柳美里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ1933年、天皇と同じ日に生まれた主人公・カズ(森一夫)の人生を通じて、日本の栄光の影にスポットを当てる作品。
家族を養うために1964年東京五輪の建設現場等、カズはひたすらに出稼ぎを続け、家族と離れ離れの生活を続けていた。そんな矢先、息子が21歳で急死し、妻にも先立たれ、絶望の淵に追い込まれてホームレスとなる。
物語終盤で、すでにカズ自身も鉄道自殺を遂げていることが明かされ、幽霊となって上野駅を行き交う人々を見守っていることが明かされる。ラストでは、東日本大震災の津波で孫娘も亡くすという、逃れようのない不幸の連鎖が描かれて幕を閉じる。
とにかく台詞が多く、カズが生きている人々の声を断片的 -
Posted by ブクログ
ネタバレホームレスになってしまった男の回想を彼と共に巡る話であった。彼の母の言葉であった「おめぇは運がねぇ」の言葉通り、彼の人生は一生を通してなかなか不運な人生であったと思う。
しかし一生を通してずっと不幸であったわけではない。両親がいて妻がいて、子も孫もいた時期もあるのだから、人並みに幸せだった時期もあるのだ。だから身近な人々が早逝して結果ホームレスになってしまっても可哀想な人生だったねとまとめることはできない。
彼は人が長い年月をかけて経験する幸と不幸を早送りのように経験してしまったのだ。ただそのダメージは大きく、彼は未来に向かって生きることを忘れて過去にとらわれる人生を送るようになってしま -
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『自殺の国』を改題して刊行された作品。
山手線シリーズ。
前作が全米図書賞受賞ということで読んでみたけれど、ちょっと難解で難しく感じられた。
今作は身近に感じられた。
自殺願望みたいなものは、私自身にもあって、別に今作みたいに掲示板とかで募集して…とかいうつもりは無いけれど、どこかぼんやりそんな気持ちがある。
“わたしは、生きたい人は普通の人で、死にたい人は普通じゃない人だと思っていたのかもしれない。でも、死にたい人と生きたい人は実は同じ人で、生を突き飛ばして死にしがみつくか、死を突き飛ばして生にしがみつくか、だとしたら、生にも死にもしがみつかないで生きていける人が、普通じゃない人なのか -
Posted by ブクログ
上野公園のホームレスの男の生活を描いた作品。
作者は上野公園での取材をもとに描いている為、限りなくノンフィクションに近いフィクションである。ホームレスって、なんで仕事からしないの?仕事しようと思えばできるんじゃないの?正直この本を読む前はそう思っていた。そのような考えが一気に覆った。
この作品を通して「山狩り」という言葉を初めて知った。「山狩り」とは、天皇や皇族が訪れる際に特別清掃、いわばホームレスの排除をすることである。
たしかに以前と比べると上野公園で最近ホームレスを見かけない。園内では大道芸や楽器を演奏するアーティストの活動が盛んになったり、外国人観光客がより一層賑わいを見せている。 -
Posted by ブクログ
連作短編小説。
ひかり公園で生まれた野良猫たちと関わる人々が織りなす「命」の物語が描かれていた。
捨てられた猫から始まり、リアルな苦境や人間の葛藤が描かれる中、猫たちと人々の関わりから、命の尊さや責任を考えさせられる感動作。
物語の細やかな描写が、共感力や思いやりを育み、豊かな人間関係や社会貢献に繋がる可能性を提示しているように感じた。
猫好きな人もそうでない人も、心に深く響く感動や、考えさせられるテーマが充実した作品。
初めのお話から気持ちが沈んでしまうような重いテーマが扱われていましたが、ラストには救われたような気持ちになれました。
※物語の内容に強い衝撃を受ける可能性があるの