柳美里のレビュー一覧

  • 8月の果て(下)(新潮文庫)
    下巻は上巻にもまして、重たく感じられました。まずは、下巻の冒頭で、雨哲が30歳前にして目をみはる成績と最高のコンディションでむかえるはずだった東京オリンピックが戦争の影響により中止となった場面から彼の人生がはげしく転がり落ちていきます。一方、血を分けた弟の李雨根(イ ウグン)は、抗日を叫ぶ義烈団に参...続きを読む
  • 自殺
    「自殺は生きる意味と価値を喪失した結果」

    ちょっと・・・たまに・・・自殺願望が沸々とわいてくるので、この本を読んだ後は、どっぷりとマイナス思考に落ちました。

    それほど心を抉り取るような講演録、そしてエッセイです。

    きれい事じゃない、心の闇を貫きます。

    私は「死」に近い仕事をしています。
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  • タイル
    初めて読んだ柳美里作品。エロティックで不思議な感じが面白かった。
    初めて読むにはオススメできないけど、柳美里作品を読んでどのようなものを書くのか理解してからなら大丈夫かも。
    私は一番好き。
  • 水辺のゆりかご
    なんか壮絶な話だった。
    自伝だけど・・・。(この本だったよね?)
    でもなんか救われた気がした。これ読んで。
    救われる要素は微塵もないのに。
    一回頭が壊れてももとにもどれるんだね。
    柳さんの他の作品も芝居も観たことないんけど、(三月兎だっけ?)また自虐系だったら嫌だなと思って敬遠してる。
  • 自殺
    好きです。
    好きすぎて買ったり友達にあげたり買ったり友達に貸したままだったりを繰り返しています。
    高校生は読むべきです。
  • 水辺のゆりかご
    私はあまりエッセイを読まないのですが、柳美里さんの作品に熱中するようになったのはこの本からでした。
    彼女特有の鋭利な文体と、少女時代の記憶。
    幻想のようでありながらこれは真実であった、そう気づく度にぐっと惹きこまれていきます。
  • JR上野駅公園口
    かつて、司馬遼太郎さんは柳美里さんの作品を「研ぎ澄まされた文章」と評価されていらっしゃったそうだ。
    著者の柳美里さんは2002年にこの小説を構想し始めたとのこと。2006年にホームレスの方々の間で「山狩り」と呼ばれる行幸啓直前の「特別清掃」の取材などを経て、2014年3月に出版された。
    この「研ぎ澄...続きを読む
  • 人生にはやらなくていいことがある
    同時代を生きている人は、宇宙のスケールから考えれば、みな同世代。
    という考えにひかれました。
    余生、老後なんてものはない。人生に「余り」なんてない。 「老年を 死に向かって 暗く閉ざされていく時間だとも思わない」
  • 人生にはやらなくていいことがある
    どんなに嫌で恥ずかしくて不本意な過去でも、それらの出来事の堆積の上に今の自分がある。。 #柳美里 は初めてだけど壮絶過ぎる過去で、他の作品も読んでみたい。
  • JR上野駅公園口
    怖い。

    私は、浅い人生を歩んでいるのかもしれない。
    まだまだ未熟者だからなのかもしれない。

    生きる、死ぬ……。
    死は、私が考えているよりもはるかに
    近くにいるのかもしれない。
    生きるのは、暮らすのは、
    同じ年に生まれ、同じ日に生まれたのにも
    かかわらず、こんなにも生き様が違う。
    人の数だけ、生き...続きを読む
  • ねこのおうち
    うぅっ〜、正直読むのをやめてしまおうかと思うほど辛い気持ちに…
    しかし、ページをめくる手はとまらずに最後まで。
    猫も人間も生きていくことの厳しさ、報われない現実、不平等…
    解説にもあったように「自分の見たいものだけ見る」そんなご都合主義の人が世の中には沢山いる。
    自分は大丈夫だろうか、目を逸らしたく...続きを読む
  • JR上野駅公園口
    たしか2年ほど前に話題になった頃に買って途中まで読んでいたがずっと放置していた。再度、最初から読み直した。とても社会的な内容。戦後の日本がまだ貧しかった時代から高度成長期にかけてのごく普通の人が上野公園のホームレスになってしまう生活のリアルが描かれている。とても考えさせられる内容だった。
  • 町の形見
    表題作がおもしろい
     表題作の「町の形見」は実験的な戯曲だが、その新しさから読む分でも十分おもしろさを味はへた。読む戯曲として十分通用してゐる。東日本大震災を当事者から語り成功した手法だとおもった。
     一方で過去作の震災リメイクver「静物画」はどうも会話などが通俗的だった。女子版と男子版の2種類あ...続きを読む
  • 貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記
    柳さん自身がすこし浪費癖がありさう
     山登りのはなしとかおもしろいものもそれなりにある。後半の創出版未払ひをめぐるやりとりも珍しかった。しかし金銭感覚について申し上げると、柳さんの感覚は私とはすこし離れてゐるやうだ。
  • JR上野駅公園口
    感動というより寂しくて恐い話。何も悪いことはしていないけど不運な主人公のつらさや、宗教の部分をアメリカでどう訳して評価されたのか気になった。
    この作者の本は読まず嫌いでしたが、薦められて読んでよかったです。
  • JR上野駅公園口
    4.5
    読後感がいいわけではないが、魂に響いてくる作品。

    途中、作者の知識自慢ないし識者へのリスペクトを示すためだけのくだりでは?と感じるような部分もあったが、私の読み取り不足なのかもしれない。

    とにかく描写が上手く、ストーリーを追いながら自然に情景を思い浮かべることができた。
  • 南相馬メドレー
    震災後、鎌倉から南相馬に居を移し、舞台や書店開店など様々な活動を行う柳美里さん。
    たくさんの悲しみや喪失に寄り添う姿に尊敬の念を覚える。

    避難所でおにぎりを1日3000個握って手が真っ赤になる、寒い東北でも1週間後の支援物資のおにぎりは腐っていた、車の中での避難生活…

    より現実感を持って震災が迫...続きを読む
  • JR上野駅公園口
    某所読書会課題図書:上野公園で生活するホームレスの実態を克明に描写した本だが、出稼ぎ労働者として北海道などにも行ったが最終的に上野公園に落ち着く男の物語だ.多くの子供に恵まれたが、なぜか一人になりたい思考が優先するのだろう.ホームレス仲間ではそれなりに交流があり、ミニ社会を構成しているようで、やはり...続きを読む
  • JR上野駅公園口
    福島県相馬郡鹿島町(現・相馬市)にて、天皇と同じ日に
    生まれた男の壮絶な人生を時代背景を反映しつつ、
    平成最大の大天災の日までを描いた物語。

    最初は、淡々と主人公の人生が語られていくものと
    思って読んでいましたが、
    物語が進むにつれ物悲しい展開も幾度となく訪れ、
    終盤は、涙なくしては読めないって感...続きを読む
  • JR上野駅公園口
    昭和8年生まれのホームレス男性の生涯が痛ましく、取材によってリアルに著された描写がより男性への同情を引き付けるように感じました。「おめえはつくづく運がねえなぁ」のお母さんの言葉が男性の人生を象徴しているように思えました。