山本文緒のレビュー一覧

  • 紙婚式

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    ご命日なので、もう一冊。

    新婚ではない、熟年夫婦でもない、結婚してから数年の若い夫婦達の結婚生活の不協和音。8編の短編集です。
    人生三度目の土下座に悩む小心の夫「土下座」
    納得の政略結婚のお嬢様の別宅がある夫への愛「子宝」
    口論もできず演じた夫婦の結末「おしどり」
    地元の同級生と結婚、貞淑な妻の心の不貞「貞淑」
    穏やかな夫の隠された生活。トドメのラスト1行「ますお」
    明朗な夫の親との不仲に手を差し伸べる「秋茄子」
    同居十年目のカップルの別れ。結婚の有効性を問う「紙婚式」

    一緒に暮らすパートナーの見える部分が全てではない。話すことより飲み込む言葉の方が多い。どの短編もラスト5行に掴まれる。

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    2025年10月13日
  • 落花流水

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    散る花と流れゆく水。
    落花は流水のままに流れたいと思い、流水は落花を乗せて流れたいと思う。
    互いに惹かれながらも抗えない運命を思わせるこの成句のように、母娘三代の“流れ”を描く物語。

    家庭や安寧の対極で生きるような女性たち。若くして娘を産み、母に育てさせた女。その娘・手鞠を中心に、1967年から2027年まで十年ごとに時代を移しながら、流れゆく様子を描きます。

    自ら流れに落ちたようで流されぬ母、やがて流れに身を任せる手鞠、そして踏みとどまろうとする手鞠の娘たち。
    彼女たちが求めるのは、愛か自由か。
    安定の見えないその生活に耐えられる彼女たちは強いと思う。

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    2025年10月13日
  • そして私は一人になった

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     山本さんの日記。エッセイとはひと味違い、日々の記録が包み隠さず描かれている。

     読者へ向けて読ませようという姿勢はない為、面白く描かれていることもあれば、メモのようにサラッと記録されたものもある。

     他人の日記を読むというのは新鮮でした。

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    2025年10月06日
  • 自転しながら公転する(新潮文庫)

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    何も考えたくないのに反芻思考をしてしまって、上手く言葉にできないし考えて言語化すること自体が疲れてやりたくないと思ってしまうし、今人生に大疲れフェーズに入っていて、生きていきたくないと思ってしまっていて、
    だからこの本の人生、というような感じ、しかも現実的な感じ、嫌なことも考えることもたくさんある感じ、多分今じゃなかったらもっと色々考えて刺さってたんだろうけど、ちょっと疲れた
    生きるのって大変だと思った。そういう感想。
    いつもみたいな状態じゃなくて感想も変だし何書いてんだろって思うけど、でも読書ってその時の自分自身と向き合う行為でもあると思うから、

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    2025年10月04日
  • 恋愛中毒

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    自分も他人に依存した恋愛をしたことがあった。今思えば自分を大切にできていなかったなと水無月を見て思った。あの頃の自分があるから今の自分がある。あの頃はあれはあれで楽しかったなと。これからの人生ももっと楽しくなりそうだな、と昔の自分を肯定できた一冊。

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    2025年09月27日
  • みんないってしまう

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    永遠に続くかと思う子育てや家事、仕事に追われる日々。そんな日々の中で、ふとした時に家で1人になると、激しい孤独感に襲われることがある。

    子育て卒業して、夫との関係性も変わったら、自由を得る代わりにこんな感じになるのかなと想像した。
    それが悪いということではなく、何かを得て何かを失うってこと。

    子どもたちが幼い頃、母から
    子どもは小さくならないから、この小さい頃を思いっきり大切にして
    と言われたことを思い出しました。

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    2025年09月22日
  • 無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記―(新潮文庫)

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    カウントダウンより山本文緒さんの事を知り(遅すぎ)最新版を読もうとしたら闘病記であるこちらを見つけました。
    タバコも吸わず暴飲暴食もせず人間ドックにも毎年いき、健康には大変気遣っていたのに何故?
    ステージ4aになる前にわからなかったのか…と思ってしまいました 人間は必ず死はやってきますが、余命宣告され死と直面したらどうなってしまうのか…
    体調が浮き沈みする中、日記として綴るなんてホント強い方ですね  気持ちが落ちてる時だったのでちょっとネガティブになってしまった。
    しかしご夫婦の中がとてもよく旦那さんがずっと寄り添ってくれてホッコリさせられました。

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    2025年09月22日
  • みんないってしまう

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    ネタバレ

    〜1周目〜
    2025.09.17
    大好きな山本文緒さんの書いた本。
    短編集なので、1つ1つのお話にボリュームがあるというよりかは短いながらも1つのお話でちゃんと伝えたいことを伝えてきてくれる。

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    2025年09月17日
  • 恋愛中毒

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    創路みたいな男って、不幸な恋愛になるとわかっていても人とのコミュニケーションをとるのが上手だったり余裕やお金があって魅力的で惹かれちゃうよね、沼るよね、わかるわかる〜。ていう話だけじゃなかった。ラストにかけて、恋愛下手として頭で片付けてた水無月のパーツが明かされていくのが圧巻。創路もよく羊ちゃんとして飼い慣らそうとしたよね。

