山本文緒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1997(平成9)年刊。
1996年、こないだ読んだ『恋愛中毒』の作者が32歳から33歳にかけての日常を綴った日記体のエッセイ。
結婚して5年くらいで離婚し、一人暮らしとなった状況を描くと言うことで、同様に離婚して一人になった私にとって身につまされる話があるかと期待したのだが、その「離婚」の事情については全然言及しておらず、単に「一人暮らし」の自由さを書いている。会社勤めでない作家業という、時間に縛られないかなり自由な生活が描かれている点、時間に縛られているサラリーマンの私には憧れるものがあって、読んでいて楽しい。子供の頃、藤子不二雄などのマンガ家生活の日記・手記を読んでわくわくしたのと -
Posted by ブクログ
「正しく起きる、正しく寝る…」
筆者は前半で何度も「正しく」という言葉を使っています。
うつになると「正しく起きて食べて仕事して寝て…」という普通の生活が出来なくなることに、罪悪感と恐怖感を持つからだと思います。必死で治したいのに、出口の見えない一人相撲をする辛さが、この言葉に凝縮されていたような気がします。
何年もよく頑張ったねと労ってあげたいけれど、ご本人は快復された後癌で亡くなられたとのこと。
これは私見ですが、自らの経験からも、心身ともにシンドイ状況が続くと、後に癌は狙っていたようにやってくると感じています。勿論そのようなケースばかりではないことは、わかっていますが。
そこで運良く癌を -
Posted by ブクログ
様々な結婚の形態を描いた短編集。
赤の他人が家族になる、という特殊な関係だからこそ生まれる歪みがリアルに描かれている。
もうこれはホラーと言ってもいいのではないか、というくらい、背筋がゾワゾワする箇所がいくつかあった。
一人称で綴られたストーリーが主なのだが、男性が主人公のときに「俺」や「僕」が「私」になっているところがたまにあり、違和感があった。
多分作者さんが書いているときにうっかり間違えたのだと思うけれど、編集の人はなんで気が付かなかったのかなぁ、と。
物語の世界に入り込んでいるときにこういう誤植があると、急に現実に引き戻されてしまう…。