あらすじ
椿、二十三歳。美貌に生まれた女に恐いものはない、何もかもが思い通りになるはずだった。しかし祖父がボケはじめ、父が破産、やがて家や職場で彼女の心の歯車はゆっくりと噛み合わなくなってゆく。美人だって泣きをみることに気づいた椿。弱者と強者、真実と嘘……誰もが悩み傷つくナイーヴな人間関係の中で、ほんとうに美しい心ってなんだろう? 清々しく心洗われる、“あなた”の魂の物語。
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Posted by ブクログ
後半畳み掛ける、想像以上にエグい展開。
めちゃくちゃのめり込んだな〜これぞ小説。
文緒さんの読んでない作品があと数冊になってしまった。つらい。
Posted by ブクログ
面白かったです。サクサクと一気に読めました。
山本文緒さんが描く人間(特に女性)は「こういう人居る」と思えるキャラクターが多いから、その分感情移入して読める気がします。
この作品の主人公・椿も例外ではなくて、「こういう人って居るよね‥」って思いながら読みました。
美人に生まれて、それを自覚してるからこそ同性に嫌われて、恋愛に関してもそこまで真剣じゃなくて‥あまり先のことを考えず、今だけを楽しんでいるような人間。
多分、読む人のほとんどがこの主人公をむかつくと思うだろうけど、私はそこまで感じなかった。美しく産まれた人特有の苦労というのはあると思うから、多少ひねくれるのも分からなくはない。
ただ、確かに想像力は足りないな、と思った。(作中で敵対する看護士の女性に、「あなたに足りないのは想像力」と言われるシーンがある)
23歳にして、順風満帆だった人生に影が差す。そこで初めて、人生における様々なことの大変さに気付く。
想像力が欠如していたからこそ、そこで初めて焦ったりしたのだろう、と思いました。
個人的に色々と重ね合わせて衝撃的でもあったし、ラストもある意味衝撃的というか‥バッドエンドまではいかないけどハッピーエンドでもないから、読後は何とも言えない気持ちになりました。けして嫌な感じはしなかったけれど、軽い気持ちで読み終えられる感じでもなく。。
これまでのツケが回ってきて、この先主人公・椿はどうするのか。その先は描かれていないからこそ、色々と考えてしまいます。
Posted by ブクログ
後半の勢いがすごい!気づいたら読み終わってた。
中原先生のようなモテないような男性にとって椿は放って置けなくて守ってやりたい存在なんだろうけれど、この2人がうまくいく未来が見えなかった。最後の椿の言葉には?となったが、忘れかけてた人のことを思い出してあー!となった。ひなことは仲を取り戻してほしいな〜
Posted by ブクログ
初めて、主人公の不幸を望んだ作品だった。終始主人公に嫌悪感を抱いた作品だったが、彼女への共感の気持ちやどこか自分にもある汚らわしい部分を堂々と体現している存在にも思えた。特に、小説の締めくくりに、衝撃となんともいない後味の悪さが残った。人間の、女の、着飾らない彼女の描写が面白いので、他の作品も読みたい。
Posted by ブクログ
自分が憧れた存在が、実は想像よりもダサい人生を送っていたことで、どれほどのショックを受けるのだろうか。
ただ、孫の前では毅然としている祖母の姿勢にはそれでも尊敬の念を抱いた。
子供に夢を持たせられる人は、たとえハッタリだとしても素晴らしいと思う。
Posted by ブクログ
ドロドロしたお話で楽しめた。ドラマだったら毎回展開が楽しみになるような。最後の方いろいろ起こってどうやって終わるんだろうと思ったら、まあ納得の終わり方でホッとした。人間って捨てたもんじゃない。
Posted by ブクログ
主人公の椿に対して、もう全然好感もてないまま読み進めていったんだけど、最後にはキレイに抱き締めてあげたくなってた。
途中から、びっくりするような事が次々出てきて、え?え?って思ってる間に終わってしまった感。でも読後じわじわ来る。
Posted by ブクログ
「人に好かれる人間というのは、どこかに隙を持っている。そな隙を無意識に、あるいは故意に人前に晒す事ができるのが好かれる人間だと思う。祖母にはかけらも隙がなかった。」
祖母の人間性を知った時、隙が見せられないのだと思った。
強く、逞しく、卑しく。そして、弱く枯れそうな自分を必死に隠していたのかもしれない。
その姿を見せることができたら、救いの手を差し伸べてもらえたのかもしれない。
祖母が椿に注意をした場面があった。
「あんたのその僻み根性はどう見ても卑しいよ。心の卑しさは顔に現れるんだ」
祖母は椿に自分のようになって欲しくなかったのかなと思った。
祖母のようになりたいと願った椿は、祖母のようになれていた。
ただ、椿は魚住や先生に隙を見せることができたから救いの手を差し出してもらえた。
Posted by ブクログ
久々に山本文緒さんの本を読んだ。
潔いくらい感じが悪く、でもすごい美しい椿。
大好きな祖母がボケてきて、それでも周りを見下してきた椿だけど、終盤で過去のことも次々明らかになっていくなかで、椿の素直さがすごく見えてきて憎めない存在になっていった。
Posted by ブクログ
初めて読む作者。
