柳美里のレビュー一覧
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『自殺の国』を改題して刊行された作品。
山手線シリーズ。
前作が全米図書賞受賞ということで読んでみたけれど、ちょっと難解で難しく感じられた。
今作は身近に感じられた。
自殺願望みたいなものは、私自身にもあって、別に今作みたいに掲示板とかで募集して…とかいうつもりは無いけれど、どこかぼんやりそんな気持ちがある。
“わたしは、生きたい人は普通の人で、死にたい人は普通じゃない人だと思っていたのかもしれない。でも、死にたい人と生きたい人は実は同じ人で、生を突き飛ばして死にしがみつくか、死を突き飛ばして生にしがみつくか、だとしたら、生にも死にもしがみつかないで生きていける人が、普通じゃない人なのかな?
生も死も、よくわからない。
死ぬのは最終的には死んでみなければわからないとしても、生きるのがわからないのはどうしてなんだろう”
この言葉が印象的だった。
生きていてもいなくても変わらない毎日を生きている気がして。
百音みたいな環境では無いけれど、それでも何か生きることへの絶望みたいなものから抜け出せない。
ぐるぐる回る電車の中で、そんな思いに駆られている人は一体何人いるのだろう。
その循環から抜け出すために、飛び出してしまう前に、何か、何か。 -
Posted by ブクログ
連作短編小説。
ひかり公園で生まれた野良猫たちと関わる人々が織りなす「命」の物語が描かれていた。
捨てられた猫から始まり、リアルな苦境や人間の葛藤が描かれる中、猫たちと人々の関わりから、命の尊さや責任を考えさせられる感動作。
物語の細やかな描写が、共感力や思いやりを育み、豊かな人間関係や社会貢献に繋がる可能性を提示しているように感じた。
猫好きな人もそうでない人も、心に深く響く感動や、考えさせられるテーマが充実した作品。
初めのお話から気持ちが沈んでしまうような重いテーマが扱われていましたが、ラストには救われたような気持ちになれました。
※物語の内容に強い衝撃を受ける可能性があるので、ご注意ください。 -
Posted by ブクログ
本書は、タイトルがコロコロ変わっているらしい。2012年に刊行されたときは『自殺の国』、2016年に文庫化されたときに『まちあわせ』と改題、そして2021年の新装版(本書)で『JR品川駅高輪口』という当初のタイトルに戻した、とのこと。
また、本作は「山手線シリーズ」の第4作なのだそう。「あとがき」に詳しく書いてあるが自分のメモのためにまとめておくと、1作目から順に
『山手線内回り』、
『JR高田馬場駅戸山口』、
『JR五反田駅東口』(『山手線内回り』所収)、
『JR品川駅高輪口』(本書)、
『JR上野駅公園口』(2020年12月に読んだ全米図書賞受賞作)、
『JR五反田駅西口』(2024年5月現在これ以下は未発売)、
『山手線外回り clockwise』、
『JR常磐線夜ノ森駅』、
の全8作だそうだ。でもご本人のXによると、これらの他に「JR原宿駅竹下口」というのもある。9作になるということか。
さて、『JR品川駅高輪口』。時は2011年6月、主人公は高1の市原百音。学校ではハブられないよう、クラス内のグループ「スカイソーダーズ」のイツメン(イツモイッショデナケレバイケナイメンバー)たちに合わせ、家に帰れば心のバラバラな家族と過ごす毎日。今は亡きおばあちゃんだけが、百音に寄り添ってくれていた。
そんな百音は、自殺志願者が集まるネット掲示板を見ている。ただ見ているだけなのか、それとも書き込みをしているのか、もし書き込んでいるならどれが百音の書き込みなのか、などは途中まで明らかにされない。
百音が見ているもの、聞いている(もしくは聞こえてくる)音声、心の中で思っていること、誰かと交わしている会話などがそのまま文字に起こされているので、臨場感たっぷり。本作ほどではないが『JR上野駅公園口』でも同様の表現が見られたので、このシリーズには共通の書き方なのだろう。
クラス内グループのメンバーとの付き合いの描写がリアルで、自分の学生時代を思い出してどんより重い気分になってしまった。私も友人関係がうまく築けない方だったから、百音の気持ちが痛いほどよくわかってつらかった。
〈生も死も、よくわからない。
死ぬのは最終的には死んでみなければわからないとしても、生きるのがわからないのはどうしてなんだろう?
