西澤保彦のレビュー一覧

  • 依存

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    読み終わってため息をつく程によかった。
    内容は重いがウサコの語り口調なのでとても読みやすい。
    短編ミステリのかき集めのようで全てが重なっていくのが気持ち良い。
    ラストシーンはもう良すぎて語彙がなくなるし、いろんな要素が詰まった作品でとても良かった。

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    2023年02月18日
  • 狂う

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    ネタバレ

    最後にダブルの正体が奏絵だとわかるところで全て持っていかれた。またこの気分にさせられるとは。
    凌辱シーンは読みたくなくなるような描写だけれども、それでも惹き寄せられる読み応え。
    奏絵はきっと鳴沢を大切な仲間だと思っていただろうに、下らない妄執でこの結末は悲しいし切ない。

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    2022年12月11日
  • 仔羊たちの聖夜

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    ネタバレ

    前作まで読んで期待高めで読んだがまたまた面白かった!
    親のエゴは意のない悪であり、けれでも結果として最悪を生むということを物語を通してひしひし感じた。
    タックとタカチの関係もまた素敵で読んでいてドキドキする。

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    2022年10月10日
  • 依存

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    ネタバレ

    タック&タカチシリーズ第五長編にして、シリーズ総決算。

    ・裏口のドアに挟まれている小石
    ・死んでいるはずの老婆の幽霊
    ・未亡人が飼っていた犬
    ・ケイコという名の少女が連続で誘拐され、無傷で  
     帰ってきた事件

    シリーズの醍醐味と言える奇妙な謎が、本書にはふんだんに盛り込まれている。一つ一つのディスカッションも楽しいが、とにかく凄いのは、謎が謎を補強し合っているところ。

    目的を見失い、精神安定のために行うストーカー行為や、信じたくないという思いからの記憶の改竄、神を捨てるために娘を捨てた父。
    アクロバティックなロジックの先に見えてくるのは、果てしない人間の業。
    そしてそれらは全て

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    2022年10月03日
  • 人格転移の殺人

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    SF小説であり本格ミステリでもあり、よくバランスが取れている作品だった。
    読んでいくうちにこっちまでジャクリーンを段々好きになっていく!
    退屈しないで終始楽しい。

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    2022年09月05日
  • 彼女が死んだ夜

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    ネタバレ

    宮下とハコちゃん、ルミが糞。
    それはさておき、酒を飲みながら仲間たちで推理し合うシーンは非常に楽しめるし、何回もどんでん返しされてずっとワクワクした。

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    2022年08月04日
  • 彼女が死んだ夜

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    ある女子大生が自宅で死体に出くわし、とある事情から友人たちに手伝ってもらって隠蔽することに。そして警察に代わって自分たちで解決を目論んでいくことにーー

    と、設定は正直言って単純だし少し地味。しかも、本書の大部分を占めるのがディスカッション。
    ああだこうだと言い合って、全ての謎に筋の通った説明をつける。その作業にかなりの頁数が割かれているのだ。そしてその中で、作者は“論理の飛躍”の醍醐味を見せてくる。地味な設定、本格の括りの中でここまで見える景色を変えてくる作品には滅多に出会えない。
    そうしたミステリ純度の高さにキャラクターの魅力も相まって、誰でも楽しめる本格--もはや語義矛盾のようにも感じら

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    2022年07月26日
  • 謎亭論処 匠千暁の事件簿

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    ネタバレ

    匠千晶シリーズ第六作。

    第五作を飛ばしてしまった。
    こちらは短編集。
    主に大学卒業後のタックたちのお話。
    最初に読んだ、「黒の貴婦人」を思わせる、
    テンポの良さと四人のかけあいの面白さが際立っていた。

    とくになんとか大学を卒業し、
    女子高の国語教師になったボアン先輩の話が面白かったかな。
    冒頭のテストの解答用紙や車を無すまれてしまう「盗まれる答案用紙の問題」とか。

