【感想・ネタバレ】ばにらさまのレビュー

あらすじ

二度読み必至!
伝説の直木賞受賞作『プラナリア』に匹敵する、
光と闇が反転する傑作短編集。

1,「ばにらさま」 僕の初めての恋人は、バニラアイスみたいに白くて冷たい……。
2,「わたしは大丈夫」 夫と娘とともに爪に火をともすような倹約生活を送る私。
3,「菓子苑」 気分の浮き沈みの激しい女友だちに翻弄されるも、放って置けない。
4,「バヨリン心中」 余命短い祖母が語る、ポーランド人の青年をめぐる若き日の恋。
5,「20×20」 主婦から作家となった私は、仕事場のマンションの隣人たちと……。
6,「子供おばさん」 中学の同級生の葬儀で、遺族から形見として託されたのは。

以上6編を収録。

日常の風景の中で、光と闇を鮮やかに感じさせる凄み。
読み進むうちにぞっと背筋が冷えるような仕掛け。
「えっ」と思わず声が出るほど巧みな構成。
引きずり込まれる魅力満載の山本文緒文学!

2021年10月に惜しくも逝去した著者最後の小説集。

解説=三宅香帆

※この電子書籍は2021年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

山本文緒さんの魅力が詰まった6編の物語だ。

そこにあるのは冒険や成功や心揺さぶられるような恋愛物語ではなく、とても日常的な心模様。
幾つかの短編に登場人物の日記が記されているが、それがとても印象にのこります。
「毎日つまんないことで忙しくていやんなる」
この台詞が山本さんの本書に込めた気持ちを代表して、それを物語にするセンスが個人的には大好きだ。

「この人達はこの後どうなるんだろう?」と読書に余韻と想像力を与えてくれる。
そう、それは登場人物にも「この後の人生」があるから、、
この物語が主人公にとって「人生のほんの一部」だから、、
次に良い出会いがあるかもしれない、後悔しているかもしれない、忘れてしまうかもしれない、、
その余韻をもって物語を締めるのは山本文緒さんの最大の醍醐味だと思う。

表題作の「ばにらさま」の瑞希は決して悪気はない、一緒賢明に毎日を生きているだけの女性だ。
毎日つまんないことで悩み、選択をしようとしている女性だ。
「えっ、それでいいの? この後どうなるの?」と余韻を残して物語は終わる。
だからこそ「ばにらさま」は心に刺ささる物語へ読者の中で昇華していくと思う。

最高にお勧めの一冊。
何度読み返しても味わいが出てくると思います。

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2025年09月05日

Posted by ブクログ

山本文緒さんの小説が好きで、これを読んだら全部読んでしまって、もうこれ以上新しいものが読めなくなる恐怖があった。でも誘惑に勝てず手にして読んだ。解説がこれまた大好きな三宅香帆さんでよかった。ようやく亡くなられたことも含めて受け止められた。
日々の生活は瑣末なことで忙しい。でも愛おしい。

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2025年06月04日

Posted by ブクログ

遺作の小説になる…最期のエッセイ「無人島のふたり」で、以前書いた短編を手直しして1冊にまとめている、と。

それが本書だ。

6話はどれも読んでいるうちに、見えていた景色が反転する。小さな違和感の真相がわかった途端、腑に落ちると同時にザラつきも残す。

「つまんない日常の生活を、面白く描く他に類を見ない作家」(解説:三宅香帆氏より)

どれも秀逸だったが、
『ばにらさま』モテなかった青年に不釣り合いな白い恋人ができた。
『菓子苑』美しくワガママな胡桃に翻弄される舞子、が特に印象的♡

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2025年06月01日

Posted by ブクログ

山本文緒の初期・中期の作品を、まだ私は読んでいない。

あの頃は、なんか江國香織も山本文緒も〈「ザ・恋愛小説」を書く作家です!〉みたいなイメージの売られ方だったから。
(そういえば村上春樹さえも、『ノルウェイの森』とかそんな売られ方、されちゃってましたね)

だから晩年の秀作『自転しながら好転する』を読んで、初めて〈山本文緒体験〉をして、心の機微を描き出す筆致と、伏線を上手に張るプロットの巧みさに感服した。そこには地方のショッピングモールエリアで生きる人々の、妙にせせこましい日常体験が具現化されていた。日常を日常的に描ける作家は、地味にすごい。衝撃だった。

『ばにらさま』は2008年から2015年にかけて
書かれた小話を寄せ集めた短編集。時系列的には、このあと長編の『自転しながら〜』を2020年に完成させ、2022年永眠。

