山本文緒のレビュー一覧

  • ブラック・ティー

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    大きなものから小さなものまで、さまざまな「罪」をテーマにした短編集。

    短編なのがもったいないくらいどれも面白くて、もっとこの世界観に浸っていたいのに‥と思いながら最後の行を読むこと10回。中でも忘れ物を盗んで生計を立てている女性のお話(ブラック・ティー)と、ゲイバーで働く女性のお話(水商売)が好きだった。

    どのお話も、ここからもっと展開がありそうな気配を残して終わるので、読者の想像力に委ねるタイプの小説が好きな人にはとても刺さりそう。

    ハッピーエンド世界は優しい努力は報われる!みたいなお話が苦手なわたしにも合っていました。以前プラナリアを読んだときは、登場人物にまったく共感できなくて、ち

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    2026年07月03日
  • 絶対泣かない

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    どれも読み終わった後に心がほの温かくなる作品だった。

    中でも『花のような人』『天使をなめるな』『女神の職業』『真面目であればあるほど』『もういちど夢を見よう』は好きな作品。

    『花のような人』ではフラワーデザイナーとして人生が充実した薔子と、内面が成長した主人公が、お互い人として成長した後に再び築く、以前よりも深い人間関係を羨ましく、微笑ましく思った。

    『天使をなめるな』では、ラストの主人公が酔っ払いをぶん殴るシーンが良かった。
    自分がどん底にいる時は、酔っ払いでもぶん殴ってみようかと思った。

    『女神の職業』は、女優の彼女がとても魅力的に感じた。元々沈まない性格なのか、沈んでいたけれども

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    2026年07月01日
  • 眠れるラプンツェル

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    無気力無機質怠惰無為に過ごしている主人公の日常の描写がリアルすぎ。ルフィオの父親の役割はよくわからなかったけど、結構深刻にぶっ壊れていて怖かった。
    読後感が苦しょっぱい。もう少し救われてほしかったな

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    2026年06月30日
  • 自転しながら公転する(新潮文庫)

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    アパレルで契約社員として働く32歳の都がすし職人の貫一と付き合い、未来に目を向けていく姿を描いた作品。

    32歳実家で暮らし契約社員の都が、自分のステイタスは棚に上げて貫一の学歴や経済状況に不安を感じる姿に、アラサー女性のリアルさを感じた。

    私たちは変わらないようで同じ日は一日とない、タイトルが素敵。

    「少しくらい不幸でいい」「思い通りにはならないもの」と思えるマインドは、不幸にならない考え方でいいと思った。

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    2026年06月26日
  • きっと君は泣く

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    椿と祖母どちらにも共感出来なかったし、自分勝手すぎて好きになれなかった。
    こんなに嫌な女性が出てくるのに、途中でやめることなく、読後感も悪くなかったから不思議。
    さんざん周囲にわがままを言って振り回してきた祖母と椿は結局自分たちが1番その言動に振り回されて、大切なものを見失ってしまう。
    もっと素直になれば良かったのに、そう思わずにはいられなかった。

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    2026年06月25日
  • 自転しながら公転する(新潮文庫)

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    ネタバレ


    生い立ちや経済力など、決して自分と境遇が丸かぶりするわけではないのに、同じ「30代初期」というだけでこんなにも世の中のとって足らぬ事象が精神に食い込んでくる感覚は同じなんだと思った。

    何よりも、物語のメッセージとしては最後の都の「別にそんなに幸せになろうとしなくていいのよ。幸せにならなきゃって思い詰めると、ちょっとの不幸が許せなくなる。少しくらい不幸でいい。思い通りにはならないものよ」という発言に凝縮していて、100%の幸せを求めなくてもいいんだ、いや、諦めなければいけないんだ、求めすぎてはいけないんだ、と現実を見せてくる。しかしそれは、読者にミスリードを与えるプロローグがあることにより、

