西澤保彦のレビュー一覧
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ネタバレなるほど、本書の帯に「ミステリが明らかになった後の衝撃・その後にある気持ちが湧き上がってくる」ということを書いてありその意味がよくわかった。
物語の後半から一気に増すスピードと、読後にわかる細かな伏線。
私は普段ミステリ小説はあまり読まないがなかなかにハマりそうな読後感だった。
以降はネタバレになるが、本書の肝となる「ファンタジー・共同幻想」は現代にも似た部分が多分にあると思う。
SNSの普及によって自分好みの情報だけを取捨選択できる環境が整った。
だから自分の知っている世界は一面的で偏りができてしまっているかもしれない。
そして、そのことに気がつくこともできないかもしれない。
結果と -
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死者たちの世界―― 誰も寄り付かない辺境の屋敷にそれはあった。 生前の記憶をリセットして生ける屍として再生させる装置、それによって甦った屍は更なる仲間を求め生者を殺していく・・・。 一方死者の世界の隣町では不可解な連続殺人が起きていた、死後の世界と生前の世界が交わる時事件は驚愕の結末を迎える・・・。
西澤氏のSFミステリ。 「生ける屍の死」の影響を強く受けています。 荒々しいそれでいて雑ではない驚天動地のトリック、ラスト数行で叩きつけられる真相、SFという自由な設定に厳粛なルール付けをして展開される西澤ミステリの最高傑作だと思いますね。(でも舞台がアメリカなので珍苗字は一切出てこないのだ -
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ネタバレタック&タカチシリーズ第五長編にして、シリーズ総決算。
・裏口のドアに挟まれている小石
・死んでいるはずの老婆の幽霊
・未亡人が飼っていた犬
・ケイコという名の少女が連続で誘拐され、無傷で
帰ってきた事件
シリーズの醍醐味と言える奇妙な謎が、本書にはふんだんに盛り込まれている。一つ一つのディスカッションも楽しいが、とにかく凄いのは、謎が謎を補強し合っているところ。
目的を見失い、精神安定のために行うストーカー行為や、信じたくないという思いからの記憶の改竄、神を捨てるために娘を捨てた父。
アクロバティックなロジックの先に見えてくるのは、果てしない人間の業。
そしてそれらは全て -
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ある女子大生が自宅で死体に出くわし、とある事情から友人たちに手伝ってもらって隠蔽することに。そして警察に代わって自分たちで解決を目論んでいくことにーー
と、設定は正直言って単純だし少し地味。しかも、本書の大部分を占めるのがディスカッション。
ああだこうだと言い合って、全ての謎に筋の通った説明をつける。その作業にかなりの頁数が割かれているのだ。そしてその中で、作者は“論理の飛躍”の醍醐味を見せてくる。地味な設定、本格の括りの中でここまで見える景色を変えてくる作品には滅多に出会えない。
そうしたミステリ純度の高さにキャラクターの魅力も相まって、誰でも楽しめる本格--もはや語義矛盾のようにも感じら -
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ネタバレ匠千晶シリーズ第六作。
第五作を飛ばしてしまった。
こちらは短編集。
主に大学卒業後のタックたちのお話。
最初に読んだ、「黒の貴婦人」を思わせる、
テンポの良さと四人のかけあいの面白さが際立っていた。
とくになんとか大学を卒業し、
女子高の国語教師になったボアン先輩の話が面白かったかな。
冒頭のテストの解答用紙や車を無すまれてしまう「盗まれる答案用紙の問題」とか。
ボアン先輩がタカチにほほをはたかれていた「新・麦酒の家の問題」は、
推理が二転三転していってちょっとついていけなかったが、
ボアン先輩に同棲していた女性がいたと判明して面白かった。
もちろん、タカチが叩いた理由はそれではない。 -
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ネタバレ某古本屋チェーンの100円カートから何気なく手に取った本。自分にとっては大正解でした。
作者の西澤さんが、そもそもミステリー作家ということもまったく知らず読み始めたのですが、一気にのめり込みました。
感覚を例えるなら、リアル脱出ゲームのような感じ。ゴールがわからないまま、ヒントだけ散らされて、それを一つずつ拾いながら、答えの見当がつかずに、それでいてワクワクしながら歩き続けるようなもの。
この物語の魅力は擬似家族となった三人のあたたかい繋がりが、それとは対象的な世界レベルの計画にからみ合い、徐々にその両者の関係が明らかになっていくワクワク感だと感じました。
また、西澤さんの表現も気に入りま -
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高校1年生の本大好きの日柳永美とB級映画大好きの柚木崎渓の変わり者ペアが、身の周りの謎を安楽椅子的に解いていくミステリー。ケメルマンの「九マイルは遠すぎる」というちょっとした言葉から思いもかけない真相を明らかにするというミステリーのことが出てくるが、この連作短編集もそんな感じ。実際に調査して確認はしていないから、想像だけに終わっているのかもしれないが、登場人物たちはそれで納得してしまう。永美の祖母や喫茶店ブックステアリングの梶本さんたちもいい味を出しているが、エミール(永美)と渓の淡い関係も何だか微笑ましいというか、甘酸っぱいというか、いい感じだ。