題名と本の表紙の絵からほのぼのとした素敵なお話なのかと思ったら、とても生々しい話でした。
そしてとても面白かった。
個性的な登場人物ばかりで皆それぞれの個性が際立っている。
アクが強いはずの人達が多いのにどの人物も私は好きになった。
なんだかぶつかってばかりの主人公だけれども、彼女はそのおかげで大切にしたい人達に出会えたのではないかと思う。
作者さん、好きになりました。
Posted by ブクログ
想定していた話ではなかった分、なかなか面白い話だった。
主人公椿は、男は全員自分に靡くと思っているし、女子との仲を必要以上に取り持つこともしない。
そんな彼女が嫌いになれないのが不思議。
作中で自分の価値観を物おじせずにズバズバいうところがなかなか爽快だったからだろう。
それと、美人だけど性格が悪いので、肉体関係を持ってくれる男はいても結婚できない、慕っていたおばあちゃんがボケてしまう、父親が最悪のクズ男など、結構酷い目に遭っているからかも。
それでも他の人に弱々しく頼ることもなく、自分の力でなんとかしようとするところがいじらしいというか、たくましいというか。
こんな共感度0の彼女の間違った方向の頑張りでも、なんだか勇気をもらった。
「ブス」らしい魚住との裸の殴り合いみたいな激しい喧嘩も実物。
今、優しい人や、表面的に穏やかだけど話が通じない人々なんかが増えているので、ここまでストレートな物言いをする登場人物たちは新鮮だったし、エネルギーを感じた。
ラストの椿の選択も、この小説を普通の小説から格上げしていると思う。
成長はないようだけど、確かな変化が感じられるラスト。
Posted by ブクログ
純粋で感動系のいい話なのかと思って手に取った本
読んでみると、、純粋系とは程遠い内容だった。
私は椿とは性格がまるで違うけど、椿っていう人がほんとに存在するのではないかと思うほどリアルだった。
酷い性格だけど優しさもあり、強い感じだけど弱さもある。最終的には自分の理想を捨てて、自分の発した言葉に責任を持つ。
私は椿になりたいとは思わないけど椿がかっこいいなって思った。
私が読んだことの無い部類の内容だったけど早く続きが読みたいって思えた本
Posted by ブクログ
この人の本は以前一冊読んでしっくり来なかったのをうる覚えしている。しかし、今回の本は面白かった。人の心の機微を堪能できるまでに自分の心が耕されているのだろうか。それとも、4月の新しい出会いと別れの時期だから、センチメンタルでセンシティブになっているだけなのだろうか。でも、読書ってタイミングは大切だと思う。出逢うべきときに出逢えた本は、心に響く。共感は出来ないが、感情は移入される。人の心の変化を成長と呼ぶのか堕落と呼ぶのかはそれぞれの主観に委ねられるのだろうが、やはりそういう場面は、物語のピラクルなのだと思う。人の本心が曝け出されるときは、やっぱりちょっとドキッとする。そんな場面に溢れた一冊。
Posted by ブクログ
魚住さんの優しさに感動。最終的にはグンゼが大切と気づいたのね。
椿さんが信じられないくらいに自己中心的で感情移入しない分客観的に読めた。最後まで自分が会ったこともない祖父を頼りにできるなんて都合よすぎでしょ。
感情移入できないところが山本文緒さんの小説の特徴だと思うわ。
Posted by ブクログ
美貌を売りにコンパニオンをし、実家がそこそか金持ちなのをいいことに刹那的に遊び、男とともにする。誰かにすがってでしか生きていけないのに、自分で状況を変えようとはしない。
そんななか肉親2人が倒れ、生活は激変。複雑な人間関係の家系などもあり、椿の周りは、美貌以外頼れるものはなにもない状況。
そんななかでも、さらに人に頼ろう、男にすがろうと必死な椿は、清々しくさえあった。
彼女は救われたのか、これから先の人生をどう生きるのか。
Posted by ブクログ
椿って、家もそこそこのお金持ち、顔もそれなりの美人で、女ともだちはなし。決して私も友だちになりたいタイプではない。
だけど、自分の武器は美貌だと決めて、それに対する努力は惜しまない。
目標はおばあちゃんみたいに、凛とした女性。
父親のことは殺してやりたいほど嫌い。俗物だから。
母親は見た目もパッとしないし、自分の母であるおばあちゃんと折り合いが悪い。
椿は両親のことなど全く顧みることなく、好きなことをして遊び暮らしている。
ところが、おばあちゃんが事故でけがをして入院した辺りから運気が変わり始める。
仕事も恋愛も家族関係もうまくいかない。
今まで自分が見てきたものが、ことごとく違う様相を見せ始める。
中三の時の初体験の相手グンゼとは、腐れ縁でつながっていた椿だが、他には派遣のコンパニオン仲間の雛子くらいしか友達がいない。
そんな椿に、おばあちゃんの入院先の病院の看護師たちが実によい関わりをしてくれる。
ちやほやせず、嫌がらせをせず、普通に扱ってくれる。
そんな人たちは今まで椿の人生の中にはいなかった。
そして本気でけんか相手になる魚住。
魚住は、学生の頃「大魔神」とあだ名されていた。
椿とは真逆の生き方をする魚住。
椿の一人称で語られる物語。
椿の見たいようにものごとが見えていて、椿に見せたいように取り繕う周りの人たち。
きっと泣く君って誰だ?