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    2026年06月24日
  • ばにらさま

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    山本文緒先生の遺作。「自転しながら公転する」でも感じた、女性いや人間の日常に反する心の抗いというか鬱々とした感情が伝わった。本作は短編集なのでそれぞれ読みやすい。女性を主人公に置いている共通点はあるが異なるテーマから描いていたので、差別化されてて良き。

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    2026年06月23日
  • 絶対泣かない

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    ネタバレ

    超短編集。すごく読みやすい。
    パターンは大体毎回一緒で、「なんだこいつ」「なんでこんなことに」と思うものが、何かのきっかけで解消されるという流れ。
    わかりやすく、すっきりもできて良かったが、物足りなさが否めなかった。

    しかし、働く女性像をこれだけの種類描けるのがすごい。お茶汲みとか、古くさい働き方も出てきていたが、まさか1995年の出版とは思わなかった!
    それほど、今でも共感ができる内容だった。

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    2026年06月15日
  • 自転しながら公転する(新潮文庫)

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    ネタバレ

    プロローグがどう絡むのか考えながら読んだらまさかの展開だった。
    「幸せにならなきゃと思い詰めると少しの不幸も許せなくなる。ちょっとくらい不幸でいい。」っていう都の言葉良い。

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    2026年06月12日
  • 恋愛中毒

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    ネタバレ

    再読
    主人公の水無月美雨の場合、恋愛というより依存。
    もうこうなるとホラーで、自分自身を苦しめるだけなのに、どうしようもできないのだろ。
    もう本当に人間って本当に怖い。
    それなのに、また以前のような関係に戻ってしまうのは、男女の関係の奥深さよ…。

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    2026年06月11日
  • プラナリア

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    若くして癌で片方の胸を摘出した春香。
    母も私が子供の頃に片方の胸を摘出した。

    春香が家族に八つ当たりしていたが、私も彼女の両親と同じような目に遭っていた。

    母は病気をしてからより一層心が醜くなった。
    病気や障害をアイデンティティだと例えたり、あえて他人に晒す気持ちも分からなくはない気がするが、周りはかなり気を遣うし、どうリアクションしたらいいか分からない。そういえば自身の身体障害を逆手に周りを振り回す迷惑な社員がいて、彼女の事を思い出した。

    個人的に「プラナリア」がトラウマだったので他の話が霞んでしまった。各話共通で無職の女性がテーマなのかと思えばそんな事はないらしく、どの女性も嫌な所を

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    2026年05月31日
  • 恋愛中毒

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    こわい。
    執着が怖いのに、先が気になってどんどん読み進めてしまった。
    途中からはずっしり暗い気持ちになって、辛かった。
    人間は弱くて、弱い者同士支え合ってる。
    恋愛でもそうなのかもしれないけど、
    私はいつも、自分が相手に飽きられることよりも、自分が好きになった相手をいつか拒絶してしまう日が来ることが怖い。
    この本を読んで、執着されている側の登場人物に同情した。

    いきすぎた他責はみっともないとも思いつつ、自分がそうではないからと言って偉そうにしてはいけない。
    ただ、苦境を乗り越えて自分で明るくしてきた人は偉いと思う。

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    2026年05月24日
  • 恋愛中毒

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    ネタバレ

    タイトルに惹かれて読み始めた。冒頭の一人称が男性だったのでこの人が主人公かと思って読んでいたが、職場の水無月さんとの会話から一人称が彼女に移り変わる。一人称の交代が自然で読みやすかった。最初はよくある、傷つけてくる男性だとわかっていながらも沼ってしまう女性のお話かなと思いながら読んでいたが、全然違った。どんどんヒートアップしていく水無月の狂気的な行動は、彼女と関わる男がそうさせたのか親の育て方なのか先天的なものか、分からないがそんな彼女に対して創路が言った、被害者ヅラするなという言葉が印象的だった。親にこうさせられた、とか最終的には自分で決めた選択であるはずなのに他責思考な主人公の発言が自分と

