山本文緒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
のっけから、爽やかでライトな表紙からは想像できないような、どこにも逃げ出せない日々の描写が細かいディテールで続き、息が詰まる(リアルという点ではいい意味で)。
結構随所にきついセリフがあり、よくある優しい小説とは一線を画す。
妹にカフェをやりたいと持ちかけられた姉が、「なに浮ついたこと言ってんの」「働きたいのならコンビニのアルバイトでも新聞配達でも、体使って真面目にやれば?」と返答するのとか、しんどい!
3歩進んで2歩さがるペースで、ゆっくりと登場人物たちが殻を破り、能動的に人生に立ち向かえるようになるまでを、のめり込んで読んだ。
冬乃の「何にもできない、働く自信がないってただ嘆いて、できないんだからしょうがないってどこかで開き直ってたところもあったと思います。自己評価が低すぎるのって、高すぎるのと同じくらい鼻持ちならないのかもって最近気が付いたんです」というセリフが心に刺さった。 -
Posted by ブクログ
「自分らしく生きるとは」ということについて、たまに考える。とくに今の自分の状況が、先が定まっていない、ある意味でとても自由な状態だから。
自分らしく生きたいけれど、それは言葉で言うほど簡単ではないことを、既に分かってしまっている。
もしかしたらそれはものすごく簡単なことなのかもしれないけれど、そこに踏み出す勇気を持つのが若い頃のようにはいかなくなっているという意味で、簡単ではないと感じてしまっているのかもしれない。
…などとぶつくさ考えながらのレビュースタートなのだけど、山本文緒さんの小説やっぱり好きだなとシンプルに思った。
先日亡くなられてしまったので未読のものを読んでいこうと思っているのだけど、苦しい中に光が見えたり、辛いけれど希望があったりするところが、まさに人生に似ていると感じる小説だった。
主人公はごく平凡な主婦の冬乃。夫の佐々井くんとともに、故郷を出て暮らしている。ある日しばらく没交渉だった妹の菫が転がり込んできたことで人生は動き出す。
もう1人の主人公は、芸人になることに挫折して会社員となった川崎。勤め先はブラック企業で、そこで世話になっている上司は冬乃の夫の佐々井。川崎は会社がブラック企業であることに気づきながらも、なかなかやめることもままならず、恋人の百花との関係も悪くなっていく。
この2人の目線の章が交互に続くかたちの物語。冬乃の目線から見た夫の佐々井や妹の菫、そして佐々井の部下であった川崎の姿。そして川崎の目線から見た佐々井や冬乃、彼らをとりまく人々の姿。
菫の行動に巻き込まれるかたちでカフェを始めた冬乃なのだけど、それが辛いかたちを迎えつつも、ひとつの大きな転機になる。そしてそれが、なあなあのまま暮らしてきた夫や、いわゆる毒親である両親との関係を考え直すきっかけとなる。
実際の人生もそういうことがある、と思う。思いがけない風に人生が動いていって、その先にあった出来事が自分の価値観をがらりと変えてしまうことが時々ある。一見悪いことに見えることが、後々自分を変えてくれた大きな出来事だったと気づくことがある。
ドラマティックではない自然な流れでそういうことが描かれていて、読んでいて辛い気持ちになったりしつつも、最後には勇気を与えられたような心持ちになった。
良い人間と悪い人間、努力する時間と怠ける時間、良い部分とダメな部分、両方がきちんと表現されているからリアルなのだと感じた。
重めなのにとても清々しい物語だった。
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Posted by ブクログ
紙婚式 山本文緒 著
山本さんの購読は初めまして。
寄贈してくださった方の本の一冊です。
描かれているのは、複数組の夫婦の姿です。
いずれも、決して良好な関係ではなく、すれ違いの姿です。
初版は1989年。
そう、バブルが終わる時期です。
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さて、厚生労働者の人口動態統計/平成27年の離婚率は、
1975年 12.7%
1990年 21.8%
2015年 35.6%
です。
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2015年の方が、小説執筆時期よりも、遙かに高い割合です。
紙婚式の小説で描かれている夫婦像は、現代の令和の時代にこそ共通事項が多いのかも、、、と考える機会となりました。
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Posted by ブクログ
筆者の鬱病闘病日記。
読んでいてツラかった。
日記になっているので、彼女の思考がごく自然にナチュラルに身体に入ってくる。
それが読んでいてウツ的思考なのかすら、読んでいる最中はわからない。
けれど、後半になるにつれて前半での思考や行動が鬱症状だったことがわかってくる。
この作品は筆者の目線で書かれているが
夫の目線だとまた全然異なる作品になることだろう。
この作品名が「再婚生活」である事が、筆者からの最大限の愛情表現。
そして最後に
精神科医師は本当にすごい。
人は誰しも変わらない。けれど、楽しみ生きる権利はある。
その可能性を医学の力を使って最大限生かす。
恐ろしくもあり、深い仕事だと感じた。
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Posted by ブクログ
いろんな31歳のファースト・プライオリティー(最優先)
31歳にもなれば結婚してたり、子どもがいたり、
離婚して出戻ったり、恋人がいたり、
遊んでいたり、恋人探しをしていたり、
仕事に明け暮れたり、夢と現実の狭間にいたり…
いろんな境遇があるのにどれも身近にも見える。
今年31歳を迎える私。
ファースト・プライオリティーはなんだろう。
あぁ、昔はこれと言えるものがあった気もする。
31歳、なんにでもなれそうだし、
なんにもなれなさそうな齢。
最優先と言えるものがいちばん揺らぎやすい年齢なのかも。
最後の「小説」はご自身のお話なんだろうか。
一文字一文字から感情が伝わってくる気がして
なんだか胸がいっぱい。