山本文緒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
再読。記憶なし。本棚に数多く在る本の中から、今の気分にあった一冊を、で、手にとったらエッセイでした。
結婚してみて、結婚は大して良いものではない!向いてない?もうこりごりだ…と思っていても、何故好きな人ができると「結婚したい」とか思ってしまうのだろう?
三秒後には、いやいや…と首を横に振ってるのに。
この「結婚願望」は厄介だ。などと思っていたので。
『どうしてひとは、こうも結婚願望から逃れられないのだろうか。』
『うまくいっている結婚は人が宿命としてもっている孤独を一時的であれ、忘れさせてくれるものなのかもしれない。』
『結局のところ、人が結婚したいと思うのは、世界中のほとんどの人は大人に -
Posted by ブクログ
山本文緒さんによる、「喪失」をテーマにした短編集。
私はもともと短編集は読むのが苦手な人間で、その作品の雰囲気や前提となる背景、登場人物などが毎回入れ替わるのが苦痛に感じてしまう方なのですが、この作品はするすると世界に入り込めて、切り替わる人物などに不思議とストレスを感じませんでした。
「いってしまう」という標題にあるとおり、登場人物たちは何らかのものを「失う」のですが、それが単に人だけではなくて、財布やプライド、はては人間関係やぎりぎりのところで保っている気持ちだったりして、有形無形さまざまに混ぜこぜなところが面白いです。
一話ごとにメモしたくなるような「はっとさせられる」台詞 -
Posted by ブクログ
以前読んだ『プラナリア』が面白かったので、違う小説も読んでみたいと思い購入。
本作は味覚障害、アトピー性皮膚炎、突発性難聴などなんらかの問題を抱えた女性が主人公の短編小説。
一編は約30ページくらいで非常にすっきりとしたボリュームで読みやすく、また作者さんの文章も非常にお上手なので最後まで退屈せずに読めた。
一番印象に残ったのは『夏の空色』。
昼間からビールをガブガブと飲んでしまうアルコール依存性の女性の物語なのだけど、まさかその女性というのが高校生だとは思っていなかったので斬新な設定でいいなあと思った。
アルコール依存性になった背景、ラストにおける主人公の心境の変化、この二点がしっかりと -
Posted by ブクログ
ネタバレ読んでいる最中、背中がぞわぞわしてしょうがなかった。
大学を中退し、家事手伝いとして過ごしているさとる、24歳。
2歳年下の彼は大学4年で、就職も決まった今、自由な時間をさとると過ごしたいと思っている。
しかし、さとるはいつも母の影におびえ、門限を絶対に破ろうとはしないのだ。
父の姿のないさとるの家では、母が絶対的権力者で、何か気に入らないことがあると暴言を吐く、だけではなく、暴力も振るう。
さとるは母に愛されている実感がないまま、母を怒らせないように気を遣って生きているのだ。
さとるの妹みつるは逆に、母に反発を隠さない。
ただし、やっぱり逆らうことはできない。
しんと冷たい家族の姿がそこに -
Posted by ブクログ
あらすじや表紙絵から、逆境を乗り越えて成長していくヒロインの生涯、のような朝ドラ的さわやかものを想像していたら全然違った。
いや、主人公・手毬の60年を描くと言う意味では合っているのだけど、そこはさすが山本文緒さんの小説。複雑にもつれ変わり続ける家族関係は、朝ドラよりも昼ドラに近くて、でもただドロドロしているだけじゃなくて、私はここに「人生」を感じた。
手毬とそのまわりの人物たちが互いに翻弄され影響し合う、愛というややこしいものの因縁や、血は争えないという事実の途方もなさに、時に泣き、時に笑いながら、壮大な気持ちで読み終えた。
最近は親ガチャなんてワードがあるけれど、どこでどう生まれ育ったと -
Posted by ブクログ
ネタバレお笑い好きだし読んでみよーって軽い気持ちで読み始めたらものすごい心に響いちゃって何回も泣けるところがあってめちゃくちゃ好きな本に出会ってしまった!。(疲れてんのかな…笑)
特に無関心に見えた小春のお父さんが実は愛に満ち溢れていて獅子のように力強い人だと気づいたところは泣けた。そしてラストの漫才シーンは胸熱。多くの人に認められて、くみの厳しい親父も素直ではないけど小春たちの漫才を認めてくれて本当に良かったし、何よりも小春が父とよく行っていた寄席にスカウトされてそこで漫才できることになり、そこにお父さんをさらっと招待するという完璧な流れ。最高だった〜。これからも頑張れ大春小春。
人生いろいろあ -
Posted by ブクログ
結婚生活における男女の心の葛藤を描いた八編の短編集。僕にとっては二冊目の山本文緒作品読書となりました。
この本の感想を書く前に、白状しておきます。僕のファースト山本文緒作品は「パイナップルの彼方」。
林真理子の小説に寄稿されていた著者の解説に接したのが切っ掛けでした。読んだ直後は、自分の感情を言葉に出来なかったのですが、今は出来ます。不愉快でした(笑)。
当時記した「パイナップルの彼方」の読書日記を読み返すと、苦し紛れです(汗)説教してるし(俺)。ハードボイルドとか書いているし……。
ハードボイルドは「固ゆで(卵)」。中身が見えません。外面描写に徹した小説の手法です。
「パイナップルの彼方」