山本文緒のレビュー一覧

  • 群青の夜の羽毛布

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    24歳家事手伝いのさとるは近くのスーパーの大学生の鉄男と付き合っている。
    坂の上にあるさとるの家は母と妹と3人暮らしだが、教師の母親が厳しく様々なルールがある。
    そんな女3人暮らしのどろどろを描いた作品。

    やっぱり病的かつクレイジーなのに魅力的な女性を描かせると、山本文緒さん以上の作家はいないといつも痛感させられる。

    嫌な、どうしようもない女なのにどこか憎みきれない。
    どこか女らしいねちねちした魅力が文字から香ってくるのだ。
    やっぱり一気読み。

    母として誰もが自分が正しいと思うことを子どもにして、精一杯の子育てをしている。
    それを誰も責めることや、咎めることはできない。

    正解も善悪もな

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    2022年02月09日
  • シュガーレス・ラヴ

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    「夏の空色」「秤の上の小さな子供」の2編が特に好き。「夏の空色」では主人公の背景や気持ちが書かれていたが、咲視点の話も読んでみたい。「秤の上の〜」は女性同士の友情、嫉妬、憧れなど複雑ながら互いに相手をよく見ている関係がわかる。

    この2編は、登場人物2人の感情の描写が良く、互いの関係性が強く出ていて良かったと思う。

    自覚有る無しに関わらず、様々なストレスから心身に異常を来すのは、今も昔も変わらない。ただ、自覚しなければ解決できないので、自分の気持ちには敏感になりたいと感じた。

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    2022年02月03日
  • シュガーレス・ラヴ

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    色々なタイプの病気
    心の引っ掛かりから 病気(1話1話にさまざまな病名が付いている)になった 女性たちの話

    少し、突飛ない話もあるが
    いつ何時 誰もがなってもおかしくはないと思う

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    2022年01月16日
  • シュガーレス・ラヴ

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    ★3.7

    昨年亡くなられた山本文緒さん
    調べてみたら恋愛小説家として有名だったようだが、恋愛小説にあまり詳しくない私は恥ずかしながら知らなかった。

    昨年から本をめちゃくちゃ読むようになってきたときに、秋頃、山本文緒さんが亡くなられたこと、それを受けて悲しむ数々の著名人の方のコメントをみて、いつかこの方の作品を読んでみたい、と思い、見かけておもしろそうなものがあれば買ってみよう、というくらいの心持ちでいた。

    新年早々、実家近くの書店でたまたま見つけたこの本。
    短編の集まりのタイトルごとに、何の病気かが書いてあり、なにこれおもしろそう、と手をとった。

    短編の病気、全部患ったことはないけれど

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    2022年01月04日
  • 落花流水

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    ある女性の一生を、連作短編で表現した作品。

    あるときは近所のかわいい女の子、
    そして母であり、妻であり、
    家政婦であり、祖母であった。

    特に素晴らしくもない、かといって悪人でもない普通の女性の、あまり普通ではない人生。
    視点(語り手)と時代が変わることで、どんどん読めてしまう。

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    2021年12月30日
  • 紙婚式

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    様々な夫婦のかたちを描いた短編集。

    人の数だけ、夫婦のかたちは違う。
    人の数だけ、答えがあっていい。
    だからこそ、自分たちのかたちや答えを模索して探し続けることが必要。
    ちょっとした勘違いやボタンの掛け違いが様々なかたちを描いていくのが興味深く面白い。

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    2021年12月25日
  • 再婚生活 私のうつ闘病日記

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    著者の過去を知ることになる。

    文章の力があるから、軽妙にともすれば俯瞰的な感覚で伝えてくれる。
    解説の精神科医の言葉にもあるように、作家だから書ける、どこまでが自分の本当の姿と小説家としての自分がいるのだと思う。

    ご主人の呼称を王子として登場していたが、まさに本当の王子様だったのだ、素直に羨ましい限り。

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    2021年12月02日
  • 眠れるラプンツェル

