山本文緒のレビュー一覧
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大きなものから小さなものまで、さまざまな「罪」をテーマにした短編集。
短編なのがもったいないくらいどれも面白くて、もっとこの世界観に浸っていたいのに‥と思いながら最後の行を読むこと10回。中でも忘れ物を盗んで生計を立てている女性のお話(ブラック・ティー)と、ゲイバーで働く女性のお話(水商売)が好きだった。
どのお話も、ここからもっと展開がありそうな気配を残して終わるので、読者の想像力に委ねるタイプの小説が好きな人にはとても刺さりそう。
ハッピーエンド世界は優しい努力は報われる!みたいなお話が苦手なわたしにも合っていました。以前プラナリアを読んだときは、登場人物にまったく共感できなくて、ち -
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どれも読み終わった後に心がほの温かくなる作品だった。
中でも『花のような人』『天使をなめるな』『女神の職業』『真面目であればあるほど』『もういちど夢を見よう』は好きな作品。
『花のような人』ではフラワーデザイナーとして人生が充実した薔子と、内面が成長した主人公が、お互い人として成長した後に再び築く、以前よりも深い人間関係を羨ましく、微笑ましく思った。
『天使をなめるな』では、ラストの主人公が酔っ払いをぶん殴るシーンが良かった。
自分がどん底にいる時は、酔っ払いでもぶん殴ってみようかと思った。
『女神の職業』は、女優の彼女がとても魅力的に感じた。元々沈まない性格なのか、沈んでいたけれども -
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ネタバレ
生い立ちや経済力など、決して自分と境遇が丸かぶりするわけではないのに、同じ「30代初期」というだけでこんなにも世の中のとって足らぬ事象が精神に食い込んでくる感覚は同じなんだと思った。
何よりも、物語のメッセージとしては最後の都の「別にそんなに幸せになろうとしなくていいのよ。幸せにならなきゃって思い詰めると、ちょっとの不幸が許せなくなる。少しくらい不幸でいい。思い通りにはならないものよ」という発言に凝縮していて、100%の幸せを求めなくてもいいんだ、いや、諦めなければいけないんだ、求めすぎてはいけないんだ、と現実を見せてくる。しかしそれは、読者にミスリードを与えるプロローグがあることにより、 -
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若くして癌で片方の胸を摘出した春香。
母も私が子供の頃に片方の胸を摘出した。
春香が家族に八つ当たりしていたが、私も彼女の両親と同じような目に遭っていた。
母は病気をしてからより一層心が醜くなった。
病気や障害をアイデンティティだと例えたり、あえて他人に晒す気持ちも分からなくはない気がするが、周りはかなり気を遣うし、どうリアクションしたらいいか分からない。そういえば自身の身体障害を逆手に周りを振り回す迷惑な社員がいて、彼女の事を思い出した。
個人的に「プラナリア」がトラウマだったので他の話が霞んでしまった。各話共通で無職の女性がテーマなのかと思えばそんな事はないらしく、どの女性も嫌な所を -
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ネタバレタイトルに惹かれて読み始めた。冒頭の一人称が男性だったのでこの人が主人公かと思って読んでいたが、職場の水無月さんとの会話から一人称が彼女に移り変わる。一人称の交代が自然で読みやすかった。最初はよくある、傷つけてくる男性だとわかっていながらも沼ってしまう女性のお話かなと思いながら読んでいたが、全然違った。どんどんヒートアップしていく水無月の狂気的な行動は、彼女と関わる男がそうさせたのか親の育て方なのか先天的なものか、分からないがそんな彼女に対して創路が言った、被害者ヅラするなという言葉が印象的だった。親にこうさせられた、とか最終的には自分で決めた選択であるはずなのに他責思考な主人公の発言が自分と
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情景が浮かぶようで、まあまあ長い小説なのに引き込まれた。恋愛小説は苦手だけど『自転しながら~』より良かった。
恋愛になると全て相手合わせてしまう水無月。
『私がこんなに尽くして愛しているのに、何がいけなかったの?嫌いになったの?』
⇒典型的な重い女の言い分である。
(頼んでないし、押付は迷惑である)
元夫(藤谷)への気持ちが心の底にあって、
創路功二郎という有名人との愛人生活に落ちていく。最後は捨てられて恋愛中毒になった原因の荻原の会社事務になったのか…と思ったら、そうではなく現在進行形のかたちで終わる。
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恋は盲目、相手をそんなに好きになれるの -
Posted by ブクログ
『みんないってしまう』。タイトルからして、おいてけぼりを食わされたような嫌な寂しさが漂っている。
出てくるのは、恋人を失ったり、愛情や信頼を失くしたり、そんな人達ばかり。特に『裸にネルのシャツ』や『イバラ咲くおしゃれ道』が面白かった。どの話も「で、結局どうなったの?」というところで放り出される。その不親切な結末のせいで、嫌でもその後を想像させられるのがこの本の底意地の悪い魅力だ。
表題作の中に、「ひとつ失くすとひとつ貰える。……(中略)……思いもよらない美しい岸辺まで」という言葉がある。
でも、今の私には、もし大切な人を亡くしても新しく何かを貰えるなんて、どうしても思えない。後に残るのは、