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    2026年05月18日
  • 恋愛中毒

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    おもしろかったけど登場人物の誰にも共感できなかった。
    特に荻原。何であんな人をずっと庇っているんだろう。お風呂も済ませて夜に女友達のために出ていく旦那さんとか絶対いやだ。
    別れた夫に無言電話をかけることが当たり前になっていること怖い。

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    2026年05月13日
  • 恋愛中毒

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    情景が浮かぶようで、まあまあ長い小説なのに引き込まれた。恋愛小説は苦手だけど『自転しながら~』より良かった。

    恋愛になると全て相手合わせてしまう水無月。
    『私がこんなに尽くして愛しているのに、何がいけなかったの?嫌いになったの?』
    ⇒典型的な重い女の言い分である。
    (頼んでないし、押付は迷惑である)

    元夫(藤谷)への気持ちが心の底にあって、
    創路功二郎という有名人との愛人生活に落ちていく。最後は捨てられて恋愛中毒になった原因の荻原の会社事務になったのか…と思ったら、そうではなく現在進行形のかたちで終わる。

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    恋は盲目、相手をそんなに好きになれるの

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    2026年05月07日
  • あなたには帰る家がある

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    2組の夫婦が不倫する話です。
    女は専業主婦がいいだったり、考え方が古いなと思いましたが、1994年の出版だったので妙に納得しました。
    とにかく不倫がバレてからの展開は気になって一気に読みましたが、少しマヌケな主婦だったり、なかなかのゲス野郎が相手だったり、キャラに極端なズレがあるなと思いながら読み終えました。

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    2026年05月06日
  • 絶対泣かない

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    その時の心情からタイトルに惹かれ購入した本。
    様々な女性の仕事に対する短編集。
    私は営業部員の話を聞かせて、という話しが好きでした。
    あとがきと文庫版あとがきに書かれていることが、ちゃんと読者に問いかけてて、そうなんだよなぁ、と一番共感したかもしれません。

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    2026年05月05日
  • 絶対泣かない

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    3.5

    様々な職業に就く人々の短編集。
    中では

    花のような人………フラワーデザイナー
    ものすごく見栄っぱり………体育教師
    真面目であればあるほど………銀行員
    もういちど夢を見よう………水泳インストラクター

    が好きだった。

    あとがきはたしかに良かった。
    文庫版あとがきは、働いている人を励ましている一方で、扶養されている人のことを少し下げる言い方なのが残念だと思った。
    扶養内パートもアルバイトも主婦も、色々な形、バランスで働いていることに変わりはないので、その辺を上手く丸く書いてあればもっと綺麗だった。

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    2026年05月04日
  • みんないってしまう

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    『みんないってしまう』。タイトルからして、おいてけぼりを食わされたような嫌な寂しさが漂っている。

    出てくるのは、恋人を失ったり、愛情や信頼を失くしたり、そんな人達ばかり。特に『裸にネルのシャツ』や『イバラ咲くおしゃれ道』が面白かった。どの話も「で、結局どうなったの?」というところで放り出される。その不親切な結末のせいで、嫌でもその後を想像させられるのがこの本の底意地の悪い魅力だ。

    表題作の中に、「ひとつ失くすとひとつ貰える。……(中略)……思いもよらない美しい岸辺まで」という言葉がある。
    でも、今の私には、もし大切な人を亡くしても新しく何かを貰えるなんて、どうしても思えない。後に残るのは、

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    2026年05月01日
  • 再婚生活 私のうつ闘病日記

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    無人島のふたりが面白くて続けて購入。
    最初の日記で、夫を王子と呼んでいるとあって、無人島のふたりの最後の日記で出てくる王子は夫のことだったんだ…とぐっときた。

    あとがきが良くて、良い気持ちで解説も読んだら「主人公は本当にうつだったのでしょうか?」とあってむっとした。でも時間をおいて読むと、筆者と日記の中の私を分けて論じていることを冷静に受け止められた。私はこういうの、わりとありのままを書いてると思うんだよな。

    *青春とはその人の生き方の落とし所を見つける旅なのではないでしょうか。

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    2026年04月29日