    ボアン先輩がタカチにほほをはたかれていた「新・麦酒の家の問題」は、
    推理が二転三転していってちょっとついていけなかったが、
    ボアン先輩に同棲していた女性がいたと判明して面白かった。
    もちろん、タカチが叩いた理由はそれではない。

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    2022年07月24日
  • 帰ってきた腕貫探偵

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    腕貫探偵シリーズ⑥短編4話。今回は人間関係のドロドロが目立っていた。そして、うち3作の何十年も前の事件の解決という面白い構成は、まさに究極の安楽椅子探偵。さらに最終話の相談相手はなんと幽霊!幽霊相手に全く動じない腕貫さん、流石だ。【氷結のメロディ】バンドメンバーが次々と墜落死していく…【毒薬の輪廻】毒は誰がどんなタイミングで仕込んだのか…?【指輪もの騙り】氷見刑事とユリエちゃん達だけで解決しちゃった!腕貫さん出番なし【追憶】成仏させて欲しい…幽霊からの相談

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    2022年04月24日
  • 人格転移の殺人

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    現実には起こらない設定が前提となるが、そのなかで論理的に話を組み立てているため意外と違和感なく読み進められる。殺人の犯人は?地震の時の真相は?この人格転移装置の目的は?など様々な謎が徐々に解かれていき楽しい驚きを感じられる。ラストのハッピーエンドも気持ちいい。

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    2022年01月09日
  • 方舟は冬の国へ

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    ネタバレ

    某古本屋チェーンの100円カートから何気なく手に取った本。自分にとっては大正解でした。

    作者の西澤さんが、そもそもミステリー作家ということもまったく知らず読み始めたのですが、一気にのめり込みました。
    感覚を例えるなら、リアル脱出ゲームのような感じ。ゴールがわからないまま、ヒントだけ散らされて、それを一つずつ拾いながら、答えの見当がつかずに、それでいてワクワクしながら歩き続けるようなもの。

    この物語の魅力は擬似家族となった三人のあたたかい繋がりが、それとは対象的な世界レベルの計画にからみ合い、徐々にその両者の関係が明らかになっていくワクワク感だと感じました。
    また、西澤さんの表現も気に入りま

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    2021年10月15日
  • 人格転移の殺人

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    SFミステリ。少し複雑だが、図もついているので理解はしやすい。真面目に考えたのだがわからず、真相には驚かされたので大満足。盲点を突いてくる感じがたまらない。ラストもとても良かった。好みの作風なので、この作者は是非とも読み進めなければ。

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    2021年04月11日
  • 自薦 THE どんでん返し

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    ミステリーを楽しみたい、という人にオススメかなと思います。
    どんでん返しと分かっていながらでも楽しめますよ。
    ただ有名な作者の作品が集まってるので、本格ミステリーが好きな人には既読の内容はいくつかあるかもしれません。
    個人的には法月綸太郎さんの作品がいい意味でも悪い意味でも印象的でした。

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    2021年01月12日
  • さよならは明日の約束

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    高校1年生の本大好きの日柳永美とB級映画大好きの柚木崎渓の変わり者ペアが、身の周りの謎を安楽椅子的に解いていくミステリー。ケメルマンの「九マイルは遠すぎる」というちょっとした言葉から思いもかけない真相を明らかにするというミステリーのことが出てくるが、この連作短編集もそんな感じ。実際に調査して確認はしていないから、想像だけに終わっているのかもしれないが、登場人物たちはそれで納得してしまう。永美の祖母や喫茶店ブックステアリングの梶本さんたちもいい味を出しているが、エミール(永美)と渓の淡い関係も何だか微笑ましいというか、甘酸っぱいというか、いい感じだ。

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    2020年11月27日
  • 腕貫探偵

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    何とも不思議な読み心地(^ ^;

    まず、探偵は主役ではない。
    櫃洗市という地方都市を舞台とした、連作短編集。
    舞台設定や時間軸は連続していて、
    各章の出演者同士も微妙に絡みがあったりする。

