柳美里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なんだろ、普通。。。
達者な書き手ではあるけれど、10代のリアルの再現度はでは当然最果タヒとか桐島部活やめるってよの人には敵わない。
息を吐かせない読ませ力はあるけれど、読み終わってそんなに多くのものが残らない。
度々語り手=視点が微妙に変化したり聴覚情報が炸裂するけど、そういった語りの変化が物語に作用したり深みを与えているわけでもない。
原発事故の話も、関西脱出的な話としか絡まないし。もうちょっとオシャレにできたんじゃないだろうか。
不倫も受験も集団自殺もわりと手垢のついたネタだよね。
ハブられと声をかけてくれるクラスメイトのくだりは嫌いじゃなかった。逆にいうと残るのってそれくらい。。。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上野駅、品川駅と読んで3作品目です。
上野駅も品川駅も、死んだように生きている人が、最終的にたどり着いたのが死だった。どちらも読後、程よいカタルシスを感じた。
が、この高田馬場駅は、読んでいて非常に辛かった。読むほど、気持ちが悪い方向に持っていかれた。主人公は生きようとしているのに、そのために必死に足掻いているのに、世界が主人公を否定してくる。
感情を揺さぶられたという意味では良作ですが、人には勧めないですね。(私含め)鬱傾向がある方は精神状態が悪化する可能性がありますので、読むべきではないということが読後1番言いたいことです。ですが、精神的に健全な人は、果たしてこの小説を興味深く読むことが出 -
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Posted by ブクログ
柳美里の山手線シリーズの4作目?かな。僕にとっては『上野駅公園口』の次。16歳、女子高生の主人公が友人関係や家族の関係に疲れと失望を覚え、自死にいたろうとする話。物語の9割は主人公のモノローグで、情報のモザイクのような山手線内の情景を意識の流れと共に追う。ゆっくりと自死に向かおうとするのだが、決して重苦しくない。かなり客観的で明るい口調のモノローグとして、しかし確実に人生に失望し、それほど確信がない中でゆっくりと自死に向かっていこうとする。
このシリーズでは唯一はっきりと救いのある結末を迎えるそうだ。自死という生々しさは、実存を嫌な意味で浮き彫りにさせる。社会にとって、世界にとっての正しさと -
Posted by ブクログ
知らなかったのだが、『JR上野駅公園口』は、山手線の駅を巡るシリーズの実は第5作目であり、過去に4作品のシリーズ作品があるという。本書は2012年に出版された第4作にあたる作品であり、当初は『自殺の国』と題されていたものを、今回の文庫化に際して改題したものとなる。
筋書きは当初のタイトル通り、家族や学校での行き場を無くして亡き祖母との思い出だけが唯一自分を慰めてくれる少女が、ネット掲示板で出会った自殺志願者たちと自殺を計画する・・・という筋書きである。その出発点となるのが、品川駅である。品川駅は環状線の1駅でありながら、東海道に抜けていくターミナル駅であり、そこが本書での重要な舞台背景となる