柳美里のレビュー一覧

  • JR高田馬場駅戸山口

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    読みにくかった。
    主人公の思考がスライドショーみたいに切り替わるところとか。でも、この読みにくさは必要だとも思った。
    思っただけで言葉にできずにいたけど、解説とあとがきを読むと「それな〜!!」ってなる。

    柳美里のルージュという本を高校生の時、部活サボって読んだ記憶があって、今回この作者さんの本を読んだ。シリーズって知らなかった。
    詳細は朧げだけどSOSが印象に残った本だった。

    この本の主人公も正座とか放射能とかよりも、ただ、助けてって言いたかったのかな。助けてって言えたら…言える人がいたら…と考えてしまった。

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    2024年10月12日
  • JR上野駅公園口

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    淡々と主人公の独白が続く、困難に満ちた生活を振り返る。
    そしてある時、この人は今どこにいるんだ?って疑問が湧いてくる。
    JR上野駅公園口での静かで激しいクライマックス。
    何か今まで経験してなかったモノに触れてしまった気がする。

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    2024年10月11日
  • JR上野駅公園口

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    ネタバレ

    柳美里さん、一時期ハマってたくさん読んだのですが、彼女の小説は実体験をもとに、すごく身を削って書いている印象があって、たくさん読んだらすごく苦しくなって、最近は読んでいなかった。先日「ベストエッセイ」という単行本を入手して好きな作家さんのエッセイを読んでいたらその中に柳美里さんのエッセイがあり、あ、またこの人の作品読みたいなと思ったので、本書を手に取りました。
    私が好きな他のリベラルな作家さんも、弱者に寄り添う姿勢を重視していて、その中でこの作品に触れているのも出会っていたので以前から読みたいと思っていました。

    本書は、上野公園でホームレスとして暮らす男性の回想、というスタイルの小説です。小

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    2024年09月05日
  • JR高田馬場駅戸山口

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    ラスト30ページ、涙が止まらなかった。まさかこんなに泣くことになるとは。「待って、待って、」とずっと心で叫びながら読んでいた。

    郵便ポストのシーンはダメ押しでキツかった。胸が締めつけられて痛い。幼稚園でのゆたかくん、お布団で寝ているゆたかくん、ママと笑い合うゆたかくん、ママの自転車のチャイルドシートに乗っているゆたかくん、ママと手をつないで歩くゆたかくん、〈祖母に手を繋がれて突っ立っている〉ゆたかくん、いろんなゆたかくんの姿が思い浮かんで、ゆたかくんのかわいらしさが哀しみを増幅し、大げさでなく滝の涙。

    主人公は38歳の主婦、川瀬由美。夫のまさるは長野に単身赴任中、3歳の息子ゆたかを育ててい

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    2024年05月27日
  • 自殺

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    自殺をしたいと思うことって別に異常じゃなくてむしろ普通ですよって言われたらちょっと嬉しいんですよね。
    人間って自殺したら「なんで自殺したの?」「自殺の原因は?」「誰が悪いの?」って思いますよね、でもじゃあこれがもし「なんで生きるの?」とかだったらどう思いどう答えますか?
    実は人間って死ぬことに関しては原因や理由を求められるのに生きることについては意外と無関心だと思います。そんな方に読んでほしいし、考えてほしいと思います。

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    2024年01月29日
  • JR上野駅公園口

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    「諦念」という言葉が先ず浮かんだ。読んでいて愉しい類いの作品ではないが、貴重な読書体験になった。感謝。

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    2024年01月20日
  • 町の形見

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    表題作がおもしろい
     表題作の「町の形見」は実験的な戯曲だが、その新しさから十分おもしろさを味はへた。読む戯曲として十分通用してゐる。東日本大震災を当事者から語り成功した手法だとおもった。
     一方で過去作の震災リメイクver「静物画」はどうも会話などが通俗的だった。女子版と男子版の2種類あり、人称代名詞および細かい部分、末尾の震災の部分が大きく変るだけのちがひだ。

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    2023年08月24日
  • ねこのおうち

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    ネタバレ

    短編集のようで全て繋がっているお話は結構大好き。
    嫁ぎ先に猫がいて、可愛くない…と思ってるけど
    やっぱり野良猫を捨てたり、殺したりするのは人間の勝手。可哀想な猫が減りますように。
    ニーコが最後生まれ変わったのかな。おばあさんのところに戻れてよかった。

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    2023年04月14日
  • 南相馬メドレー

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    ネタバレ

     1968年生まれの柳美里さん、2015年、鎌倉から息子と4匹の猫とともに原発から25㎞の南相馬に居住。2015年から2019年までの暮らしを綴ったエッセイです。そのバイタリティと素直な文章に感銘を覚えました。「南相馬メドレー」、2020.3発行。柳美里さんの小説を読むと閉塞感に陥ることが多いし、途中で失速することもありますが、本書の読後感は爽やかですw。角田光代さんとは、ゆうはん、みつよどん、と呼び合う仲なんですね! 柳美里さんは161㎝、北海道の大学に進学の息子丈陽君は186㎝だそうです。

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    2023年02月12日
  • 8月の果て(下)(新潮文庫)

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    小説って、こんなことまで表現できるのか。衝撃。
    血と絶望と怒りと苦しみの物語、否、歴史。
    今をなお、殺され続けている彼らの苦しみをこの物語は救う。
    最後にたどり着くのは「自由!」
    祈りのような小説だ。

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    2022年11月18日
  • 貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記

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    お金がない時の切羽詰まった感は、若い頃何度も経験したので、とても共感。貧乏も神様になれば、こっちの味方ですね。