いまだって生きているし、死ぬまでは生きているのにーー。〉
百音の居場所がたとえ今そこにはなくても、亡きおばあちゃんのことを思うとき、ひとすじの希望が見える。
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Posted by ブクログ
自分が生きる世界が全てで、そこから抜け出すことは決してできず、その世界で認められなかったら全て終わり。
この感覚は苦しいくらいわかる。わたしも病気になり、何度も死にたいと思い、死に近づこうとした。今も終わった世界の延長線を生きている感覚。それでも、こんな自分でも他人や自分に対してどこかでわずかな期待を抱き、そしてそれが叶うことはないと感じてはしんどくなり、それでもとまた少し前を向き、でもやはり結局は死という形で全ては失われる、とまた無力感に襲われる。
主人公は最後にクラスメイトの優しさにほんのわずかな生きる価値を見出した。
それでも人生はその一つの経験だけで乗り越えていけるほど甘いものではないだろう。幾度となく、死と向き合い、その都度、ほんのわずかな微かな喜びや価値にすがりつきしがみついて耐えていくものなんだろうなと思う。
自分は情けないほど弱い人間で、いつか耐え切れなくなるかもしれない恐怖に怯えて生きている。支えてくれる家族、自分の敬愛するアーティストが奏でる音楽、物語、絵画、好きな風景など、いろんなところにわずかでもしがみつける場所、引っかかりがある場所を作っておき、口を開けている大きな落とし穴に落ちないようにしておくことは大事だと思う。自分一人の心など、簡単にくずれ落ちてしまうものだとわかっているので。 -
Posted by ブクログ
ネタバレすべからくみんなくるっています。
狂気を超絶濃縮した
やばさ1000%の作品ですね。
表題作は父親がまず人間として
狂っていらっしゃって
その子たちもいろいろ狂っている、というか歪んでいる。
すみ着いたホームレスの子も歪んでいる、
やっぱり両親も…
彼らは狂うべくして狂ったんだとも思っています。
そしてサレ妻の狂気が襲う
「もやし」
もうサレたのに狂って
ありもしない事実までも
作ってしまったのだろうね。
でも主人公もうかつだよ。
なぜそこでお見合い相手と
つながれて、カネの肩代わりができると
思ったのだろう。
ああいう家ってそういうの
厳しいんだよな… -
Posted by ブクログ
なんだろ、普通。。。
達者な書き手ではあるけれど、10代のリアルの再現度はでは当然最果タヒとか桐島部活やめるってよの人には敵わない。
息を吐かせない読ませ力はあるけれど、読み終わってそんなに多くのものが残らない。
度々語り手=視点が微妙に変化したり聴覚情報が炸裂するけど、そういった語りの変化が物語に作用したり深みを与えているわけでもない。
原発事故の話も、関西脱出的な話としか絡まないし。もうちょっとオシャレにできたんじゃないだろうか。
不倫も受験も集団自殺もわりと手垢のついたネタだよね。
ハブられと声をかけてくれるクラスメイトのくだりは嫌いじゃなかった。逆にいうと残るのってそれくらい。。。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上野駅、品川駅と読んで3作品目です。
上野駅も品川駅も、死んだように生きている人が、最終的にたどり着いたのが死だった。どちらも読後、程よいカタルシスを感じた。
が、この高田馬場駅は、読んでいて非常に辛かった。読むほど、気持ちが悪い方向に持っていかれた。主人公は生きようとしているのに、そのために必死に足掻いているのに、世界が主人公を否定してくる。
感情を揺さぶられたという意味では良作ですが、人には勧めないですね。(私含め)鬱傾向がある方は精神状態が悪化する可能性がありますので、読むべきではないということが読後1番言いたいことです。ですが、精神的に健全な人は、果たしてこの小説を興味深く読むことが出来るのだろうかというジレンマがあります。
主人公の女性の言動は極端すぎて理解できず、不快感まで感じました。忍者ハットリくんとか知らんし、独白部分も何言ってんだこいつ…って思ってました。
けれど、孤立奮闘する主人公が、1人勝手に溺れていく心理状態だけは、すごく共感出来てしまい、読んでいるうちメンタルが引きずられてしまいます。
何をやっても上手くいかない。自己主張しても誰も理解してくれない。すると段々と、私の考えは、間違っているのだろうか?私は誰にも受け入れられない、共存できない。なんのために生きているのだろう?存在しない方がいいのではないか?と思うようになる。
こと悲しいのは、
彼女を取り巻く問題は、いずれも彼女自身が巻き起こしたものが殆どということ。しかしそれは、彼女にとっての生き方を貫こうとしただけでもあります。
正座問題も、放射能汚染も、ゴミ問題も、彼女が目を瞑りさえすれば全て上手くいく。
けれどそれは、彼女の生き方を、信念を、全て否定することになる。彼女が子供の未来のために正しいと思っていることを否定し、悪であると思っていることを受け入れなければならないことでもある。
言動は理解できないしヒステリックすぎだとは思うけれども、彼女が孤立無援の中で1人で必死に生きようともがき苦しんだ事は間違いない。そして打ち砕かれ、世界から否定されたことも。世界に居場所が無くなった彼女は、死ぬしかなかった。
自分の信念を貫いて生きようとした結果がこれなのかと思うと、私はもう、自分の意見を述べる勇気も起きない。私もこんなふうに壊れてしまい自死を選ぶしかない未来が待ってるのかもしれない…そんな感じで、私も鬱になってしまった作品でした。
また、ヒステリックに叱られ、価値観を押し付けられても、たった1人の母親を信頼し甘える素振りをする子どもの姿は、堪えるものがありますね。
どうか、最後は思い直して欲しい。彼女に寄り添い、導いてくれる存在が現れて欲しい。そして、彼女は苦しみから解放され、再び明るい人生を歩いていって欲しい…
現実において生きづらくて苦しんでいる人に、そんな奇跡はそうそう起きないと知っているからこそ、せめて小説の中だけは。そう思います。