柳美里のレビュー一覧
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『自殺の国』を改題して刊行された作品。
山手線シリーズ。
前作が全米図書賞受賞ということで読んでみたけれど、ちょっと難解で難しく感じられた。
今作は身近に感じられた。
自殺願望みたいなものは、私自身にもあって、別に今作みたいに掲示板とかで募集して…とかいうつもりは無いけれど、どこかぼんやりそんな気持ちがある。
“わたしは、生きたい人は普通の人で、死にたい人は普通じゃない人だと思っていたのかもしれない。でも、死にたい人と生きたい人は実は同じ人で、生を突き飛ばして死にしがみつくか、死を突き飛ばして生にしがみつくか、だとしたら、生にも死にもしがみつかないで生きていける人が、普通じゃない人なのか -
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上野公園のホームレスの男の生活を描いた作品。
作者は上野公園での取材をもとに描いている為、限りなくノンフィクションに近いフィクションである。ホームレスって、なんで仕事からしないの?仕事しようと思えばできるんじゃないの?正直この本を読む前はそう思っていた。そのような考えが一気に覆った。
この作品を通して「山狩り」という言葉を初めて知った。「山狩り」とは、天皇や皇族が訪れる際に特別清掃、いわばホームレスの排除をすることである。
たしかに以前と比べると上野公園で最近ホームレスを見かけない。園内では大道芸や楽器を演奏するアーティストの活動が盛んになったり、外国人観光客がより一層賑わいを見せている。 -
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連作短編小説。
ひかり公園で生まれた野良猫たちと関わる人々が織りなす「命」の物語が描かれていた。
捨てられた猫から始まり、リアルな苦境や人間の葛藤が描かれる中、猫たちと人々の関わりから、命の尊さや責任を考えさせられる感動作。
物語の細やかな描写が、共感力や思いやりを育み、豊かな人間関係や社会貢献に繋がる可能性を提示しているように感じた。
猫好きな人もそうでない人も、心に深く響く感動や、考えさせられるテーマが充実した作品。
初めのお話から気持ちが沈んでしまうような重いテーマが扱われていましたが、ラストには救われたような気持ちになれました。
※物語の内容に強い衝撃を受ける可能性があるの -
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本書は、タイトルがコロコロ変わっているらしい。2012年に刊行されたときは『自殺の国』、2016年に文庫化されたときに『まちあわせ』と改題、そして2021年の新装版(本書)で『JR品川駅高輪口』という当初のタイトルに戻した、とのこと。
また、本作は「山手線シリーズ」の第4作なのだそう。「あとがき」に詳しく書いてあるが自分のメモのためにまとめておくと、1作目から順に
『山手線内回り』、
『JR高田馬場駅戸山口』、
『JR五反田駅東口』(『山手線内回り』所収)、
『JR品川駅高輪口』(本書)、
『JR上野駅公園口』(2020年12月に読んだ全米図書賞受賞作)、
『JR五反田駅西口』(2024年5 -
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自分が生きる世界が全てで、そこから抜け出すことは決してできず、その世界で認められなかったら全て終わり。
この感覚は苦しいくらいわかる。わたしも病気になり、何度も死にたいと思い、死に近づこうとした。今も終わった世界の延長線を生きている感覚。それでも、こんな自分でも他人や自分に対してどこかでわずかな期待を抱き、そしてそれが叶うことはないと感じてはしんどくなり、それでもとまた少し前を向き、でもやはり結局は死という形で全ては失われる、とまた無力感に襲われる。
主人公は最後にクラスメイトの優しさにほんのわずかな生きる価値を見出した。
それでも人生はその一つの経験だけで乗り越えていけるほど甘いもので -
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ネタバレすべからくみんなくるっています。
狂気を超絶濃縮した
やばさ1000%の作品ですね。
表題作は父親がまず人間として
狂っていらっしゃって
その子たちもいろいろ狂っている、というか歪んでいる。
すみ着いたホームレスの子も歪んでいる、
やっぱり両親も…
彼らは狂うべくして狂ったんだとも思っています。
そしてサレ妻の狂気が襲う
「もやし」
もうサレたのに狂って
ありもしない事実までも
作ってしまったのだろうね。
でも主人公もうかつだよ。
なぜそこでお見合い相手と
つながれて、カネの肩代わりができると
思ったのだろう。
ああいう家ってそういうの
厳しいんだよな…