西澤保彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今読むには少し古い物語だとは思いますが、それでも私はこの物語に心を掴まれました!
このミステリーはほんとに素晴らしいと思います!!
ミステリーでは当たり前な展開、今まででてきた登場人物の中に犯人はいて、犯行に関わっている人もいて、少しずつ真実が分かっていくはずなんです。
少しずつ真実がわかっているのに、自分の推理はどんどん真相から遠ざかっていました。
最初はハコちゃんと呼ばれる女の子の視点から入ります。その視点では、事件で重要なことが描かれているはずなのに、私は最初のそのシーンのせいで逆に真相から遠ざかっていきました。きっと作者もそれを狙っていたのでしょう。最初に重要な場面を見せ、読者が真実に近ずけるようにお手伝いをする振りをして、実際読者をいい意味で裏切る。真相を知った時の衝撃と、それだけで終わらないさらなる衝撃で、何度も裏切られ読んでる時間はとても楽しかったです。
そしてミステリーでは必ずある推理のシーン。私は普段ミステリーを読まず、難しいことがよく分かりません。ですがそんな私でもスラスラと読めてしまうほど面白みのあるシーンでした。この物語では、推理をする時に登場人物達がお酒を飲んでいます。個性豊かな登場人物がお酒を飲みながら会話をしていると言うだけで、推理という硬っ苦しいものから抜け出せた感じがして、推理のシーンも楽しめました!
そしてそれぞれの登場人物のクズっぷり。どの登場人物も人間味がありすぎて話に飲まれてしまいそうになります。
物語の中では、どれだけ性格の悪いクズでも、最終的には良いふうに描かれることが多いです。
実際私も根っから悪い人なんて存在していないと思う派の人間です。
それでもこの物語では、どうしようもないクズが存在し、どうしようもない自分勝手な親が、どうしようもない性悪を育ててしまうどうしようもない人達が沢山登場してきます。
まるで現実に起こった話を見ているかのような作品に私はとても引き込まれました。
ミステリー好きなら絶対読むべき小説だと思います!
ミステリーが苦手でも、適度にむずかしく適度に面白みのある小説なので、ミステリーに手を出してみたいと思ったらこの本を強くおすすめします! -
Posted by ブクログ
死者たちの世界―― 誰も寄り付かない辺境の屋敷にそれはあった。 生前の記憶をリセットして生ける屍として再生させる装置、それによって甦った屍は更なる仲間を求め生者を殺していく・・・。 一方死者の世界の隣町では不可解な連続殺人が起きていた、死後の世界と生前の世界が交わる時事件は驚愕の結末を迎える・・・。
西澤氏のSFミステリ。 「生ける屍の死」の影響を強く受けています。 荒々しいそれでいて雑ではない驚天動地のトリック、ラスト数行で叩きつけられる真相、SFという自由な設定に厳粛なルール付けをして展開される西澤ミステリの最高傑作だと思いますね。(でも舞台がアメリカなので珍苗字は一切出てこないのだ) -
Posted by ブクログ
ネタバレタック&タカチシリーズ第五長編にして、シリーズ総決算。
・裏口のドアに挟まれている小石
・死んでいるはずの老婆の幽霊
・未亡人が飼っていた犬
・ケイコという名の少女が連続で誘拐され、無傷で
帰ってきた事件
シリーズの醍醐味と言える奇妙な謎が、本書にはふんだんに盛り込まれている。一つ一つのディスカッションも楽しいが、とにかく凄いのは、謎が謎を補強し合っているところ。
目的を見失い、精神安定のために行うストーカー行為や、信じたくないという思いからの記憶の改竄、神を捨てるために娘を捨てた父。
アクロバティックなロジックの先に見えてくるのは、果てしない人間の業。
そしてそれらは全て、最大の謎を解きタカチが勝利を収める、その前哨戦、伏線へと変貌する。
さらにあのラスト。ウサコの視点でしか描けない、あの美しい幕切れは忘れられない。
このシリーズを読んできて、本当に良かった。
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Posted by ブクログ
ある女子大生が自宅で死体に出くわし、とある事情から友人たちに手伝ってもらって隠蔽することに。そして警察に代わって自分たちで解決を目論んでいくことにーー
と、設定は正直言って単純だし少し地味。しかも、本書の大部分を占めるのがディスカッション。
ああだこうだと言い合って、全ての謎に筋の通った説明をつける。その作業にかなりの頁数が割かれているのだ。そしてその中で、作者は“論理の飛躍”の醍醐味を見せてくる。地味な設定、本格の括りの中でここまで見える景色を変えてくる作品には滅多に出会えない。
そうしたミステリ純度の高さにキャラクターの魅力も相まって、誰でも楽しめる本格--もはや語義矛盾のようにも感じられるが--に仕上がっている。
↓↓↓↓以下ネタバレ↓↓↓
ハコちゃんが発見した"死体"は実はまだ生きていて、しかも髪を切ったのも自らしたことだ、というのがまず驚き。タックが机に頭ぶつけるのが伏線だったんだなぁ。
次に死体の入れ替わりもポイント。
(もしかしてあのスワッピング、コートの入れ替え、盗まれた財布、残ったタオル...とかと対応してるのかとも思ったが考えすぎか?)
そしてなによりこの後味の悪さ。
宮下という人物の卑劣さを曝け出し、そしてもうガンちゃんをズタズタに。
和気あいあいとした前半からは予想もつかないこの急転直下が最高だった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ匠千晶シリーズ第六作。
第五作を飛ばしてしまった。
こちらは短編集。
主に大学卒業後のタックたちのお話。
最初に読んだ、「黒の貴婦人」を思わせる、
テンポの良さと四人のかけあいの面白さが際立っていた。
とくになんとか大学を卒業し、
女子高の国語教師になったボアン先輩の話が面白かったかな。
冒頭のテストの解答用紙や車を無すまれてしまう「盗まれる答案用紙の問題」とか。
ボアン先輩がタカチにほほをはたかれていた「新・麦酒の家の問題」は、
推理が二転三転していってちょっとついていけなかったが、
ボアン先輩に同棲していた女性がいたと判明して面白かった。
もちろん、タカチが叩いた理由はそれではない。
解説にあった
「匠千暁シリーズは、そもそもタカチという美しい謎を解く連作であります。」という一文には、
全くもって賛成だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ某古本屋チェーンの100円カートから何気なく手に取った本。自分にとっては大正解でした。
作者の西澤さんが、そもそもミステリー作家ということもまったく知らず読み始めたのですが、一気にのめり込みました。
感覚を例えるなら、リアル脱出ゲームのような感じ。ゴールがわからないまま、ヒントだけ散らされて、それを一つずつ拾いながら、答えの見当がつかずに、それでいてワクワクしながら歩き続けるようなもの。
この物語の魅力は擬似家族となった三人のあたたかい繋がりが、それとは対象的な世界レベルの計画にからみ合い、徐々にその両者の関係が明らかになっていくワクワク感だと感じました。
また、西澤さんの表現も気に入りました。晩酌をしながらの会話で夫婦の過去が明らかになっていき、親密になっていく経過が、人間味があり素敵です。()の使い方もおもしろいです。
突然の来訪者により一気に畳み掛ける終盤、その後を想像させるラスト、最後にハッキリとわかるタイトルの意味、全て心地よいです。
他の作品はこのような雰囲気ではないのかもしれませんが、また西澤さんの他の作品も読んでみたいです。