晩年の山本文緒の筆致はすごい。だから、彼女の紡ぐ新しい物語がもう生まれないことが、すごく悲しい。山本文緒が、いまの日本社会をどのように見つめていたのか、それがもう永遠に語られないのが悔しい。

表題にもなった「ばにらさま」。
一見するとお人形のようなアラサー女性が、じつは内面でなにを考えているのか分かると怖いよね、って物語を仮構しているのだけれど、ほんとうはそこには、現代日本のジェンダー格差の問題がずうっと潜在したままなんだよ、ってことに気付かされる。

就職や結婚でサバイバルな生き方を選択せざるを得ない女性の切実さに戦慄するのか、それとも、義父からグループ会社の定職を与えられて実家でのうのうと生活する語り手の「広志」の温室栽培暮らしに社会の病巣を見出せるのか、読者の批評力が試されていると思った。

ネタバレになるから書かないけれど「わたしは大丈夫」や「菓子円」も、テーマは〈反転〉だ。

それまで正しいと思っていたものが、じつは否定されるべきものだったりする。価値観や正当性なんて、視点を変えれば容易にひっくり返る脆弱なものなのだ、私たちの認識なんて。

山本文緒の紡ぐ物語は、そうっと社会の不条理な問題に気づかせてくれる。ただし、おおっぴらにそんな社会批評めいたことを言語化しないので、気づかない人はずっと気づかないのだ。表面的なストーリーだけでも十分楽しめるエンタメ文芸になっているところがすごい。

ただ、一回気づいてしまうと「この作家はどんなふうに世の中を見つめていたんだろう?」とその深淵をふと覗いてみたくなる。

新しい物語は紡がれない。でも彼女がこの世に残していってくれた未読の作品群が私にはたくさんある。遡って読むのもまた一興だろう。次は『なぎさ』かな。

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2025年05月11日

Posted by ブクログ

面白いなあ。
山本文緒さんの小説ほんとに好きだ〜、長編しか読んだこと無かったけど短編も面白い!!
特にバヨリン心中と子供おばさんが好きだった。

なんでこんなにこの人の作品に惹かれるんだろう?っていうのを言語化出来てなかったけど、
最後の三宅香帆さんの解説を読んでスッキリ。

普通の小説は生活を排除する(例えば桃太郎がどんな服を着ているか誰も知らない)けど、山本文緒さんは半径5m以内の出来事を面白く描写するのが上手い、と。言い得て妙だ。
フィクションの非日常な展開ももちろん好きだけど、生活こそ我々の普段見ている世界だから。
日常のささいな見落としてしまいがちなシーンを面白く切り取る天才なんだと思う。

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2025年05月02日

大好き!

山本文緒さんの作品大好きです。日常と小説の世界が見事に一体化していてぐいぐい引き込まれます。短編ですがどれも面白いし、ハッとさせられます。もっともっと作品を世の中に出して欲しかったです。もっと読みたかったです。

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2025年02月01日

Posted by ブクログ

Audibleにて。
初めての山本文緒さんの小説。エッセイのイメージどおり読みやすく楽しかった。

女のドロドロとした感情を書くのが得意な作家さん。だけど、どこか現実味なくバブリーな林真理子味をいつも感じるのは私だけだろうか。
20×20場所は山本先生の実生活とかぶり、書かれていた風景を実際に見ていたのかななどと、聴いた後になんだか切なくなってしまった。

Audibleで聴きやすいので、もっと山本先生の作品をいれてほしい。

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2025年12月03日

Posted by ブクログ

短編6作品
2021年に亡くなった山本文緒さんの作品
人物の感情表現がリアルに描かれて、ちょっと泣けるとこが好き

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2025年11月04日

Posted by ブクログ

山本文緒さんの最後の作品
いろんな年代の女性が主人公の、日常を切り取った短編集
日常だけど、誰もが当たり前に経験するような日常ではない
不穏な事件やトラブルはないけれど戸惑う主人公たちに思わず共鳴してしまう、読みやすい作品でした

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2025年10月10日

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これが遺作なのか
日常の中に織り込まれたたくさんの女々しい感情だったり愛情だったりがみしみしと感じられる作品

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2025年09月05日

Posted by ブクログ

人って表に見せている顏と裏の顔違うよねっていう作品。
読んだ後、明らかに周りの景色の見え方が変わりました。

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2025年08月15日

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初山本文緒。これが遺作なんだ…
亡くなってるって知らなかったけど、なんか読んでて辛かったな。珍しく。
もっとこの人が読みたいと思わせる作家さん。

