西澤保彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
西澤保彦の初期作品。匠千暁シリーズの長編。
著者の初期作品は、色々な面で、どちらかといえば斬新で、でも安定して読めるものが多い。
このシリーズは、限定的な情報を元に酒を飲みながら大学生が半分妄想を築くように不可解な事象を解明していくものだが、そんな喜劇を、とにかく会話で押し倒す、という構造で作っているのがユニーク。
更に、会話文が丁寧、というか決め細やかなのがよい。不必要な部分を敢えて散りばめることで、リアリティとテンポをはらんだものになっており、読みやすさを生んでいる。
ネタや結末も、ちょっと他の作家にはない感じで魅力的だ思う。
まだまだ未読作があるので、順次読んでいきたい。
3+ -
Posted by ブクログ
ネタバレ西澤保彦のデビュー二作目の作品。サービス精神旺盛な西澤保彦らしく,いろいろな要素を盛り込んでいるが,やや過剰に盛り込み過ぎており,かえって「完全無欠の名探偵」である山吹みはるの個性が生きていないのが残念
山吹みはるが話を聞くことで,人々が勝手に記憶の糸を辿り,意外な真相に気付く話がいくつか並ぶ。そして,これと並行して,白鹿毛りんの少女時代の思い出の話が挿入される。
さらに,白鹿毛りんが,「愛」と引き換えに能力を手に入れるというSFめいた設定まで加わり,物語全体の構成がややこしくなるが,真相はこれに輪をかけて複雑
睡眠薬を使い,襲われたことを理由として自殺したと思われていた紫苑瑞枝は生き