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    2025年09月16日
  • 恋愛中毒

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    ネタバレ

    人生で初めて失恋をして、もう恋愛に振り回されたくないと思って、背表紙のあらすじに惹かれて手にとった。読む前は主人公と同じ気持ちだったし、読み始めてすぐ「恋は人を壊す」という文章にも共感をした。他人の一挙手一投足でわたしの幸せが左右されてしまうことにとんでもないストレスと虚しさを感じて耐えきれず関係を切ったのに、それでも連絡をしてしまう自分が凄く恥ずかしかった。だから連絡手段を切って、自分への戒めのために胸に深く刺さるような本を読みたくて探して、この作品に出会った。
    読み終わって、思った以上に深く刺さった。恋愛するのがすごく怖くなった。わたし含めてみんな主人公と同じ狂気を持っていると思ってしまっ

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    2025年09月02日
  • ブラック・ティー

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    人間の罪を並べた短編集。
    誰もが経験したような罪から、「おいおい」と思うような罪まで。そしてその感じ方は人それぞれ違うのだろう。
    本当に読み始めは自分と比べて、この子よりマシだなと思って自分が落ち込むことはないと思ったけれど、あんまりそう思えなかった。なんだかんだ登場人物の心情が分かるように上手に書いてあるから、ズーンとした心持ちになった。
    山本文緒の人間の書き方、やっぱりうまい。

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    2025年08月17日
  • なぎさ

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    故郷を離れて久里浜で暮らす佐々井と冬乃な夫婦の元に冬乃の妹である菫が突然転がり込んできた。
    その冬乃と、芸人に挫折し、佐々井が勤める会社に正社員として働き始めた川崎の2人の目線で話が進んでいく。
    冬乃は突然現れた妹に振り回されるように、カフェを始めることになり、川崎と佐々井が勤める会社はブラック企業。
    その他様々な人間関係等を抱え、2人とも疲弊していた。
    そんな、なんとも言えない窮屈さややるせなさに包まれ疲弊する2人を支えてくれる温かい人たちがいることに安堵する。
    苦難や上手く行かないことに立ち向かう勇気がもらえるかも。

    2025.8.17

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    2025年08月17日
  • プラナリア

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    ばにらさまを読んで、山本文緒さんにはまり、こちらも読んでみました。
    表題作の「プラナリア」は
    主人公がびっくりするくらいひねくれもので、いや、もうちょっとやり方あるやんと思いながらも、所々に気持ちが分かる箇所もあって。
    「人の御恩には感謝しないと」と思いながらも、「もういいのに」と思ってしまったり。
    そういう事ってきっと誰にでもあるのかも。
    人それぞれの心の動きをすごく繊細に、そして鮮明に描かれていて
    すごく引き込まれました。

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    2025年08月15日
  • プラナリア

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    色んな無職の女性を描いた直木賞受賞作。
    5つの短篇集です。
    働くことの意味、働かないことの意味を考えさせられました。

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    2025年08月09日
  • 眠れるラプンツェル

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    どうしてこんなに自分とかけ離れた登場人物揃いなのに、次へ次へと読んでしまうんだろう?こんなに衝動で生きてて理解不能ではあるのに、読む手が止まらない不思議。私の中にも汐美みたいな部分があって、目が反らせなくなってしまうのかな。

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    2025年08月09日
  • みんないってしまう

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    生きている中で選択することの多さと疲労を感じるけど、この忙しなさも少し愛おしめるような。なにかを喪失して悲しんだり怒ったりしながらも、また新しいものに出会う人生の豊かさ。こいつカスだな…って思う短編もグッと引き込むのがすごい。

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    2025年08月08日
  • 群青の夜の羽毛布

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    タイトルから、静かでゆったりした展開を想像しておりましたがめちゃくちゃ違いました。ここまでくると、ミステリというかホラー。そうだ親子関係という恐ろしい関係は“ホラー”の類なんだ…と謎に納得。スルスル読めたけど、重たい読後感。

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    2025年08月03日
  • 恋愛中毒

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    その人がいないと自立して生きられない。相手が認めていることしか行動できない。「自分を満たしてくれるのは相手」になると正常な判断ができなくなる。多少のことで揺らいだり振り回されたりして情緒不安定になる。
    水無月が、過去を振り返り「もしも」の自分を幾度も思い描くが、過去の出来事から学び、未来に繋げ活かせないうちは何も変わらないと思った。自分がしたいかしたくないか、行動や意思決定を自分軸で考えられたら、もっと楽しく自由に生きられるのにと思った。

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    2025年07月27日
  • シュガーレス・ラヴ

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    みんな見えないところで何かを抱えてる。自分も経験のある辛さは凄くよく分かるし、経験ない部分も苦しみが想像できる繊細な描写。身体はもちろん、心も参るとしんどいですね。冷蔵庫空っぽニンゲンなのでそこは少し反省。

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    2025年07月20日
  • なぎさ

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    人との出会いは人を変えていく。
    冬乃も佐々井くんも菫も川崎くんも。

    家族だからこそ踏み込める領域もあるし、触れては行けないところもある。難しいなあ。

    所さん(通称)ご夫婦が素敵。生きていくということは、やり過ごすということ。

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    2025年07月16日