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2025年07月11日

Posted by ブクログ

⭐️3.5
「ばにはさま」
地味に破壊力がすごい。あぁ恋愛中毒 描いた人なんだなって改めて感じた。

「菓子宛」
種明かしがうまい

「子供おばさん」
良き。

(総じて)
山本文緒さんの文章って、ちゃんと山本文緒さんって分かるな...って思ってたところに、「バヨリン心中」から、カラッとテイストが変わってて、短編集として、助長さを感じなかったのがよかった。
もうこの小説の作者はこの世にはいらっしゃらないんだなっていうことをほんのり片隅にもちながら、味わって読みました。
最後の三宅香帆の解説文が良くて、三宅さんの本もまた手に取りたいなと思った。

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2025年06月22日

Posted by ブクログ

どのストーリーも女性の内面をうまく描き出している。もっと山本文緒さんの小説は読みたかったなあと、しみじみ思う。

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2025年05月10日

Posted by ブクログ

やっぱり面白い!!!

いわゆる拗らせ女を、こんなにリアルに描ける人が他にいるだろうか?

個人的には辻村深月さんも拗らせ女を書かせたら右に出るものはいないが、辻村さんの作品には妄想が半分を占めている。その少女漫画的な展開があるのも多くの読者を獲得している理由だと思うが!が!20歳までは辻村深月で、25歳からは山本文緒を読むべき!!!と声を大にしていいたい。

私はいま20代前半なのでちょうど過渡期。辻村さんの作品は少し現実味が足りなくて、山本さんの作品がようやく沁みてくる頃。最近友人にもおすすめしまくっているが、大学時代は面白いけどいまいち共感というか実感できなかったところがちゃんと味がするようになってきた!うれしい、、!

長々と書いてきたが、ばにらさまは個人的に表題作でもあるばにらさまとわたしは大丈夫が好き。

好きでもない男に取り付きながら縋ることはできず、結婚しないだろうと高を括っていたのにいつのまにか結婚して倹約な生活を送っている。いわゆる拗らせ女のプライドというか理想と、現実の折り合いが着いた時に生まれる脱力感にも似た感じを描き出すのがうますぎる!この脱力感に共感できるようになった自分の成長を感じつつ、少し寒気がしてしまうくらい。

ちなみに自転しながら公転するを読んだ友人はめちゃくちゃ良かったと力説した後、前半部分はしんどくて読んでられなったと言っていた。

ただそれが山本文緒作品の醍醐味だろう。もう新作をよめないのはつらいが、今までの作品を携えて私は30歳を迎えようと思う。

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2025年05月06日

Posted by ブクログ

この物語は、嫌い、人生つまらない、怒り、癇癪、など汚いと思われる人の心が書いてある。その登場人物達の未来が幸せか不幸せかは、そこまで気にならなかったが、蜜の香りが漂っているなと興味と嫌悪が入り混じったモアモアした感情になった。でも後味は悪くない。

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2025年03月10日

Posted by ブクログ

よかった…
山本文緒さんにしか描けない独特の世界…
短編集に出てくる登場人物の誰一人として、自分と似た境遇ではないのだけれど、考え方や悩みのひとつひとつが妙に生々しくリアルで共感できる。
男性が読んだら、女は怖いと思うのかも…

登場人物の関係性であったり、お話の展開であったり、それぞれの短編に仕掛けのようなものもあって、そこもまた楽しめた。
どちらかというと、苦しかったり、辛かったりする話が多かったが、読後感はとても良かった。

解説が三宅香帆さんで、これまたいい文章だった。

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2025年03月02日

Posted by ブクログ

 厚い蜜を纏った大学芋はカリカリと音を立ててかじると甘い香ばしさが味覚・嗅覚へ一度に幸福をもたらす。これとスプーンに力を込めて山盛りにすくい上げたアイスとをにいっぺんに口に放り込む。至福のひとときである。至福を底上げしてくれるのはバニラ風味のアイスだ。他にも色んな相手と仲が良い。メロンソーダ、万国の嗜好であるコーヒー、米国出身のコーラ、和の至極パートナー黒蜜きな粉。ただ、それは味わう側の第三者の印象。バニラ本人は決して嬉しくないのかもしれない。ベタベタした炭酸水風呂に熱すぎる焦香ばしい温泉、水たまりにハマった直後に砂場に転倒したり、踏んだり蹴ったりなのかもしれない。
 多様な相手に合わせられるバニラ。合わせられる側にも良し悪しはあるし合わせる側にも都合がある。感情がある生き物には何層にも亘り傍目には気付けない気持ちがある。そんな見えない事実を感じさせて頂いた一冊でした。

