柳美里のレビュー一覧

  • 掌篇歳時記 秋冬
    物語ではなく、読書そのものと、日本の繊細な四季の移ろいを味わう一冊。初めて読む作家さんもいて楽しかった。
  • ねこのおうち
    生と死に向き合う柳さんらしい目線で描かれた猫のお話。

    正直、序盤で読むのが辛くなった。
    野良猫を取り巻く厳しい現状と、手を差し伸べる人達。
    可愛い、可哀そう、癒される、そういうファンタジーではない、リアルな野良猫たちの物語。
    野良猫の生と死と、人間の生と死を絡め、胸苦しくなるものの、ラストは救われ...続きを読む
  • ねこのおうち
    捨て猫から人間の本質を見つめる。
    人間は見たいものしか見ない性質を持っている。
    人間の生と死も見つめる。
  • 貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記
    作家という稼業は、売れているのはほんの一握り、流行が去るのも速いし…とはいえ、柳さんは芥川賞まで取ったメジャーな作家さん。
    何故困窮生活?と思って読んだが、なるほどその行動力によるものが大きいのかも。
    しかし困窮しながらも、必ず手を差し伸べてくれる人がいて、その人徳も柳さんの行動力からくるものなのだ...続きを読む
  • 春の消息
    柳さんと佐藤さんが東北の霊場を巡りながら対談していく様を、訪れた場所の写真や紹介文を交えながら載せています。
    近代以前は、生きている人たちと死者、そしてあらゆるカミが共存していた。でも、近代以降は生と死の間に明確な境界が引かれ、死は、生活の中で可能な限り触れたくないと思われるものに変容していった。
    ...続きを読む
  • 自殺
    いい印象のなかった柳美里が自殺について語ったり対話している本。なぜいい印象がなかったかは読んでいてわかった。この本を読む限りではある意味では、人として普通の感覚を持っている気もする。自殺について、その魅惑性やある種の必然を肯定した上で、冷静に書くというのは、やはりイカてれいるというか狂っているような...続きを読む
  • 人生にはやらなくていいことがある
    転居の理由のひとつが「共苦」。これはその土地に行かなければできないことでした。子どもは、すでに高校生になり、卒業後の進路は自分で選択するのだし、息子ひとりで相馬を出ていっても良いと考えている。最後は自分ができることを即断していったのだと思います。また、もとの住まいであった土地は、海に近く、土地勘のな...続きを読む
  • 人生にはやらなくていいことがある
    柳美里の初の人生論です。
    お断りしておきますが、自分はこの種の本を全くと言っていいほど読みません。
    理由は3つ。
    ①その日その日で手一杯で、人生について考える余裕がないから
    ②人生なんて大テーマを本から学ぼうなんて了見がさもしいと思うから
    ③結局は著者の自慢話であることが多いから(いや、たぶん、推測...続きを読む
  • 自殺
    死について考えることは悪いことなのか。なぜ生きるか、なぜ死ぬか。それを語り合うことが出来ない時代に生まれたことが辛い。

    死に時を逃してしまったから死ねないし、生き直すほどの気力もない。幸せの絶頂で死にたいけれど、もう平凡な人生しか歩めない。

    尊厳を守っていられるあいだに死にたかった。


    以下引...続きを読む
  • 貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記
    この前に読んでいたのだ「一私小説書きの日乗 野性の章/西村賢太」で、似たようなニオイを感じますね。女西村賢太と言ってもいい。

    露悪的なまでの赤裸々な生活の描写。今回は貧乏がテーマで、ネットは切られ、国保は滞納し、美容院に行く金がないので財布を忘れたフリをする。

    攻撃的な性格。攻撃に値すると思うと...続きを読む
  • 貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記
    芥川賞をとった売れっ子の作家が生活苦にあえぐとは…。執筆活動だけでは生活が厳しく、消費者金融に手を出し多重債務者になったことも告白。出版社との印税未払いの顛末記も…。それでも幸せを感じる瞬間があり、貧乏生活を楽しんでいる一面もあるという。作家として、女性として、親として、めいっぱい必死に生きている著...続きを読む
  • フルハウス
    毒の味がする、
    正直なところ妹が来た時に全て終わらせて欲しかった
    オチが気になる終わり方だった。
    オチが気になると思うのが間違いなのかも知れないけれど、姉と父の揺らぎを妹が壊してくれるんじゃないかと最後まで期待してしまった。
  • 貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記
    金銭的な問題ももちろんだが、作家として、女性として、親として、その時々にいっぱいいっぱいに、必死に生きようとしてきた、柳美里の飾らない、壮絶な生き様を垣間見ることができる。
  • 女学生の友
    今までずーっと読みたいと思ってた柳美里の本です。
    『女学生の友』と『少年倶楽部』が入ってます。

    うーん、二つともかなーり濃い内容の社会派小説になってるかなぁ。

    『女学生の友』は、定年退職して生きる喜びのないおじいちゃんと、何を喜びに生きていいのかわからない女学生が恐喝するお話。
    老後、今時の女子...続きを読む
  • 水辺のゆりかご
    柳さんのプロフィール的なことは何作か著作を読んでいて知っていたんだけど、改めてこういう形で読むと、「濃い」と思った。
    家庭環境や学校でのいじめ、って箇条書きみたいにしちゃうと平たく感じちゃうんだけど、読んでる間、最初から最後まで薄闇の中で目を凝らしているような重苦しい感覚なのに、なぜだか軽快に読み進...続きを読む
  • フルハウス
    少女も妻も狂気に満ちている。
    柳美里の自伝的要素も織り交ざり、とてもリアル。
    そして、何処までが現実世界にあったことで、何処までが作者の物語なのかわからない。
    私は狂気を求めているのかもしれない。
  • 水辺のゆりかご
    柳さんのルーツのきれ端が見える自伝(私は“自伝”として読んだ)。
    『ゴールドラッシュ』の舞台となった、巨大なパチンコ店のある黄金町で過ごした十代の一時期は、『ゴールドラッシュ』での風景描写を本作に投影したため、非道く心苦しくなった。

    林真理子女史の解説は私の感じていた“柳美里”という作家を気遣う思...続きを読む
  • タイル
    濃い…。まともな人間が一人も出てこない。

    特に主人公の狂い方が(セリフとか)キてななぁ。

    なんていうか落ち込んでるときに読むものじゃない。

    ホラーといえばホラーかな。
  • 水辺のゆりかご
    昭和四十三年、夏至の早朝、在日韓国人夫婦のあいだに一人の女の子が生まれた—。家族のルーツ、両親の不仲、家庭内暴力、苛烈をきわめた学校でのいじめ、そして自殺未遂…。家庭や学校、社会との、絶え間ない葛藤と軋轢のなかで歩んできたみずからの姿を見据え、類いまれな“物語”へと昇華した感動の一冊。作家としての豊...続きを読む
  • フルハウス
    「家を建てる」が口癖だった父は、理想の家族を夢みて、本当に家を建ててしまう。しかし、娘たちも、十六年前に家を出た妻もその家には寄りつかなかった。そこで、父はホームレスの一家を家に招き、一緒に暮らし始めるのだが…。第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞受賞の表題作のほか、不倫の顛末を通して家族の...続きを読む