乃南アサのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一見幸せそうに見えたとしても、本当はどうなのかは他人にはわからない。
立派な家に住んでいる鹿島田家の人たちは、田舎を追われるように出てきた未芙由にとっては別世界の住人のように見えた。
しかし、一緒に住み始めて初めて見えてくるものもある。
持ってうまれたものなのか、才能なのか。
それとも幸せになりたいと強く願う気持ちから出た知恵なのか。
未芙由の立ち回りの上手さには唖然となった。
したたかさを通りこして、もはや怪物のようにも見えてくる。
母親が死ぬまでは未芙由は普通の家庭に育ってきたはずだ。
両親が暴力を振るうわけでもない。
確かにお金はなかったかもしれないが、熱心に母親の看病も熱心にし主婦代わ -
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人はいつからでも、何歳からでも、やり直すことが出来る。
それはきっと真実なのだろう。
でも、変わろうとする意思がなければ人は変われない。
誰に強制されても、本当に変わりたいと願わなければ変わることなんて出来ない。
結局のところ、自分自身が一歩を踏み出すしかないのだろう。
川又は驚くほど忍耐強く子どもたちに接している。
他人だから持てる忍耐と許容のような気がした。
親なればこそ子どもに期待もする。夢もみる。
子なればこそ親に甘えもある。理解してほしいと屈折した表現もする。
互いに「どうしてわかってくれないの!」という思いがあるのかもしれない。
わかってほしいなら言葉にしなくちゃ伝わらない。
親な -
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後味が異様に悪い物語がある。
けっしてつまらない物語でもなく、悪い物語でもない。
ただ、本を閉じた瞬間に忘れてしまいたくなるような、そんな後味の悪さを刻み込む物語がある。
家族とはいったい何だろう。
百の家族があれば百の家族の在り方があり、正解などどこにもない。
幸せだと、家族が感じて暮していること。
それが何よりの正解なのだと思う。
志藤家の家族の在り方。
物語なのだから、とは思う。
それでも、粘り気のある何かがまとわりつくような気持ち悪さがどうしても払いきれない。
そんな嫌悪感を感じてしまう物語だった。
歪んだ正義を突き進む者は怖ろしい。
ただひたすらに歪んだ道を突き進む者の中にこそ、鬼は -
Posted by ブクログ
歴史を知り、今を知ることが台湾という複雑な社会を理解するには必須であることを著者の乃南氏は2011年の東日本大震災に伴う台湾からの義援金の多さをきっかけに気づいていく。自分と乃南氏とは同世代だが、確かに学校教育の中で台湾のことをきちんと教わった記憶はない。その辺はよくわかる。台湾に興味関心をもつことによって日本とは何かも見えてくるという視点も大事なことはその通り。しかし、実際に著者が見聞きし、ここで書いていることはちょっと勉強すればすぐにわかること。その意味で、今後もっとテーマを絞って深く掘り下げて欲しいな、と上から目線ながら思った次第。