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2025年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作者最後の短編集。

やはりこの人は等身大の女性の描き方が恐ろしく上手い。特別な人間でもなく、清廉でも崇高でもなく、本当にどこにでもいそうな女性の内面をわかりやすく言葉にする。読む人によっては辛い追体験になりそうなほどに。

いろいろなものを捨てて軽くなるというのは分かる気がする。捨てるまでは特別なものと思い込んでいたのに。そういうことは人生の転換期であるよなあ。

物語としては「わたしは大丈夫」が好き。「20×20」は作者自身が割と入っている?そして短編集のラスト「子供おばさん」。

「何も成し遂げた実感もないまま、何もかも中途半端なまま、大人になりきれず、幼稚さと自分勝手さが抜けることのないまま。確実に死ぬその日まで。」(p.218)

そんな自分でもいいんだという、作者の寛容さや温かさを感じるラストだった。

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2024年12月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『子供おばさん』が印象的だった。
40代半ばで同じように独身だった女友達の死に際し、自らのこれまでの人生を振り返る主人公。平穏さ、ささやかな幸せの記憶の中に「たられば」、葛藤が去来して切ない。
そんな彼女に女友達が託した遺品は、憐れまれていた自分も案外幸せな晩年を過ごしていたのよ、という主張であったと同時に、これからも人生を歩み続ける主人公へのエールであったのだと思う。

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2024年09月17日

Posted by ブクログ

山本文緒さんの最後の作品集。

「ばにらさま」白くて手が冷たい初めての恋人は、誰もが読めるインターネット上に心のつぶやきを綴っていた。
その内容がなんだか怖い。
人の心の光と闇。
今、ネット上のつぶやきは、良い意味でも悪い意味でも色々な影響を与えているような気がする。

「子供おばさん」は、なんだか身近に感じられた。
同じ年齢の女性でも、生き方は様々、生活の様相も異なる。

何もかも中途半端なまま大人になりきれず送り続ける日常。

それでもいいんだと、思えた作品でした。

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2024年09月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編集だがひとつひとつ濃く読み応えがある。ただ、表題作の「ばにらさま」を含む4作品、あっと驚く仕掛けがある話が続いたため、途中から仕掛けが気になってしまい物語に集中しにくくなった。それでも読み進めていくと「20×20」と「子供おばさん」は面白かった。自分の感じ方がある事実を知ることにより変化したり、ひとつの出来事で自分の本音に気づいてゾッとしたり。それでもなお日常が続いていくところが生々しい。それが人生だよね。苦しさの中で小さな暖かさが沁みる。

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2025年11月18日

Posted by ブクログ

2025/06/20
どの話も毎回、途中でうわっとなる場面があった。人間って、怖くて、気持ち悪くて、ままならない生き物だなと。

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2025年06月20日

Posted by ブクログ

山本文緒さんの最後の作品集。短編6本が収められている。
単行本のタカノ綾さんの表紙画のイメージが鮮烈だったので、少し違和感を感じながら購入。文庫本の表紙画はたなかみさきさん、装丁はどちらも大久保明子さん。文字配列が美しい。

表題作『ばにらさま』は、どこにでもいそうな可愛いけど何考えてるか分かんない女の子を、彼女に振り回される男の子の視点および彼女のブログで描いた作品。僕はブログ部分はサラッと読み飛ばしていたのだけれど、解説の三宅夏帆さんは「毎日つまんないことで忙しくていやんなる」って部分に反応していた。さすがです。

その他、終盤で突然くるりと世界が変わってしまう作品が続く。素直に明るい未来を思い描けない作品が多い。『わたしは大丈夫』は全然大丈夫じゃない。『菓子苑』はいつまでも甘くはない。『20×20』は全く覚悟が出来ていない。そんな中、巻末の「子供おばさん」は諦念なのか悟りなのか、暗い独白で締められるのに、何故かカラリとした印象を残す不思議な作品で面白かった。

