乃南アサのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
女刑事音道貴子シリーズ第6弾。「凍える牙」「鎖」に続くシリーズ3作目の長編。
今回は再び音道刑事と滝沢刑事がタッグを組み、事件捜査に当たることになった。
前2作は割と短期間の展開だったのでストーリー自体がスリリングな様相を呈していたが、本作は事件の内容上、割とゆっくりとした展開になっている。それだけにお互いが今までどのように思ってきたのかも描かれており、信頼関係を垣間見ることができる。
上巻はあまり進展しない事件捜査について描かれているが、最後に音道がフッと思いつきを口にする。そこから一気に進展する予感をさせたところで下巻に引き継がれている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『風の墓碑銘』がよかったので、読んでみた。
もちろん、巻末の付録の「滝沢刑事・乃南アサ 架空対談」が目当て。
自分は、音道なんかより、滝沢ファンなのだw
『あなたの匂い』は、確かにキモチ悪い。
こんな目に遭ったら、男でもキモチわるくて、とりあえず風呂入って体中ゴシゴシ洗いたくなると思う。
ま、幸か不幸か、男の家のゴミを漁って、匂いを嗅いで喜んでいる奴もいないだろうけど(笑)
話(ストーリー)としては、イマイチかな?w
『冬の軋み』は、なんだかなぁーって話。
内容としては、(具体的には思い出さないけど)昔、こんなストーリーのドラマがなかったっけ?みたいな。
ただ、暗くなるのが早い冬の夜にある、剣呑な雰囲気が、「あぁ冬の夜って、こんな感じのする時あるよね」って感じで。
その辺りは、さすが巧く描いているなーと思った。
そんな最初の二編と比べて、『花散る頃の殺人』はしみじみとした話でよかった。
(『凍える牙』や『鎖』と比べて)『風の墓碑銘』もそうだけど、最近はこういう、どこか枯れた感のある、地味~な話の方が好きで。
つまり、自分もそういう年齢なんだなぁ~と。ちょっと、しみじみしてしまった(爆)
一方、『長夜』は、若い頃特有の付き合い感じが巧く出ているところがよかった。
いっそ、安曇とバイク2台で回ったら、もっとよかったんじゃないかなーと思ったが、よくよく考えたら、それだと片岡義男になっちゃうか?w
無茶苦茶よかったのが、『茶碗酒』!
もう、滝沢ファンとしては堪らない(爆)
ただ、自分としては、主人公は滝沢というよりも、大晦日の夜こそが主人公であるように感じた。
そのくらい、大晦日の夜のあの感じがバッチリ描かれている。
読んでいて、大晦日の夜の気持ちになっちゃうくらいw
変な話。こんな感じで、正月から始まって、成人の日、ヴァレンタインデー、大雪、ひな祭り……クリスマス、大晦日と、1年間の短編集を書いてほしいと思ったくらいよかった。
『雛の夜』は、正直、好きじゃないなぁ~。
女は常に正しく、男は常に悪い的な、著者特有の感覚が前面に出すぎちゃっている気がしてw
いや、著者はああ見えて、結構タヌキで。小説で描く世間に対する感覚は、実生活では結構違うようにも思うのだが、それにしてもラストの展開なんかは鼻白む。
たぶん、この系統の話なら、樋口有介辺りの方が上手く描くんじゃないだろうか?
(ただ、著者はもしかしたら、ラストの母と子の関係を描きたかったのかな?とも思う)
ま、短編だから。何かしらの雑誌に載せるために書くわけで。
その雑誌の購入層にウケるように書く、というのもあるのかな?w
そして、いよいよお目当ての、特別巻末付録「滝沢刑事・乃南アサ 架空対談」は……
残念ながら、ちょっとイマイチだったかなぁ~w
というのも、著者と語る滝沢が、自分のイメージする滝沢とビミョーにズレているような気がするのだ。
それは、このシリーズの主人公の音道もそうで。
自分のイメージからすると、「こういう時に音道みたいなタイプの女性はそういう行動するかなぁ~/言うかなぁ~」というのがよくあるw
ただ、最近はキャラクターをガッチリ創りこみすぎちゃっている小説が多いので。
そこはあえて、この著者の持ち味なのだと、良い方に捉えたい。 -
Posted by ブクログ
乃南アサさんの作品は、ミステリもホラーも面白いので、余り選ばずに読んできた。
ところが、この作品は、表紙と題名からの期待がちょっと裏切られた感じだった。
見合いで気に入って嫁にきたが8人が同居する大家族だった。98歳の下半身が麻痺した曾祖母までいる。
が、夫を頼りにして入り込んでみると、揃って陰りのない笑顔で、まるで作り物のように笑いかけてくる。何をしても歓迎、喜んでくれる。常に皆が笑顔で褒めちぎられるなんてことなどあるのだろうか。それでも、不思議ではあるが、悪い気はしないで次第に馴染んでいく。
ただ、ときに不審な人物が曾祖母を訪れる。生活の智恵を授けているらしい。
しかし暫く暮らしてみると、大家族の家にしては、お互いになれなれしすぎる。障碍者の世話をしている姉と弟も関係が粘つく、性的なにおいがする。
夜、気がつくと、横に夫がいない。探しに出てみると曾祖母の部屋で人声がする、何か会議でも開いているらしい。その後歩いている曾祖母と祖父の後姿を見たような気がする。
寝たっきりの祖父の世話をする祖母は、普段は他人に触れさせたくないらしい。
考えれば、鬱々としてくる。と、家業の米屋と雑貨を売って繁盛しているらしい店を突然閉めて蓼科の別荘にいくと言い出した、一台車に押し込まれて全員が移動する。そこで奇妙な体験をする。
帰ると蓼科で儀式が済んだらしい、本式に家族と認められたことになり、すこし内情がわかってくる。ますます変ではないか、どこかおかしい。
そこで友人に相談する。招いた友人に家族はこれまでになく実に優しい。
庭で野草を育てている、見るからそれは薬草で、危ない作用をするものがある、曾祖母はそれで悩める人の治療をしているらしい。
店子の氷屋が全焼して、曾祖母のところに憂い顔で通っていた主人が焼死した。
これにもなんらかの関係があるのだろうか。
ますます疑念が深まる。
友人が庭の見学にと連れてきたは男が薬草に異常な興味を示したが、姿が消えた。
様々な出来事に気がつく、揃って愛想よく笑いかける家族の裏の顔がついに暴かれる。家族のおぞましい関係。
不思議な結びつきが暴かれたときは、いつか快い居場所になっていた。友人も引き込まれ新しい血が加わることになる。
生理的なタブーがじわじわと迫ってくるが、それが自然な流れに感じられるところが筆力か。
余りなさそうな、フィクションの世界であっても現実ばなれのしたテーマに、多少距離感を感じてしまった。