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    ネタバレ

    女性の塊
    選ばれたい女の性癖。資本は美貌。猫、手近な男、男の子に求められまくる。
    女性が浸りたいエンタメかな。

    私は軽く頷いた。「父ちゃんはさ、給料を持ってくる機械みたいに自分のことを思ってるみたいだけど、そうじゃないんだ。えーとさ、うまく言えないけど、父ちゃんってすごく普通の人じゃん?」「常識的だよね」「そう、それ。母ちゃんは母ちゃんで外っかわだけきれいにしとけば中はどうでもいいって奴だし、妹は末恐ろしいガキだし、俺はこんなじゃん。その中に、あのハゲ親父がいるだけで、何となく空気がさ、えっと……」「中和される?」「そう、それ」

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    2021年11月29日
  • 眠れるラプンツェル

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    ネタバレ

    眠くて眠くて何もやる気がおきない時の空気感が漂う小説。
    意思もなく自ら塔の中に閉じこもって色んなことをただ受け入れているお姫様。
    色々意味不明としかいいようがないしお隣の少年がこんな女に好意を寄せるのが納得いかない。

    でも、こんな腑抜けになった女が抱えていたのは、かつて夫と愛し合ったこと、それが過去になってしまったという事実。それに決着をつけてしまうことの怖さから、自分から何か起こすことを避けて城に閉じこもる。だけどきっとどこかで変わることを望んでいたから、外からきた変化は受け入れる。その結果自分で城を壊すことになる。
    結局は夫婦関係の不和からうまれた鬱の症状だと思うと可哀想だけれども。

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    2021年11月24日
  • 群青の夜の羽毛布

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    どうにもジャンルの分類に困る本だ。
    読む前に帯を読んで『恋愛小説』と登録したが、読み終えて、どうやら違う。なんだろう?
    ああ、そうだ。ホラーだ。と納得する。

    読みながら、首元に鋭利なカミソリ、エッジのきいたナイフを充てがわれているようなひんやりした感覚が付きまとう。
    読み終えてもなお、黒板を引っ掻くような言いようのない感覚。不愉快。
     
    父親にも母親にだけでなく、読みながら可哀想と信じていたサトルにまで湧く憎しみに近い怒り。
    鉄男には全員を構うことなく捨てて欲しい。
    いくら親が毒であったとしても、私はサトルがイヤだ。サトルを構っちゃダメだ。

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    2021年11月14日
  • 眠れるラプンツェル

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    ネタバレ

    なにもない主婦の話。
    日常のんびり系だといいなと思ったけど、全然違う感じに、、
    ぽかん、ってする主人公にかなりイライラしたし、すぐセックスするのも気持ち悪い。
    あまりにも何も考えてなさすぎて引く、、って感じでした。

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    2021年11月13日
  • きっと君は泣く

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    椿・・・初めからそのまま受け
    途中手放したくなり
    最後そーか、そーかってなった
    厳しい生き方よね

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    2021年10月30日
  • アカペラ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    短編3作の小説集。
    心温まる系のお話かと思いきや、そんな単純なものではなかった!
    ・アカペラ
    単身赴任で不在の父、家出ばかりの母をもつ主人公が、大好きなおじいちゃんを守るために駆け落ちをする。担任の先生やバイト先の店長など、大人らしくない大人達の手を借りながら大好きなおじいちゃんのことだけを考える健気な主人公。ラストが意外すぎる…。これは何エンドと言えばいいのか?ハッピーエンドのようでハッピーエンドではない苦しさ。
    というかおじいちゃんと関係をもってしまうくだりはいかがなものなのか…
    ・ソリチュード
    これもラストがわかりやすくないのがいい!心を入れ替えてこうなりました!的なものではなく。自分を

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    2021年08月08日
  • 群青の夜の羽毛布

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    ネタバレ

    読み始めるとどんどんいやな気持ちが積み重なっていくのに、読むのを止められない。

    恋愛の先に家族があり、家族ごとに多かれ少なかれ事情を抱えているものだけど、この家族は鉄男が生半可な気持ちで首をつっこんではいけないしさとると鉄男は目的がすれ違い続けていて幸せになれなさそう。