〜〜〜〜〜〜ラストの独白〜〜〜〜〜〜
「私は週に五日仕事にゆき、休日は犬の散歩と買い出しをし、夜は友人や家族と食事をしたり、風呂の中で推理小説を読んだりする。
何も成し遂げた実感のないまま、何もかも中途半端のまま、大人になりきれず、幼稚さと身勝手さが抜けることのないまま。確実に死ぬ日まで。」

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2025年05月07日

Posted by ブクログ

山本さんは『恋愛中毒』『ブルーもしくはブルー』『自転しながら公転する』につづき4作目の拝読。
いつもの山本さんの、身を焦がすような熱情、恋のどうしようもなさとはまた違う物語でやや新鮮。ちょっとさりげない、でも私なりに感じていた山本さんらしい人間の生々しい感覚が描かれていて満足。
最初のほうはちょっと読みにくいような印象もあったので☆3だが、多少読みにくいだけで読後感は良い。また読ませていただきます!

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2025年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

山本文緒さん最後の作品。

ばにらさま
 男を利用する美人 ブログの本音に主人公が気づき振ると彼女は食い扶持としてしか思ってなさそうなブログで終わる
わたしは大丈夫
 結婚もしたくなかった主人公。電球の取り替えで床に落ち下の住人にドンドンされて薬を大量に飲んで倒れ、不倫相手と結婚することに。前妻には多額の慰謝料、後遺症で主人公は働けない。人と一緒にいるのが嫌な筈なのに、流されるまま生きている。
文章が良かった
菓子苑 一番面白かった
 女友達同士の話と思いきや後半に親子だと判明する。胡桃はやりたい放題で振り回される主人公に見えるが、過去に主人公も若く子供を産み旦那が嫌になって子供を連れて家出する。娘もそれを繰り返す。一緒に住む住まないは主人公は嫌がってるような見えたが、結局互いが依存し合っている。
バヨリン心中
 ポーランド人と祖母の恋愛。東北の震災を機にポーランド人は母国に帰り別れてしまう。最後ポーランド人の孫に主人公が恋をして終わる
恋をするというのは生き物になるということ
20×20
 物書きの主婦。リゾートマンションで缶詰。役所が猪を檻に捕まえてそれが怖くて逃げる。その間にマンションの知り合いが死ぬ。私はこのことも20×二十の原稿用紙に書くのだろうか。猪を捕まえるより醜い。
子供おばさん
 昔の親友が四十代で死に、遺書に五百万渡す代わり飼ってた犬をもらってほしいと書かれていたと、その兄、昔主人公と付き合っていた男に頼まれる。主人公は結局犬と、親友が住んでいた長屋をもらう。そのために仕事も変える。七年会っていなかった親友。不倫をしていたから。その不倫相手の妻が手切で与えたのがその長屋。なぜ主人公にその犬を預けたのだろう?

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2024年10月28日

Posted by ブクログ

山本文緒さんの最後の作品集。先日、闘病日記の無人島のふたりを読んで、この作品を読まないと思い読んでみた。病床でこの作品が世に出るのを励みしていただけあってか読み応えはあった。でもなかなかページが進まない。ありきたりな日常、日々の何気ない生活描写が続くからかな。でも、そんな日常もそれぞれの作品の後半でひっくり返る仕掛けがあった!驚いたらあっと!と思わらせたり。この手の作品は読んだことがなくて戸惑ったけど面白かったです。

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2024年10月27日

Posted by ブクログ

そうくるか!ってなる結末が多い短編集。
他人が本当に思っていることなんてわからないから考えても仕方ないね。

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2024年10月07日

Posted by ブクログ

なるほど二度読み必至とはあの事だったのか
最初帯から『ばにらさま』が二度読み必至かと思い読み終えて悩んでた
どうゆうこと?って
違うお話のことだったのね

『菓子苑』での親子関係は身近な親子でとてもよく似た親子を知っている
いるんだよね、ほんと
育て方、間違えるとああなるんだよね

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2024年09月08日

Posted by ブクログ

 ただ幸せが欲しいだけ。

 目先の安寧に縋ってしまっては失敗して後悔しもする。でも、それが私。

 そんな要領の良くない女性たちを描いたヒューマンドラマ短編集。
          ◇
 大手の金属会社が設立運営する冶金研究所で雑用係 ( 庶務 ? ) を務める僕に、生まれて初めて恋人ができた。

 彼女の名は竹山瑞希。肥満体で冴えない僕にはもったいないほどの美少女だ。
 山形生まれの彼女はバニラアイスみたいに色白で、冬でも薄着のせいなのか華奢な身体は冷えきっていて寒そうだ。