    その「狭い世界」の中で起きる様々な不思議を、
    市役所の「よろず相談窓口の臨時出張所」みたいな
    神出鬼没な場所に陣取る男が解決していく。
    その男の風貌が、特に特徴もとらえどころもない
    「公務員顔」で、今どき腕貫(腕カバー)をはめている。

    ...ということで「腕貫探偵」となる(^ ^;

    探偵は(全作品通して男の名前すら出てこない)、
    相談者から話を聞いただけで、本質をズバズバ言い当てていく。
    正に快刀乱

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    2020年10月01日
  • 夢の迷い路

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    読書大好き美少女日柳永美とB級・C級映画おたくの少年柚木崎渓の2人、エミール&ユッキーのコンビが、親しい雑貨屋の店主、ブックカフェの店主、叔父から話を聞いて、その驚くべき真相を解き明かすというもの。高校生なのに大人顔負けの推理を披露する。結構無茶苦茶な事件ばかりなのだが、こんな頻度で彼らの身の回りで起こっているなんて殺伐としているけど、2人のコンビぶりはなかなか微笑ましい。最後の短編はエミールの祖母が出てきて、なんだか心温かになる。このシリーズを続けて欲しいな。

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    2020年08月30日
  • スナッチ

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    いきなり降ってきた銀色の雨を浴びた者は宇宙の生命体に人格を乗っ取られてしまう。恋人との結婚を控えた22歳の奈路允生は自分の体の中で目覚めたのは31年後であった。31年間の自分の人生はどうなったのか。奇しくも連続殺人事件が起こり巻き込まれていくことになる。失われた31年の人生に殺人事件の鍵があるのか。
    一回きりの人生というものの意味を考えさせられる。食品添加物などの問題、がん治療の是非、免疫力を無視した解熱剤の使用の問題など、現代が直面する問題を直截に提示もしている。作者が示したのが正解かどうかはこれからの課題ではあるだろう。

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    2020年08月25日
  • 完全無欠の名探偵

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    大財閥の総帥白鹿毛源衛門の孫娘りんの監視役として山吹みはるが高知の女子短大に送られる。この山吹みはるは2メートルの大男で、極めて気のいい男なのだが、相手を知らず知らずのうちに饒舌にしてしまう。喋りまくった後に自分自身で隠された真相に気付くというのだ。一種の超能力だ。この山吹みはると白鹿毛りんが、複雑に絡み合ったある事件を解決するというもの。複雑な関係も最後にはお互いにピタッとはまり込む。これにもちゃんと理由が用意してある。
    作者のデビュー第2作だそうだが、結構力作だ。使われている土佐弁も面白いし、みはるの人柄がいい。シリーズにしても面白かったかもしれない。後の神麻嗣子の超能力事件簿に繋がる作品

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    2020年08月24日
  • 人格転移の殺人

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    そういえば、久しぶりに西澤作品が読みたいかも、ってことで手に取ったもの。ちょっと最近、個人的にミステリ志向。今までのところハズレはないけど、本作も十分に楽しめるクォリティ。どういう仕掛けがあるのかは、タイトルに既に示されている訳だけど、ありふれた転移設定を、いかに料理するのかってところが本作の見どころ。さすがというか、上手い着地点を提示してくれてます。

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    2020年05月08日
  • 腕貫探偵、残業中

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    今作の腕貫さんは、時間外労働というか、プライベートな時間に持ち込まれた相談の謎を解き明かしていきます。
    グルメな腕貫さん…風体や表情は相変わらずですが、そんな一面も見られて、だけど鋭い視点での謎解きには相談者と同じく、聞き入るように読み進めてしまう。
    それぞれの話の登場人物の細やかな描写も、現実にいそうな感じがしてしまうくらい、物語に入っていけるし、やっぱり面白かった。

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    2020年03月07日