私は泣かないと思う。
ひとりじゃ生きていけないことをようやく理解し、だけど、もたれることなく一人で立とうとしている椿のこの先は、泣きたいほどつらいことが起きると思うけれど、きっと泣かないと思う。
だって、グンゼを待ってないとならないし。
今まで椿が見ていたと思っていた世界が、次々と裏返っていく様が気持ちよい。
どういうこと?どういうこと?
椿の一人称だからこそ、このプロットが生きてくる。
Posted by ブクログ
自分を美人だと思っている椿というOLの話。
美人だと思っているがゆえに傲慢な言動、考えが目立つ。
周りの登場人物も色々とトゲのある人ばかりで、人の裏って怖いなと思える作品。
実は椿はただ純粋なだけだったのかも。
Posted by ブクログ
気持ちがいいくらいの嫌な女。
共感するところが一個もない。
美人で愛想もなくて自分勝手だし、しかも整形してたんだって。『ちょっとはいいとこあるじゃん』と思わせるようなとこは皆無。なのに、なんか好き。なんでだろ?
これも山本先生マジックなのかなぁ?
Posted by ブクログ
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美貌に恵まれ何もかもうまくいっているように見えた椿。
しかし、憧れの祖母の入院、父の倒産、人間関係の不調、
次々降りかかる困難に直面し、人生の歯車が狂い始める。
容姿の美しさだけで傲慢に生きてきた椿の行く末とは。
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いやあ清々しい程の馬鹿女!笑
是非神田うので実写化してもらいたい!超適役!
(別にうのちゃんをディスってるわけではない笑)
計算高くて小賢しくてあざとくて…が全部裏目に、
つまり上手くもやれず、悪女にもなりきれない女。
ただのビッチでアバズレでヤリマンで性悪女で無能。
真っ直ぐな馬鹿だと逆にピュアに感じてしまうのか、
「自分に素直に正直に生きてる」と思えてしまうのか、
椿視点のみで進んでいくので、途中同情しかけるが、
いやいや嫌だよこんな自業自得で因果応報な生き方。
病で倒れた祖母は椿の唯一心から大好きな人だった。
祖母の初登場シーンの椿とのやりとりには痺れたが、
衰弱していく姿と、ついに剥がされた仮面の哀れさ。
結末はかなりあっさりとした終わりだったけれど、
希望があるようでないような、曖昧さが逆に好き。
この話の肝は、全てにおいて想像力が大事だということ、
想像力のない人間は否応にして悪変していくということ、
だと思った。私はそう受け取った。その通りだと思うし。
美貌のみを武器に女という自信のみで生きてこられた椿、
ある意味あっぱれ。花の命は短くて。理解が遅すぎたね。
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ヘルタースケルターの沢尻エリカでもいいけど、
それ以上に知性が感じられない派手な馬鹿が良い。
頭の中で登場人物全員の配役が当て嵌まるかのような、
ドラマ的で、漫画ちっくで、面白くて読みやすかった
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Posted by ブクログ
主人公の気持ち、思考回路、行動どれをとってもあまりに自分と違うので共感はできませんでしたが、それでも物語は読みやすくて凄いなと思いまし。いわゆる「ブス」への言葉の強さは何かの執着の感じるほどですが…。最後にはなんやかんや椿の幸せを願うような気持ちになりました。こんなに感情を振り回してくれる小説、すごい。
Posted by ブクログ
1993年の作品
自分の美貌だけが強みの女子、23歳、名前は椿
自分によく似た祖母が名付けてくれた
美しい方が強い
単純明快な椿は、その生き方を貫いていた
彼女の憧れは祖母だ
その美貌で愛人として生き抜いてきた、と椿は信じていた
父親は経営者でお小遣いにも困らない
このまま、順風な人生を満喫するはずが
祖母の骨折からの認知症
父親の倒産からの寝たきり介助
大好きな祖母の家と自宅の売却
これまで女友達さえ作らず傲慢な生活をしてきた椿は、一挙に生活全てに困窮する
加えて祖母と父親の人生の真実
