西澤保彦のレビュー一覧
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気がつくと昭和から令和へと元号も変わり(なんと平成という時代もあった!?)、三十八年も経っていたうえに、自分は幽霊になっていた。どうやら何者かに殺害されて、ここに埋められたらしいが、いったいなぜ?トリッキーな謎解きで魅了する「ひとを殺さば穴ふたつ」、高校生が廃屋になった旧校舎からの覗きを端に巻き込まれた不思議な事件を描く表題作「偶然にして最悪の邂逅」など、全五篇の短編集。
会話劇な「人を殺さば〜」が一番好きだな!ほんとに昭和なおじさん会話なんだけど目まぐるしく状況が変わっていくのに何が起こってるのかわかるのがすごい。「リブートゼロ」はいかにもな不倫エロミステリでぐっちゃぐちゃの状況を力技でさらにぐっちゃぐちゃにしていてちょっとつらい。「ひとり相撲」はちょっと地味かなあ。「間女の隠れ処」はまわりくどさが好きな人は好きかもしれない。表題は最後の最後の絡まりっぷりが私は好きだけどやりすぎかもしれない。 -
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ネタバレ腕貫さんの勤める櫃洗市で起こる、腕貫さんの出てこないミステリ短編集。櫃洗市を構成するホテル〈シンヒツ・ロット〉やら私立囲櫃学園やら国立櫃洗大学やら、お馴染みの舞台が登場する。
腕貫さん好きなので、出てこないとやっぱり淋しいけど、このシリーズのノリは好きだし各編ストーリー展開に意外性があって楽しく読めた。
6編のうち、最初と最後が同じコミュニティの話で、あとは登場人物はバラバラ。
「エスケープ・ブライダル」
同級生倉橋の4回目の結婚披露宴に出席すべくシティホテル「シンヒツ・ロット」に来たケーカクこと恵本角樹。倉橋の3番目の花嫁は、披露宴当日に蒸発し、死体で発見されていた。実は、4度目の結婚披露宴は犯人をおびき出すための狂言だった。
結局語り手のケーカクが犯人で驚いた(動機弱すぎ!)。解決してめでたしな感じだったけど、倉橋が2度結婚に失敗したのは事実だったことに気づいて後味悪かった(笑)。
月夜見ひろゑのキャラがマンガチック。裏腕貫さん的にシリーズ化できそう。
「偸盗の家」
最初の誤配エピソードが面白かった。同姓同名で前夫と現夫というなかなかこんがらがりそうな設定。そして継父と連れ子の愛憎…あなおそろしや。
「必然という名の偶然」
これも同姓同名トリックの変型と言えるかな。同窓会名簿の各卒業年度の7番目の人がここ数ヶ月で20日ごとに不慮の死を遂げてるらしい、という法則の信憑性を問題にした話。
いや確かにこれだけでその法則性を当てはめるのは乱暴かもしれないけど、逆にこれほど条件の合う同姓同名が沢山いるだろうか、との思いの方が遥かに勝る。法則性は正しいに一票(笑)。
「突然、嵐の如く」
豪雨で道が寸断されて櫃洗市と石間木市の行き来が出来なくなったことで起こった事件。石間木に居るはずの妻が、櫃洗市で車に放火しようとして体に火が移った挙げ句慌てて飛び出したところ車にはねられ死亡した、と警察から電話が入る。
携帯が今ほど普及してないとはいえ、他人の携帯から電話したら着歴で発信元バレるだろ、とツッコミ入れたくなる話だった。
男性教師をたぶらかそうとする女生徒、怖い。
「鍵」
この話は結構好き。かつて住んでいたワンルームの鍵を見付けたことで、出来心からそこに忍び込んでみる主人公(馬鹿)。ふいに戻ってきた今の借り主と思しき人物に慌て、思わず首を締めてしまう。警察が来て自白するが、殺したのは自分の妻だった。妻も自分をその部屋におびき寄せて殺そうと計画してた、って話。
まぁ、鍵は替えようぜ貸し主。
「エスケープ・リユニオン」
再び第一話に出てきた月夜見ひろゑやらオヤカタやらの同級生界隈の話。
西澤さんってたまに中年のコミュニティを扱うけど、これが結構私にハマる。この同級生達のやり取りも面白く読めた。
前半は第1話でいい雰囲気になった倉橋と鍵谷由衣を取り持とうと同級生達が即席の同窓会を企てるふりしてお膳立てし、彼らは退場、後半は残った同級生のうち芸能人の長渕が殺される。
中心のぼやけた話で、エピソード単位ではなく、時間単位で切り取った物語になってるところが珍しく感じた。 -
Posted by ブクログ
過去の事件を会話形式で振り返り、真相が判明する西澤さんといえば、な設定の短編集。過去と現在が行ったり来たりしたり、事件の関係者が脈絡なく増えたりは以前からなんだけどどうも読みにくかった。真相も曖昧に終わったままで煙に巻かれたり。昭和に死んだ幽霊と彼が殺された事件について推理する「ひとを殺さば穴2つ」と同時刻に別の場所で起きた親傷害&娘殺人事件をリアルタイムで刑事が追う「リブート·ゼロ」はすっきり結んでいて良かった。表題作は一番複雑で真相もおお?といまいち理解が追いつかなかったが最後の締めに西澤さんらしさを強く感じた。「間女の隠れ処」での推理作家の愚痴は自虐かな?
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こんなにも不確かな世界で、
この物語はこれこれこういうことをあらわしています、なんて
よく信じられるものである。
回答に責任を負う?
負わされる、と云うべきか。唯一絶対の回答、が無いからこそそれを求めて探偵する行為が魅力的なんだろうな、なんてそれこそ不確かなことを考えているんだけれど、いまどきじゃないんだろうなぁそういうの。真実はいつもひとつなの? そうなの?
ちょっと斜めに解釈するだけですぐ炎上しちゃうから、発信力のあるひとは大変だよね…元々そのひとの発想や言説が魅力的だからその発信力を得てる筈なんだけれど。いつからか「皆の思うそのひと」像から外れたことをすると批判されるようになる。その仕組みはいろんなところで見受けられますね。
毎度、本編とは関係あるようなないような。
ついつい読み切ってしまった、酩酊カルテットの短編でした。広い時期を跨いで、四人組の卒業後のエピソードまで。長編で解決した諸々があるからこそ、というところもあるのでやっぱり時系列で読むのがいいと思います。ずっと読んできてると、なんだか落ち着きます。
☆3.4
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記憶の曖昧さ。過去は自分の都合の良いように変わってゆく
同級生の結婚式で再会したことがきっかけで小学校の思い出を振り返り、またその時に起こった殺人事件のことを振り返る。
登場人物の名前の読み方が紅白で「いりまざり」や、指弘で「いいず」など特徴的過ぎて、読み終わるまで読み方が覚えられなかった。逆にその特徴のが人物を読み分けやすい点でもある。
全編通して各人の記憶を元に、過去に起きた殺人事件やそれにまつわる出来事について推理していく(思い出していく)というもので、曖昧な記憶が、擦り合わせによって段々と鮮明になっていく過程は読みごたえがあった。ただし、証拠といえるものも、物的といえるものは少しで大部分が記憶によるものなので、結末にて主人公たちが導き出した答えも、きちんと筋は通るものなのだけど、作中で「人間は己れの記憶を、文字通り記録された過去だと勘違いしている」とあるように、実はそれも自分の都合のいいように記憶したものなのかもしれない、と後味の悪さも残している。