柳美里のレビュー一覧

  • JR品川駅高輪口

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    危うい心の動きが電車のアナウンス、乗客の会話をバックに表れている。車窓の風景や匂いさえ感じてしまうから、余計に百音の幾層にも膨らんで萎れた気持ちが切ない。

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    2021年05月12日
  • JR高田馬場駅戸山口

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    都会に溢れる情報と主人公の頭の中でどこからか止めどなく溢れ出てくる情報が入り混じって、とにかく忙しなく畳み掛けてくる。
    そんな膨大な情報が大きな壁となって、主人公は社会から隔絶されているように思えた。
    きっと社会と繋がりたくていろいろな情報に手を伸ばして、けれどそれらが却って主人公と社会を隔ててしまう、とても切ない物語だと思いました。

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    2021年05月07日
  • 人生にはやらなくていいことがある

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    タイトル通りの、人生でやらなくていいことについての著者からのアドバイス集かな~、と思ったら、著者の半生記と現在(執筆時)、小説家になったいきさつ、およびなぜ福島県の南相馬に移住したのかの説明等々のエッセイ集だった。

    おまけに巻末には一家の集合写真まで付いていたので、徹底的に自分をさらけ出す人なんだと、当初の本書への期待は満たされなかったものの、一方で小説家柳美里信条や人となりがわかり、だったら今まで読んだことのなかった彼女の作品を読んでみようかと、がぜん興味がわいてしまった。

    本書を読んだ限りでは、ちょっとめんどくさそうな人であるようだが、作品にはそのめんどくささがどのように反映されている

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    2021年04月14日
  • 人生にはやらなくていいことがある

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    「かなしい」という言葉には、元来「愛しい」という意味があったとのこと。
    「悲しい」と「哀しい」も意味が違う。
    他人の悲しみを他人事と思わず、哀しみを自分の胸に抱くことができる人が一人でも増えたら、より良い世界になるのかな。
    「あなたの隣人を愛せよ」は、「あなたの隣人を哀せよ」。

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    2021年04月04日
  • ねこのおうち

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    やっぱりわたしは動物は飼いたくない、と思うお話だった。お話がしっかりしてるからこそ。それは安易なペットブームみたいなもので語ってはいけないいのちの重さを描いているから。るかちゃんの気持ちにいまいちうまく寄り添えなかったな。

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    2021年03月23日
  • JR高田馬場駅戸山口

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    柳美里『JR高田馬場駅戸山口』河出文庫。

    居場所の無い人びとを描いた山手線シリーズ。

    訳が解らぬというか、ストーリーがあるような無いような、東京という都会の情報の洪水と主人公の危機感ばかりを感じる作品だった。先に読んだシリーズの2作はあれほど高いレベルの作品だったのにどうしたことか。

    夫が単身赴任中で、子どもと二人暮らしの母親ゆみの日常の孤立感と焦燥感とが描かれる。

    本体価格880円
    ★★★

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    2021年03月16日
  • JR品川駅高輪口

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    一年振りに小説を読みました。
    10代の少女の現在に対する怒りと憤り、将来に対する無希望さが丁寧に描写されていて、10代の頃の不安定な気持ちを思い出しました。
    やはり、小説は自己の気持ちの整理ができて良いものですね。

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    2021年03月01日
  • タイル

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    タイルが好きな男?のお話でした
    いろいろ理解不能だし、どうしてそういう流れになるのかって感じでした
    ただ、気になるのはあのあとはいったいどうなるのかってことくらいです

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    2021年02月24日
  • 人生にはやらなくていいことがある

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    悲哀に満ちた人生

    書くことに苦手意識を持っている生徒が多いですが、それは書き言葉に先立つものは話し言葉で、話し言葉は他者の話を聞くことでしか生まれない、ということを体感できないからです。

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    2021年02月15日
  • ねこのおうち

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    ひかり公園に捨てられた子猫の兄弟が、それぞれの居場所を得る話なのだが、一つ一つの話の中に生と死が絡みあって、さらっと残酷な人間の姿が描かれている。最初の話は気が滅入ってしまったが、最後はホッと安心しました。

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    2020年09月18日
  • 人生にはやらなくていいことがある

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     この本を読んで、私は「向いていない多くのことを潔く諦め、残された唯一のものをやればいいのだ」と勇気づけられました。

     タイトルに惹かれて柳 美里(Yu Miri)さんのプロフィールの知らないまま、読みたい本に登録していたのですが、昨日(9/20)、ようやく手に入れることができました。

     私を惹きつけたタイトルは、担当編集者である小島博人さんが、柳 美里さんに提出した企画書に既に書いてあったそうです。

     この本は、柳 美里さんが語った人生をライターの辛島いずみさんが構成し、柳 美里さんが書き直したものだそうです。さて柳 美里さんを動かしたタイトルが掲げられた本の内容は何か…。

