやって来た。
奇襲攻撃かい。
憤慨してバスに乗って帰ってしまった。
あいあるあした
離婚して居酒屋を始めた俺に会いに、娘が来た。別れた妻は再婚している。海外にいくという娘が母親に無断で会いに来てくれた。
店に変わった娘が来て、手伝ったり手相を見たりしている。常連も出来て、何気ない付き合いがほのぼのとして暖かい。
俺と言う男をうまく書いている。
職場シリーズのような短編集だった、進んでは読まないが、主人公の心境を現実的に書き出すところは確かに受賞作だと感じた。
女について少し嫌味な部分が特にうまい。確かにそうだなぁと思うし、そういう女と付き合う男も、あるあると思わせる。
それだけに余り見たくない部分もあるが、こういう環境にいる気持ちは良く分かる。女性作家が嫌な女を書くとこうなる。
だから長く女流作家の小説やエッセイを避けてきた、そろそろ女も越えていいだろう、と思った時から、女性作家と気が会うようになった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれ結婚前元彼に振られた時に読んでたわ。
短編はすぐ忘れがちなのに
ずーーーっと記憶にの片隅にあったいくつかの物語。
土下座を読んだ時の衝撃。
え?夫婦の性生活ってこんなに難しいの?って。
今ならわかるなw
あと、ますおはゾッとしたけど
離婚したい気持ちは隠しつつ、この旦那と似たような旦那たぶん、多いと思う。
誰もが羨む優しい旦那で、周りにも自分がいかに愛されているか自慢している奥さんや彼女の相手に限って浮気してたり陰ではボロクソ悪口言ってたり。男の職場に居たので、このパターン散々見てきたわ。
愛されてると確信しているから
全く疑わないし信じてるんだよね。
知ってるのは周りだけ。
奥さんや彼女に見せる顔はほんの一部で、嘘も平気でつくのよ。
笑ってるから幸せ
怒らないから怒ってない
何も言わないから何思ってない
褒めてくれるから愛されてる
そう、女は思いがちだけど、実は違うんだなーってのが多いから。
ある意味女より怖いと思う。
何より私も若い頃付き合った相手がこのパターンだったわ。
喧嘩や本音を言い合うって大事。
あまりにも優しいできた人は、少しだけ不安になって別の角度からもみるべき!笑顔の相手に甘えすぎたらダメって事。