    そのことに鉄男自身もはじめから気が付いているはずなのに、情なのか何度も「自分はさとるが好き」と言い聞かせて自己暗示をかけて付き合いを保っているのが怖かった。

    何度も驚く場面はあったが、いちばんはカウンセリングの謎が解けたとき。
    途中でおでんの具材の話になったときに母親がタコの有無を確認して、入っていないことに薄い反応だっ

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    2021年07月29日
  • 眠れるラプンツェル

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    自堕落で自分の事を否定する事が多い割には誰かに構って欲しい…そういう女性が隣に住んでる少年に恋をした。
    設定としてはちゃめちゃな気もするけど、それもこれも小説ならでは。山本文緒さんの描く面倒な女性の気持ちがこの作品にも惜しみなく描かれています。
    読んでいてあまり気分の良い作品ではないものの、また山本文緒さん作品を読みたくなるのだよな。

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    2021年07月24日
  • 眠れるラプンツェル

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    28歳(同い年)がめっちゃおばさんに書かれていて複雑な気持ちだったけど、暮らしぶりによっては、そういう風になりえるのかもしれないな、と感じた。団地妻たちに囲まれて自ら閉じこもるような生活はしたくないな。だけどルフィオへの感情はわかるようでわからないようで、やっぱりちょっとわかるような気がしてしまう。でも暴力をふるうような子、きっと一緒になったとて…と思うわたしは、パチンコも嫌いだし、働いていたいし、「夢」と平気で口にするし、佐藤さんみたいなタイプなのかもしれない。主人公に疎まれそう。読み終わったあとなぜか猛烈にお腹が空いた。

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    2021年07月21日
  • 再婚生活 私のうつ闘病日記

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    山本文緒さんのうつ病闘病記。日記形式で綴られています。
    前書きに体調悪い人は読まないでくださいとの事でしたが、その通りでした。
    文章に悲壮感は全くないけれど、さらりと書いてる文章の裏にはとても辛いご経験をされたのだなぁと言うのが読み取れてとても苦しくなりました。
    この病気は完治すると言う事は無いのかもしれないけど、周りの方々のサポートもあってお元気になられて良かったです。これからも作品読んでいきたいです。

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    2021年06月03日
  • なぎさ

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    1人の主婦を取り巻く人々がまあ、精神的に成長していくお話というひとくくりでまとめてよいのか…それでも一気に読んだ。微妙な心理状態の動きが淡々と丁寧に描かれていた。自己肯定感が強くなっていくひとたち。外に動き出す人たち。いつでもどこでもどんな人でも前に動いていける。悪い時ばかりではない。そんな先に一筋の光が見えてくるお話だった。

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    2021年05月12日
  • みんないってしまう

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    「喪失感を超え、本当の自分に出会う。」
    この本の背表紙に書いてあった文章に、とても共感しました。

    失うことはただただ悲しんだり、寂しい気持ちになるだけでなく、
    自分が人として成長や人に対して優しくなるきっかけを貰う機会でもあるのかなと感じました。

    恋人や信頼を失うことは、もちろん切なくて悔しくなるけど、その先の自分の行動には必ず変化が起きるのではないかと思います。
    そう考えると、喪失感を覚えることのすべてが悪いことでは無いのかな?と思わせてくれる作品でもあると思います。

    ◆印象に残った
    ①ドーナッツ・リング
    ②みんないってしまう
    ③片恋症候群

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    2021年05月03日
  • 眠れるラプンツェル

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    閉ざされた、守られた条件の中で寄り添った孤独な2人の恋だったように思う。

    高い塔の中、実は望んでその中でまどろむ姫の王子は、年齢、家庭、親、それらに縛られた同じような男の子だった。

    誰かに壊して欲しかった、全てを。だから恋してしまったのだろうか。2人の関係は未来がないゆえ、どうしようもなさがとても淋しく、だけど前に進めるだろうという希望もあったように思う。

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    2021年03月26日