     美里さ

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    2020年04月29日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    ショートパンツを穿いてサンダル履き、シャーツの前をはだけて、腹を丸出しにして、裾を風にはためかせている奴の姿を見ると、破滅の予感が沸いてくる。Tシャーツに印刷された絵や文字は、どうにも珍妙で道理に反している。自分の内在している思想や感情を表現しているように見えてしまうことが卑怯すぎる。見えてしまうことによって、人は破滅に向かう。Tシャーツ1枚で偉そうに思想を語った気になる。自分の弱いモチーフを服によって増幅させる。これは刺青をちらつかせて人を威圧するのと変わらない。相応の覚悟もないまま雰囲気だけまとって、さも中身があるかのように取り繕う人間には破滅の道があるだけ。破滅が恐ろしくてTシャーツが着

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    2020年01月18日
  • タイル

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    「狂気に理由なし」と感じさせられた柳美里さんのエロティック&黒い笑い&血みどろのホラー小説です。妻に拒絶され離婚したやもめ男が引っ越したマンションの一室で憑かれた様に一心不乱に部屋にタイルを敷き詰め続ける。コンビニで缶ジュースを先に飲んで空き缶で清算したりデパートで水着(赤いパンツ)を試着したまま買ったりしている内はコミカルな笑いで済んでいましたが、男にはとんでもなくヤバイ事をやらかしそうな半端ない異常な気配が出まくりでしたね。不能男の一瞬の変貌が恐ろしく過信と油断が招いた血の惨劇に心が凍りつきましたね。

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    2019年08月26日
  • 人生にはやらなくていいことがある

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    小説が読みたかったけど、まず手にした初柳美里本。
    どうやら異色?な企画(巻末に説明あり)から生まれたことがわかった。
    彼女の歩んできた「ガイドライン」を知るには良かったかな。それにしても、すごい生き方だ。小説、早く読んでみたい。

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    2019年06月27日
  • 貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記

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     人に原稿を書かせておいて原稿料を払わないという、前代未聞のブラック雑誌『創』でのエッセイ(一部)と、泥棒編集長とのやりとりについて書いた著者のブログをまとめたもの。大変厳しい生活であることはわかったが、しかし最初に「400字3枚5万」の口約束が「1枚4千円」にまで下げられるのは納得いかない話だ。これじゃ作家も育たないわ。

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    2018年12月01日
  • 貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記

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    柳美里の貧乏な日々の暮らしを綴ったエッセイ。
    収入が少ないというよりは、贅沢ではないが支出を抑える意志がなく大雑把といった感じで
    作家としてあることを第一に考え他のことには無頓着である結果に思える。
    また幼少期の話も語られており、短絡的な考え方は育ってきた環境が強く影響していそうと感じられる。

    後半は雑誌「創」の編集長への原稿料の支払いの督促に関するやりとりがブログから転載されている。
    分筆を専業とする世間知らずな作家が貧しい出版社から容易に搾取されたという印象を受けた。

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    2018年11月23日
  • 国家への道順

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    柳さんの著作は一度も読んだことがない。
    そして本作も半分は斜め読みだが、色んな出自のある女氏のことが好きになった。

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    2018年03月07日
  • オンエア 下

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    ネタバレ

    上巻から時は4年経ち、上巻で大学に入学したばかりの子がアナウンサーとなり、女子アナの世代交代をメインに描く。
    登場する男たちがクズばかりで、女子アナでなくても、女が年を取ることの不憫さを感じる。
    その中でも、自分の居場所を見つけて、3人とも新しいスタートを切る様は、最後まで読んで良かったと感じた。

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    2018年02月28日
  • オンエア 上

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    ネタバレ

    女子アナウンサーの世界を描く、結構珍しい作品。
    帯のニュース番組を担当する3人の女子アナの浮き沈みの激しい世界を綴っている。
    他の方のレビューにもあったが、冒頭、3人の性描写のシーンから描かれているので、かなりセンセーショナルだけれど、読んでいくとそれぞれの苦悩がきちんと描かれており、本当にシビアな世界なんだと実感する。
    話の主点が章ごとに変わって、若干読み難い部分もあるが、第2章で描かれる女子アナの自殺がとてつもなく衝撃的だった。自殺する女子アナが多いけれど、画面で映っていない部分も葛藤が物凄いんだなぁ、と少し女子アナを見る目が変わりそうな気がする。

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    2018年02月28日
  • オンエア 下

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    テレビの世界っていつどこで足引っ張られるかわからない大変な世界なんだなあって思った。小説といえども、こういうこといっぱい実際にあるんだろうなあって思った。

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    2017年09月06日