乃南アサのレビュー一覧
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ネタバレ長野の家を追い出され、亡くなった母の親戚を頼って上京。
田舎しか知らない未芙由にとって東京は輝いて見えた。
渋谷に近い閑静な住宅街にあるおばさんの豪邸に住み込み、家の手伝いをするうち、未芙由の中にその家で幸せをつかみたいという野心が芽生え始める。ところがそんなことはおくびにも出さない。読者にさえそれを気づかせない。優しいおばさんを裏切って、ダンナさんと関係を持ち、同時に息子とも関係し、表向きは地味で欲のない女を装っている。したたかだわ。
家族がみんな好き勝手して、家の中が寒々しく、しまいにはおばさん、ダンナさん、娘と一気に家を出ていってしまい、好条件がそろったところで慎重にことを運び、ついに -
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はっきり言えばよくあるパターン。
でも厚いのに、グイグイと私を読ませたのは乃南氏の才能。それと時代背景が自分にとって、とても興味があったからかなぁ~。
本書は1964年から始まります。東京オリンピックが行なわれた年で東京は近代的に整備され、日本国民が浮かれている時。
本書が面白かったのは時代背景ばかりではありませんよ~もちろん。
婚約者に失踪された主人公・萄子の追跡劇なのですが、日本のアチコチへと飛びます。
それにラストの書かれ方に希望が持てます。
乃南氏の作品をついつい読んじゃうのもそのせいかも。
「再生」でもそうでしたが、人生悪いことばっかりじゃないんだから、がんばれ!みたいな乃南氏のメッ -
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ネタバレ乃南アサさんの本は久しぶりです。
この作者さんは、私に強い影響を与えた一人だったと思います。今もその本を読んだときの衝撃は忘れてないし、これからも一生忘れない。
さて、そんな個人的感慨はさておき。
この本の内容について簡単に説明すると、短編集でした。
表題作は、家族に対して不満を漏らすこともなく、父親として「こうあろう」と思っていたことをしっかり守っていた父親に対して、思春期を迎えた子供を始め、妻までも当たりがきつくなり、男の人が爆発し切れないモヤモヤを抱えたまま、最後には家を飛び出してしまう話です。
なんというか、私は娘で。
まだ母にはなったことがなくて、また、母にしかなれ -
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何か上手くいかないことがあると、周りのせいにしてイライラしている主人公。
もう少しがんばればいいのに、、共感はできないなぁと思いながら読んでいたけど、
この主人公に起きるようなことは、自分には起こらない出来事だなんて100%言えないし、
どうにもならない事なんてこれからもたくさんあるだろう。最近の社会情勢も反映されているし、ある意味誰にでも身近な話なのだと、読んでいて気持ちがざわざわした。
もしも私だったらどうするんだろうか。どんな気持ちで、どうするかで人生は変わってくる。
人生っていうとなんだかおおげさな感じがするけど、大なり小なりいろんなことが毎日あって、その一日一日の「私」の積み重ねなん -
Posted by ブクログ
上巻は事件が起こってから裁判まで、下巻は公判から判決までを描いている。話は被害者遺族と加害者家族の視点を中心に進んでいき、それに新聞記者、刑事、検事が加わるため、殺害の様子や凶器、殺意を持った経緯など犯人と被害者しか知らないことは最後まで明らかにならない。被害者や遺族が常に置いてけぼり、というのはこういうことなのだとよく分かる。これでは遺族はどこに気持ちをぶつけたらいいのか。加害者の妻は、最初は夫のせいで今までの生活が壊されたのだから、責めるのは仕方ないと思っていたが、あまりにも自分大好き人間でうんざりした。それとも家族が犯罪を犯したら、誰もがこんなふうになってしまうのだろうか。
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Posted by ブクログ
【本の内容】
甘えん坊の摩美としっかり者の朋子。
摩美の彼氏に一目惚れしてしまった朋子が、摩美の結婚式で行なった禁断のスピーチとは…「祝辞」。
銀座のホステスから地味なOLに戻り、着実な結婚をめざした(私)を襲った突然の不幸…「夜離れ」。
結婚に憧れる女性たちが、ふと思いついた企みとは?
ホントだったら怖いけど、どこか痛快な気分にも。
微妙な女心を描く6つのサスペンス。
[ 目次 ]
[ POP ]
この本を読んで、しみじみと女性は怖いなあと思う。
寂しさや虚栄心・甘え・妬みからくる冷淡な行動、ヒステリックな振る舞い。
ああはなりたくないと思いながらも、自分のことが書かれて -
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多分読んでいるとき眉間にしわが寄っていたのでは。
とにかく人のはなしを聞かない。それも、そそっかしいのとは違って、訓示や説教、注意事項といった大事なことを聞かない。聞きたがらない。積極的に耳を閉ざす。
すぐに頭に血がのぼる。
子ども相手だろうが酔っぱらい相手だろうが、相手がけんか腰ならこっちもけんか腰だ。
市民相手に暴力事件を起こさずに済んでいるのは、周りの人が止めてくれるからだ。
では、熱血警察官なのかというとそれも違って、本当はフリーターでしばらく生きて行こうと思っていたのだが、売り言葉に買い言葉で就職することになり、行き掛かり上それが警官だっただけなのだ。
だからすぐ、この仕事は自分