 瑞希ちゃんは優しい。僕のことを広志くんと呼んでくれるし、目当てのレストランの予約が取れなくても怒ったりしない。ニコニコして居酒屋につきあってくれる。そんな彼女は、僕にとっては女神さまみたいな「ばにらさま」だ。

 けれど、ある日たまたま彼女のブログを見つけてしまい……。
    ( 第1話「ばにらさま」) ※全6話。

      * * * * *

 どの話も最後に、主人公 ( 第1話のみヒロイン役 ) の女性がふっ切れたように前を向いて生きる気になるのはいいのだけれど、それまでの屈折ぶりが痛いというか、読むのがつらい。

 例えば第1話の「ばにらさま」こと瑞希は主人公の広志が勤める冶金研究所の事務を担当する派遣社員なのですが、仕事よりも彼氏選びに余念がありません。

 瑞希はかなり結婚というものを意識しているようで、自分の魅力を有効活用しようとしているフシが見られます。広志には自分から告白して彼氏にする一方、合コンなどにも積極的に参加していい男をつかまえるチャンスを狙っているのです。
つまり瑞希は広志を “滑り止め” として押さえてあるだけで、愛情はかなり希薄な感じです。

 恋愛よりも、豊かで安定した生活を手に入れたいだけの瑞希。だから打算で生きる瑞希の心はいつも満たされず、それは身体の冷えにつながっていました。
 そんな瑞希の不満のはけ口はブログに思いをぶちまけることでしたが、ある日それを安全パイであったはずの広志に気づかれてしまい……。

 穏やかで人のよい広志に対する瑞希の姑息で白々しい振る舞いに、読んでいてイライラしてしまうのですが、なぜか瑞希を憎み切ることができません。ここに山本文緒さんの狙いがあるのだろうと思いました。


 いちばん気に入ったのは、最終話「子どもおばさん」です。

 主人公の夕子は、独身でひとり暮らしの中年女性です。仕事でもプライベートでも打ち込めるものがないまま生きてきて、気づけば47歳になっていました。
 夕子には、美和という中学時代からの友人がいます。ただ、さる理由で7年ほど前から疎遠になっていたのですが、ある日、美和が急死したと彼女の兄から連絡を受けます。とりあえず葬儀に参列した夕子を待っていたものは……。

 美和の死によって自分の生き方を見つめ直した夕子が、それまでの生活を一変させていくさまが清々しくて、読後感も上々でした。

 その他では東日本大震災による原発事故を描き込んだ第4話「バヨリン心中」が印象に残りました。

 
 久しぶりに読む山本文緒さんの作品。短編の中に独特の情緒を漂わせる山本さんの作風を堪能できました。 ( これが遺作だそうですね。)
 山本文緒さんの御冥福を、心からお祈り申し上げます。

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2024年01月12日

Posted by ブクログ

えぇええ、モブのくせにバニラさま降っちゃうんですかぁああ。縁故採用でホワイトカラーの職につけた君がモテる理由なんて、いい会社に勤めて都心に土地持ってる以外は1ミリもないと思うけど、ばにらさまのSNS日記っ内緒でチェックしてるとかキモイし、検索可能なネットに晒す本心なんて誰か構ってほしい演技入ってるの常識だし。ばにらさまは派遣でいつ切られるか不安で年も誤魔化してるしそれだけ必死なんだから、彼氏なら優しくフォローしたらいいのに、自分のこと本当は好きじゃないとか、そんなこと後から変化することだし細かいとこ気にせず、ばにらさまのこと好きなら自分から積極的にアプローチすればいいのに、自意識過剰で包容力なさすぎのダメダメ男の話でした。
てか、彼女の部屋ですき焼きご馳走になって、シャワーまで浴びて何もせずに帰るとかとんだゲス野郎でした。
他5編の短編集、冴えない女性が愚痴ってますがなんだか他人事に思えず楽しく読ませて貰いました。
情熱的な話の「パリオン心中」はよく知ってる浜名湖の舘山寺とか浜松が出てきて楽しめましたが時代考証ズレてるんではって気づき始めたら、あれよあれよって年寄りの話は迷走して面白かったし、「20×20」はご本人のエッセイなのかな?作家生活憧れるなぁ「子供おばさん」も楽しい話でした。この作品の中にも鰻を食べに行く件があってやっぱ食べたーい。

初読みの作家さんでしたが2年前に58歳の若さで他界されて本作品が遺作とのこと、こころよりご冥福をお祈りいたします。

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2024年09月09日

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