柳美里のレビュー一覧
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柳美里『JR品川駅高輪口』河出文庫。
『JR上野駅公園口』に続く山手線シリーズの第2弾。
電車の中で飛び交う乗客たちの断片的な会話が都会の喧騒と忙しさと主人公の女子高校生の居場所を失った孤独感を表現するかのようだった。この雰囲気はと思い出してみると、大昔の真面目な頃のNHKのドラマではないか。
普通の家庭で、仕方無しに余り偏差値の高くない高校に通う高校1年生の市原百音は、誰かと一緒に死のうとネットの掲示板に自殺仲間募集の書き込みをする。
うわべだけの友達、父親の不倫と母親と弟との別居の危機、東日本大震災の原発事故による放射能汚染。生きることの無意味さばかり味わう日常と強くなるばかりの死 -
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ひとはなぜ自殺をするのか。
自殺は人間だけが行います。ライオンもコンドルも自殺しません。だから私は、自殺は最も人間的な行為だと思うし、人間だけに与えられた特権だということができると思います。
ひとが自殺をする理由はひとが生きる理由ほどあるんです。けれどひとが死を選ぶ本質的な理由は、自己の尊厳を守るという強い動機に支えられている、といえます。自殺は尊厳死であるといってもいいと思います。ひとは、自己を脅かしつづける屈辱を葬り、自己の尊厳を守る権利があるということをおぼえておくべきだと思います。
だから裏返しなんですよ。生きたいと死にたいというのは全くイコールなんです。
何の根拠も -
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下巻は上巻にもまして、重たく感じられました。まずは、下巻の冒頭で、雨哲が30歳前にして目をみはる成績と最高のコンディションでむかえるはずだった東京オリンピックが戦争の影響により中止となった場面から彼の人生がはげしく転がり落ちていきます。一方、血を分けた弟の李雨根(イ ウグン)は、抗日を叫ぶ義烈団に参加するため兄以上の足を持ちながらもマラソンをあきらめて、朝鮮を離れ、拠点である上海に赴きます。こうして李雨哲の兄弟・家族は戦争終結間際に散り散りになったあと、故郷に集散していくさまが人と土地の結びつきを記憶・心理から結び付けられていて、郷愁のありようを示してくれています。そこに気持ちが揺さぶられまし
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Posted by ブクログ
「自殺は生きる意味と価値を喪失した結果」
ちょっと・・・たまに・・・自殺願望が沸々とわいてくるので、この本を読んだ後は、どっぷりとマイナス思考に落ちました。
それほど心を抉り取るような講演録、そしてエッセイです。
きれい事じゃない、心の闇を貫きます。
私は「死」に近い仕事をしています。
次の言葉は、「死」を考える上で、カウンセラーの先生が言っていたことに近いです。
「人はその人生において、幾度かの結末を迎え、その度に何事かを葬り去らなければなりません。失恋したのならば恋を。会社が倒産しりリストラされたのならば前職を葬り去ることができなかった」
また、子供とおとなの自殺の相違点を一つあ -
Posted by ブクログ
ホームレスという「見えない人」から今の日本社会をみる視線と、ホームレスとなるに至った個人の来歴の物語を、戦後天皇一家がたどった軌跡に重ね合わせて構成された小説である。語り手のホームレスは現上皇と同年、息子は今上陛下と同年の生まれであり、運不運という言葉では語りつくせない、強烈な光と影の描く人生の不条理が深く心に残る。
途中、バブル崩壊で職と家庭を失い過去を悔いつつ泣き崩れる元不動産会社員の中年ホームレスが登場するが、ホームレスといえばそうした「自己責任の物語」に回収しようとする世間に対して、作者は黒々と太い一線を引きつつ、来歴を語らず、身元が露見する一切を捨去る多くのホームレス達の見えざる物語