肉体関係のある男友達の病気
それまでの罪と罰が押し寄せる
でもね、椿は自分で立ち上がるんだろうねえ
呆れるほど物おじしないビッチで高飛車
だけどきっと元彼を支えきるんだと思うのよ
だから、私はきっと泣く「君」が、誰だかわからないんです
Posted by ブクログ
美しい祖母と、それほどでもない母のもと、美しく生まれた椿は、幼少の頃からその美貌を武器に生きてきた。イベントなどのコンパニオンを行いながら、美しさを武器に男に貢がせて、悪くない生活を送っていたが、ある日、一番の理解者であった祖母が怪我で入院し、それをきっかけにすべてが崩壊を始める。
気性の激しい、友人の少ない主人公が美しさを武器にバッサバッサと周りを切っていく冒頭部分に、作者の視点はそのへんに置かれているのかという、よくある価値観の基準に迷うタイプの小説である。
展開を書くとネタバレとされると、何を描いてもネタバレになるわけだが、祖母が怪我をきっかけに認知症になり、父が破産、仕事を失い…と崩れていくごとに、作者の描きたい価値観が浮かび上がっていくという作品である。
主人公の椿は、始終周りに当たり散らし、傷つけていくスタイルで、そこに感情移入して読むのが辛いのだが、後半に向けて価値観が崩壊し動いていくあたりは見事である。
ただこれ、映画になってんのね。
映画で見てもつまんないと思うけどね。1990年代の時代なら許されていただろうけど、いかんせん価値観が古い。
本当を試してはいけない
主人公の家族関係が複雑。登場人物も個性的。でも、生きているものはみんな、一つのものを求めたがる。素直になればいいのにと、外から見てると思う。読み終わった後でも、あまり、主人公の幸せを祈りたくならない。
Posted by ブクログ
主人公が信じていたものが佳境を迎えるにつれどんどん崩れていく。主人公も含め皆どこか歪んだ人ばかり。でもそこがリアル。現実世界でも皆何かしら闇を持って過ごしているんだろう、綺麗事ばかりではないんだと痛感させてくれる小説。しかし読み終わりはよくないです。
Posted by ブクログ
サーっと気軽に読める本だった。
読むと完璧な人などいないと感じる。
人の卑しい部分とか、無意識に計算して生きている所とか、100%善良な人がいないからこそ楽しめる物語。
Posted by ブクログ
主人公、かなり激しいが、物語上ではなんとなく嫌いにはなれず見守りたくなるようなところがある。人任せで未熟だった精神が、やっと「その先」を意識できるようになってきた。子供が大人になる瞬間のような物語。
ガラガラと基盤が崩れていった中で、本当に大事なものを見つけることができたと思っていいのかな?
うまくいくといいね、と声をかけてみたくなる。
グンゼもだけど、魚住こそ親友になれそう。
Posted by ブクログ
美人と世の中的には言われあまり苦労もせず男も取っ替え引っ替え仕事も適当な20代前半女性が主人公。
壮絶な美人である祖母を崇拝し、母親よりも祖母を信頼し、祖母に言われた「私の若い頃にそっくりだ」という言葉にすがっているが、ある時から急に痴呆が始まる。さらに父親がやっていた会社が倒産。恋愛もうまくいかず自分を失いかける。
その人の作品はいびつな恋愛が多いのか、真っ当ではない人たちというか奔放な人たちが出てくることが多いので、そうではない部類の人間としては読んでいて疲れるし読後感もあまりよくない。
しばらくこの人の本を読むのは辞めようと思うが、たぶんまた読みたくなるような気がする。
Posted by ブクログ
なんて夢のない話!!登場人物の誰にも全く感情移入出来ず。読後の爽快感もなく。でもひたすらにエネルギーを持っていかれる作品。プライドなんて各々がただ何とか立っていられるためだけの精一杯の杖なんだと、容赦無く現実を突きつけられるような作品だった。ちょっとミステリー風味な部分もあり。あと題名がどういうことなのか気になる。読み込み方が足りないだけか。
Posted by ブクログ
周りから美人と言われるコンパニオンの椿は幼い頃から可愛いと言われてきた。椿は美しい祖母が大好きだった。歳をとったら自分も祖母のようになるのだと思うと歳をとるのも怖くなかった。
だが祖母が入院し、彼氏と別れ、仕事もうまくいかない。