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    2022年10月09日
  • 人生にはやらなくていいことがある

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    おそらく一万円選書の本に出てきたから読んだのだとおもう。

    子育ての成否は、その子がどの大学に合格したかではなく、どの職業に就いたかでもなく、どのような家庭を築くかなのです。p129

    すごい人。
    壮絶な人生って、こういうことなのだろうなとおもう。それをこんなふうに文章にできるところもすごい。
    目を逸らしてしまわず、向き合ってきたからこそ書けるのだろう。
    記録、の大切さ。

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    2021年12月24日
  • JR品川駅高輪口

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    ネタバレ

    読書欲がほぼ無くなってしまった中で手に取ったこの作品に、ぐいぐい引き込まれた。

    学校での友人関係に疲れ、家庭では居場所がなく、唯一の救いは亡くなってしまった祖母との思い出。
    自殺サイトを覘き、書き込みもする。
    だが、彼女に悲壮感はない。圧倒的な虚無感が漂う。
    駅のアナウンス、車内での他人の会話、学校での友人の会話。否応なしにランダムに耳に入ってくるそれらの言葉は、届かない。
    唯一届いたのが祖母の声。
    死ぬことに引き込まれていた彼女が生に留まり、生きていることを実感したラストは圧巻。

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    2021年08月07日
  • 8月の果て(下)(新潮文庫)

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    韓国朝鮮近現代史―日韓併合、満州、慰安婦、朝鮮戦争ーを背景に、著者柳美里さんのマラソンランナーである祖父とその家族は駆け抜けていく。

    すっすっはっはっ
    呼吸音を響かせながら、肉体は血と汗を流し、息苦しいまでの情念と“恨”(ハン)が物語の言葉を絞り出していく。

    すっすっはっはっ 
    オノマトペが彩るこの小説にまるで憑かれるように読み進める。特に下巻は加害側としての責務に思いを抱きながら、最後まで駆け抜ける。

    すっすっはっはっ
    その先に待っていたもの、光の先へ・・・これが「八月の果て」なのか。


    ただただ眩く美しい。

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    2021年07月17日
  • JR高田馬場駅戸山口

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    高校生だった時に父親を亡くすというトラウマのある主人公。原発事故後、愛する息子を守ろうとするあまり徐々におかしくなっていく、孤立を深めていく過程がこれでもかというほどしつこい自問自答によって描かれtりる。コロナ禍にいる我々にとっても、他人事ではないように感じられ、心が落ち着かない。

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    2021年06月29日
  • JR品川駅高輪口

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    絶句した
    この小説を表す言葉を僕は多分持たない

    生と死の境界はどこにあるんだろう
    なぜ私は生き、そして死ぬのだろう
    果たしてこの世界に生きる価値なんてあるのだろうか
    苦しいだけの友人関係
    家族からの疎外
    追い込まれる、孤独
    死ぬのは簡単だ
    黄色い線を踏み越えればいい
    はたまたわざわざ死ぬ価値なんてあるのだろうか

    僕は百音だ
    ここはいるべき場所ではないのかもしれない
    それでもこの世界は生きるに値する
    居場所のない全ての人へ
    百音の確かな歩みがそのことを力強く教えてくれる

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    2021年03月31日
  • JR上野駅公園口

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    細切れに段落が区切られ、世界の絶望的な断絶が感じらる。
    声高に悲惨を叫ぶものではない。淡々と事実を積み重ねていく。
    最後の津波と列車の人身事故の象徴は、全く異なる事実に位置することを物語る。一方は避けられないもの。一方は避けられるもの。
    総じて、追いやられた人の深刻な、生きる難しさがテーマだと思えた。

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    2023年08月17日
  • JR高田馬場駅戸山口

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    『JR高田馬場駅戸山口』柳美里


    山手線シリーズ。『グッドバイ・ママ』の新装・改題版。上野駅も品川駅も孤独で辛かったけれど、こちらは群を抜いて孤独だと思った。こんな手法で孤独を描くことができるんだと思った。おそろしい。

    夫は単身赴任先で不倫、母親は離婚、父親は他界、義実家とも不仲。幼稚園児の息子を抱え、友人もなく、放射線や農薬やとにかくあらゆる脅威から息子をただ守ろうと奮闘する主人公。

    大半が彼女の一人語りで、その語りにはしばしば「忍者ハットリくん」が憑依する。何とかでござるよ、ニンニン、と自らを鼓舞する。その語り口がだんだん神経症めいた早口になって上がり調子になって、絶好調になればなる

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    2021年03月07日
  • JR品川駅高輪口

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    柳美里『JR品川駅高輪口』河出文庫。

    『JR上野駅公園口』に続く山手線シリーズの第2弾。

    電車の中で飛び交う乗客たちの断片的な会話が都会の喧騒と忙しさと主人公の女子高校生の居場所を失った孤独感を表現するかのようだった。この雰囲気はと思い出してみると、大昔の真面目な頃のNHKのドラマではないか。

    普通の家庭で、仕方無しに余り偏差値の高くない高校に通う高校1年生の市原百音は、誰かと一緒に死のうとネットの掲示板に自殺仲間募集の書き込みをする。

    うわべだけの友達、父親の不倫と母親と弟との別居の危機、東日本大震災の原発事故による放射能汚染。生きることの無意味さばかり味わう日常と強くなるばかりの死

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    2021年02月21日
  • 国家への道順

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    差別の心は〝普通〟に僕らの周り溢れている。「子煩悩な普通の父親」や「ボランティアにいそしむ普通の女性」の心にも。無知や無関心は差別を生む。それを解きほぐすものは、相手のことを知ろうとする「対話」の中に。

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    2020年03月25日