西澤保彦のレビュー一覧
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長年勤めた百貨店を早期退職し、現在失業中の身にある四八歳の羽村祐太は、高校卒業三十周年記念の同窓会に行った際、同級生だった加藤理都子から奇妙な依頼を受ける。具体的なことには言葉を濁す理都子の依頼を試しに一回やってみると答えた羽村のもとに持ち込まれたのは、大量の分別されていないゴミだった。このゴミを分別して捨てて欲しい、と理都子は言うのだが、いったい、何のために。
ということで本作は、西澤作品の中でも私の偏愛している一作。つまりは何度目かの再読です。かつては優秀なデパートマンで、現在は(自ら望んだ形ではあるものの)無職という立場にある羽村の周囲を取り巻く人間関係の中に、様々な謎が散りばめら -
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ある未成年者が、合計四人の男女を殺傷した殺人及び殺人未遂容疑で全国に指名手配された。犯人の遺留品によって重要容疑者は割り出され、解決に向かいはじめたかに思われたが、事件は結局、迷宮入りしてしまう。それから四年の月日が流れ、事件の唯一の生存者となった一礼比梢絵は、事件の様々な謎が解き明かされることを求めていた。事件を担当した刑事でもある双侶を頼って、そんな彼女が足を踏み入れたのが、ミステリ関係の創作に携わる者たちが開く会合〈恋謎会〉だった。ひとつの事件をめぐって、会のメンバーは謎を推理していく。彼女が本当に知りたかった謎は解き明かされるのか――。
西澤保彦さんの代表作のひとつでもある『聯愁 -
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とある夜の別荘に殺意が集ってしまう、、、というお話(?)。
何故か連鎖的に殺人が発生してしまい、決してやっていない殺人を自ら解明しようとしてさらなる事件が発生し、また別の場所の別の事件もあり、収束していくが謎が残り、最後にわぁっ、となった。
最後までなんだか変だぞと思いながら読み進め、最後の最後でどかぁんと見事にそう思い込まされていたことを知り、そういうことだったかぁ、となった。
そんな記述はなかったか、と確認のためにももう一度読み返してみないとなと思いました。
こういうどんでん返し作品、好きだわぁ。
ということで、再読。
さーっとそういう記述は確かになかったことを確認。それと同 -
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高校生の久太郎は、自分の意図しないうちに同じ1日が繰り返し訪れる「反復落とし穴」に嵌まる特異体質を持つ。資産家の祖父は新年会で後継者を決めると言い出し、親族が揉めに揉める中、何者かに殺害されてしまう。繰り返される1日の中で、久太郎は祖父を救うため画策する…というストーリー。
おもしろい!
久太郎は高校生だけど語り口や口調がジジくさくて、反復落とし穴に今まではまってきた影響だとわかりやすくて良かった。祖父の死を阻止するために、目立ちたくないはずの久太郎が周囲の人の行動を制限するための方法を考えたり実行したりする様子がコミカルで面白かった。
ストーリーの後半で語られる真相もなるほどな、と納得のい -
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至近距離で向かい合う二棟の八階建てのマンション。住民たちからは『双子ロータ』と呼ばれるマンションの片方の棟で起こった殺人事件。被害者は今年の二月に反対側の棟の住人に不自然な住居の交換を申し出ていたという。かつて教師をしていた還暦過ぎの男は何故、殺されたのか。反対の棟で起こった九年前の事件と今回の事件を、一本のマニアックなホラー映画のDVDが繋いでいく――「此のすべて鏡像なる世界」
ということで帯を見てびっくりしたのですが、『腕貫探偵』シリーズも誕生20周年みたいです。大変個人的な思い入れで恐縮なのですが、ちょうど自分がミステリにのめり込みはじめた時期がこの辺りなので、なんだか感慨深さがあ -
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狂気的な〈美〉の謎が解き明かされる時、意外な真相が浮かび上がる……かと思いきや。ということで本作は、最初から読者に犯人が提示されている、いわゆる〈倒叙ミステリ〉のような体裁を取っているのですが、どうもそんな感じがしない。
印南野市で起こる連続女性殺人事件、自らの犯行を誇示するかのようにわざとらしく残された指紋……著者の作品だと『殺す』や『狂う』などを思わせるような展開で進んでいくのですが、似ているようで、でも最後まで読むと、全然違うタイプの作品だったことが分かります。かなり異端な作品と言ってもいいかもしれません。たぶん0点か100点か、かなりひとを選ぶ内容だなぁ、とは思いますし、気軽に薦 -
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ネタバレいやはや………
面白いッッ!!!!!!
伏線に伏線を広げて全て回収していく、
どんでん返される艶やかな流れに思わず笑みが溢れる…
舞台が待ったなしミステリ大好きシチュに加え、
キャラクターの感情や思考のリアルさ&
まさかの出だしから皆死んでいるという有り様。
めちゃくちゃ面白そうすぎる。
そして別の場所で起きているもう一つの事件…
警察が警察としてあるまじき事をしたきっかけで、自ら更なる混沌に身を投じていく…
どちらも続きが気になりすぎる展開なんだよなぁッッ
個人的には、最初から最後まで
点が線になっていく過程を楽しんで読破できた。
久々にミステリの面白さを実感して、
どんでん返し